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Norlys(ノールリース)-日々のあれこれ
Posted by - 2024.05.17,Fri
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Posted by norlys - 2009.07.28,Tue
DAY1、赤岩沢遡行の続き。

日曜日の朝、夜明けとともに目が覚める。午前4時半。4時50分前には頭の先の木々の隙間に曙光が現れる。
昨日の午後には太陽を追いかけて西の方角に進んで来たはずで、今は水の流れに対して直角に位置するのにあっちが東なのか…と、寝ぼけた頭でぼやぼや考える。

空はすっきりとした青空。暖かくぐっすりと眠れた。夜中にトイレに行きたいなぁ~と思い目が覚めたときにパチパチとタープを叩く雨音を聞いたような気がして再び寝入ってしまったけれど、どうやら水流の音だったらしい。

ごそごそとシュラフ類を片付ける。みんなでコーヒーを飲む。温かくておいしい。Sさんが朝ご飯の支度を進めてくれる。乾いた靴を持参しなかったのでお手伝いできずに申し訳なかった。もっとも邪魔なだけかも。。

おいしい朝ごはんをいただき、周囲を片付け、ぼちぼちと沢の装備を整えて6時50分頃に出発。
もうずいぶんと少なくなった水流に沿って進むと、徐々に笹が覆いかぶさるように道を塞ぎ出す。歩き出しから15分ほどで奥の二俣に至る。標高1800mを過ぎた辺りから上の沢沿いの植物は鹿の食害が目に付く。Sさんが夜中に鹿の鳴き声を聞いたとか。

奥の二俣を左に入ると、4畳半くらいの湿原。湿原の周囲はぐるりと肩くらいまでの高さの笹藪に覆われている。手詰まりかと思ったらNさんんが湿原の端に水流を見出して進んでいく。上流の笹薮は3m程度で、すぐに開けた雑木林の中に出る。ほ。オオシラビソの甘い香りに満ちている。

もはや水の流れは僅かな窪地を穿つだけとなり、しばらく追っていくと涸れてしまった。赤岩沢の源頭部。
さて、下降する予定の魚沢を探さねば…と、獣道を辿って斜面を歩く。鹿たちが赤岩沢の源頭部まで水を呑みに来るのかしっかりした獣道。

過去の遡行記録の多くには「赤岩沢から黒沼田代に出たら湿原を横断してすぐに魚沢に出会う」と書かれていたけれど、黒沼田代が見当たらない。しばらく歩くとぽんと登山道に出た。黒岩山山頂を往復する登山道で、ここを下るとすぐに奥鬼怒と尾瀬方面の分岐に到着。この時点で8時ちょうど。

「黒岩山の山頂に行ってみる?」とNさん。黒岩山は栃木県と群馬県と新潟県の県境をなす分水嶺。ちょっと気になったけど、この先もまだ長そうなので今回は見送り。
とにかく現在地がはっきりしたので、2万5千分の1の地図とコンパスをセットして魚沼を探すために樹林帯に突入。明るい広葉樹林帯で歩きやすい。

P7261389_s.JPG先頭を歩くNさんが振り返りにっと笑って、「水流発見」。一同歓喜の声。僅かな窪みを追って短い笹薮を漕ぐと明瞭な沢地形になる。赤い岩床。黒苔が滑る。特に難しい場所はなくしばらくガレた沢を下降すると9時5分に視界が開け三俣に到着。左岸の丸っこい4m滝から水が落ち、右岸のトイ状の滝から水が迸り落ちている。なるほど自分たちは真ん中から下降してきたのかと遡行図を眺める。ここで休憩。

しばらく荒れた感じの沢を降りていくと、やがて空が開けてまるんとしたナメ床が続く。「うひょ~」とテンションが上がる。さっきまで多かったガレや流木はもはや見当たらず、緑の中に黄褐色の花崗岩のナメが舗装道路のよう。

フリクションは抜群で傾斜も緩く、岩盤が固いのか釜も小さく、さくさくと進む。駆け出したくなるけれど、通り過ぎてしまうのが勿体無いような気もする。悩ましい。

途中6mの滝は右岸から草を掴んで下降。側壁は泥岩で脆い。自分は途中で足が滑ってずるりと落ちて笑いを買った。とほほ。

再びナメと釜が連続し、しばらくいくと8m滝上に。右岸の木の枝に捨て縄が4つか5つ。2つは大分新しく、どうやら今年のもの。Nさんが捨て縄を追加し、ロープを掴んで順番に降りる。
P7261426_s.JPG
またしてもナメ。ひたすらナメ。空が一段と広くなりどうやら10m懸垂滝上に到着。ここもやはり左岸の木の枝に捨て縄がある。奥の木まで少し移動してYさんの捨て縄を追加し、ここは懸垂下降。降りたところで15分ほど休憩。

この先もひたすらナメが続く。ナメ好きにはたまらない。ここのナメ床は赤みを帯びた岩に白い筋が入っていて面白い。Sさんが「キリンみたい」と形容した直後に、Y2さんが「肉みたい」と呟き、一同爆笑。なるほど霜降り。

P7261431_s.JPGお腹いっぱいになるほどナメを満喫していると、またしても目の前がすっぱり開け、どうやら2段18m滝上。左岸に踏み跡があり、トラバースして滝に繋がる袖尾根を廻りこんで降りる。この滝は赤く角ばった岩質で男性的な印象。まるんとした滝やナメや釜が続いた後なので、より一層鋭角な感じがする。
また、この滝を境に、明るかった沢が一気に深い谷に変わった。両岸が切り立ち、そのためか苔でぬめっぽくなる。

小さなゴルジュを降りるとますます地の底に降りていくような感じ。流れは右に左に大きく蛇行し始める。

11時40分に廊下のようなゴルジュ上に到着。見れば流木に捨て縄が巻いてある。水面までの高さは3m程度。水勢は激しくないので落ちても泳いで逃げれるかな…と思いながら、先を行くNさんとYさんを真似てツッパリで少し降り、左岸に移り、ホールドを伝いながら淵を抜ける。抜け切る寸前で淵にドボンし、またしても爆笑を買う。うう。

P7261463_s.JPG右岸にはびっしりと苔が繁茂し、上部から陽射しを受けた水が粒粒と降り注ぐ。口に含めば甘露、甘露。奥には今越えてきた廊下のゴルジュが深い緑の水を湛えている。こんなにもきれいな場所が沢の中には隠されている。











P7261477_s.JPGだいぶ標高も下がったようで、周囲の気温と湿度が高い。沢幅は広いけれど、両岸ははるか上に高い。
ガレた谷間を降りていくと、赤いのナメが続く。延々と続く。30分ばかりの間、ひたすらナメ。やや滑っぽいけれど、ナメ最高。










P7261487_s.JPG12時半に20m滝上に到着。右岸から容易に降りられる。左岸からも降りられる。赤い一枚岩の上を滑るような水流が美しい。

赤い岩の瀞やナメをぽくぽく歩く。ずいぶんと水が、Sさんの指摘のとおり「金魚鉢っぽい」。魚沢という名所のとおり魚が多いのかな。でも魚影はひとつも見かけなかった。

いよいよ川歩きっぽくなってきた頃、沢床が節理をもつ黒い岩に変わる。小さな滝を降りると、左手から黒沢が合わさる明るい川原となる。ちょうど午後1時半。対岸に渡り、踏み跡を辿って黒沢林道に上がる。みんなでハイタッチ。よく見れば踏み跡はある。でも昨日通ったときには気がつかなかったなぁ。

黒沢林道は昨日と今日の好天ですっかり乾き、白い岩や砂礫が眩しい。絹姫橋に立ち寄り明るく眩しい川原を眺め、夫婦淵温泉の駐車場に2時ジャストに到着。
駐車場は7割の入りで、奥鬼怒散策や登山者の姿が点在している。沢の中では誰にも会わなかったので、久しぶりに下界に下りてきたような錯覚を覚える。うだるような暑さが気持ちいい。

駐車場で装備をしまい、旧栗山村(現日光市)の川俣地区にある「上人一休の湯」に立ち寄りさっぱりした後、温泉まんじゅうを食べ、大笹牧場でソフトクリームを食べて帰京。

念願の? というほどではないけれど、以前Webで遡行記録を見つけて「行ってみたいなぁ」と思っていた沢だったので、偶然Nさんが候補に挙げた沢と合致すると分かったときは「これはもう行かねば」と運命を感じました(冗談)。まさかこんなに楽しい沢だったとは。みなさまありがとうございました。

■蛇足。
日本登山大系2を眺めていたら、赤岩沢の奥の2段50m滝が「50mナメ滝」と紹介されていました。あれがナメ滝? いやまさか。
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自己紹介:
Norlys(ノールリース)。極光、いわゆるオーロラ。雪の降る季節と雪の降る景色がすき。趣味は編み物。週末は山を散策。

色々と気になることをメモしたり、グダグダ書いてみたり。山の記録はなるべく参考になりそうなことを…と思いながらも思いついたままに垂れ流し。。
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