岩手県にある侍浜への遠征の記録その2。(その1はこちら)
夜中に藪蚊に食われまくって痒くてたまらず目を覚ます。テントの入口はちゃんと閉めましょう(涙目)。
目を覚ましたついでに外に出てトイレに行く。木々の合間から星が瞬いているのが見えた。
朝5時に起床。外はすっかり明るい。北緯が高いため、夏の夜明けは関東より一段と早い。昨日は3時半過ぎに空が白み始めていた。やませが濃厚に垂れ込めていてかなり幻想的。時折、霧が抜けた瞬間に青空が覗く。
すっくと聳える赤松の林を霧が包み、柔らかい朝の陽射しが乱反射している。いつの間にやら巨大キノコがにょきにょき生えている。木の陰から一角獣がのそりと現れても不思議じゃない。まるで幻想物語の世界みたい。
緑の匂いと潮の香りが濃厚。林の道を少し歩くと、白亜紀時代のものなのにまだ新鮮な花崗岩の海蝕断崖が海に突き出ている。
なんだかあまりにキレイな風景の中にいて、ただただ呆然。現実感がやけに希薄。
強行軍なこともあり、滅多に訪れることのない(というより初めての)北東北の海辺にいることもあって、時間や空間の感覚が麻痺しそう。こんな日が明日も続きそうな気がしてならないけど、今日のお昼にはここを出なくては。明日からはまた月曜日が始まる。
MKさんが昨日のお鍋の残りにうどんとカレーを投入し、カレーうどんを振舞ってくれた。おいしい。
6時半には撤収作業を完了し、北侍浜野営場を後にする。ここはとてもに整備されていて快適。夏になると海水を取り込むプールがオープンし家族連れで賑わうらしい。
昨日と同じく展望台エリアへ。谷間に下りると、やませがより濃厚。ミストサウナの中にいるみたいでお肌には良さそう? でも岩が…と、触ってみると案外乾いていてほっとする。
まずはアップで「海は広いな大きいな(5.8)」へ。昨日登った「Adam's Apple(5.10)」と出だしが同じで、そのまま直上するルート。すこぶる快適。眼下の景色は靄の中で、かすかに海岸線が見える。
←MKさんたちは反対側にある無名クラックでアップ。トポにはないけれど、上部にシンクラックのルートがとれそう。でも厳しそう。
その後は「中間試験(5.10b)」へ。100岩北海道・東北編のトポによると「グレイドの割には登りにくい。」とあり、実際、時分は途中で敗退。核心箇所が細かくてダメダメでした。
1回目はテンションをかけたYさんは2回目のトライでRP。さすが。オンサイトグレードの10bではなくて、登り込んでの10bなのかな。でも難しい…。
昨日のエントリを書いていてふと思ったこと。ここの岩場に「試験」シリーズのルートがあるのは、長野県の小川山にある「卒業試験」の岩場に岩質が似ているからではないかと…。どうなんだろ。
気分転換に、「海は広いな大きいな」の左隣のクラックルートを登る。寝ているし脇のフェイス部分にホールドがふんだんにあるので快適。アルパインⅢ級か、Ⅳ-くらい?
途中のボルト1本と終了点に「海は…」のものを利用。うん、海は広いな大きいな~。
まだ多少時間があるので、「入学試験(5.10a)」にトライ。ひたすら長い。壁は寝ているので快適なのだけど、あんまり長いので登っている途中で一瞬取り付いたことを後悔。
←写真の右側が展望台下のエリア。手前は寝ているけれど、奥のほうは傾斜が厳しそう。
時間があったら10cのラインにも触ってみたかったな。
MKさんとKさんが入学試験にトライしている間、トポにない新しいボルトのルートを触ってみるも、無残に敗退。上部が極小カチをつなぐもので、自分にはグレード高すぎでした。。orz
展望台下エリアをうろうろと散歩し、右奥のルートを見学。取り付くまでが大変そう。足場も悪そうだし。でも岩は、それほど触られている場所でもないのに、とてもきれい。
そんなこんなであっという間に12時を回ってしまい、撤収準備を進め、名残は尽きないけれども侍浜の岩場とお別れ。なんだかんだで約6時間も登っていられたのだから充分満足。
「道の駅くじ やませ土風館」で海鮮丼を食べ、おみやげ物を物色した後、緑の清流が美しい久慈の渓流や牧草の緑が目に眩しい牧場の風景眺めながら八戸自動車道へ。
後ろ髪を引かれる思いで安代ICでMKさんたち青森組と別れ、東北道を一路南下。八幡平や岩手山の美しい山並みを眺め、盛岡の肥沃な平野部を抜けて一路南へ。さよなら、イーハトーブ。
途中のPAで夕飯を食べて午後9時半過ぎに都内に到着。
この日もまた長い長い濃密な一日でした。
岩手といえば…やっぱり宮沢賢治でしょ。です。自分的に。
そこには波がしらの模様に雪ものこれば
いくつものからまつばやしや谷は
あえかなそらのけむりにつゞく
……それはひとつの海蝕台地
むかしの海の記念碑である……
たよりなくつけられたそのみちをよぢ
わたくしはこのかなしい夕景のなかに消えていきたい
ぼんやりつめたい四月のしろいそらになりたい
(宮澤賢治 - 「海蝕台地」から抜粋)
***この日登った(触っただけの)ルート***
海は広いな大きいな(5.8) -OS。朝イチのアップで。快適。
中間試験(5.10b) - 敗退。自分にはキビシイ。。
無名クラック -「海は…」の左のクラック沿いに直登。快適。
入学試験(5.10a) -長くて楽しい。
無名ルート(不明) -「お昼のワイドショー」の反対側。自分にはかなり難しく、即敗退。
色々と気になることをメモしたり、グダグダ書いてみたり。山の記録はなるべく参考になりそうなことを…と思いながらも思いついたままに垂れ流し。。
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