22日までにロシア軍の撤退完了見込みとの発表があるものの、依然として緊張状態が続くグルジア情勢。
自分はロシアもグルジアも支持しません。紛争解決に武力を持ち出した時点で許容できません(ま、理想論でしかないし、自分が一方を支持したところで状況の変化にはミリとも寄与しませんが)。
この紛争に関していろいろなニュースやブログを見ても、すべてを鵜呑みにすることはできず、なにが真実なんだかさっぱりわかりません。わからないなりに、色々と情報を集めること自体は面白いのですが。
真実というものはなく、事象と感想の断片があるだけなんだな、と。
これだけネットが普及すると、政府発表から報道機関のニュースからお偉い評論家さんの分析まで、おしなべて個人ブログに見えてくるから面白いです。自分が信じたいことが真実なんだ、そんな気すらします。
未来の考古学者たちは、これらの膨大な量の資料を前に現代を読み解くのに頭を抱えちゃうんじゃないでしょか。そもそも人間が歴史から学ぶことなど滅多にないのに、人はなぜ歴史を学ぶのでしょう。
な~んてね。
さて。グルジア-イスラエル-米CIA-EUとロシア-シリア-イランの2系統のそれぞれの陰謀論が囁かれたり、ユダヤ系シンクタンクの存在だの米大統領選挙候補者に絡んだ憶測だのが飛び交っていて、とても興味深々の国際陰謀・諜報劇だけど、これは現実なんだとふと我に返ると勘弁してくれよ~。。。とも思います。
(この紛争はさておき、個人的にはハッカビー候補が脱落してしまった現在、消去法で同じ共和党のマケイン候補支持なんだけど、なんかタイミング良すぎて不安~)。
ただただ可及的速やかに軍事緊張が解けて、現地の人たちが平穏な生活を取り戻せることを祈ります。
そういえば、「ロシア軍部の一部の暴走/プーチン露大統領の影響力低下?」という憶測もあるけれど、端から見ていると、ちっともそんな気配は感じられないような(勝手な憶測だけど)。
ロシア軍は常にきちんと統制がとれていて、国際世論というリアクションに応じて非常に柔軟にかつ確実なアクションを続けているように見えますよ。
自分が檻の中に閉じ込められた(国際社会の一国という立場をわきまえた)獣であることを悟り、自分の爪の鋭さを知りつつ、相手をもて遊んでいるシベリアンタイガー、そんな感じ。誉め過ぎかな。。
んで、ロシアが本気でグルジア(の南オセチア)に構うものだから、米国のミサイル防衛(MD)計画がすんなり通っちゃいましたよ。
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MDで正式調印、米とポーランド ロシアの一層の反発必至
ワルシャワ訪問中のライス米国務長官とポーランドのシコルスキ外相は20日、ワルシャワで米国が東欧で進めるミサイル防衛(MD)計画の迎撃ミサイル施設をポーランドに建設する文書に正式調印した。迎撃ミサイル計10基を配備する。
合意文書はポーランド議会の承認が必要だが、支持が多数派となっている。
長官は、今回の合意を両国間の戦略的協力、友好関係の表れと称賛。ポーランドのトゥスク首相は今回の合意で同国と米国の自衛力が一層高まったと強調した。
長官は、MDはイランや北朝鮮の中距離ミサイルの脅威に対抗するものとし、「特定の国を狙ったものではない」とも強調した。MDについてはロシアが自国の防衛戦略から強硬に反対、迎撃ミサイル施設建設に踏み切った場合、ポーランドに対する報復措置も警告している。
米ロ関係は現在、ロシア軍が軍事介入したグルジア、同南オセチア自治州の武力衝突で悪化しており、今回のMD調印で一層こじれるのも必至だ。
今回の合意へ向け、米、ポーランドは過去1年半にわたって交渉。ポーランドはミサイル施設を受け入れる条件として自国防衛力の強化への協力を米国に求め、話し合いは難航模様だった。グルジア情勢を受け、両国が妥協を急いだ背景もある。
ポーランドは今後、米国から地対空誘導弾パトリオットの供与も受ける。MDでは、米国がレーダー基地をチェコに整備するが、両国は既に合意している。
(2008.08.20 Web posted at: 20:12 JST Updated - CNN/AP)
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MD計画に関して、興味深い数字がありました。
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MD賛成派が優勢に ポーランド
米国がポーランドに配備を計画しているミサイル防衛(MD)施設建設について、ポーランド国民の58%が賛成し、支持派が過半数となったことが同国の民間調査会社の調べで分かった。18日付の地元紙が報じたもので、反対は37%だった。
前回の2007年3月の調査では、51%が反対、賛成は30%だった。
今回の調査は、両国が計画に合意した後の16日に実施。ロシアがグルジアに侵攻したことが、旧ソ連の影響下にあったポーランドの国民に変化をもたらしたようだ。(共同)
(usfl.com 2008年08月19日 10:41 PST)
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約2年に及ぶ交渉を重ねながらも、ロシア関係悪化を懸念して決断しかねていたポーランドがいともあっさりOK出しましたとさ。
オチは決まっていて(まぁほぼ確定だった)あとは背中を押されるタイミング待ちだったということなんですかね。
今回のようにロシアが表に出れば出るほど、民主化した東欧諸国は喜んでアメリカの傘の下に飛び込む、と。はいはい、出来レース、出来レース。
だって、こんな事態になることは、よく考えなくてもわかるじゃないですか。
陰謀術数に長けたプーチン帝王が、まさかそんなこともお見通しじゃないなんて、絶対に思えないんだけどなー。
このMD計画に対するロシアの反応はちょっと過剰じゃないの~ってくらい、当初から猛反対しまくり。
そらまー、遠く大西洋の向こうの大陸にあるアメリカ様がわざわざヨーロッパに戦略拠点を築くという点も胡散臭いことこの上なしなんですが。
なんというか、このMD計画を巡るアメリカとロシアの反応は、まるで町娘と悪代官の猿芝居に見えるんですが。ロシアがウブな町娘役を演じているのだと想像すると、大層気持悪いんですけどもwww
まぁアメリカへの対抗策として、シリアやベラルーシにロシア側のMD計画を構想中ですので、どうしたってウブな町娘じゃ役不足(役者不足じゃないよ)ですね。
おまけに。
先日、ドイツのメルケル首相がグルジアのNATO加盟支持を表明(AFP時事 2008/08/17 23:49)だそーです。
いままでグルジア側が、サーカシビリ大統領の2004年の大統領就任直後から、積極的にNATOにラブコールを送ってきたものの、加盟国によるロシアへの遠慮もありなかなか承認を得られそうになかったNATO加盟がついに現実になりそうな。
ロシアが一歩踏み込んで強面を演じたら、至極アッサリと、米MD計画とグルジアのNATO加盟が前進。
なんだろな。このシナリオ、ちょっとできすぎのような。。
現地住民の方々を除いて、この件で損をするのは誰なんだろ。
巷では、グルジア軍への深い関与と暴走が非難されそうなイスラエルがドジ踏んだ、という噂もしきりですが。
あと。虎視眈々とタイミングを読んでいたロシアが、BTCパイプラインなんかより遥かに価値があって手中に収めたいものってなんなんだろ。
はて。。??
■Related Entry
ミサイルの欧州 (2007/11/18)
■おまけ。
ぜ~んぜん関係ないけど、ハッカビー候補者のAd ↓
"Chuck Norris Approved." ということで、俳優のチャック・ノリスと競演。どうせ遠い国の他人事なので(おいおい)ヲチるには面白い人物だったんですけどねぇ。。
マケイン候補の対アジア政策を信じるとして、イチ日本人としてはマケイン、ガンバ☆ と応援していますが、マケインさんのAdは打倒オバマ剥き出しでちっとも面白くないんだな~。面白ければいいってもんじゃないけどさ。
色々と気になることをメモしたり、グダグダ書いてみたり。山の記録はなるべく参考になりそうなことを…と思いながらも思いついたままに垂れ流し。。
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