麻生首相が就任直後の仕事として、国連で行った一般討論演説の全文が掲載されていました。
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麻生首相 国連演説の全文
(朝日新聞 2008年9月26日7時44分)
世界各地の平和と安定した経済発展、地球環境保全において、日本としての見解と貢献の現状と将来について、長いけれど決してムダなところはなく、主張しすぎず恩着せがましすぎずもせず日本国としての意見と主張をぎゅぎゅっと詰め込んだ内容。
このスピーチ内容は官僚の方が用意されたのでしょか。
それにしては、なかなかなに麻生節炸裂だなという印象です。
なかなかボリュームがありますが、マスコミの余計なフィルターを通して発言の一部分だけを抽出して解釈を加えた論評を読むよりも、まずは素のまま読んだ方がよさそうです。
自分としては、中東和平の実現に取り組む日本の市民活動の紹介のくだりにぐっときました。
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議長、話題を転じ、夏の終わりの、ある出来事をご紹介したいと存じます。
ところは、東京郊外の小さな街。去る8月末、ここに海外から9人の高校生がやって来ました。日本に来るのは初めてです。慣れない料理に顔をしかめるなどは、どこにでもいそうな高校生のビジターと、変わるところがありません。
1つだけ、ありふれた招聘プログラムの参加者に比べ、彼ら、彼女らを際立たせていた特徴がありました。4人がパレスチナ、5人がイスラエルの高校生で、全員、テロリズムを始めとする過酷な中東の現実によって、親族を亡くした遺児であったという点です。
議長、日本の市民社会が地道に続けてくれている、和解促進の努力をご紹介しました。高校生たちは、母国にいる限り、互いに交わることがないかもしれません。しかし遠い日本へやってきて、緑したたる美しい国土のあちこちを、イスラエル、パレスチナそれぞれの参加者がペアをなして旅する数日間、彼らの内において、何かが変わるのです。親を亡くした悲しみに、宗教や、民族の差がないことを悟り、恐らくは涙を流す。その涙が、彼らの未来をつなぐよすがとなります。
包括的な中東和平には、それをつくりだす、心の素地がなくてはならぬでしょう。日本の市民社会は、高校生の若い心に投資することで、それを育てようとしているのであります。
議長、この例が示唆する如く、日本ならばこそできる外交というものがあることを、私は疑ったことがありません。
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首相の耳に届きかつ国連の壇上で紹介されるのだから一介の草の根市民活動というより、日本政府が関与した市民交流プログラムのように思えますが。。
「世界平和のために日本が貢献している活動は、なにも金を出すことだけじゃないよ」という点や「ヨーロッパでも中東でもない、日本だからこそ」という点を強調しているところ、これいいですね。
いわゆる北欧諸国が取り組む地域紛争調停活動のように、自国の国益として地域交流の芽を蒔きつつ同時に世界平和貢献という評価を得られる一粒で二度おいしい手口です(「手口」言うなw)。
麻生氏のスピーチの中で語られる日本という国の姿は、たいそう緑豊かで、先進技術開発に積極的に取り組み、実直で勤勉で平和を愛する人々がいる、そんな「美しい日本」でした。
「安定した経済的繁栄によってもたらされる世界平和」というのは、80年代後半に日本が見た夢よ再び、という気もしますが、市場原理主義の欺瞞と破綻が露呈した今こそ、恒久的な世界の「繁栄」ってどんなもんじゃらほいと、みんなで考えることは悪くないと思います。
色々と気になることをメモしたり、グダグダ書いてみたり。山の記録はなるべく参考になりそうなことを…と思いながらも思いついたままに垂れ流し。。
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