グルジア情勢、突然EUの態度が軟化。
-----------------------------------------------------------
対露制裁求めない見通し-EU
フランス大統領府筋は29日、グルジア紛争をめぐるロシアへの制裁について「まだ時期ではない」と述べ、9月1日に開かれる欧州連合(EU)緊急首脳会議の最終宣言などで制裁を採択しない見通しであることを明らかにした。クシュネル仏外相は28日の会見で、ロシアに対する「制裁や他の方法を考えている」と述べ、EUとして初めて制裁問題に言及したが、EU内で意見が分かれたとみられる。(パリ 山口昌子)
(MSN産経ニュース 2008/08/29 21:50)
-----------------------------------------------------------
「EU内で意見が分かれたとみられる」のは、正確にはどういう勢力マップなのか突っ込んでほしかったな。
どの国がどういう意見なのか、詳細を知りたいものです。
上記、EUの姿勢が急速に軟化したのと同時期に、親米ポチの産経新聞がこんな記事を出すものだからちょっとビックリ。
↓
-----------------------------------------------------------
「グルジア紛争はロシアの失地回復作戦」
【パリ=山口昌子】グルジア紛争でロシアのメドベージェフ大統領は「冷戦を恐れず」と対米欧への対決姿勢を見せつけた。フランス戦略分析研究所のフランソワ・ジェレ所長は産経新聞との会見で、ロシアは紛争を好機としてソ連崩壊以来の「失地回復」を狙っているとの見方を示した。発言の要旨は次のとおり。
◇
グルジアは非常にまずい行動を取った。ロシアの反撃を過小評価し米国の支援を過大評価したからだ。ブッシュ米政権が2期目の初期であったら多少、米国の反応は違ったかもしれないが、現在の米国にとってグルジア紛争はしょせん、ロシアの内政問題だ。次期米政権にとっての最優先事項は国内の経済再建であり、外交面ではイラク、イラン、イスラエルの中東問題とアフガニスタンだ。
ロシアにとってグルジア紛争は、ソ連崩壊から2004年に旧ワルシャワ条約機構加盟国のポーランドなど10カ国が欧州連合(EU)に加盟するまでに失った影響力を回復する好機となった。ロシアにとっては、これらの国のEU加盟や北大西洋条約機構(NATO)加盟は我慢の限界であり、グルジア、ウクライナのNATO加盟は許すわけにはいかなかった。ロシアは今後、グルジアでの親ロシア政権樹立を画策するはずだ。
クシュネル仏外相がロシアの次のターゲットはクリミア半島、ウクライナ、モルドバだと指摘したのは正しい。帝政ロシア時代から黒海は地政学上、重要だからだ。
今回、サルコジ仏大統領はEU議長として迅速に動いたが、EUは対ロシアの具体的方策を持っていない。中・東欧と仏独英とは内部分裂状態だ。仏独英はロシアのエネルギー源に依存している。英国の発言は強硬だが、石油大手BPがロシアの世話になっているから実際の態度は極めて慎重だ。フランスも石油大手トタルがロシアに進出している。メルケル独首相はロシアを嫌悪しているかもしれないが、経済的にも政治的にもドイツはロシアと良好な関係を維持する必要がある。
グルジア紛争はロシアが強硬に出た場合、NATOもEUも国連も無力だということを示す結果になった。いや、NATOもEUもロシアのこうした面を熟知しているからこそ、これまで“戦略的パートナー”としてロシアを取り込んできたわけだ。EUが繰り返す“政治的解決”とはロシアとうまくやっていくという意味にほかならない。残念ながらグルジア紛争はロシアの勝利だ。
(MSN産経ニュース 2008/08/29 20:09)
-----------------------------------------------------------
産経新聞は、今回のグルジア紛争に関してはかなり精力的に情報を発信し続けていますが、当初からロシアに対して非難の姿勢を見せていたのにな。
振り上げた拳の行き場がなくなりそうな、このフランス戦略分析研究所所長の「ロシアとは戦略的パートナーを維持すべき」というコメントを産経新聞が紹介するとは、ほんとちょっとビックリですよ。
ところで。この所長さんのコメントには、EUとして、アメリカとの関係の視点がまるっと落ちているのが気になるのですが、そこはどうなんだろ?
ヨーロッパはね、ロシアは怖いし、イスラムは脅威だけど、アメリカも好きじゃないの、ホントはね。
そんな本音をダダ漏れにされてもwww
フランス人らしく、もっとガツンと気の利いたエスプリをかましてほしかったわ。
平和的に話し合いで解決するのが望ましいとは思うけど、EUがこのままロシアの主張を丸呑みするのはいただけないよな。結局武力を持ち出したもの勝ちってことになってしまうま。
そういえば。
ノルウェーのAftenposten(ノル最大手の新聞社)の英語版記事を読んでいたら、在ノルの露関係者の発言が紹介されていました。
「賢いノルウェーの皆さんなら、新冷戦構造が我々双方にとってデメリットであることはご理解されていることでしょう。協調の道を探らねばなりません。今回のロシアの対応は、南オセチアとアブハジアにおける人道的介入なのです」みたいな。
ノルウェー自体はEU加盟国じゃないけどNATOには加盟しているし、石油産業ではロシアと提携していて関係も深まりつつあるし、この問題は難しいなぁ~という感じで記事が締めくくられていました。
なぜ非EU加盟国だけど、NATO加盟国でかなり戦力を派遣しており、世界で5本の指に入る産油国だけど、アゼルバイジャンなどの石油コンソーシアムに出資しているノルウェーの国内最大手の新聞が、わざわざ自国語ではなく英語版でこんな記事を出す意図はなんぞ?
いや~、ほんと情報戦だわ。
ロシアの目敏さ、ノルウェーのしたたかさを見せ付けられました。
***
La chiusura degli agli d'Italia. とうとうイタリアの翼、終了のお知らせきました。
↓
-----------------------------------------------------------
アリタリア航空、分割救済策受け入れ 欧州航空大手と提携へ
【フランクフルト=後藤未知夫】経営危機に陥っているイタリアのアリタリア航空は29日、同国の政府・経済界による救済策を受け入れることを決めた。同社を採算性のある事業部門と不良資産処理にあたる部門に分割。存続する事業部門は同国2位の航空会社エアワンと合併し、欧州の航空大手と提携し出資を受ける方針。提携先として仏蘭エールフランス―KLMとルフトハンザ・ドイツ航空が有力と伝えられている。
アリタリアは同日、取締役会で救済策の受け入れを決め、前提となる破産法適用の手続きを開始した。存続する事業部門の受け皿となる「イタリア航空(CAI)」には、アパレル小売り大手ベネトンなど有力企業の投資家グループが10億ユーロ(約1600億円)の資本を注入。会長は企業再生の実績がある二輪車大手ピアジオのロベルト・コラニーノ会長が務める。
(日経ネット 2008/08/30 11:40)
-----------------------------------------------------------
競争力低下や燃料価格の上昇に加えて、強い労組と非効率な労働など、色々な要素があると思いますが、危ない危ないと噂されていた割には今回の決定までかなり時間がかかったなぁ。。
そんなことをしている間にも負債が増えるのでは。。と思っていたけれど、色々とケツまくりが大変だったんだろな。
一応ナショナルフラッグだし。
KLMエールフランスが吸収合併の二の足を踏み続けたのは、会計帳簿がものっそいカオスだったからということだそうですし。
はて、日本は大丈夫なのかな。
色々と気になることをメモしたり、グダグダ書いてみたり。山の記録はなるべく参考になりそうなことを…と思いながらも思いついたままに垂れ流し。。
Powered by "Samurai Factory"