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Norlys(ノールリース)-日々のあれこれ
Posted by - 2024.11.28,Thu
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Posted by norlys - 2008.07.31,Thu

北鎌尾根の核心部をそっちのけで、次の山行記録に手を出すのももどかしいのですが。。
先週末は、南アルプスの鳳凰三山に突き上げる野呂川・シレイ(白井)沢を遡行してきました。

去年、北岳に向かう途中のバスの中で「昔、この沢を登ったよ」とH師匠が車窓から指差した沢。
スーパー林道のすぐ脇の、ごろごろと赤茶けた岩が転がる急な傾斜の地帯に、冷たそうな水がだばだばと流れ落ちていて「こ、こんな沢を登るのか」と怯んだ覚えと「上流は花崗岩地帯で、きれいなんだよ」という師匠のコメントが印象的でした。

出発前に遡行記録をあれこれ読み漁ってみると、どれもこれも沢上部の花崗岩地帯の美しさを賞賛するものばかり。
あの赤茶けた沢の奥には、そんな素敵なエリアがあるのかぁ。。と期待は高まるばかり。

出発前はずいぶんと体調が思わしくなかったのだけど(おそらくとてもそうは見えまいw)、この機会を逃したら次のチャンスはほとんどなさそう。。ということで(自分的に)強行。

金曜日の夜に都内を出発し、一路南アルプスの玄関口、芦安を抜けて夜叉神峠へ。
最後のコンビニで追加食料とお酒を購入。今年初めての泊まりの沢で、3級の沢というグレードのこともあり、軽量化重視でお酒は控えめ(後で激しく後悔^^;

日付の変わる1時間ほどまえに夜叉神の駐車場に到着すると、すでに8割方の駐車率。
夜叉神峠から広河原に向かう始発のバスは朝5時半。朝早く出発しても水がまだ冷たいだろうから、のんびり起きて8時発のバスに乗ろう~ということにして朝まで仮眠。

土曜日の朝、空は少し雲があるものの概ね晴天。
朝ごはんを食べ、沢装備を整えてバスの到着待ち。リーダーのTさんが、運転手の方に「シレイ沢で下車したい」旨を告げると、ほんのりハードボイルド風味の運転手さんが「(アンタらカッコを見りゃ一目瞭然さ、)乗りな」と目で合図(妄想です)。

天然水と並ぶ南アルプス名物(?)ジャンピングバスに揺られること約30分、7時半過ぎにシレイ沢手前のカーブで下車。

DSCF9259_s.JPGシレイ橋の脇から沢に降りる工事用のロープを拝借して、クライムダウン。
いざ、8時50分に歩き出し。

トポでF1、F2とあるあたりは、崩壊が進んだのか圧倒的なただの赤黒いガレ。
岩はヌルヌルだし、浮きまくっているし、迸る冷たい水の流れに目が覚める思い。
左岸支流の堰堤工事現場を横目にガレ場を登り続けて行くと、周囲は一転して深い緑の渓谷。

全体的に岩がヌメヌメしていて、さらに苔生しているので、とにかく滑る滑る。
「アクアステルスが苦手とする沢」という情報を事前にネットで目にしたので、今回はウェービングシューズを用意。これは正解でした。

見た目といい滑り具合といい蛇紋岩かなと思っていたけれど、後から調べてみたらこの地帯はホルンフェルス層とのこと。ホルンフェルスとは花崗岩となるペグマタイト(マグマ)が貫入した際に、接触により熱変性した周辺の堆積岩(泥岩・砂岩)とのこと。

薄暗い谷間のF3の右岸を巻いて上がると、すぐにF4(2段10m)、F5(12m)のちょっとした連瀑帯。
V字型の谷の底にいると、ばくばくと流れ落ちてくるホワイトウォーターの勢いに呑まれそう。

DSCF9298_s.JPGここは、右岸の草付きの踏み跡を辿ってクリア。振り返ると背後に北岳。
なんかすごい。スケールがでかい。

DSCF9281_s.JPGF6(6m)はナメ滝。小ぶりな滝の釜には風化した花崗岩の真砂が堆積し、エメラルドグリーンの水がうすく広がって日本庭園のよう。

F7(6m)は直瀑。岩がヌメヌメしているのと落ち口が狭いことと、左岸は岩が迫っているので、右岸を高巻き。
F8(10m?もっと高いと思う)はトポにはなにも記述がないけれど、これまた落ち口が狭く直登できそうにないので左岸の岩場からとりつく。

どうやら先行者がいるらしく、ところどころの岩や砂地に明瞭な踏み跡を見つける。

10時ちょっとすぎ、トポに「倒木」と書かれた地点を過ぎたあたりで1回目の休憩。黒っぽい岩で構成された谷の水底には真砂。学校の校庭みたい。陽射しを受けて雲母や長石がキラキラ光り、とてもきれい。

次第に気温も上昇してきたようで、水の冷たさにも段々と慣れてくる。DSCF9303_s.JPG
相変わらずヌメヌメする黒い滝をいくつか登る。次第に沢幅が広くなり、明るい沢相になってくる。

振り返ると、北岳がさっきより大きく見える。今年の雪渓は多いねぇとか、バットレスはあそこ、D沢の取り付きは蝶々型に雪渓の残るあそこかな。。と話し合う。

F16(15m)は右岸を高巻き。枝沢をトラバースして本流に戻ると、前方に先行パーティの姿がちらりと見えた。

F17(12m)は水流の左を登る。F18(15m)手前で先行パーティに追いつく。トポには右岸の高巻きが示唆されているが、自分たちは左岸を高巻き。踏み跡明瞭。このトポはどうも信用できない。
人が入っている沢は高巻きが楽でありがたい。まさにちょうど、というところで沢に戻れるので、一般登山道を歩いているような気分になる。

ここまでとくにロープを出すことなく、淡々と水流の中を歩き、滝を登ったり高巻いたり。
歩いて登れるメンバーが揃っていると、スピーディでいい。

ぬめぬめとした黒岩から、山吹色の岩に変わる。まだ花崗岩じゃない。でも岩の色が変わると、沢の見た目もぐっと変わり、明るい沢になる。

DSCF9349_s.JPGと、右手にまるんまるんとした巨大な花崗岩のスラブ。
あまりに突然の変化で、びっくり。
稜線まで露出した岩が続いている。奇妙なオブジェに見えなくもないや。しかし突然すぎてびっくりだ。

さて、いよいよ「白い滝」のお出ましか。。と、期待に胸を膨らませながら淡々と歩き続けると、突然先頭を歩くTさんが振り返りニヤリ。Tさんが指差す前方と見ると、



うおぉぉーーーーッッ!!!!!(奇声)



DSCF9355_s.JPGそこだけ切り開いたかのような広い空間の先に、白い一条の水流がすーっと落ちていました。
白い滝にはこじんまりながらも、水を湛えた美しい釜もありました。
そりゃもう釜を見たら、飛び込まずにはいられません。さっそくザックを置いて、ドボンしました。つべたひ。。あぁでも気持ちいいなー。

白い滝(F21、25m)は右岸を高巻くのが正解(?)らしいのですが、自分たちはトポと同じく左岸のスラブを登りました。
4級程度のムーブとのことで、まぁ岩がしっかりしていてクライミングシューズならどってことないのですが、いかんせん岩がボロボロだわ沢靴だわで心許なし。なかなかシビアでしたが、面白かったです。

キレイな滝を過ぎると広々と明るい沢になり、それまでとは別の沢のよう。
二股の右俣を進み、F23(15m)を右岸から高巻き、流れから少し離れたとこを幕営地としました。
まるでしつらえたかのように真砂が敷き詰められ、なかなか快適なビバーク地。

時折ガスが昇って来たり下がってきたり、遠くから雷の音が響いてきたりしましたが、結局雨に降られることもなくラッキーでした。

翌朝6時半に目を覚まし、朝食を食べて撤収作業。少し雲がでているものの、今日も青空。
朝イチに濡れた沢靴下に足を入れる瞬間がたまらん~><

DSCF9426_s.JPG幕営地から少し上がったところで奥の二股に到着。この辺りは一面から水が染み出す湧水地帯。
最初は右俣を少し進んだところで引き返し、左俣へ。すぐに水流がとぎれ涸滝地帯に。
F25(8m)のルンゼを左側から高巻きで越えようと踏み跡を辿っていくと、ぐんぐんと沢筋から離れていきました。

あれれれ。。

心の準備もなく、沢とお別れだなんて、呆気ない。。
(トポには書いてあった。。)

そのまま尾根筋を詰めていき、シラビソの中を抜けてハイマツを交わして真砂のザレ場に到着。
印象的な観音岳の山頂を左手に眺めながら直上し、9時半に登山道に合流。

DSCF9451_s.JPG登山道の端でしばらくのんびり。ザレた真砂と屹立する花崗岩の岩群が美しいところ。
ゆっくりとゆっくりと地中深いところで結晶化したペグマタイトが隆起して地表に現れ、その純粋な結晶の大きさゆえにゆっくりと凍結融解作用によって風化して崩壊していく悠久の時間を考えると、人間なんてちっせーなと胸を打たれます。ほんとに。

沢装備をしまい、10時15分過ぎに夜叉神峠を目指して一路下山開始。
覚悟はしていましたが、結構長い道のりでした。2時過ぎに夜叉神峠に到着。
途中で右膝裏に痛みが生じて辛かった~。。

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自己紹介:
Norlys(ノールリース)。極光、いわゆるオーロラ。雪の降る季節と雪の降る景色がすき。趣味は編み物。週末は山を散策。

色々と気になることをメモしたり、グダグダ書いてみたり。山の記録はなるべく参考になりそうなことを…と思いながらも思いついたままに垂れ流し。。
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