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Norlys(ノールリース)-日々のあれこれ
Posted by - 2024.05.03,Fri
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Posted by norlys - 2007.09.19,Wed

週末の3連休で白馬に行ってきました。9月14日の金曜夜発で、9月15~17日の2泊3日の山旅です。

出発前々日に台風11号が発生しましたが、荒天の場合には扇町まで出て黒部ダムでも見にいくかなぁ…と考えつつ出発。いつものように、Yahoo! 天気予報で現地の天気予報へのリンクを携帯電話に送信。電波のつながる範囲にいる限りは、これで天気予報をチェック。

予定のコースは、猿倉~白馬尻(大雪渓ルート)~白馬岳頂上宿舎(テント泊)、白馬岳頂上宿舎~白馬岳(ピストン)~杓子岳~鑓ヶ岳~白馬鑓温泉小屋(テント泊)、白馬鑓温泉小屋~猿倉という三角形の縦走ルート。
足の速い人なら1日で、普通の登山者でも1泊2日で歩くことのできるルートですが、わたしたちはのんびりと2泊3日をかけて歩きました(というか、それ以上早く行けない。。あと、白馬岳ピストンは省略しちゃいました)。

以前、同居人を奥多摩や房総の鋸山(これは東京湾横断フェリーに乗る目的が主だったけど)などの里山に連れ出したときに「こんな山はつまらない」とぶちぶち言われたので、んじゃ~日本の山の底力を見せてやろうじゃないの、と日本アルプスのガイドブックをぱらぱら眺めると、白馬鑓温泉の紹介記事が。歩いてしか行けない秘境の野天風呂で、しかも混浴。混浴なら温泉嫌いの同居人も入れるじゃろ、と(ひとりで他人と一緒に風呂に入るのがたまらなくイヤなのだそうな。というか、基本的に風呂桶につかるのが苦手だとか)。
ではと、大雪渓ルートを登って白馬鑓温泉経由で下山するルートのコースタイムを見ると、1日最大5時間半。ふむ、3割増しで考えても1日の行動時間が8時間以内で収まる計算。これならなんとかなるかな・・・と。

そんなわけで金曜日の夜に新宿西口都庁駐車場から出発するさわやか信州号に乗車。台風接近にも関わらずバスは満席。乗客はほぼ全員が登山客。

土曜日の朝、6時ちょっと過ぎに白馬ロイヤルホテル前で下車。約2時間おきに起こされてほとんど睡眠をとれず、頭はいつも以上にボケボケ。登山客御用達の夜行バスにラグジュアリーを求めるほうが土台無理な話なんですが。

ホテルから歩いて5分ほど離れた白馬駅前に移動し、白馬駅前北アルプス総合案内所で軽アイゼンをレンタル。次の猿倉行きのバスは7時15分かぁ…と、時刻表を眺めていると、タクシーの運転手さんがバス待ちの人たちに声をかけてくださり、他の登山客のみなさんと相乗りして6時半過ぎに猿倉に到着。タクシーに乗車中「天気どうですかね」という同乗者の方の問いに「今日は大丈夫でしょう。午後から晴れの予報だし。明日の天気も(雨から)曇りになったしね」とのドライバーさんの答え。携帯で天気をチェックすると、今日明日の白馬村の天気は晴れと曇りのマーク。降水確率も10~30%。
 
ドライバーさんのお話の中で気になった一言。
「白馬は落石事故があったでしょう。今年はまだだれも死んでないけど。でも、また事故が起きたらもう大雪渓ルートは閉鎖になるかもしれない」とのこと。
落石事故の影響か、今年は大雪渓ルートのみならず白馬全体のツアー登山が激減しているとのニュースも目にしましたっけ。うーむ。。

いまひとつテンションが上がらず猿倉荘の山小屋前でうだうだとお湯を沸かしてコーヒーを飲んだりして、7時半過ぎにようやく出発。
初日のコースタイムは猿倉から白馬岳頂上宿舎までの合計5時間半だけど、まぁ8時間くらいかかるかなぁ、午後3時にはテント場に到着すれば上出来かなぁと。

DSCF4532.JPG曇り空の下、林道をちんたら歩いていると、後続のパーティにどんどん追い抜かされていきます。バテて行動不能になるのが一番コワイので、ひたすらマイペース。白馬尻荘を目指す途中で、さぁっと雲が晴れて大雪渓が見えてきました。すばらしい景色。だけど、うーん、遠いなぁ。。

林道の終点から山道に入り、8時半過ぎに白馬尻荘前に到着。山頂付近はガスガスで大雪渓がぼんやりと見えるだけ。残念。
ここで早くもがっつりと休憩をとり、9時過ぎに再び歩き出し。

ケルンを過ぎたところで雪渓歩きになるので軽アイゼンを装着。うまく装着できず、もたもたしている間に大雪渓から吹き降ろす冷気が寒…。そうこうしている間にもどんどん他の登山者が先を行きます。

DSCF4543.JPGつるんつるんの氷の上でも革靴で歩き回る同居人なので、まぁ大丈夫じゃろ~と思っていたとおり雪渓歩き自体は問題ないのですが、ところどころ出ているクレバスやシュルンドに怯み「怖い」とのこと。「こんな危ないところはイヤだ」と。
通行可能なルートは赤ペイントや赤布で示されているので、ルートを外さなければ大丈夫だよと励ます間も「しゅるん、からから」とクレバスから厭な音が…。タイミング悪いなぁ。
雪渓のところどころに吹き飛ばされた木の構造物のカケラ(橋? 小屋の残骸?)が転がっていましたが、同居人がますますビビルと思われたので、あえて指摘はしませんでした。

白馬村の観光情報によれば、大雪渓の雪はかなり少なくなってきて、途中からは秋道が出ているとのこと。
実際、下部では雪渓の端を歩き、すぐに秋道に到達してさっさとアイゼンを外したので大雪渓歩きは実質30分程度でした。小雪渓のトラバースもありません。
時折遠くのほうでサラサラとおそらく岩が転がる音がしました。レインスティックという民族楽器のような音です。
ただ、秋道を歩く分には落石に遭遇する危険性がぐっと減るので、その点は安心でした。

さて、コースタイムからは相当遅れているし、周囲も山頂付近もガスに覆われていて見えないし、手元の高度計はイマイチ信用ならないし、いったいあとどれだけ歩けばよいのやら…と思っていたところに、ぱあぁっとガスが晴れ、はるか頭上に杓子岳の天狗菱が聳え立っていました。
まだ遠いのう…。
 
「落石の危険があるので沢の途中で立ち止まらないでください」という剣呑な看板を確認してから一気に仮橋を渡り、ざくざくと急登の坂道を登っていきました。
大きな岩がゴロゴロと転がる地帯で先行していた登山者の皆さんがお昼ご飯を食べていました。気づけばすでに正午過ぎ。どうやら葱平に到着した様子。
さて、コースタイムであと残り2時間。これならなんとか3時には小屋に到着できるかなと思いながらまた歩き出しました。
 
葱平の先の右手に砂防工事の現場がありました。作業現場には、こんな岩が落ちてきたらひとたまりもないなぁという巨大な赤岩が鎮座していました。それにしても、作業員のみなさんはもしかして毎日この現場に通っているのでしょうか。ご苦労さまです。

ガスが濃くなる中、少しだけ傾斜が緩くなったガレの登山道の周囲を見渡すと、おそらくここがお花畑なんだろな~という場所になりました。まだちらほらと夏の高山植物が咲き残り、木苺が鈴なりでした。ふたりでフーフー言っては立ち止まり、立ち止まっては登り。
 
ふと工事現場を通過したあたりから、わたしたちの後ろにどうやらパトロールと思しき方がいらっしゃることに気づきました。
どんどん追い越されていくうちに、いつの間にか最後尾になってしまったようで。はは。
 
白馬岳の登山道は文様の美しい蛇紋岩。ところどころに石英脈が走っていてとてもきれいです。ヒスイに良く似たネフライト(軟玉)も見つけました。
お花畑の手前あたりは頁岩や緑色岩やチャートの岩屑。北岳山頂付近とよく似た緑や紫色の岩が転がっています。南アルプスと北アルプスはだいぶ離れているのに、なんか不思議な相似点。
 
朝から何度か挨拶を交わした他のパーティと前後しながら、ようやく白馬岳頂上宿舎に到着したのは14時20分。ちょうどパラパラと雨が降りだしたところで小屋に滑り込みました。
小屋には10人弱くらいの登山客がいて、のんびりとお酒をのんだりケーキを食べて寛いでいました。連休中にしては閑散とした印象。まぁ台風接近中ですしね。夏山と秋山の間の中途半端な季節ですし。
 
村営白馬岳頂上宿舎はキレイな木造の建物で、通常の小屋食(カレーとかお蕎麦とかラーメンとか)だけではなく、限定サーロインステーキディナーとかケーキセットとかを提供しています。今回は立ち寄っていませんが、さらに上にある白馬山荘も山小屋とは思えないほど立派な建物でした。ちょいとヨーロッパの山岳リゾートぽくて、わたしは好きです。毛皮を着てサングラスをかけたマダムがテラスでコーヒーを呑みながら読書をしていても様になりそうです。
 
sleeping_kai.JPG雨はすぐに上がったので、テント場に移動してテントを設営。かなりグロッキーな同居人はすぐさま昼寝。
 
上空の風の勢いが激しいためかちぎれ飛ぶ雲を眺めていると、ときどきぱっとガスが切れて青空が広がり、目前に杓子岳が現れました。テント場から見る杓子岳の北面に傾きかけた茜色の陽を照り返し、色といい形といい砂漠のピラミッドのよう。
 
DSCF4661.JPG稜線に上がってガスと晴れ間が交錯する中でぽてぽてとひとりお散歩。杓子岳とそこに続く稜線、旭岳と手前の雪田、その向こうに清水岳。清水谷のはるか彼方に富山湾。平野部に富山市周辺の街。振り返ると白馬山荘とその先に白馬岳の山頂。ただぼけ~っと風景を眺めることが、至福。
 
テントに戻りしばしの昼寝。5時半過ぎに同居人を叩き起こし、再度稜線を散歩。すっかり陽が沈んだところで小屋の食堂に入ってお茶を呑み、テントに戻ると満天の星空。ありがたいことにその晩は雨は降りませんでしたが、夜半に吹き降ろす風が強くテントが揺すぶられ、何度か目を覚ましました。
横を見ると同居人もあまり熟睡できない様子。聞けば、テントが狭くて足を伸ばせず辛いとのこと。うーむそうか。人が寝るときは、身長プラス爪先の長さが必要だったんですね。これは盲点。
 
1日目。
7:35 猿倉
8:30 白馬尻荘前
9:00 白馬尻荘出発
11:50 仮橋横断
12:10 葱平。砂防工事現場
14:20 白馬岳頂上宿舎
 
当初、自分としては2日目は4時起き5時出発で白馬岳ピストンの後に杓子岳方面に歩くことを予定していました。が、前夜同居人と相談のうえ、翌朝の天気が絶対晴れとは限らないし夜行バスの疲れが抜けないまま初日から7時間歩いたので、もうこうなったら白馬岳山頂は寄らずに明るくなってから一直線に次の目的地を目指そう~ということになりました。白馬岳山頂は、ホント目の前なんですけどね。まぁいいや。
 
DSCF4704.JPGそんなわけで6時過ぎにのんびりと起床。青空の下、風でたなびいた雲が流れては飛んでいきます。すでに稜線を歩いている登山客の姿を見上げながらまったり朝食&撤収。前夜には合計20張くらいあったテントが、すでに片手の指程度に減ったテント場を離れ、7時ちょっと前に歩き出し。気温は16度くらいという感じで、さほど寒くはないものの稜線ということもあって風強し。同居人は風に吹かれて耳が冷たくて死にそうだとのたまいやがります。ここで死なれたら困るなぁと思いながら帽子を渡し、しのいでいただくことにしました。 
 
杓子岳に続く稜線は白くザレた珪長石で、このまま建材にしても面白いんじゃないかななどと話しているうちに丸山に到着。
青い空に白い雲。左手に白い岩屑が圧倒的な質量の杓子岳。カールにへばりつくような緑の草地。右手遠方には赤い岩肌が露頭している小ピーク(江戸時代に硫黄を採掘していたといわれる朱殿坊だそうです)。絵になるなぁ。
 
ここはほんとうに気持ちの良い稜線歩きです。「この景色はいい。でも昨日は辛かった…」とこぼす同居人。

DSCF4706.JPG氷河期の氷河が形成したというカールの最低鞍部を目指して下り、今度は杓子岳を目指して登り返し。杓子岳山頂に続くまき道は、見上げるはるか高みまで岩屑の山。草木一本生えてません。採掘場みたいです。なんだかもう、自然はすごいです。
 
DSCF4712.JPGえっちらおっちらガレた岩屑の道を登りつめ、8時15分に杓子岳山頂に到着。杓子岳の北面だけではなく、山頂直下の東面もがっさり切れ落ちていて絶景。なんですが、同居人がこれまた「こんな危険なところはだめだ。早く行こう」と急かします。ぐぅ。山頂西寄りの稜線を歩いていると月の砂漠を散歩しているような気分。ラクダがいても驚きません。多分。


杓子沢コルに降りて、西からの風を避けて東側の岩陰でしばし休憩。風が当たらないのでポカポカして気持ちの良いところです。背後の岩もそれほど脆そうではなくちょっと安心(多分)。ここもまたガレた急斜面がはるか下方まで続いているのですが、なぜか同居人は「ここならキャンプしてもいい」と言い出します。しないけど。基準がさっぱり分かりません。 
 
小鑓に続く急斜面は見た目よりも歩きやすく、みるみるうちにさっき歩いてきた杓子岳よりも高いところに。小鑓を降りたところでまたまた休憩。風の吹き付ける西側の枯れ草のなだらかな斜面と、まだ緑と花の残る東側の切れ落ちた斜面が対照的です。

DSCF4751.JPGいよいよ本日最後の登り~と励ましながら、いざ鑓ヶ岳へ。ここの登りは今までで一番緩やかで助かりました。10時少し前に山頂に到着。180度の展望。絶景かな絶景かな。唐松岳のずっと向こうに黒部ダムが見えます。富山湾もバッチリ見えます。東に見えるのは高妻山と戸隠かな。振り返ると、東面からガスが湧き上がって来たため、白馬岳と杓子岳がまるで双子のような形になりました。なんか不思議。
 
山頂でしばらくのんびりと風景を楽しんだ後、下山開始。白馬鑓温泉小屋と天狗ノ頭の分岐を経て下りのガレた道を下ると、ぷうんと硫黄の匂いが漂ってきました。温泉が待っている~と期待を胸に花と雪田の残る大出原を下りました。山頂の天気は良かったのですが、東斜面に出て標高を下げていくと徐々にガスの中に。下り道とはいえあまりペースはあがりません。下り道って慣れないとちょいと辛いもんですからね。
大出原の台地に出ると、岩に温泉マークがw DSCF4762.JPG
 
いよいよ白馬鑓温泉小屋が近づいてきたかな~というところで、鎖場の下りやトラバースが現れました。それほどたいしたところではないのですが、まぁ落ちたら怪我します。運が悪かったらかなりひどいことになるかもしれません。万が一怪我をされたら困るので、足場を指示しながら慎重に下っていただきます。
ようやく1時ちょっと前に白馬鑓温泉小屋に到着。やれやれ。
 
テント場の受付をしに小屋に入ると、「入浴されますか」とのこと。もちろんです。小屋の宿泊客なら入浴料は無料ですが、テント場利用の場合は入浴料300円が別途かかります。

小屋の受付前にはすでに多数の登山客がいて昼食をとったり温泉に入ったりしていました。
雨がポツポツ降っている中でテントの設営はいやだなぁと思い、ひとまずお昼ごはんを作って食べることにしました。ガスを出そうとごそごそしているうちに雨が止んだので、お昼ごはんの準備はキッチンマスターに任せ、自分は今がチャンスと慌ててテントを抱えてテント場に。
 
DSCF4770.JPGテント場にはすでにテントがちらほら。自分たちだけじゃなくて、ちょっとほっとしました。
テント場の脇にはどうどうと温泉のお湯が流れています。真緑の苔が生した岩肌の上に温かそうな湯気が立ち上っています。

hakubayari_onsen_roten.JPGどうせなら小屋とトイレに近い方がいいよなぁ…と、設営場所を定めてふと振り返ると、びっくり。そこには男湯(一応混浴)が大開放。えぇぇぇぇ。。。。
慌ててもう少し下の方のサイトに移動し、顔を上げないように苦労しながら? テントを張りました。
 
小屋の受付前に戻ると、お昼ごはんの用意が完了。インスタント焼きそば+乾燥野菜&ハム。染みる。
ご飯を食べた後、テントに移動。さっきまでたくさんいた登山客の多くは、どうやら今日のうちに下山するらしく、めっきり人が減っていました。


もしかして、これならお風呂を独占できるチャンスがあるかも…と思いながら、ひとまず足湯に漬かることに。
硫黄の匂いがぷんぷんしていて、めっさ効きそうです。白濁したお湯に足をつけると、ぷわっと湯の花が舞い上がりました。
お湯が熱い~、でも気持ちいい~。DSCF4777.JPG
 
いやはや。ここのお風呂はほんとうに効きます。身体が芯から温まります。すっかり足の疲れも吹き飛びました。
これならぜひ温泉も入らないと…! ということで、見上げるとお風呂には誰もいません。時間的にちょうど次の一団が来るとしてもまだ間があるかも。。。ということで、テントに戻って水着に着替えていざ出陣。お湯の温度は40度ということで、ちょっと熱めですが、これがまた疲れた身体に効きます。
極楽、極楽。標高2100mの天上の野天風呂です。

女湯は女湯で蔽いに囲われたお風呂場があり、そちらは男子禁制。女湯の温度は38度とややぬるめだそうです。20時から21時の間は男湯と女湯が入れ替わります。また、温泉のお湯はそのまま沢に流れ込むので、シャンプーや石鹸の使用は禁止です。
 
温泉からテントに戻ると、またしても雨が降りはじめたので、テントで昼寝。温泉効果でポカポカと気持ちよく、昼寝の割にはがっつり寝ました。
この晩は雨が降ったり止んだりでしたが、樹林帯の小屋の下のテント場ということもあってか風はなく、温泉がすぐそばを流れることもあってかシュラフカバーだけでOKでした。
 
2日目。
6:50 小屋出発 
7:25 最低鞍部 
8:15 杓子岳 
9:50 鑓ヶ岳岳
10:40 分岐 
11:17 温泉マーク通過
12:50 白馬鑓温泉小屋
 
前夜に小屋の食堂のテレビで見た天気予報では、翌日は曇りの予報。台風はすでに朝鮮半島を通過し、日本でも九州や西日本の地域で豪雨をもたらしたとのこと。日本海側に近い長野北部はまだマシな方だったようです。ふむ。
 
3日目の朝、6時に目を覚ますと空は曇りでしたが雨はすっかり上っていました。良かった。テントの中で朝食を食べ、テント内に吊るしておいた水着やタオルを仕舞い、朝風呂を浴びている方たちもいらっしゃるので顔を上げないようにテントを撤収。

下山のコースタイムは合計3時間40分ですが、念のため5時間弱と見積もって、12時20分に猿倉を出るバスに乗るには、遅くとも7時半までには出発しないと~と、前夜に決めていました。7時ちょっと前に準備を終えて、今一度足湯に漬かって癒された後、7時10分過ぎに出発。
 
登山道は温泉の流れの脇を下ります。苔むして厭だな…と思いましたが、案外滑りません。お湯の流れと分かれて下っていくと両側にどこどこと沢が流れ落ちています。雪渓が沢の淵にこびりつくように残っていて、沢の中にゴロゴロと巨石が転がっています。見上げると白馬鑓温泉小屋が斜面にへばりつくように建っています。白馬鑓温泉小屋は雪崩による崩壊を避けるため、毎年9月一杯で閉鎖して小屋を解体し、また次の初夏に建て直すのだそうです。
なんというかもう、自然のスケールの前に人間は小さい存在だなとつくづく感じました。
 
白馬鑓温泉小屋から小日向のコルまでの区間は、鑓沢、杓子沢、三次郎沢と3つの大きな沢を越えていく長いトラバース道が続きます。
3日目は下り一直線だからと同居人に伝えていたのですが、まったくもって嘘でした。ごめんなさい。
緩やかに下降するものの、トラバース道は緩いアップダウンの連続で、おまけに落石の危険がある沢を越えていかなくてはいけません。
 
雪渓が残っている間は雪渓の上を渡って沢を通過するそうですが、わたしたちが訪れた時期にはすでにどの沢も雪渓がちんまりとしか残っていなかったので木の仮橋が架かっていました。大雪渓のところと同様に、ここでも沢が現れるたびに「落石危険。沢の途中で立ち止まるな」という看板が立っていて、同居人を怯えさせるに十分な威圧感を放っています。前夜の雨はたいした雨量ではなく沢もさほど増水しているようには見えませんし、季節からいっても落石の危険は少ないと思いますが、なんとも気が抜けません。
 
三次郎沢を過ぎてしばらくいくと、緑色岩? の露頭が現れました。光沢のある深緑色の岩がざりざりとひび割れています。切っ先が鋭く、そのまま矢尻やナイフとして使えそうです。また、ところどころ硫黄の結晶がこびりついています。
白馬というと高山植物の宝庫ということで有名で、山の夏は終わりの季節ながらたくさんの花を見ることができてうれしかったのですが、個人的にはさまざまな鉱物を見ることができたことがより印象的でした。今回のコースからは外れますが、白馬岳の北から瀬戸川にかけてはかつてモリブデンを採掘した鉱山道の名残があるとか。
 
双子岩を越えて緩やかな台地に到着。どうやら小日向のコルまで来た模様。この界隈は湿地帯で池塘があるところ。登山道の端の水はけの良いところに、どうやらテントを張ったと思われる跡が点在していました。白馬鑓温泉小屋に「午後3時以降の下山は絶対におやめください。小日向のコルで日没になります」といったような注意書きがありましたが、はたして下山を強行したパーティのビバーク地でしょか。冬季のビバーク地にしては、フライ止めの岩がいい具合に転がっているような。。まぁいいのですが。
 
池塘では巨大ミズバショウを発見し、今度はわたしが怯える番。うう、ミズバショウは可憐であってほしい、、、
小日向のコルからは道も整備されて歩きやすいけれど、なかなか退屈で長い樹林帯。
もういい加減飽きたなぁと思いながら歩き続けること2時間半。ようやく登山道入り口に到着。ほ。
しばし林道を歩いて11時10分に猿倉に無事到着。
 
後から下山してきた登山客の方々とタクシーを相乗りして白馬駅に。白馬鑓温泉から下りてきたという方と、あの温泉は良かったですね~冬の間は小屋を畳んでしまうけれど温泉はずっと流れているんですよね~というような話をしていると、タクシーのドライバーさんが「この辺はね、どうも掘れば温泉が出るんだけど、硫黄泉はあそこ(白馬鑓温泉小屋)だけなんだよね」とのこと。実に白馬周辺の地質は複雑なんですね。
 
下山直後、すっかりぐったり気味の同居人は「今回の4分の1くらいの距離だったらいいけど」とか「年に1回くらいならいいけど」とかぶつぶつ文句を言っていました。まぁ、二度と行くことはないにしても、滅多なことでは訪れることのできない山の上の温泉に入ったことで「話のネタができた」とも喜んでいるので、しんどかった記憶が薄れればまたうまい具合に担ぎ出せるんじゃないかとも思ったり。さてはて。
 
7:12 白馬鑓温泉小屋 出発
7:35 鑓沢 
8:05 杓子沢
9:05 双子岩 
9:25 小日向のコル 
10:55 登山道入口
11:10 猿倉

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Norlys(ノールリース)。極光、いわゆるオーロラ。雪の降る季節と雪の降る景色がすき。趣味は編み物。週末は山を散策。

色々と気になることをメモしたり、グダグダ書いてみたり。山の記録はなるべく参考になりそうなことを…と思いながらも思いついたままに垂れ流し。。
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