人伝えに聞いた話なので、真偽も仔細も定かではありませんが。。
ある日本人がアメリカ出張中に急病に罹り、救急車で病院に運ばれたとのこと。
医師が現れ開口一番「保険には入っているか」「No」。
「ではクレジットカードはもっているか」「Yes」「それならOK」。
ということで、無事に治療を受けることができたそうです。
(救急車に乗ったとき、つまり病院に搬送される前の会話だったかもしれません。うろ覚え)
専門性の高い緊急オペを受け、無事に一命はとりとめたものの、手術費と入院費用の請求書を見てびっくり。
なんでも高級外車がさくっと1台買えるお値段だったとか。
ちょっと前になりますが、駅前の飯処のテーブルにマイケル・ムーア監督の新作映画「SiCKO(シッコ。8月25日から公開)」のポスターが飾ってあるのを見て、そんな話を思い出しました。
アメリカには国民医療保険制度はないそうです。医療保険はすべて民間。保険料が払えない低所得者層は、生活保護を受けられるようにさらに所得を落とすか、素直に治療を諦めるかの一見不可解な二者択一を迫られるのだとか。(ちゃんと理解していないので、ウソかもしれないけど)
医療保険未加入者は国民の6人にひとりの割合。もっともこの数字にカウントされていない移民の低所得者はもっと多いのかも。
SiCKOのポスターを眺めつつ豚のしょうが焼き丼を食べながらそんな話をしたことを、ふと次の記事を読みながら思い出しました。
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「クリントン議員、国民皆保険案を発表」 (NIKKEI NET 2007/09/20)
来年の米大統領選への出馬を目指している民主党のクリントン上院議員は17日、公約の柱である「国民皆医療保険制度」案を発表した。企業保険の拡充や低所得者層への税控除による負担の実質的な引き下げを通じ、すべての国民に加入を義務づける。最大の争点の1つである医療制度改革で主要候補の公約が出そろい、論戦が激しくなりそうだ。
クリントン氏はアイオワ州での遊説で「政府主導の保険ではない」と強調し、民間保険や公的保険などから国民が選ぶ仕組みを目指す考えを表明。ただ米メディアによると、陣営は公的負担を年間1100億ドル(約12兆円)と試算しているという。同氏は医療費の引き下げや富裕層に対する事実上の増税で財源をまかなうと述べた。
無保険者が4700万人いる米国の医療制度改革は大きな社会問題。1990年代前半に大統領夫人時代として制度改革に取り組んで失敗した同氏の公約は、今回の選挙戦の最大の注目点の1つになっていた。
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「政府主導の保険ではない」と強調するのは、民間の保険業界に配慮しての発言だと思いますが、ちょっと苦しいかなぁと思います。民間主体でこぼれた低所得者層を救済することを目的として割安な医療保険制度を国が用意するのだとしたら、そこの線引きはどういう形にするつもりなんでしょう。
公的負担が年間約12兆円との試算だそうで、単純にこの金額を4700万人で割るとひとりあたり約25万5千円。試算にはシステム構築の費用やオペレーションにかかる人件費が含まれているので、ひとりあたりの救済予算はもっと少ないはず。がっさり半分と見積もって、月1万円程度の補助金とか、そんな感じでしょか。
おっと、話がずれちゃた。
すべてはオウンリスクのアメリカンドリームに弱者救済の国家プログラムって、なんか似合わないですね。
似合う、似合わないの話ではないかもしれませんが、移民の多い国家で、どこまでを救済してどこからは切り捨てるのか、そのあたりのボーダーラインも興味深いです。
生地主義(米国内で生誕したら自動的にアメリカ国民)を採用しているアメリカで、国民たる資格とはなにか? がより厳格に問われるようになりそうな。
ちなみに移民を多数受け入れているカナダの医療保険制度は日本とおおむね似たようなもので、公的医療保険がベースでプラス民間医療保険で差額を受けとれるよ、というものだそう。
アメリカもマイケル・ムーアに指摘される前に最初からそうしておけばよかったのに。
なんてね。
もっとも公的医療保険制度にもいろいろと限界があって、高度な治療を受けるにはやっぱり民間の医療保険への加入が必要だったり、医療保険制度が国家予算を圧迫するので日本だってどんどん切り下げの方向に向かっているようですが。
さてはて。
豚のしょうが焼き丼を食べながら同居人がヒトコト。
「最近、タイのリゾート地で治療を受けるのが高齢の人とかセレブの間で流行しているらしいよ」
どこの国のご老人やセレブのことかは定かではありませんが、なんでも割安な料金でなかなか先進的な治療を受けることができ、かつバカンスを兼ねてのんびり滞在できて一石三鳥なんだそうです。
なるほどねー。
ヨーロッパの医療制度は手厚いと言われていますが、それでも限度がありますしね。
あと、これはわたしの勝手な思い込みかもしれませんが、福祉制度が充実していると知られる北欧ですが、かの地においてはあまり積極的な延命措置はとられていないような。。この辺、結構ドライなような。
どうなんでしょう。
でも、ある程度そうしないと福祉や医療費補助が国家予算を逼迫しちゃいますしね。。
難しいですね。。。
ブログのタイトル "questo triste mondo malato" 直訳すると、この悲しき病んだ世界。
あまり意味はありませんです。ただなんとなく語感がいいかなと。
色々と気になることをメモしたり、グダグダ書いてみたり。山の記録はなるべく参考になりそうなことを…と思いながらも思いついたままに垂れ流し。。
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