平標山 ヤカイ沢の山スキーの記録。
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■山域: 上越 平標山 ヤカイ沢滑降
■日程: 2009年3月8日(日)
■メンバー: P1 NUYO(山スキー)、P2 YS(スノーシュー、ツボ足)、P3 FKK(山スキー、スノーシュー)
■天気: 曇りのち晴
日曜日の朝、三国トンネルを抜けた先にある三国小学校脇の道端に駐車。すでに3、4台の車が停車しており、山スキーや山ボードの準備をしているパーティがちらほら。
ここで装備を整え、ビーコンの電源をONにして、7時40分過ぎに歩き出し。
空は雲に覆われているけれど雲は山のはるか高いところにあり、ところどころ青空も覗いて明るく風もない。
別荘地前の舗装道路にはうっすらと雪が残っているので山スキー組は最初から板を履いてスタート。15分ほど歩くとアスファルトの道が終わり、林道に続く。左手にヤカイ沢の流れを見る。
富岡惣一郎の絵画のような風景。しっとりとぼってりとした雪の白さの中に黒い小川が蛇行し木の幹が黒く点在するやわらかくてあたたかくて懐かしいモノクロームの世界。
足元の林道は雪も少なく、しっかりと踏み跡があって、ツボ足の自分でも山スキー隊に遅れることなくツボツボと歩いていける。
(トレースを壊すのでとても嫌がられたけど^^;)
でも平標山の山頂はここから約1000mの標高差。はて、お山の上はどんな様子だろ…と、木々の上に広がるなだらかな平標山の稜線を見上げながらツボツボと歩く。
河内沢にかかる橋を渡り、明瞭なトレースを追うように河内沢の右岸に沿って続く林道を外れ、ヤカイ沢の左岸に広がる樹林帯に入る。人気のルートだけあって、この日も相当数のパーティが入っている様子。
しばらくはなだらかな樹林帯歩き。少し広くなったところで、FさんとKさんが弱層テストを行う。前日も含めて前の週はずっと天気が悪かったけれど、雪ではなくて雨が降った模様。このあたりの気温は4度くらい。暖かいというか、むしろ暑い。
標高1350mあたりから枝尾根に取り付く。目前に広がる平標山頂の稜線があまりになだらかなので、前を向いているとあまり急登だという印象は受けないけれど、振り返ってみたら結構急な斜面。どうりで暑いと思った。気温も4度と暖かく、すっかり汗だく。
ぐんぐんと標高を稼ぐ急登に山スキーのシールが効かなくなり、斜面にていったん休憩。お肉と焼きそばを温めてみんなで食べる。斜面の向こうに苗場スキー場が見える。そこそこ距離があるはずなのに、微かにスキー場のアナウンスが聞こえる。
休憩を終え山スキー隊もスキーを外してみなでツボツボと再び歩き出し。Fさんが猛烈なキックステップで雪の斜面に階段をつくって進む。スノーシュー隊2名と自分(わかん)は階段脇を登るものの、結局ツボ足になり階段を登る。快適。ありがとうございます。
枝尾根を詰めて1650m地点に至ると森林限界を抜け、一気に視界が開ける。傾斜も少し緩くなり、稜線も間近に見える。とはいうものの山頂までの標高差はまだ300m+αもあるんだよなぁ。
傾斜が緩く、一面が真っ白の雪原だと距離感が狂う。
主稜線に至ると、なだらかな白い雪のスロープと空の青さだけが目の前に飛び込む。ふと振り返ると下の方に平標山の家の山荘が見える。
ウィンドクラストの蒼氷に陽射しが当たると、ぬめっとした照り返しが自ら上がった両生類の背中みたいに光る。稜線の雪の付きは薄く、ところどころうっすらと枯れた笹の葉が透けて見える。右手には2年前の夏に遡行した笹穴沢に続く広い斜面が広がっている。
13時過ぎに山頂に到着。少し雲が残るけれど朝よりも天気は回復し、絶景の展望。
仙ノ倉続く稜線の先に谷川岳や上越の山々、山頂に噴煙らしき雲がかかる浅間山、北アルプスの峰々。
記念写真を撮り(なにしろ人数が多いのでやたら時間がかかる)、風が冷たいので山頂での昼食はやめてさっさと滑降することに決まる。
FさんとNさんが滑走面となる斜面を眺めて、今日のコンディションなら雪崩の心配はなさそうだと判断を下し、Fさんを先頭に滑降開始。
ガリガリのクラストの急斜面を慎重にトラバース。自分はひとりだけショートスキーなので、雪面が緩い箇所では浮力が足りずに止まってしまう。吸い込まれそうな急斜面。場所によってガリガリだったり、モナカだったりして気が抜けない。
沢の頭をひとつ越えた末端までトラバースし、斜面を滑降。雪は重く、硬いところとやわい所がまだらに入り混じっている。背中にザックを背負っているし板が短いので今ひとつバランスが難しい。午後になって陽射しが当たり、雪の表面だけがずるずると溶けていく。
狭い急斜面を滑り終えると、少しだけなだらかな広いスロープとなり開放感があって気持ちいい。
今日この斜面に入ったパーティは自分たちだけのようで、ほかにシュプールはない。なんというか、ひっそりとした贅沢という気分でうれしい。
斜面の途中で休憩し、お昼ごはんを食べる。陽射しがじりじりと照りつけ雪に反射して暑いくらい。
眼下にヤカイ沢の窪みが黒く左から右に横切っている。休憩を終えて、広いスロープを一気に滑り降り、ヤカイ沢の沢筋を目指して左手の樹林帯に入る。
まだこのあたりは疎林で、振り返るとまばらな木立の向こうに滑ってきた斜面が見える。下から見上げる斜面はそれほど傾斜を感じさせず、上から見下ろしたときの印象と全然違う。
次第に木々が煩くなる中、雪に覆われたヤカイ沢の窪みを越えて、さらに樹林帯を下る。徐々に周辺にスキーの滑走跡が増え、Fさんの的確なルーファイのお陰で登ったときの道筋の側に至る。
明瞭なスキー跡を辿って斜面を下るとぽんと最初の林道に出た。
そのまま道の端に残るかすかな雪に乗って、三国小学校脇までスキーで戻る。
色々と気になることをメモしたり、グダグダ書いてみたり。山の記録はなるべく参考になりそうなことを…と思いながらも思いついたままに垂れ流し。。
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