プロローグだけで放置するのもなんなので、記憶がどうにか鮮明なうちに北鎌尾根の話。
前夜、都庁地下駐車場から白馬方面行きのツアーバスに乗車。
この地下駐車場ではアイドリング禁止令が出ているため、駐車場自体もバスの中ももわもわっと暑いのなんの。。おえっぷ。
スキーならまだ適当に休めるのでいいのだけど、登山で夜行バスの場合には、いかに睡眠を確保するかが重要。
でもまぁ、たいていよく眠れなくて1日目は使い物にならないわけで。
案の定、足がむくんで痛くてあまり眠れませんでした。
■穂高-中房温泉-燕山荘
ボヤボヤっとした頭のまま、朝4時半に穂高駅前で下車。バス停の側では、登山客の到着をタクシーが待ち構えていました。なもんで、さっくりタクシーを捕まえ、いざ中房温泉へ。
空の半分くらいは雲が広がっていたけれど、タクシー運転手さんがしきりに「今日はいい天気になる」と仰るので、そいつは良かった~と期待。
穂高からちょうど1時間ほどで山奥の秘境、中房温泉に到着。
自分たちが到着した時点では、まだ10人未満の登山客が支度を整えている程度でしたが、朝ごはんを食べている間に次々と人が到着し、結構な賑わいに。
さすがは北アルプスの表銀座ルート。
(この中房温泉は、以前は入浴できるのは宿泊客のみだったそうですが、現在は日帰り入浴も可。)
朝ごはんを食べ、水を詰めて、日焼け止めを塗りたくった後、5時45分頃に歩き出し。
しばらくは長い樹林帯。北アルプスの3大急登のひとつだそうで。
今回は北鎌尾根攻略が目的のため、軽量化重視で小屋泊まり。
多少のガチャ類はあるけれど、テント・自炊装備がないので、ありがたし。
第1ベンチ、第2ベンチ、第3ベンチでそれぞれ小休止をとりながら歩みを進め、7時半に富士見ベンチに到着すると、はるか遠くに富士山のシルエット。空はすっきりとした青空。じりじりと気温が上昇し始め中。
階段と平坦地の連続でふーふー言いながら歩き続けると、次第に視界が開けてきて、標高2000m辺りから高山植物がちらほら。大天井方面の稜線の向こうに槍ヶ岳の穂先がちょこんと見えてきたりして、ようやく楽しくなって参りました。
それまで土だった登山道に、風化した花崗岩の路岩が現れ始め、褐色の砂砂した道がしばし続いたところで、8時前に合戦小屋に到着。
ここは夏はスイカ(!!)で有名な山小屋。小屋の柱にスイカ模様の小さなビーチボールが2つばかり揺れていました。
名物だし山でスイカなんてめったに拝めるものでもないので、勿論いただきました。1/8カットで800円也。甘くてうまかったです。
合戦小屋から先は割合と平坦な道で、すっきりとした青空の下、花を愛でながら歩き続けました。
目指す先に、印象的な大岩の断崖とその上にちょこんと赤い燕山荘が。う~む。なんだか日本離れした風景。
燕山荘に近づく頃には、高山にもかかわらずじりじりと陽射しがすっかり夏で、小屋の真下に広がるお花畑と、その脇に残雪の塊が、なんだか不思議。いったい今の季節はどれなんだ?
9時に燕山荘前に到着。ふ~、一仕事終えました。あとは稜線歩きだし♪(←甘い)
稜線に出ると高瀬川方面の視界が開けました。槍ヶ岳もくっきり。今日もばっちりとんがってます。
■燕岳山頂往復
燕山荘の脇に荷物をデポし、ほぼ空身となって燕岳山頂をピストン。
地図によれば、往復で1時間弱の行程だけど「空身なら30分くらいでいけるんでわ」とY君のプレッシャー攻撃が出ましたよ、また。
燕岳山頂に続く道は、モアイ像みたいに林立する風化した白い花崗岩と真砂の礫の稜線。カーンと抜けるような青空とあいまって、地中海の海岸にいるような妙な気分。
風化した花崗岩は、たぶん数千年とか数万年前だったら素敵なクライミングエリアだったことでしょうに。残念だわ。
地底深くにあるペグマタイトがはるかこんな高いところに露出するなんて、自然の妙というか、なんというか。ほんと。
また、砂砂した礫地には、高山植物の女王と呼ばれる(←知らなかった)コマクサが大量に花盛り。
なんでもこの辺りはコマクサの試験栽培地らしく、見事なまでにコマクサだらけ。
他の植物が生育できないような厳しい環境-高山の乾燥した砂礫地でしか生息できないのだとか。
ここは氷河期の生き残りと呼ばれるコマクサがたどり着いた最後の楽園なり。
←イルカ岩と呼ばれる岩や、面白そうな岩を攀じ登ったり、コマクサの写真を取りまくったりと寄り道ばかりで、ちっとも燕岳山頂に近づきませんw
めぼしい岩を片っ端から登ったら時間がかかって仕方ないので、行きはアタリをつけて登るのは帰りにしましょ~ということで、なんとか前進。
そんなこんなで、9時45分に燕岳山頂に無事到着。
満々と水を湛える高瀬ダムが太陽の陽射しを反射してキラリ。その先に室堂や剣岳。(その他にも色々と山座同定をしたのだけど、忘れてしもた。。)
さてと、燕山荘に戻りますか。。と、燕岳山頂までの道のりを振り返ると、ほんとうに別世界。まるでヤマケイJOYのカラーページwのよう。
■燕山荘-大天井ヒュッテ
10時ちょっとすぎに燕山荘に戻ると、山荘周辺はすっかり人、人、人。。
んで、まだまだ下から続々と人があがってきます。
まぁ連休ですもんね。
空いたベンチに腰掛けてお昼ご飯を食べた後、10時50分少し前に出発~。
燕山荘から先は稜線歩きだから余裕~なんて考えていたけれど、これは大いなる誤算でした。。
すっかり陽射しが暑く厳しくなるものの、稜線上では実に逃げ場がありません><
しかも東から湿った熱風が吹き上げてきて、むわむわミストサウナ状態。
←有名?な「蛙(げえろ)岩」。蛙には見えないけどな。。
これまた登山道周辺を埋め尽くすかのようなコマクサの群生に癒されつつも、暑くて暑くてかなわん~と半ば水のみ歩きマシーンと化しつつ、なんとか歩き続けました。
あちかった。。。
11時半過ぎに大下りの頭を通過。休憩をとらずに一気にガレた頁岩の道を下り、高山とはとても思えないムシムシした山道を抜け、喜作レリーフにたどり着いたのが1時前。初めて拝みました。
切通分岐点を通過したら、きっとすぐに大天井ヒュッテが現れるはず~と期待を胸に、大天井岳の巻き道を歩いて尾根を越えても越えても。。。うう、まだ先が続いているよママン。
まぁ、そんなこんなで13時50分前に無事に大天井ヒュッテに到着しました。
いやぁ、暑かった~。。
今年の大天井ヒュッテは、6月20日に除雪作業が終わったそうで、1ヶ月前は雪の中に埋もれていたそうです。
小屋の受付には、「本日の夕食は『トンカツ』です」と書かれた紙がありました。はぁ、と、とんかつ。。
合戦小屋のように山麓からケーブルカーで簡単に荷揚げをできる場所でもない、こんな山深い場所でまさかトンカツが食べれるとはいったい誰が予想したでしょうか(いや、しない)。
人間の飽くなき欲望と技術の進歩に乾杯です。
というわけで、荷物を置いたら早速ビール。
お腹が空いて夕飯まで待てそうにないので、カップラーメンを啜りつつ。
で、夕飯までひと眠り。なにしろ前夜は高速バスであまり眠れなかったので、コンマ1秒で爆睡。
夕飯の前にごそごそ起き出して、飯はまだかまだかとソワソワ。
自分たちが到着した時分には、まだ登山客の数も少なかったのですが、続々と人が到着し始めました。
ヘルメットやピッケル、ロープなどの装備がザックからチラ見されるたびに、「あの人たちも明日北鎌にいくのかなぁ」「ほかにロープが必要なルートとかないしね。。」とヒソヒソ。
自分もまた、ザックに入りきらずにヘルメットを外付けしていたら、「北鎌に行くの?」と問われたこと数回。
えぇまぁ。。。テヘ、と気恥ずかしいような誇らしいような。
本当に有名なクラシックルートなんだな。。という実感が後から後から湧いてくるという感じ。
5時に夕飯。正真正銘トンカツでした。すげーな。
食後、まだ日の残る山荘の外で、ビールを1缶。6時過ぎという山時間としてはかなり遅い時間になって、団体様が到着。どうやら台湾から遠征に来たグループのようでした。
夕方昼寝をしたにもかかわらず、猛烈に眠いこと。
んで、7時ちょっとすぎにさっさと就寝。なにしろ明日は長い一日だしな。。。と。
色々と気になることをメモしたり、グダグダ書いてみたり。山の記録はなるべく参考になりそうなことを…と思いながらも思いついたままに垂れ流し。。
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