Norlys(ノールリース)-日々のあれこれ
Posted by norlys - 2013.06.11,Tue
こちらも忘れないうちにメモ。
5月25日(土)は瑞牆十一面左岩壁でカナトコルートを登り、登攀後ぶらりと岩場を同定。
それまではトポや記録でしか知らず憧れだけを募らせていた初めて訪れる岩場の始めて見るルートのいずれもがとびきりに新鮮で、どれもが珠玉の宝石のように思われた。通い慣れた人ならばすっかり見慣れた風景なのかもしれないけれど。
実際に目にする岩のラインに更に想像を膨らませ、あぁ次はあれをいつかはこれを登りたいなぁ…というルートを瞼の裏に焼き付ける。また偶然にも継続登攀のトレーニング中だというギリギリなお二人に遭遇して少しばかりお話をさせていただき、濃密な一日の興奮が冷めやらぬまま小川山へ移動して廻り目平にキャンプイン。
翌日5月26日(日)は仏壇岩方面へ。正確には仏壇岩の隣にあるペンギン岩にある、快適なハンドクラックが続くというペンギンクラックが目当て。
朝、偶然お会いしたジムの知り合いの方に仏壇岩へ行くのだと告げると「昔、仏壇岩の中央カンテを登ったよ。35年くらい前かな」とのこと。改めてマルチピッチルート図集を見たところ、仏壇岩に近年設定されたエレクトリックレディランドは「センターリッジのフリー化」とある。中央カンテ=センターリッジ! ということで、小川山のクライミング史の一端に触れたような気がした。
そんなこんなで、いざ林道歩きからスタート。西股沢の水の流れと周囲のしゃくなげが美しい。涸沢岩峰群へは以前行ったことがあるけれど、涸沢岩峰群への分岐から先は未知の世界。とはいえ、仏壇岩は涸沢の前方に見えている。目指す方向は間違いようがない。
ゴーロが堆積した涸沢を詰めてぐんぐんと高度を稼ぐ。最初は割合安定したゴーロが続いていたが、仏壇岩の存在が大きく見えてき始めた頃、荒涼としたガレ場が広がりだす。
左岸の岩壁基部伝いに詰めあがろうかと思ったものの、足場がぐずぐずとしていて心もとない。岩はどれも不安定で触る端から動く始末。仕方ないので慎重に右岸にトラバースし、樹林帯を繋いで上がる。
涸沢上部のアプローチの悪さは「沢登りのツメだと思えば、まぁそんなもの」と聞いていたので、そんなものかなぁ…とも思うけれど、まぁやっぱり良くはない。正直、悪い。
樹林帯が岩壁の基部に遮られたところで、またしてもガレ場へトラバース。
途中、テープ類の目印や踏み跡は一切ないので、歩けそうなところを選んで適当にアプローチ。
小川山なのに、まるでジャルパイン。
振り返り見れば涸沢は遥か眼下まで傾斜を持って伸び、対岸にはヨバリ沢岩峰群の連なりが広がり、金峰山の山頂が意外なほど近く、思えば遠くへ来たもんだ…という感じ。見渡す限り人工物も人影も一切見えない。あぁそうか、ここは既知の小川山ではなく、谷川や北アルプスなどで行われるアルパインに準ずるものだと思えば随分と楽しいじゃないか…と考えると、すっと気持ちが清澄になった。
足元が崩れないように祈りながらそうっとガレ場を通過し、ガレたルンゼをさらに詰めて、うろうろとルートを探索。
実はその時ペンギンクラックの登攀地点直下にいたものの、確信が持てずにひとまず樹林帯へ避難。
樹林帯の薄い踏み跡を辿ると、わずかな距離で登山道に合流。ガレガレのルンゼを抜けて安全圏に出たのでホッとする。
とりあえず現在地を確認しよう…ということで、いったん荷物をデポして登山道を上がる。その途中、無印の道標に導かれてしゃくなげの藪の踏み跡に分け入ると、岩峰のてっぺんにポンと出た。360度の絶景。背後には小川山のなだらかな山容が迫る。
岩峰の突端に終了点を発見。おそらくはELLのもの。やはり今立っているこの岩が仏壇岩で、その隣がペンギン岩なのだろうと納得。再び登山道を降りて元来た踏み跡を辿り岩場を目指す。
岩場とルートの位置は分かったものの、突然雨が降り出す。
遥々とここまで歩いてきたのに、ついてないなぁ…と思いながら、しばし雨宿り。
ほどなくして雨は止み、陽射しに照らされて熱を帯びていた岩はすぐさま乾いたこともあり、先ほど訪れたガレルンゼを今一度登り、ペンギンクラックの取付きへ。
2人で満員御礼な感じの手狭なテラスにて登攀準備を整えて、1P目を短く切って自分がリード。
登り始めて間もなく古いピトンをひとつ目にする。カムでプロテクションが取れるので、このピトンは使わないけれど、今時小川山にピトンを持参するパーティなど皆無だろう。だとすれば、かつてのアルパイン全盛期の時代の遺物だろうか。
残置はなければないで良い、すっきりしていていい。けれども、こんな風に、そこに先人の足跡を見出す残置の存在を見つけると、なんとなく嬉しくなる。
1P目の終了点に到着したところで再びの雨と霰。結構近場でしきりに雷鳴が轟く。あまり良い気分ではない。残念だけれどここで敗退決定。
雨具を着込み、荷物をまとめてガレ場を離れる。大粒の雨で全身はすぐさまびっしょり。涸沢を降りるのは悪いだろうということで、樹林帯から登山道経由でキャンプ場に戻ることにする。
少し下ったところで道をロストし、戻る際に方向を見失いここで道迷い。
あとは下るだけのはずなのに、どうも登り基調でおかしいな…と思っていたところ、小川山から下山してくるパーティと正面から遭遇。「すみません、キャンプ場はどちらでしょうか?」と尋ねると、少し呆れた気配で「今からキャンプ場に戻るところだけど…あなたたち一体どこから来たの?」と問われる。
岩場を登って来て道に迷ったみたいです、ありがとうございます…と答え、来た道を戻る。どうやら小川山の山頂直下まで進んでしまった模様。結果オーライではあるけれど、もしこれが寒い季節の遅い時刻だったらクリティカルだったかもしれない。深く反省。すみません…。
あとはとっととキャンプ場まで下山。遠方のエリアから下山で、しかも道迷いをしたため、キャンプ場に降りた時分には、朝の賑わいが嘘のように、人気もなく他に車もなし。
結果としてペンギンクラックの1P目を登っただけで、歩く方がずっと長い一日になったし、ずぶ濡れで後始末がたいへんだったけれど、それらすべてをひっくるめて、自分の中にあった「小川山=フリーのゲレンデ」という図式が良い意味で覆された一日だった。
5月25日(土)は瑞牆十一面左岩壁でカナトコルートを登り、登攀後ぶらりと岩場を同定。
それまではトポや記録でしか知らず憧れだけを募らせていた初めて訪れる岩場の始めて見るルートのいずれもがとびきりに新鮮で、どれもが珠玉の宝石のように思われた。通い慣れた人ならばすっかり見慣れた風景なのかもしれないけれど。
実際に目にする岩のラインに更に想像を膨らませ、あぁ次はあれをいつかはこれを登りたいなぁ…というルートを瞼の裏に焼き付ける。また偶然にも継続登攀のトレーニング中だというギリギリなお二人に遭遇して少しばかりお話をさせていただき、濃密な一日の興奮が冷めやらぬまま小川山へ移動して廻り目平にキャンプイン。
翌日5月26日(日)は仏壇岩方面へ。正確には仏壇岩の隣にあるペンギン岩にある、快適なハンドクラックが続くというペンギンクラックが目当て。
朝、偶然お会いしたジムの知り合いの方に仏壇岩へ行くのだと告げると「昔、仏壇岩の中央カンテを登ったよ。35年くらい前かな」とのこと。改めてマルチピッチルート図集を見たところ、仏壇岩に近年設定されたエレクトリックレディランドは「センターリッジのフリー化」とある。中央カンテ=センターリッジ! ということで、小川山のクライミング史の一端に触れたような気がした。
そんなこんなで、いざ林道歩きからスタート。西股沢の水の流れと周囲のしゃくなげが美しい。涸沢岩峰群へは以前行ったことがあるけれど、涸沢岩峰群への分岐から先は未知の世界。とはいえ、仏壇岩は涸沢の前方に見えている。目指す方向は間違いようがない。
ゴーロが堆積した涸沢を詰めてぐんぐんと高度を稼ぐ。最初は割合安定したゴーロが続いていたが、仏壇岩の存在が大きく見えてき始めた頃、荒涼としたガレ場が広がりだす。
左岸の岩壁基部伝いに詰めあがろうかと思ったものの、足場がぐずぐずとしていて心もとない。岩はどれも不安定で触る端から動く始末。仕方ないので慎重に右岸にトラバースし、樹林帯を繋いで上がる。
涸沢上部のアプローチの悪さは「沢登りのツメだと思えば、まぁそんなもの」と聞いていたので、そんなものかなぁ…とも思うけれど、まぁやっぱり良くはない。正直、悪い。
樹林帯が岩壁の基部に遮られたところで、またしてもガレ場へトラバース。
途中、テープ類の目印や踏み跡は一切ないので、歩けそうなところを選んで適当にアプローチ。
小川山なのに、まるでジャルパイン。
振り返り見れば涸沢は遥か眼下まで傾斜を持って伸び、対岸にはヨバリ沢岩峰群の連なりが広がり、金峰山の山頂が意外なほど近く、思えば遠くへ来たもんだ…という感じ。見渡す限り人工物も人影も一切見えない。あぁそうか、ここは既知の小川山ではなく、谷川や北アルプスなどで行われるアルパインに準ずるものだと思えば随分と楽しいじゃないか…と考えると、すっと気持ちが清澄になった。
足元が崩れないように祈りながらそうっとガレ場を通過し、ガレたルンゼをさらに詰めて、うろうろとルートを探索。
実はその時ペンギンクラックの登攀地点直下にいたものの、確信が持てずにひとまず樹林帯へ避難。
樹林帯の薄い踏み跡を辿ると、わずかな距離で登山道に合流。ガレガレのルンゼを抜けて安全圏に出たのでホッとする。
とりあえず現在地を確認しよう…ということで、いったん荷物をデポして登山道を上がる。その途中、無印の道標に導かれてしゃくなげの藪の踏み跡に分け入ると、岩峰のてっぺんにポンと出た。360度の絶景。背後には小川山のなだらかな山容が迫る。
岩峰の突端に終了点を発見。おそらくはELLのもの。やはり今立っているこの岩が仏壇岩で、その隣がペンギン岩なのだろうと納得。再び登山道を降りて元来た踏み跡を辿り岩場を目指す。
岩場とルートの位置は分かったものの、突然雨が降り出す。
遥々とここまで歩いてきたのに、ついてないなぁ…と思いながら、しばし雨宿り。
ほどなくして雨は止み、陽射しに照らされて熱を帯びていた岩はすぐさま乾いたこともあり、先ほど訪れたガレルンゼを今一度登り、ペンギンクラックの取付きへ。
2人で満員御礼な感じの手狭なテラスにて登攀準備を整えて、1P目を短く切って自分がリード。
登り始めて間もなく古いピトンをひとつ目にする。カムでプロテクションが取れるので、このピトンは使わないけれど、今時小川山にピトンを持参するパーティなど皆無だろう。だとすれば、かつてのアルパイン全盛期の時代の遺物だろうか。
残置はなければないで良い、すっきりしていていい。けれども、こんな風に、そこに先人の足跡を見出す残置の存在を見つけると、なんとなく嬉しくなる。
1P目の終了点に到着したところで再びの雨と霰。結構近場でしきりに雷鳴が轟く。あまり良い気分ではない。残念だけれどここで敗退決定。
雨具を着込み、荷物をまとめてガレ場を離れる。大粒の雨で全身はすぐさまびっしょり。涸沢を降りるのは悪いだろうということで、樹林帯から登山道経由でキャンプ場に戻ることにする。
少し下ったところで道をロストし、戻る際に方向を見失いここで道迷い。
あとは下るだけのはずなのに、どうも登り基調でおかしいな…と思っていたところ、小川山から下山してくるパーティと正面から遭遇。「すみません、キャンプ場はどちらでしょうか?」と尋ねると、少し呆れた気配で「今からキャンプ場に戻るところだけど…あなたたち一体どこから来たの?」と問われる。
岩場を登って来て道に迷ったみたいです、ありがとうございます…と答え、来た道を戻る。どうやら小川山の山頂直下まで進んでしまった模様。結果オーライではあるけれど、もしこれが寒い季節の遅い時刻だったらクリティカルだったかもしれない。深く反省。すみません…。
あとはとっととキャンプ場まで下山。遠方のエリアから下山で、しかも道迷いをしたため、キャンプ場に降りた時分には、朝の賑わいが嘘のように、人気もなく他に車もなし。
結果としてペンギンクラックの1P目を登っただけで、歩く方がずっと長い一日になったし、ずぶ濡れで後始末がたいへんだったけれど、それらすべてをひっくるめて、自分の中にあった「小川山=フリーのゲレンデ」という図式が良い意味で覆された一日だった。
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norlys
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非公開
自己紹介:
Norlys(ノールリース)。極光、いわゆるオーロラ。雪の降る季節と雪の降る景色がすき。趣味は編み物。週末は山を散策。
色々と気になることをメモしたり、グダグダ書いてみたり。山の記録はなるべく参考になりそうなことを…と思いながらも思いついたままに垂れ流し。。
色々と気になることをメモしたり、グダグダ書いてみたり。山の記録はなるべく参考になりそうなことを…と思いながらも思いついたままに垂れ流し。。
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