週末の日曜日の天気予報がイマイチっぽいので、晴天が期待できる土曜日にどこに行こう~ということでYさんと二子山中央稜へ。
二子山中央稜はアプローチもグレードもお手頃な楽しいマルチピッチルートということなので、かねてから登ってみたいルートのひとつ。
ただ、「お手頃」といっても自分にとってお手頃かどうかはまた別の話だし、なにしろ初めて訪れる場所なので事前にネットで情報を漁り、貪るように目を通す。もう1P目の出だしの光景が瞼の裏に焼きつくほど。
それでも自分の理解力が足りないこともあって、現地であれこれ迷うのが常。結果がオーライなら、そのプロセスもまた楽しいということで。。
朝早くに都内を出発し、下道で北上。すかっとしない曇り空。途中、飯能の辺りで霧雨に包まれ一瞬落胆するものの、間もなく雨地帯を抜け、国道299号線を秩父方面に進む間にすっきりとした青空が広がる。石灰岩が採掘された武甲山の姿はエジプトあたりの遺跡のよう。
国道299号をしばらく走っていると前方右手に二子山が見え始める。なるほどあれがローソク岩で、あのラインが中央稜かと話ながらも期待と緊張が高まる。民宿「登人」の角を右折し林道西秩父線へ。ぐんぐんと標高を稼ぎ、間もなく股峠に到着。すでに車は5~6台駐車。ふと見れば、先日久しぶりに遭遇したKさんと再会。
駐車場にて登攀に必要な装備を整え、9時頃に歩き出し。同じく中央稜を登る予定だというガイドさんパーティと前後しながら中央稜を目指す。ネットの情報によれば「中央稜取り付きの目印は赤いドラム缶」とのことだけど、防火用水用の赤いドラム缶&一斗缶があちこちにあって戸惑う(取り付き地点の目の前にもドラム缶が鎮座ましましておりました)。
ローソク岩への道標に沿って斜面を上がり、ここから右に廻りこむところを間違えてローソク岩を左からぐるり一周。9時半前に中央稜取り付き地点に到着。取り付き地点は瞼の裏に焼き付けたハズで、一目見たら郷愁めいたものにかられるんじゃないかと思っていたけれど、案外そうでもなかった。。(残念
先行するガイドパーティさんと見送り、9時45分過ぎに登攀開始。
1P(III、5.7): Yさんリード。今回カムを一式持参して臨んだものの、しっかりした残置ピトンが各所にありカムを用いることなくするするっとフェースを直上し、凹角のフレークを乗り越して右の小テラスに移ってビレイ。凹角に移る手前と終了点はハンガーボルト。
「ガバばっかりだよ~」と頭上から声がかかる。ガバばかりと言われても朝イチは緊張~するものの、本当にガバばかりで楽しい。取り付き地点は日陰で肌寒かったけれど、小テラスは陽射しに満ちて明るく暖かい。このピッチ、30mとか35mと言われるけれど、実質20mくらい、かな。
2P(IV、5.8): 自分がリード。すぐ真上にピカピカ光るハンガーボルトが見え、カンテを絡んで左から直上。またすぐ2つ目のハンガー。カンテを絡んで右の凹角に移って終了点に到着。核心の3P目を見上げつつ、支点の準備。下を覗きこむとすぐ真下に小テラスが見える。実質15mくらい。
3P(V、5.9): Yさんリード。二子山中央稜全6ピッチ中の核心ピッチ。広いコーナーに逆Y字状にクラックが走っている。クラックの幅が広いということでこのピッチのためだけにカムの4番を持ち上げてきたようなもの。。だけど、クラック右手にボルトがあり、結局カムは重量軽減のために途中で置き土産としてしか使われず。。
コールがかかり自分も登り始める。フレーク気味のクラックをレイバックで上がり、ジャミングと右壁のスタンスを拾いつつ登る。中間部で再度レイバックからガバを繋いで終了点へ。終了点は広々とした大テラスで気持ちいい。眼下にローソク岩が良く見える。
それにしても、このピッチ、途中にスタンス代わりとしか思えない残置ピトンがあり、うっかり踏まないように注意するのが大変でした。。
4P(III~IV、5.8): 自分がリード。「先行パーティは直登していったよ」とのYさんのアドバイスに従い、目の前の岩を直登。途中でキャメロット0.5を噛ます。すぐに小さなテラスに到着しリングボルト2つの終了点が見えたけれど、少し物足りないのでそのままロープを伸ばす。ガバとバンドを伝って残置ピトンにランニングをとりながら登り、そろそろロープの残りが気になり始めYさんに確認すると、「あれ、そっち(右)? 前のパーティは左に行ったよ」との答え。
ちょうどバンドが左上しているので左に向かうと、ありました、ガレた狭いテラスにペツルのハンガーボルトが2つ。
通常の4P目と5Pをまとめて登ったのと、屈曲したルート取りをしたので、ロープスケールで50mくらい。
時折、山頂の稜線を歩いている人の姿が見える。背後に広がる奥秩父の風景がすばらしい。
5P(III、5.7): Yさんリード。ビレイ点から直上し、クラック沿いにフェイスを登り凹角へ。ビレイしながら下から見上げると蒼穹に消えていくよう。凹角上でピッチを切った様子で、すぐにコールがかかり自分も登り始める。高度感があり楽しい。
5P目の終了点でロープをたたみ、ガレた階段状の岩場を少し登ると登山道に合流。この時点で12時10分。
景色の良い場所に移動してしばし休憩。
12時25分に「上級コース」の登山道から股峠方面に下山。踏み外したら危ないので、用心しながらクライムダウン。
(この上級コースには以前個人の方が鎖を設置されていたそうですが、「事故が起きたら責任を取れるのか」などと批判されたため鎖を撤去したのだという設置者の方の説明書き(平成19年5月付)がありました。ほかにも鎖場のある山はあるのに、なんでまた二子山だけ(?)こんなヤヤコシイことになったのでしょうか。。なんだか哀しい話です。)
13時前に一旦車に戻り、装備を変えてフリーのエリアへ再出撃。名にし負う…というか、激辛。中央稜の登攀自体は快適でしたが、なにしろ初めてのルートということで神経を磨り減らしていたためか、どっと疲れが。。
二子山中央稜は、核心手前には必ずといっていいほどペカペカのボルトがあり安心。各ピッチの終了点はしっかり整備されていてつるべでの登攀がスムース。岩もしっかりしていて、この日はフリクションも良く快適。ぐんぐんと高度を増していく、マルチピッチならでは楽しさを満喫。
持参したカムを1セットは、残念ながらほとんど筋トレ用になってしまったけれど、部分的に活用できました。手頃なクラックが豊富にあるので、積極的にカムを使用すればボルトレスで登ることもできそう。
なにより、晴天の中のんびりと自分達のペースで登ることができたので、とても楽しかったです。
ありがとうございます。
色々と気になることをメモしたり、グダグダ書いてみたり。山の記録はなるべく参考になりそうなことを…と思いながらも思いついたままに垂れ流し。。
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