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Norlys(ノールリース)-日々のあれこれ
Posted by - 2024.12.01,Sun
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Posted by norlys - 2008.08.27,Wed

米大統領が「強い懸念」を示したにもかかわらず、メドベージェフ露大統領が南オセチアとアブハジアの独立承認へ。

「強い懸念」とか「強い不快感」とか「遺憾である」とかのポリティカルな表現は、具体的にどの程度の意思表示なんでしょう。。

喜怒哀楽+好嫌の6項目を百分率で示してくれたら分かりやすいのにな。
たとえば、今回の米大統領の「強い懸念」の内訳は、喜0怒90哀70楽0好20嫌80ですよーとか。

ま、それはさておき。

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南オセチアとアブハジア独立承認=ロシア決定、グルジアと緊迫-欧米と対立激化へ

【モスクワ26日時事】ロシアのメドベージェフ大統領は26日、テレビを通じて国民向けに演説、上下両院がグルジアの南オセチア自治州とアブハジア自治共和国の独立承認を大統領に求めたのを受け、独立承認を決定したと言明した。グルジアが猛反発するのは必至で、地域情勢は極度に緊迫した局面を迎えそうだ。欧米諸国との対立激化も懸念される。
 大統領は「サーカシビリ・グルジア大統領は南オセチアに侵攻し、政治問題を虐殺によって解決することを選択した」と非難。こうした情勢を踏まえ、独立承認の大統領令に署名したと述べた。大統領令には、外交関係の樹立と友好協力条約の草案策定も盛り込まれている。
(時事通信 2008/08/26-22:11)
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「南オセチアとアブハジアの独立」をロシア大統領が承認したら、ロシア議会は次にきっと、沿ドニエストル共和国の独立を主張するだろなと思ったら、すでに大統領自ら動き出していました。

さすがだわ。おそロシア(←投げやり)。

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ロシアとモルドバ ドニエストル問題協議へ
 
ロシア・北オセチア共和国の首都ウラジカフカスで手を振るメドベージェフ・ロシア大統領=19日(AP) インタファクス通信によると、ロシアのメドベージェフ大統領は25日、南部ソチでモルドバのウォロニン大統領と会談した。ロシア大統領府は、ロシア駐留軍の後ろ盾で事実上の独立状態にあるモルドバ・ドニエストル地域の問題をめぐり、両国とドニエストルの代表が近く協議を始めることを明らかにした。

会談でメドベージェフ大統領はグルジア・南オセチア問題に触れ、ドニエストル問題についても「解決に向けた良いチャンス」が訪れたと、意欲を示した。

ドニエストル地域ではロシア系住民が多数を占め、南オセチアの主要民族オセット人と同様、独立とロシアへの併合を求めている。(共同)
(MSN産経ニュース 2008/08/25 23:29)
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Wikipediaの沿ドニエストル共和国のページに、次の記述があります。
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2006年6月14日、国際的に未承認のアブハジア、南オセチア、沿ドニエストル共和国の3か国の大統領が、スフミで会談を行い、共同声明の形で民主主義と民族の権利のための共同体の設立を宣言した。
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なので、南オセチア問題のどさくさ紛れにアブハジアの独立を要求して、沿ドニエストル共和国を見過ごすはずがないだろな、と。
飛び地みたいに離れた3つの地域なのに、どういうわけか(もちろんロシアの裏工作)共同体の設立を宣言しちゃっているところだから。

「今このチャンスを逃したら、次に手に入れる機会はなかなかめぐってこない」
ロシアがそう考えて、この機会に沿ドニエストル共和国も手に入れようと野心を燃やす限り、しばらくは強硬姿勢を崩すことはなさそうな気がしてきました。

ただ、南オセチアとアブハジアはグルジア領内だけど、沿ドニエストル共和国はモルドバ領内。しかもお隣にはウクライナが控えているから、アブハジアと南オセチアよりも遥かに厄介。
モルドバは経済的援助の約束で懐柔できなくもなさそうな気がするけど、ウクライナの反発がすごそう。。

ロシアがいったいどんなウルトラCを繰り出してくるのか予想もつきません。。

そういえば。沿ドニエストル共和国関連で、ウクライナの元首相であるユリア・ティモシェンコ女史の論文を見つけました。

ロシアの帝国的野心を封じ込めよ
ユリア・ティモシェンコ(ウクライナ元首相)/(フォーリン・アフェアーズ日本語版 2007年5月号)

ティモシェンコ女史は2007年5月の時点で(執筆されたのはそれ以前でしょう)、すでに「ロシアが、セルビアからのコソボ独立を引き合いに、ロシアがアブハジア、南オセチアなどの分離運動を支援する口実とする」可能性を指摘しています。

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例えば、コソボがセルビアから独立するとして、ロシアがこれを先例として引き合いに出して、グルジアのアブハジア、南オセチア、アゼルバイジャンのナゴルノカラバフ、モルドバの沿ドニエストル、そしてウクライナのクリミアにおける分離運動を支援する口実とするのを許してはならない。そうしたロシアの支援は、(クレムリンに敵対的な)現地政府を不安定化させることが狙いだ。
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コソボの独立運動の機運はかねがね強かったとしても、コソボが議会で独立を宣言したのは2008年2月です。

コソボ独立宣言の際に、自分のようなにわかモノが「ロシアがコソボ独立に反対する名目に、なんで南オセチアを持ち出すんだろ~」と思っている時点よりもずっと前に、すでに警鐘は鳴らされていたのですね。

ではなぜ欧米諸国はみすみす看過してしまったのか。
一応裏で手を打ってはみたもののロシアの方が一枚上手だったから?
ぶっちゃけ東欧のことはよくわからんから?

はて。。

論文のAbstractと本文から抜粋。
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プーチン大統領は、これまで一貫して「偉大なるロシアを復活させる」という目的を掲げ、国内的には権威主義体制を強化し、対外的にもエネルギー資源と軍事力を武器に近隣諸国を自国の勢力圏に取り込むことで超大国の地位を取り戻すことを狙っている。

原油価格の高騰を追い風に再生したロシアは、いまやエネルギー資源供給を武器にヨーロッパさえも脅かしつつある。

考えるべきは、ロシアに政治・経済改革を求める欧米のこれまでの路線では、ロシアの伝統的な膨張主義、そして近隣諸国を犠牲にして超大国の地位を取り戻そうとする戦略には太刀打ちできないということだ。パワーにはパワーで対抗するという外交の鉄則を思い出し、欧米、とくにヨーロッパは、ロシアの資源外交による揺さぶりにも動じない結束を持つ必要がある。

****

ロシアと交渉する際には二つの目的のバランスをとることも重要だ。つまり、ロシアの路線に影響を与えることと、ロシア側の読みに働きかけるという二つの目標のバランスをとる必要がある。協調を促すような互恵的な権利と責任を定めた制度や合意ならロシアも歓迎する。そして、こうした合意でもっとも重要なのが、エネルギー憲章条約と同条約の通過議定書だ。
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ウクライナの歴史も情勢も複雑だし、かのロシア・ウクライナガス紛争の際に首相を務めたティモシェンコ女史の論文なので、ストレートに受け止めるのはやや難しいところなのですが、実際にロシアと丁々発止渡り合った経験の重みは勉強になります。

「WTOやNATO、EUなどの国際機関への加盟はロシアにとって旨みがない。
(国連は常任理事国だからどうにでもなるし、G8は外されても体面より実利優先なら別に困らないんだろな)
国内市場を開放したところで、ロシアにとって旨みがない。

国際世論? 人権? なんだそれは、食えるのか? うまいのか?
MD計画? アメリカはつくづく戦争が好きだな。目障りだ、失せろ。

もはや、欧米諸国と協調路線を模索したところで、旨みがないことはハッキリした。
ロシアにとって「も」利となる提案が出せないなら、もはや西側諸国のロジックにロシアが従う義理などない」

そんなプーチン氏とメドベージェフ氏の声が聞こえてくるような。。

まー、ホントの本音はわかりませんが。
でもロシアが強面を続けるのは、つまりそういうことなんだろな。(←憶測)

政治家であることが一種のNoblesse oblige(。。。苦笑)である欧米諸国に対して、ロシアは違う。力があるものが上に立つ。ただそれだけなんだな。今更だけど。
高尚な志を持つお坊ちゃまのお遊びなんかじゃない。
そりゃ、話が通じるわけもないわな。

さて。ロシアが土地が欲しいといってきたので、「わかりました、あげましょう」とうっかり差し出すと、「じゃあ次はここも寄越せ」と言ってくる可能性が高そうな気が。。
かといって、「だが断る」と断固拒否しちゃうと、猛烈な攻撃に遭いそうな悪寒。

国際世論が納得し、ロシアも説得できる、そんな素晴らしい外交戦術を期待されたフランスとドイツはかなり重い役割だなぁ。どうなることやら。。

それにしても。

民族自決問題から端を発したはずのこの紛争が、いつの間にかパワーバランスの問題に摩り替わってしまったような気が。おや?

民族問題となるとロシアも後ろめたいことがたくさんあるので、その点をあまり刺激しないようにひたすら強面で押し切ろうとしているような。。狡猾すぐる。

すわ民族紛争勃発とあらば、即座に国連で議会が召集され、議案が可決し、現地に平和維持軍や監視団が派遣される、この図式が儚くも霧消してしまいました。

(なるほど。「国連決議に委ねよ」という主張ができなくなった朝日新聞さんは、どうりで延々とロシア悪説を唱え続けていたワケだわ。わかるわ~、その気持ち(苦笑)。電波だけど、志は高かったのね。うんうん。ちょっと見直しましたwww)

もしかしたら、今後しばらくは、「民族独立問題に対する武力を用いた平和的介入」が試みられる機会は少なくなるかもしれません。ただ、新しい冷戦構造が浮かび上がることで、民族紛争の火種は鎮火する可能性もありますが。

どちらに転がっていくのかは。。さて。。

人が権力と富を追求する限り、もはや世界平和など絵に描いた餅なんだと、
欧米諸国がやんわりと真綿に包んで隠していた現実と、新世界秩序とをロシアが剥き出しで突きつけてきましたよ。

だからロシア人は野蛮なんだよと、イギリス人とかフランス人が心の中でベロ出していそうな気がするな。
ほんと、人生は謳歌すべきだよねと、イタリア人がせせら笑っていそうな気がするな。
今度こそ負けないぞと、ポーランド人が血気盛んに酒場で気炎を上げていそうな気がするな。
ロシアは駆け引きがへたくそねぇでも怒らせると手に負えないのよねと、北欧の人たちがヤレヤレと思っていそうな気がするな。
で、サブプラ問題でガタガタのくせに、アメリカがまったく空気読めずに相変わらず「オレ達、世界の警察だから」と主張してくれそうな気がするな。

だとしたら、世界はまだまだ平常運転だよな。うん。

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自己紹介:
Norlys(ノールリース)。極光、いわゆるオーロラ。雪の降る季節と雪の降る景色がすき。趣味は編み物。週末は山を散策。

色々と気になることをメモしたり、グダグダ書いてみたり。山の記録はなるべく参考になりそうなことを…と思いながらも思いついたままに垂れ流し。。
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