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Norlys(ノールリース)-日々のあれこれ
Posted by - 2024.05.04,Sat
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Posted by norlys - 2014.11.13,Thu
先日ジムにて「Odyssey」というDVDを購入。

トポならば一生行くことのないであろう土地のものでも手を出してしまうのに(というほど多くはないけど)、クライミングの動画には余り食指が伸びなかったり。無料のクライミング動画を観ることは大好きなので、多少なりとも制作陣に貢献すべき...とは思ったりもするのですが。。

長いことどうしようかなー(買おうかなー)と、迷いながらも、なかなか決断できずにいましたが、近々ジェームス・ピアソン氏をフューチャーした動画が発表されるそうで、でもきっとDVDが日本で発売されるまでには間が空くだろうなぁ…とも思ったら、突然踏ん切りがつきました。えぇいっ、と。

「Odyssey」はHot Achesというイギリスはスコットランドのエディンバラにあるフィルムプロダクションから2012年の秋に発売されたもの。国内ジムで取扱いが始まったのはそれから1年後くらい、だったかな(うろ覚え)。
紹介文の冒頭は「アブないの好き集めました」w。UKトラッド全開です。フルスロットルです。

登場するのは4人のクライマー。イギリス人のトラッドクライマーであるジェームス・ピアソン、JPの奥さんでフランスはレユニオン島出身のキャロライン・シャバルディーニ、イギリス人女性として初めてE9を登ったスパイスガールなヘイゼル・フィンドレイ、オーストリア出身のアルパインクライマーハンスヨルグ・アウエル。彼らが一週間をかけて、イギリス各地のトラッドルートを登る様子を収めたロードムービー。

UKのトラッドクライミングは一種独特らしく、それがどういうものかは自分は体験したことがなく雑誌や動画で語られる断片を繋いで想像することしかできません。

以前イギリス山岳会主催のクライマーズミーティングに参加された方々の記録がRock&Snow誌にて掲載されていたを読んだり、動画で視聴したり、と。

割と最近では、Real Rock8に登場したヘイゼルの「Spice Girl」の章にて、ボールドなフリーソロでクライミング界を牽引するアレックス・オノルドが「彼ら(イギリス人)は岩が脆くても登る。濡れていても登る。(壁がボロ過ぎて)岩でなくとも登る」となんら大袈裟なそぶりもなくいつもの穏やかさで語っていました。

なるほど…そういうものなのだろうな…と(手汁)。

Odysseyに登場する4人のクライマーの組み合わせは、あくまでも憶測というか邪推というか、おそらくはスポンサーの兼ね合いもあったのだろうと思いますが(ウェアがTNFでシューズがスポルディバで統一。ギアは違うけど)、なんかねすごくいいです。

ジェームスさんは安定の飄々さ。それはもう絶望的に悪いでしょうよ…という場面でも。動画的にはもっと派手に強さや難しさをアピールしてもいいんじゃないかな? と思うけど(余計なお世話w)、声や表情ではなくその漲った前腕だけが彼のリアルを伝えてくれます。それにしてもJPさんのプロテクションワークは絶品です。

かつて初登したルートにてE12というEグレードの更新記録を発表し、その後再登したデイブ・マックリード氏が「なに吹いてんのwwE9程度だろ」と否定したことで大論争の渦中に引きずり出され、UKトラッドの舞台からいったん身を引いたものの、やはり自らの原点であるUKトラッドに還らずにはいられなかったJPさんの情熱をしかと拝見しました。

ヘイゼルさんもしかり。この方、本当に強い。めっちゃ悪そうな場面での集中力が本当にすごい。タイミング悪く指先が外れて「Shi××iiittt!」と叫びつつロングフォールしても、その直後にキャハハっと笑い飛ばせるメンタリティの強さに愕然。多くのクライマーならば、きっともっと世界の終焉がおとずれたくらいに絶望感を発散するであろう場面において、チャーミングに軽やかに笑い声が出せるんです。強すぎです。憧れます。

自称「石灰岩専門のスポートクライマー」なキャロラインさんは、ほぼ初めて(らしい)UKトラッド三昧にまみれることとなり、当初はそれがいかに恐ろしいクライミングであるかをストレートに伝えてくれます。けれども決して怯むことなくUKトラッドに順応し、他者の助けが決して届かない場面においては自分と闘うしかないのだという根っこの強さを見せてくれます。強い。そして実にオープンマインドでステキです。

ハードクラシックなルートのひとつである「Strawberries(E7)」を見事にオンサイト完登したハンスヨルグ氏は、噛み締めるように「信じられない。素晴らしいルートだ。このラインを見出し、ボルトを打たずに(1980年代に)登ったというのは本当にすごい」と語ります。UKトラッドネイティブではなく他国出身のクライマーであるハンスヨルグさんの言葉だけに、なるほどこれがUKトラッドの神髄なのか、と。しみじみ。

登場するクライマーの誰もが温厚で温和で穏やかで、クライミングにはアツく激しい、けれどあくまでも内に秘めて静か、なのです。
だからなのか、ぱっと見、あんまり盛り上がりません(そんなことはないかな…)。

イギリスのハードクラシックなトラッドルートを巡る旅なのに、各ルートの歴史的背景の説明もありません。場所とルート名とEグレードだけ。そもそもEグレードというグレーディングシステムに不慣れな自分には、きっとすごく大変で難しいことをしている筈なのに、あんまり良く分かりません(自分が不勉強なだけなのですが…)。

でもね、それがいいのです。語り過ぎないところが。台詞や文字で事細かに説明するのではなく、美しいイギリスの岩場の風景とやけに心臓に悪い登攀シーンを写すことがこの動画の目的なのだと思うので。

なぜこんなボロボロの壁をそんなことまでして登りたいの…? と、ふと思う時、あぁそっか、登りたいから登るんだよな…クライマーだから…クライマーなら、それは自然な欲求だよなぁ、とも思うのです。
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自己紹介:
Norlys(ノールリース)。極光、いわゆるオーロラ。雪の降る季節と雪の降る景色がすき。趣味は編み物。週末は山を散策。

色々と気になることをメモしたり、グダグダ書いてみたり。山の記録はなるべく参考になりそうなことを…と思いながらも思いついたままに垂れ流し。。
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