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Norlys(ノールリース)-日々のあれこれ
Posted by - 2024.05.18,Sat
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Posted by norlys - 2007.06.13,Wed
昨日は江戸川橋のT-Wallのジム。TR2本と、リードで5.6、5.7の垂壁と、5.8のかぶりルートを計3本。
山歩きの疲れが残っているためか、のんびりと登る。
ここのジムのルートは未だに5.8までしか登れない。ルート数が少ない分グレーディングが少し厳しいような気もするというのは負け犬の遠吠えで、単に自分がヘタレなだけ。ほかの人たちはサクっと10、11、12の課題を登っているわけだし。。。

ジムの後は恒例のビールタイムで、もはやコレ目当てでジムに通っているような。。。w
ビール片手にテーブルに地図を広げながら、あの山に行きたい、この山もいきたいよねぇと話すのは楽し。

と。突然ですが。

遅ればせながら、祝・佐々木丸美 復刊。

高校生の頃、一緒に入った本屋で友人に薦められて「崖の館」の文庫本を買った。このときはまだ講談社文庫に入っていて、ピンク色の背表紙だった。
叙情性の高い独特の文体で綴られる、密室トリックが鍵となる「館もの」のミステリー。
実は、なんの予備知識もなく読み始めたため、途中で「え、これはミステリーなんだ」と気づいた始末ですが。。

「崖の館」のあらすじはこんな感じ(ネタバレはないはず。。)。

舞台は北の海辺の町、様似の断崖の上に立つ白いガラスの館。凍てつく北の百人浜の浜辺の伝説-冬の嵐に難破した船から海に投げ出され寒さに倒れた人たちのすすり泣く声が聞こえるのだという。
その館で世間から離れひっそりと暮らす裕福なおばさんと、冬休みに館を訪れた6人のいとこたち。いとこたちは、2年前に「事故」で亡くなった美しいいとこを偲ぶ。美しいいとこはおばさんの養女で、絵画や文学をこよなく愛し、誰からも愛されていた。
美しいいとこの死はほんとうに「事故」によるものだったのかという皆の胸のわだかまりを突いて、館の中で次々と不可解な事件が起こる。彼女の死は本当に事故だったのか、不可解な事象は誰の手によるものなのか。いとこのひとりである少女、涼子の1人称で綴られるゴシックロマンミステリー。

厳寒の北の海辺の洋館。哲学を文学を絵画を語る、聡明で正義感あふれるいとこたち。ひとの機微の揺らぎを突く展開。。。リリカルでストイックなのにミステリーという構成で、いかんせん多感な高校生の時分だった(苦笑)自分はこの本をきっかけにすっかり佐々木丸美ワールドはまり、たちまち「崖の館」以外の文庫本もコンプリートした。今でも実家の書庫には文庫本が残っている。文庫本化されていない単行本は、なにしろ当時から万年金欠だったので図書館で借りて読破した。

佐々木丸美の作品の多くは北国が舞台で、とりわけ雪の描写が美しい。
ページを繰ると、もう内容はまるで覚えていない幼い頃に読んだロシアの童話を肌触りを思い出す。
低く垂れ込めた灰色の雲、白く冷たい雪の風景、悲しげな風の鳴く声、長く暗い夜-といった雪国のエッセンスが匂い立つ(たぶん雪の氷晶核の窒素の匂い?)。

佐々木丸美女史の「館もの」を読んだ後では、他の「館もの」ミステリーのトリックのあまりの奇抜さや登場人物の薄っぺらさにがっかりしてしまう。

そんなわけで、時々思い出しては読み返していたけれど、自分が年齢を重ねてスレてヒネた社会人度があがるにつれて、少女の憧れがたっぷり詰まった展開に正直なところ「こそばゆい」思いを感じたりもした。特に、「雪の断章」に始まる孤児シリーズは、それはそれはとても面白いのだけど、孤独で可憐な孤児が白馬の王子様に見初められる。。というパターンが多く立て続けに読むと、チト辛い。)

しばらくして、フトした折にまた思い出して、書店で作者の著作を探すも見当たらず、なんだかいやな胸騒ぎがしてWebで検索したところファンサイトを見つけ、文庫本はすべて絶版になってしまっていたことを知る。
佐々木丸美 復刊運動&ファンサイト 「M's neige」様のサイト

え絶版なんて、と慌ててファンサイトの呼びかけに応えて復刊ドットコムで票を投じるも、当時このサイトを主宰されていらっしゃる方が著者ご自身に伺ったところ、新作を発表するつもりも復刊を希望するつもりもないとのこと。
それでも、新しい展開はないものかとときどきこのファンサイトを覗いていたら、2007年12月に佐々木丸美氏が他界されたという訃報にであう。ショック。。。

作者ご本人が復刊を望まないのだし、すでに世を去られてしまったし。。。と思っていたら、なんと去年の12月から創元推理文庫から続々復刊予定とのこと。

作者の遺志に反するとはいえ、やはり良い作品は残しておいてほしいもの。
苦手な人はとことん苦手かもしれないけど、佐々木丸美本を手元に残しておきたいと願う人がそれだけ多くいたことに驚きつつも、ちょっとうれしい。











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Posted by norlys - 2007.05.12,Sat
遅まきながら、小川洋子著「博士の愛した数式」を読んだ。
かつてはかなりの乱読家だったけれど、最近は実用書の類しか読まない。
フィクションを読んだのは、今年のお正月に村上春樹著の「アフター・ダーク」以来(これまた乗り遅れ)。

たまたま時間があったので、久しぶりに本でも読むかなと、仕事帰りに立ち寄ったコンビニで購入。

80分しか記憶がもたない初老の数学者と、シングルマザーの家政婦と10歳になる息子の日々を描いた物語。
80分ごとにリセットされる淡々とした日常と、過去と現在を賑やかす阪神タイガースと江夏投手とのモチーフが二重奏のように紡がれる。そして、学校を卒業して以来普段は目にしない懐かしい数学用語がそこここに散りばめられ、きらりと光る華を添える。
初秋の午後に懐かしいアルバムをめくり続けるような、文学の美しさを堪能できる良作。

理論はすでに神の手に、人の胸の内に無言のままあるのだと博士は言う。(言わなかったっけ)
それらに「友愛数」とか「完全数」と名前を授けることで、この世に無数に埋もれる数字の中から特別な数になる。

言葉を与えることで命が宿る-とても文学的というか哲学的。

この世は不完全で不調和なことが多いけれど、静謐な世界に浸りたいときにまた読み返してみたいと思う。




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自己紹介:
Norlys(ノールリース)。極光、いわゆるオーロラ。雪の降る季節と雪の降る景色がすき。趣味は編み物。週末は山を散策。

色々と気になることをメモしたり、グダグダ書いてみたり。山の記録はなるべく参考になりそうなことを…と思いながらも思いついたままに垂れ流し。。
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