Norlys(ノールリース)-日々のあれこれ
Posted by norlys - 2007.09.10,Mon
週末は会山行で湯檜曽本谷に行ってきました。
湯檜曽川は、関東平野を流れる利根川の源流域にあります(源流部からはちょっと西に位置しますが)。
今年は暖冬だったため、雪渓はまったく残っていませんでした。
台風9号の通過直後ということもあって水量が多く、日中の気温がそれほど上がらなかったこともあり、ほとんどの大滝をさっくり高巻きました。
人気の沢だけあって、幕営予定地の二俣にはいくつかビバークサイトが点在し、快適な天然のキャンプ場となっていました。
ツメの踏み跡も明瞭で、薮漕ぎもそれほどたいへんではありませんでした。
魅惑的なカマがたくさんあるので、アツーイ真夏の日にまたいつか再訪したいと思います。
以下は山行記録。
山域: 上越 湯檜曽川本谷(3級)
山行形態: 沢登り 1泊2日
コースタイム:
土合駅前で前夜泊
(1日目) 4:30起床 → 5:30 一ノ倉沢Pに移動 → 6:00 歩き出し → 7:00 JR巡視小屋 → 7:35 武能沢入渓点 → 7:40 武能沢入渓 → 8:00 湯檜曽本谷の遡行開始 → 8:50 赤淵 → 9:20 5m滝上(ニセ十字峡w) 休憩 → 9:42 十字峡 → 10:00 2段20m 抱返り滝下 → 10:25 休憩(大釜でドボン大会) → 10:50 10m滝上 → 11:30 10m垂直幅広滝下 → 11:50 6m+8m 赤い滝下 → 12:05 40m大滝下 → 12:55 40m大滝上 → 13:20 二つ目の10m滝下 → 13:50 二俣手前右岸の幕営地に到着
(2日目) 5:00起床 → 6:58 歩き出し → 7:40 左手に1735岩峰 → 8:05 奥の二俣 → 8:50 水が涸れてくる(休憩) 薮漕ぎ開始(踏み跡明瞭) → 9:30 源頭部の平原 → 9:35 登山道に合流 → 10:00 朝日岳山頂 → 11:00 笠ヶ岳避難小屋(休憩) → 11:20 笠ヶ岳山頂 → 12:15 白毛門山頂 白毛門遡行組と偶然の邂逅 → 12:50 白毛門 下山開始(あとは各自) → 13:02 松ノ木沢の頭 → 14:10 白毛門登山口
装備: 沢基本装備、タープ+幕営装備、50mロープ×1
その他: 今年は暖冬につき雪渓ナシ、前日朝に台風9号が通過
会山行は湯檜曽本谷組のほか、ナルミズ沢(日帰り+1泊2日)、白毛門(日のみ)の4パーティでの集中山行。
今年はどこかの山頂で集中するのではなく、下山後に会えたらあいましょう~という予定でした。
週の前半に太平洋沖に発生した台風9号が洋上をのろのろと北上。関東を直撃し、日光や軽井沢方面にかなりの被害をもたらしました。
台風通過直後ということもあって増水が心配なところに、ナルミズ沢パーティから胃袋を刺激するお誘いを受けてかなり逡巡するも、当時の朝に川の様子を見てから考えようということに。
もっとも、パーティの誰ひとりとして過去に湯檜曽本谷を遡行した経験をもつ人間はいません。なにしろ4人の平均入会年数が1年弱、4人中3人は正式な沢デビューが今年~という新人4人衆。
いざというときに転進しやすいように、土合駅前で前夜泊。駅前のバス停に赤いスプレーで書かれた「Specter」というグラフィティに一同大盛り上がり。武蔵野の片隅で中高時代を過ごした自分はブラックエンペラーは知っていますが、スペクターは知りませんでした。それとも年の差?
翌朝、土合橋から湯檜曽川を眺めるも「…。」
「…(水量)多いかな」「…いつもこんなものかな」「・・・そんな気もするけど、ちょっと多いかな」「(水が)濁ってはいないよね」「(増水しても湯檜曽川は)濁らないって聞いたよ」「…やっぱり判断できないね」「・・・行ってみて、ウナギの寝床(赤淵)でだめそうならナルミズに転進すればいいよって代表が言ってたよね」
ということで、一ノ倉沢PにGo。
朝日を受けて光り輝く一ノ倉沢を眺めると、すでに取り付き部分にクライマーたちの姿がちらほら。うーん、岩もいいなぁ…。
駐車場にはカメラを担いだ人たちが何人かいましたが、沢装備をザックに仕舞いこんでいるのは自分たちのみ。
太陽の光は熱いもののまだほんのりひんやりと冷たい空気の中、7時に歩き出し。
JR巡視小屋から先は山道を辿ります。そろそろ武能沢の入渓点が近いから見落とさないようにしないと…と思ったら、武能沢の渡渉地点にちゃんと「武能沢」という標識がありました。
沢装備を整え、武能沢をちょいと下ると湯檜曽川に合流。どこどこと水流もたくましく、湯檜曽本谷の玄関ともいえも魚止めの滝が現れました。
マイナスイオンたっぷり。
と、わたしのママンが喜びそうなくらい、滝の飛沫が空気中に飛散しています。
いくらなんでもこの水の勢いでは無理…ということで左側の岩をつたって魚止めの滝を越えてると、一転して穏やかな浅い幅広の川になりました。
きっと普段ならもう少し川原が覗いているんじゃないかと思いますが、川幅いっぱい水でした。
少し歩くと、早速本日のメインイベントその1が登場。赤淵です。「ウナギの寝床」「学校の廊下を水浸しにしたよう」と形容される長い淵。
「想像より短い」「ほんとだ」と口々に言い合いながら一歩踏み出すも、「あ、足がつかない」と、慌てて左岸の岩にしがみつきます。遠めには流れのない穏やかな淵でしたが、意外に足元あたりの流れが強いのか、岩から手を離そうものならすう~っと身体をもっていかれそうになりました。クセものです。
「見下してすまんかった」「意外に手ごわいやつだった」と赤淵を越えると、今度はどご~っと水流が増して、左の方から勢いよく流れ込んできます。ちょうど、目の前に聳える大滝があったので「あれ、ここが十字峡?」「早いね~」と早速岩の上で休憩。
進行方向の反対側のチョロチョロ滝を見やりながら、Uさんが「でも、これが大倉沢? 」としきりに首を傾げていました。
休憩を終えて、ちょいと歩き出すと「あ。十字峡…」。見ると滝の上部からぶわーっと豪快に水が落ちてきています。「あ、これが大倉沢なんだ」「じゃあさっきのはニセ十字峡…」と、一同愕然とした後に爆笑。
十字峡を過ぎるとあちこちにナメや釜が現れ、明るく楽しい上越らしい沢に。
2段20mの抱返り滝は左側を大高巻き。薮を漕いで滝の上に出て少し進んだところで沢筋に降りました。
他の大滝も同様ですが、人がたくさん入っているだけあって、高巻きの踏み跡はそこそこ明瞭です。もっとも高巻きルートはすべてリーダーのY君が先行してくれたので、踏み跡がいまいち?な箇所もあったかもしれませんが。
抱返り滝を越えると大釜が出現。つっと、先を歩くY君が突然後ろを向き、釜にドボン。
続けて一同ドボン、ドボン。わたしも水中メガネを装着して飛び込みました。ひー冷たい~。
幕営予定地に早い時間に着かなければ…ということで、一同「軽量化」を合言葉にそれまでのナメや釜には脇目をふらずに前進を続けてきましたが、この大釜は魅惑的すぎました。
10m滝の左側の階段状チムニーを登ると、七ツ小屋沢の分岐が現れました。左岸を少し歩くとトイ状の岩場。ここは左側の岩場を伝って通過。頭上に送電線が見え、「おいしそうな水」の場所ってどこかな…といっているうちに8m滝下に到着。滝の左側カンテ馬乗りで乗り越えて、しばらくいくとでました、10m垂直幅広の滝。
←コレ。右から水流の中を左にトラバースして登る…と聞いていましたが(左から登れるという情報もあったけど)、戦意を喪失させるに十分な水量で、さっくり滝の右側を巻きました。
その後現れた、6m+8mの赤い滝も右側から高巻き。それまで花崗岩が主体の岩場だったのに、この滝の付近だけはなぜか閃緑岩で雰囲気がガラっと変わります。
赤い滝を越えると、ついに40m大滝のお目見え。本日の、そして湯檜曽本谷の最大の見所。滝の中段までは階段状で登りやすそうですが、その上は…滝の上部から落ちる水がちょっとした庇となっていて、まぁなんといいますか、「無理」。
下段の左側の階段状を登ると、残置ハーケンがあったのでここでセルフビレイ。水流にあたらないよう左側の岩場をY君がリードで登りました。中段上の草つきまで到達し、木立に支点をとったのを確認した後、残りの3人が順番に登りました。
滝の水流は冷たいし、この頃からガスが垂れ込めてきてパラパラと雨も降り始めたり。
直登ルートから外れて水流の端っこを登るとき、目の前にシュリンゲ付きの残置ハーケンがありました。
中段の草つきから滝の落ち口に向かってトラバース。「これ、ガイドブックと同じルートですね」というY君の言葉を受けて、遡行図を見ると、あホントだ。
滝自体が大きいためか、自然の造形というよりも、人工構造物みたいな印象でした。ごごごご…と流れ落ちる水に巻かれたら絶対に助からないなぁ~とぼんやり思ったり。
40m大滝を過ぎると流れはぐっと穏やかになり、右手の斜面も草原状と、空が晴れていれば文句なく気持ちの良い場所に。10m滝がふたつと小滝がいくつか越えると傾斜が緩やかになり、本日の幕営地である二俣に到着。「あ、着いた」「2時ちょっと前だよ」「早かったね」。
二俣の少し手前の右岸に広々としたビバークポイントがあったので、ここにタープを張り幕営の準備。
人がたくさん入る沢だしすでに9月に入っていることもあってか、焚き火用の流木や枯れ木は少なかったです。薪探しに遠征に出る途中、二俣手前の左岸(荒れてます)と二俣通過後の左岸(小ぶりですが快適そう)にビバーク地があるのを見つけました。なんか普通のキャンプサイトみたいです。
すっかり濡れたし気温は上がらずではやいところ焚き火でも…と、焚き火をくべるも乾いた木がないためなかなか炎があがらず。あまつさえ非情の雨が降り出しました。orz
じゃあ、早めにご飯でも食べて~という話になったときにたいへんな事が発覚。
ワタクシが今回の食担だったのですが、ガスを忘れてきました。。。。。みなさま、ほんとうにごめんなさい
( ノ´・Д・)ノミ(m´_ _)m ( ノ´・Д・)ノミ(m´_ _)m
雨は降るし、ガスはないし…と、仕方ないのでみんなで昼寝。このまま雨が止まなかったらご飯どうしよう・・・と不安にかられながらも自分も束の間の熟睡。
人の声にふと目を覚ますと、4時半過ぎ。本日初めて別パーティの二人組に会いました。こんな台風通過直後に湯檜曽本谷に入るのは自分たちだけかと思っていたのですが…。
別パーティの方たちがここでビバーク予定ならもう少し上流の快適そうな幕営地のことを伝えようかとぼんやりしている内に、そのまま朝日岳を目指して出発されました。
幸いなことに(ほんとに。。。)雨が小降りになったので焚き火を熾し、夕餉の支度。お粗末ながら、なんとか温かいご飯ができました。その後焚き火も、盛大とまではいかなくともなんとか燃え続けてくれました。
一時期空も晴れ、頭上にかかる天の川を堪能したり。濡れたお尻を焚き火に当てて乾かす姿が「雷鳥」に似ている~と盛り上がってみたり。確かに似ているかも^^
翌朝5時に起床。空はいまひとつすっきりしない曇り空で、気温もまだ低め。ポツリポツリと準備を整えつつ「うーん、まだ水の中に入りたい気分じゃないなぁ」なんて思いながらも、下山ルートも長いことだしと朝ごはんのパスタをがっつり食べて(おひとりさま150g(乾燥時)って、普段なら絶対に食べきれない量ですが)、7時ちょっと前にいざ出発。
とはいえ、メインイベントは昨日のうちに片付けてしまったので、特に難所もなく快適な沢歩き。
あの辺に出るんだよね~と、時折見える朝日岳の肩を見やるとかなり標高差が…。うーむ。地図上の直線距離は短いけれど、そういえば標高差約850mの登りだったけ…。
左手に聳える岩峰(かっこいい)を見送りながら進むと、次第に水量が減り傾斜もきつくなってきました。傾斜が厳しい分、ぐんぐんと高さを稼ぎ、水流が笹薮の中をちょろちょろ走るところで休憩(それまでもちょいちょいと休憩はとっていましたが)。
稜線に上がる踏み跡があるけど、どうしましょう。と、しばし協議。
稜線に上がっても、かえって薮漕ぎが大変なのでは? ということで、しばらく水流を追いかけることに。背丈よりちょっと低い笹に囲まれつつも、水流のところに岩が出ているので思ったより歩きやすかったです。
水流が終わると、腰の辺りまで笹薮と潅木のミックス地帯に。それでもかなり踏まれていて道は明瞭。でも、もうそろそろ朝日岳の山頂に続く登山道に出てもいいのでは…? と一同が首を捻った瞬間、ふっとガスが晴れて目前に草原が、左手に登山道が見えました。「あ、登山道だ」。
無事に登山道に合流し、木道の上で沢装備を解除。清水峠経由と白毛門経由のいずれの下山道を行くかで再度協議。多少アップダウンがあってもだらだら長い馬車道よりは、いっそ白毛門経由の方がコースタイムを縮められますよ、というリーダーの鶴の一声でルートが決定。
登山道を歩き出してあっという間に朝日岳に到着。朝日岳から笠ヶ岳まではアップダウンの連続で、濡れた沢装備を詰めたザックがずっしり。。
天気が良ければ谷川岳が見える気持ちの良い稜線上の道なのだと思いますが、残念ながらガスで風景は見えず。
まぁ白毛門までいけばあとは下りオンリーだから…と励まし合いながら? 白毛門山頂にたどり着き荷物を降ろしました。と、ちょうどそこに、見慣れた顔が続々と山頂直下の薮から登ってきました。白毛門を日帰りで遡行してきた別パーティでした。すごい偶然です。
そんなわけで大御所となり、集合写真を撮ったり話に盛り上がったりと山頂で楽しい時間を過ごして三々五々下山しました。
湯テルメで疲れをとり、沼田IC近くの焼肉屋さんでお腹いっぱいに食べて帰京しました。おしまい。
(感想)
今年は雪渓がなかったので、おそらく例年よりもグレードはやさしかったのかなと思います。
水量は多めでしたが、およそ遡行図と同じようなルートを辿ったので、普段もそれなりに水量が多い沢なのかなと思いますが、どうなのかな。
新人ばかりとはいえ、パーティ全員の力量が揃っていたので(自分はともかく)、とても楽しい沢登りでした。
ビバーク適地があり1泊2日の設定だったので、先日遡行した笹穴沢よりも、割合のんびりとしたペース配分で行くことができたような気がします。
下山路が長いです。でもまぁ、白毛門から先は下り一直線なので、それほど辛くはありませんが。
いつぞやの大寝坊に続いて、今回の大忘れ物…二度としないように気をつけます(自戒)。
湯檜曽川は、関東平野を流れる利根川の源流域にあります(源流部からはちょっと西に位置しますが)。
今年は暖冬だったため、雪渓はまったく残っていませんでした。
台風9号の通過直後ということもあって水量が多く、日中の気温がそれほど上がらなかったこともあり、ほとんどの大滝をさっくり高巻きました。
人気の沢だけあって、幕営予定地の二俣にはいくつかビバークサイトが点在し、快適な天然のキャンプ場となっていました。
ツメの踏み跡も明瞭で、薮漕ぎもそれほどたいへんではありませんでした。
魅惑的なカマがたくさんあるので、アツーイ真夏の日にまたいつか再訪したいと思います。
以下は山行記録。
山域: 上越 湯檜曽川本谷(3級)
山行形態: 沢登り 1泊2日
コースタイム:
土合駅前で前夜泊
(1日目) 4:30起床 → 5:30 一ノ倉沢Pに移動 → 6:00 歩き出し → 7:00 JR巡視小屋 → 7:35 武能沢入渓点 → 7:40 武能沢入渓 → 8:00 湯檜曽本谷の遡行開始 → 8:50 赤淵 → 9:20 5m滝上(ニセ十字峡w) 休憩 → 9:42 十字峡 → 10:00 2段20m 抱返り滝下 → 10:25 休憩(大釜でドボン大会) → 10:50 10m滝上 → 11:30 10m垂直幅広滝下 → 11:50 6m+8m 赤い滝下 → 12:05 40m大滝下 → 12:55 40m大滝上 → 13:20 二つ目の10m滝下 → 13:50 二俣手前右岸の幕営地に到着
(2日目) 5:00起床 → 6:58 歩き出し → 7:40 左手に1735岩峰 → 8:05 奥の二俣 → 8:50 水が涸れてくる(休憩) 薮漕ぎ開始(踏み跡明瞭) → 9:30 源頭部の平原 → 9:35 登山道に合流 → 10:00 朝日岳山頂 → 11:00 笠ヶ岳避難小屋(休憩) → 11:20 笠ヶ岳山頂 → 12:15 白毛門山頂 白毛門遡行組と偶然の邂逅 → 12:50 白毛門 下山開始(あとは各自) → 13:02 松ノ木沢の頭 → 14:10 白毛門登山口
装備: 沢基本装備、タープ+幕営装備、50mロープ×1
その他: 今年は暖冬につき雪渓ナシ、前日朝に台風9号が通過
会山行は湯檜曽本谷組のほか、ナルミズ沢(日帰り+1泊2日)、白毛門(日のみ)の4パーティでの集中山行。
今年はどこかの山頂で集中するのではなく、下山後に会えたらあいましょう~という予定でした。
週の前半に太平洋沖に発生した台風9号が洋上をのろのろと北上。関東を直撃し、日光や軽井沢方面にかなりの被害をもたらしました。
台風通過直後ということもあって増水が心配なところに、ナルミズ沢パーティから胃袋を刺激するお誘いを受けてかなり逡巡するも、当時の朝に川の様子を見てから考えようということに。
もっとも、パーティの誰ひとりとして過去に湯檜曽本谷を遡行した経験をもつ人間はいません。なにしろ4人の平均入会年数が1年弱、4人中3人は正式な沢デビューが今年~という新人4人衆。
いざというときに転進しやすいように、土合駅前で前夜泊。駅前のバス停に赤いスプレーで書かれた「Specter」というグラフィティに一同大盛り上がり。武蔵野の片隅で中高時代を過ごした自分はブラックエンペラーは知っていますが、スペクターは知りませんでした。それとも年の差?
翌朝、土合橋から湯檜曽川を眺めるも「…。」
「…(水量)多いかな」「…いつもこんなものかな」「・・・そんな気もするけど、ちょっと多いかな」「(水が)濁ってはいないよね」「(増水しても湯檜曽川は)濁らないって聞いたよ」「…やっぱり判断できないね」「・・・行ってみて、ウナギの寝床(赤淵)でだめそうならナルミズに転進すればいいよって代表が言ってたよね」
ということで、一ノ倉沢PにGo。
朝日を受けて光り輝く一ノ倉沢を眺めると、すでに取り付き部分にクライマーたちの姿がちらほら。うーん、岩もいいなぁ…。
駐車場にはカメラを担いだ人たちが何人かいましたが、沢装備をザックに仕舞いこんでいるのは自分たちのみ。
太陽の光は熱いもののまだほんのりひんやりと冷たい空気の中、7時に歩き出し。
JR巡視小屋から先は山道を辿ります。そろそろ武能沢の入渓点が近いから見落とさないようにしないと…と思ったら、武能沢の渡渉地点にちゃんと「武能沢」という標識がありました。
沢装備を整え、武能沢をちょいと下ると湯檜曽川に合流。どこどこと水流もたくましく、湯檜曽本谷の玄関ともいえも魚止めの滝が現れました。
マイナスイオンたっぷり。
と、わたしのママンが喜びそうなくらい、滝の飛沫が空気中に飛散しています。
いくらなんでもこの水の勢いでは無理…ということで左側の岩をつたって魚止めの滝を越えてると、一転して穏やかな浅い幅広の川になりました。
きっと普段ならもう少し川原が覗いているんじゃないかと思いますが、川幅いっぱい水でした。
少し歩くと、早速本日のメインイベントその1が登場。赤淵です。「ウナギの寝床」「学校の廊下を水浸しにしたよう」と形容される長い淵。
「想像より短い」「ほんとだ」と口々に言い合いながら一歩踏み出すも、「あ、足がつかない」と、慌てて左岸の岩にしがみつきます。遠めには流れのない穏やかな淵でしたが、意外に足元あたりの流れが強いのか、岩から手を離そうものならすう~っと身体をもっていかれそうになりました。クセものです。
「見下してすまんかった」「意外に手ごわいやつだった」と赤淵を越えると、今度はどご~っと水流が増して、左の方から勢いよく流れ込んできます。ちょうど、目の前に聳える大滝があったので「あれ、ここが十字峡?」「早いね~」と早速岩の上で休憩。
進行方向の反対側のチョロチョロ滝を見やりながら、Uさんが「でも、これが大倉沢? 」としきりに首を傾げていました。
休憩を終えて、ちょいと歩き出すと「あ。十字峡…」。見ると滝の上部からぶわーっと豪快に水が落ちてきています。「あ、これが大倉沢なんだ」「じゃあさっきのはニセ十字峡…」と、一同愕然とした後に爆笑。
十字峡を過ぎるとあちこちにナメや釜が現れ、明るく楽しい上越らしい沢に。
2段20mの抱返り滝は左側を大高巻き。薮を漕いで滝の上に出て少し進んだところで沢筋に降りました。
他の大滝も同様ですが、人がたくさん入っているだけあって、高巻きの踏み跡はそこそこ明瞭です。もっとも高巻きルートはすべてリーダーのY君が先行してくれたので、踏み跡がいまいち?な箇所もあったかもしれませんが。
抱返り滝を越えると大釜が出現。つっと、先を歩くY君が突然後ろを向き、釜にドボン。
続けて一同ドボン、ドボン。わたしも水中メガネを装着して飛び込みました。ひー冷たい~。
幕営予定地に早い時間に着かなければ…ということで、一同「軽量化」を合言葉にそれまでのナメや釜には脇目をふらずに前進を続けてきましたが、この大釜は魅惑的すぎました。
10m滝の左側の階段状チムニーを登ると、七ツ小屋沢の分岐が現れました。左岸を少し歩くとトイ状の岩場。ここは左側の岩場を伝って通過。頭上に送電線が見え、「おいしそうな水」の場所ってどこかな…といっているうちに8m滝下に到着。滝の左側カンテ馬乗りで乗り越えて、しばらくいくとでました、10m垂直幅広の滝。
←コレ。右から水流の中を左にトラバースして登る…と聞いていましたが(左から登れるという情報もあったけど)、戦意を喪失させるに十分な水量で、さっくり滝の右側を巻きました。
その後現れた、6m+8mの赤い滝も右側から高巻き。それまで花崗岩が主体の岩場だったのに、この滝の付近だけはなぜか閃緑岩で雰囲気がガラっと変わります。
赤い滝を越えると、ついに40m大滝のお目見え。本日の、そして湯檜曽本谷の最大の見所。滝の中段までは階段状で登りやすそうですが、その上は…滝の上部から落ちる水がちょっとした庇となっていて、まぁなんといいますか、「無理」。
下段の左側の階段状を登ると、残置ハーケンがあったのでここでセルフビレイ。水流にあたらないよう左側の岩場をY君がリードで登りました。中段上の草つきまで到達し、木立に支点をとったのを確認した後、残りの3人が順番に登りました。
滝の水流は冷たいし、この頃からガスが垂れ込めてきてパラパラと雨も降り始めたり。
直登ルートから外れて水流の端っこを登るとき、目の前にシュリンゲ付きの残置ハーケンがありました。
中段の草つきから滝の落ち口に向かってトラバース。「これ、ガイドブックと同じルートですね」というY君の言葉を受けて、遡行図を見ると、あホントだ。
滝自体が大きいためか、自然の造形というよりも、人工構造物みたいな印象でした。ごごごご…と流れ落ちる水に巻かれたら絶対に助からないなぁ~とぼんやり思ったり。
40m大滝を過ぎると流れはぐっと穏やかになり、右手の斜面も草原状と、空が晴れていれば文句なく気持ちの良い場所に。10m滝がふたつと小滝がいくつか越えると傾斜が緩やかになり、本日の幕営地である二俣に到着。「あ、着いた」「2時ちょっと前だよ」「早かったね」。
二俣の少し手前の右岸に広々としたビバークポイントがあったので、ここにタープを張り幕営の準備。
人がたくさん入る沢だしすでに9月に入っていることもあってか、焚き火用の流木や枯れ木は少なかったです。薪探しに遠征に出る途中、二俣手前の左岸(荒れてます)と二俣通過後の左岸(小ぶりですが快適そう)にビバーク地があるのを見つけました。なんか普通のキャンプサイトみたいです。
すっかり濡れたし気温は上がらずではやいところ焚き火でも…と、焚き火をくべるも乾いた木がないためなかなか炎があがらず。あまつさえ非情の雨が降り出しました。orz
じゃあ、早めにご飯でも食べて~という話になったときにたいへんな事が発覚。
ワタクシが今回の食担だったのですが、ガスを忘れてきました。。。。。みなさま、ほんとうにごめんなさい
(
雨は降るし、ガスはないし…と、仕方ないのでみんなで昼寝。このまま雨が止まなかったらご飯どうしよう・・・と不安にかられながらも自分も束の間の熟睡。
人の声にふと目を覚ますと、4時半過ぎ。本日初めて別パーティの二人組に会いました。こんな台風通過直後に湯檜曽本谷に入るのは自分たちだけかと思っていたのですが…。
別パーティの方たちがここでビバーク予定ならもう少し上流の快適そうな幕営地のことを伝えようかとぼんやりしている内に、そのまま朝日岳を目指して出発されました。
幸いなことに(ほんとに。。。)雨が小降りになったので焚き火を熾し、夕餉の支度。お粗末ながら、なんとか温かいご飯ができました。その後焚き火も、盛大とまではいかなくともなんとか燃え続けてくれました。
一時期空も晴れ、頭上にかかる天の川を堪能したり。濡れたお尻を焚き火に当てて乾かす姿が「雷鳥」に似ている~と盛り上がってみたり。確かに似ているかも^^
翌朝5時に起床。空はいまひとつすっきりしない曇り空で、気温もまだ低め。ポツリポツリと準備を整えつつ「うーん、まだ水の中に入りたい気分じゃないなぁ」なんて思いながらも、下山ルートも長いことだしと朝ごはんのパスタをがっつり食べて(おひとりさま150g(乾燥時)って、普段なら絶対に食べきれない量ですが)、7時ちょっと前にいざ出発。
とはいえ、メインイベントは昨日のうちに片付けてしまったので、特に難所もなく快適な沢歩き。
あの辺に出るんだよね~と、時折見える朝日岳の肩を見やるとかなり標高差が…。うーむ。地図上の直線距離は短いけれど、そういえば標高差約850mの登りだったけ…。
左手に聳える岩峰(かっこいい)を見送りながら進むと、次第に水量が減り傾斜もきつくなってきました。傾斜が厳しい分、ぐんぐんと高さを稼ぎ、水流が笹薮の中をちょろちょろ走るところで休憩(それまでもちょいちょいと休憩はとっていましたが)。
稜線に上がる踏み跡があるけど、どうしましょう。と、しばし協議。
稜線に上がっても、かえって薮漕ぎが大変なのでは? ということで、しばらく水流を追いかけることに。背丈よりちょっと低い笹に囲まれつつも、水流のところに岩が出ているので思ったより歩きやすかったです。
水流が終わると、腰の辺りまで笹薮と潅木のミックス地帯に。それでもかなり踏まれていて道は明瞭。でも、もうそろそろ朝日岳の山頂に続く登山道に出てもいいのでは…? と一同が首を捻った瞬間、ふっとガスが晴れて目前に草原が、左手に登山道が見えました。「あ、登山道だ」。
無事に登山道に合流し、木道の上で沢装備を解除。清水峠経由と白毛門経由のいずれの下山道を行くかで再度協議。多少アップダウンがあってもだらだら長い馬車道よりは、いっそ白毛門経由の方がコースタイムを縮められますよ、というリーダーの鶴の一声でルートが決定。
登山道を歩き出してあっという間に朝日岳に到着。朝日岳から笠ヶ岳まではアップダウンの連続で、濡れた沢装備を詰めたザックがずっしり。。
天気が良ければ谷川岳が見える気持ちの良い稜線上の道なのだと思いますが、残念ながらガスで風景は見えず。
まぁ白毛門までいけばあとは下りオンリーだから…と励まし合いながら? 白毛門山頂にたどり着き荷物を降ろしました。と、ちょうどそこに、見慣れた顔が続々と山頂直下の薮から登ってきました。白毛門を日帰りで遡行してきた別パーティでした。すごい偶然です。
そんなわけで大御所となり、集合写真を撮ったり話に盛り上がったりと山頂で楽しい時間を過ごして三々五々下山しました。
湯テルメで疲れをとり、沼田IC近くの焼肉屋さんでお腹いっぱいに食べて帰京しました。おしまい。
(感想)
今年は雪渓がなかったので、おそらく例年よりもグレードはやさしかったのかなと思います。
水量は多めでしたが、およそ遡行図と同じようなルートを辿ったので、普段もそれなりに水量が多い沢なのかなと思いますが、どうなのかな。
新人ばかりとはいえ、パーティ全員の力量が揃っていたので(自分はともかく)、とても楽しい沢登りでした。
ビバーク適地があり1泊2日の設定だったので、先日遡行した笹穴沢よりも、割合のんびりとしたペース配分で行くことができたような気がします。
下山路が長いです。でもまぁ、白毛門から先は下り一直線なので、それほど辛くはありませんが。
いつぞやの大寝坊に続いて、今回の大忘れ物…二度としないように気をつけます(自戒)。
PR
Comments
Post a Comment
Calendar
最新記事
(07/27)
(07/13)
(07/10)
(03/18)
(03/17)
(03/16)
(03/16)
(03/16)
(03/12)
(03/10)
Profile
HN:
norlys
性別:
非公開
自己紹介:
Norlys(ノールリース)。極光、いわゆるオーロラ。雪の降る季節と雪の降る景色がすき。趣味は編み物。週末は山を散策。
色々と気になることをメモしたり、グダグダ書いてみたり。山の記録はなるべく参考になりそうなことを…と思いながらも思いついたままに垂れ流し。。
色々と気になることをメモしたり、グダグダ書いてみたり。山の記録はなるべく参考になりそうなことを…と思いながらも思いついたままに垂れ流し。。
つぶやき。
Category
Search
Meteo
Look down on Earth
↑陸域観測技術衛星ALOS(だいち)
「P」ボタンを押すと衛星画像になりますyo
Ads
Comments
Trackbacks
Tool
Log
Template by mavericyard*
Powered by "Samurai Factory"
Powered by "Samurai Factory"