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Norlys(ノールリース)-日々のあれこれ
Posted by - 2024.05.15,Wed
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Posted by norlys - 2014.04.01,Tue
週末の土曜日(3月29日)は赤岳ショルダーリッジ右ルートへ。
翌日の日曜日が全国的に雨の予報だったので、金曜日前夜発の土曜日ワンデイで。

5時45分過ぎに、いつものように美濃戸口から歩き出し。泊まり道具がないので荷物が軽い。

美濃戸山荘からは久しぶりの南沢ルートへ。お天気は上々。陽射しが暑いくらい。
8時40分に行者小屋に到着。ここでサブザックに装備を詰め替え。

遠くに北アルプスの稜線がくっきりと見える。阿弥陀岳から中岳、赤岳、横岳と続くスカイラインに気持ちが昂る。気温は高く風が心地良いくらい。

9時15分過ぎに行者小屋を出発。次々に連なる登山者の一群に交じり文三郎尾根へ。赤岳沢を詰めるルートにトレースはなし。予定どおり、文三郎尾根からのトラバースとする。
10時15分頃、標識の手前少し下から赤岳主稜へトラバーストラバース箇所はサンクラストのバーンになっていて緊張。

主稜の取付きには誰もおらず、ここで装備の最終準備。
雪が深く、チョックストーンが目の高さ。雪を掻くと、ビレイ点となるペツルのハンガーが現れた。

ワンデイなのだからさっさと登り始めなくは…なのだけど、足場が悪いこともあり、準備に手間取る(すみません…)。

主稜の取付き下からのトラバースは悪そうなので、ロープを付けて主稜の1P目のチョックストーンを乗り越し、ルンゼの上の岩角でビレイ。
トップを交代し、岩の基部伝いに左ルンゼ方面に下降。50mロープがいっぱいに伸びたところに左ルンゼの取付きのビレイ点あり。
再度トップを交代して基部伝いに15mほど降りると、顕著な凹角の頭上に銀色のハンガーボルトとハーケン見えた。凹角沿いに視線を追うと、さらに2つのハンガーボルトが確認できた。

「ここにペツルがあるよ」ということで、パートナーのまに氏に来てもらい、しげしげとルートを確認。出だしからかなり手強そうだけど、支点がしっかりしていそうなのは心強い、かも。

間もなく正午。気温が上昇するにつれ、雪と岩が緩むのか左ルンゼにひゅんひゅんと落石が飛んでくる。暖かいのは嬉しいけれど、余り良い気持ちではない。

1P目 (35m、Ⅴ)
まに氏リード。出だしから被り気味のうえに岩が脆く、ダブルバイルではなく手袋を外して素手での登攀。頭上からボロボロと岩が落ちてくる。
かなり難しそうだけど右に左にとラインを繋ぎ、危なげなく順調にロープを伸ばして凹角の隅に消えていった。「ビレイ解除」のコールを受け、自分も手袋を外してスタンバイ。いざ登り始めると「わ、悪い…」。全体的に岩というかほぼ泥の塊のようなボロさの上に、草付はぐずぐずでバイルが刺さらない。岩角にバイルを引っ掛けようにも泥壁をほじくり返すばかりだし、傾斜があるので力をかけざるを得ないのに、場所を選ばないと大きなホールドもスタンスもいつ落ちてもおかしくないくらいグラグラ。「ショルダーリッジの核心は1P目」という評判どおり…メンタルグレードが高い。

途中でロープに紫のリンクカムがぶら下がっているのを見て「あぁ重たいからロープにセットしてデポしたのかなぁ」と思っていたら、中間のフィンガークラックにバチ効きさせた筈だったそうな…。クラック内部にベルグラが残っていたから、ロープドラッグでカムが外れてしまったのかも。

2P目 (50m、Ⅳ)
「ハーケンが3つあったのでピッチを切ったけど、切れ込んだルンゼを挟んだ左側にボルトが見える」とのことで、そのまま自分がトップでルンゼの左に移動。
ペツルのボルトが2つにハーケンが1枚のしっかりした支点がありました。左手には貧弱な灌木がまばらに生えた緩い雪の斜面が続いている様子。ここが左ルートとの合流点かな…と話し合う。

いったん2人ともこのビレイ点に移動し、そのまま自分が継続で登攀。頭上4mほどの垂壁はたいして難しくなさそうだったし、それほど難しくはなかったものの、ここもまた全体的に岩がグラグラだし細い灌木の根っこは涸れているし…で、緊張。
だましだましリッジに上がり、ようやく人心地つく緩やかな雪稜を歩き第二岩壁の手前まで。
岩壁に辿り着けばなにかビレイ点がとれるかと思いきや、残置もリスもクラックもピナクルもなく、雪から顔を出していた小ぶりな岩角にスリングを巻いてビレイ。

第二岩壁の真正面には細いチムニーがあり、中間部に残置スリングが垂れていたけれど「あれは強点を突いたラインで、あのスリングはエイド用だよね…きっと」と合意し、弱点を探すことに。

3P目 (10m、Ⅱ)
第二岩壁手前ではビレイ点がとれないため、岩壁手前10mほどにある灌木にてビレイをしてもらい、自分がそのまま岩壁を右に回り込む。多少は傾斜が緩やかな凹角が続く。その下の大きな岩に頑丈なアングルピトンがあり、カムで補強してビレイ点に。
先ほどのピッチからそのまま伸ばしてしまえばよかったかも…と、反省。

4P目 (50m、Ⅳ-)
まに氏リード。そろそろ岩も硬くなってきたりしないかな…と期待したものの、相変わらずのボロさで、頭上からがんがん岩が落ちてくる。ロープがいっぱいになったところでビレイ解除のコール。
掴むと剥がれるので、だましだましそうっと岩を抑えて足を上げて…の繰り返し。「ラク!」と、何度も岩を後ろに投げ落とす。今回は貸切だったので周囲を気にせずに済んで幸いだったけれど、万が一先行パーティがいたとしたらここには取り付けなかっただろうなぁ。

ほぼ直線的なラインどりで50mいっぱいというすっきりしたラインなので、もう少し早い時期で全体的に凍結していたら、多少は快適だった…のかな。

5P目 (45m、Ⅱ)
自分がリード。相変わらずボロいけれどなだらかな草付と雪の斜面をぽくぽく歩く。中間支点は全然とれないけれど、落ちなければ大丈夫かぁ…という感じ。目の前に小さな岩壁が現れたので、そこまで歩くと岩場の基部に軟鉄ハーケンとピトンが2枚。この先、軟鉄ハーケンが何度か現れ、自分は親しみを覚えて「軟鉄さん」と呼ぶことになる。

6P目 (45m、Ⅲ)
下部の岩壁はフォローで登らせてもらったので、自分が続けてリード。
5mほどの短い凹角のチムニーを登る。多少は岩が硬くて快適。チムニーから顔を出して先の風景を見るや思わず「うお、なんですかこれ…」と声を出してしまった。
ボロボロの痩せ尾根が伸びていて、北アルプスの岩稜帯みたい。ボロボロの岩で構成された側壁の切れ落ちた細いリッジを右に左に絡みながら歩き、目前に広がるガレ場の斜面手前にある「軟鉄さん」でビレイ。

7P目 (50m、Ⅱ)
まに氏リード。傾斜の緩いガレた斜面。ちょっとした岩は右から巻き、どんどんロープを伸ばす。終始ボロボロながらも、標高が上がってきたためか多少草付にバイルが刺さり始める感触がある。

それにしても、そろそろ稜線が見えてきてもいい頃なのだけど、あとどのくらいあるのだろう…そろそろ16時を回るし…と、思う。

8P目 (65m、Ⅱ)
雪交じりのなだらかな岩稜帯をぽくぽく歩く。途中でロープがいっぱいになった気配があったけれど、切れ目が悪いし、途中の残置ハーケン2ヶ所に支点をとっているから同時登攀で問題ないだろうと…と、そのままロープを伸ばす。
ふと見ると、目の前に登山道のトレース。ようやく!
右手にはショルダーリッジのピークがあり、その先に赤岳の山頂が続いている。とりあえず終わった。
振り返り「登山道だよー」と声をかけると、「途中のハーケン抜けてたー」と手に錆びたハーケンを手にまに氏が登場。16時半前。雲がだいぶ多くなってきたものの、360度の展望。

ロープを解いて、ショルダーのピーク(?)に移動。時間がないので赤岳山頂は割愛。
そのまま展望荘方面に降り、途中経過を会に報告。

地蔵尾根を一目散に降り、行者小屋にて荷物をまとめ、次第に薄暗くなってきた南沢の登山道をえっちらおっちら。

美濃戸から下の林道はこの日の暖かさですっかり雪が消え、硬い冬靴で地面を歩くのがしんどい…。
そんなこんなで、ちょうど20時前に美濃戸口に到着。朝の出発から約14時間行動なので疲れましたが、無事に戻ることができてよかったです。

赤岳ショルダーリッジもまた、以前から登ってみたいルートのひとつでしたが、お隣の赤岳主稜に比べると記録がそれほど多くはなく(赤岳主稜の記録が極端に多いのかもですが)、資料も登山大系のおおらかな記述を越える内容はほとんどなく(下部岩壁が核心であとは適当に~みたいな)、興味はあるけれど果たして…という感じでした。

登ってみれば、なるほど岩は全体的に脆く支点はとり辛く、下部岩壁の登攀は難易度が高く(岩が硬ければ最高なのに…)と、記録や資料が伝えるとおりでした。

岩壁というよりも沢登りでボロい泥壁を攀じ登っているような感覚に陥ったり、岩がボロすぎて中間支点が全然とれなくとも落ちそうにない箇所だし、それならば「かえってプロテクションのことを考えずに済むから気が楽だわ」というようなRR8でのヘイゼル・フィンドレイの台詞を思い出しながら登りました。

ただ、ルート全体を通じて、リッジに絡んで壁の弱点とリッジ上を繋ぐのですっきりとしていて高度感があり景色は最高で、とても楽しいルートである点も記録や資料の言わんとするとおりでした。

楽しかったです。ありがとうございます。


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自己紹介:
Norlys(ノールリース)。極光、いわゆるオーロラ。雪の降る季節と雪の降る景色がすき。趣味は編み物。週末は山を散策。

色々と気になることをメモしたり、グダグダ書いてみたり。山の記録はなるべく参考になりそうなことを…と思いながらも思いついたままに垂れ流し。。
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