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Norlys(ノールリース)-日々のあれこれ
Posted by - 2025.03.17,Mon
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Posted by norlys - 2007.08.13,Mon

週末は上越で沢登り。毎度長くなりがちな山行記録は以下。

場所:上越 赤谷川笹穴沢

コースタイム(間違っているかも。。):
8月10日(金) 都内 21:00 → 川古温泉下駐車場 24:00頃 テント泊 夜1時過ぎに就寝
8月11日(土) 快晴→晴
4:00 起床 → 川古温泉上駐車場に移動 → 4:55 歩き出し → 赤谷川林道 → 6:10 渋沢林道分岐 → 6:35 赤谷川林道終点、笹穴沢出合 → 7:10 入渓 → 8:50 金山沢分岐 → 9:50 三俣分岐 → 10:30 2段30m滝下 → 11:00 15m滝下 → 11:40 20m赤岩滝下 → 12:45 30m大滝下 → ※40mロープでは長さが足りずハーケンを打つ 14:40 30m滝上 → ※滝への合流が難しく薮漕ぎに苦労 → 15:00 30m滝上からナメにトラバース完了 → 16:15 20m斜滝下 → 16:45 6m滝下 → ※高巻き過ぎて薮漕ぎまくり → 17:30 6m(8m?)直滝上 → 18:10 水涸れる → 草原&笹薮を直登 → 18:40 トラバース道(廃道)に合流 → 19:21 平標への登山道に合流 → 19:50 平標山の家着

8月12日(日) 快晴→晴
5:00 起床 → 7:10 歩き出し → 7:45 平標山頂 → 8:20 下山開始 → 8:40 平標山の家
9:10 歩き出し → 10:05 大源太山 山頂 → 10:35 黒金山 山頂 → 11:55 黒金山登山口 → 渋沢林道 → 12:20 赤谷川林道合流 → 13:45 川古温泉下駐車場

装備:基本沢装備(個人)、40mロープ×1、ハンマー、ピトン、2万5千分の1 地図、遡行図(奥利根・谷川連邦の沢、他 計4種類)
その他:雪渓なし、水量普通(2日前に100mm/hの大雨が降ったとのこと)

「笹穴沢に行こう」というH氏の言葉を受けて、早速本屋で「奥利根・谷川連邦の沢」(白山書房)を購入。グレードは3級下とのことで、自分には未知の世界。というよりも、沢登りそのものの経験値が低いので判断が難しい。でも「120mの大ナメがあるよ」と聞いたら、それだけでももう行く気満々。出発前日にY本さんも参加可能との連絡を受けて一路3人で川古温泉を目指しました。

関越道を月夜野ICで降り、国道17号を三国峠方面に走ると、なぜかスキーに行く気分に。冬の週末の通い路なので脊髄反射か。猿ヶ京から川古温泉方面に右折し、道端に水洗トイレのある川古温泉上駐車場にテント泊。

翌朝4時に起床。25リットルのサブザック(ペラいやつ)では荷物が入りきらず、34リットルのメインザックの中身を空けて、装備を準備。川古温泉に近いほうの駐車場に車を移動し、4時55分に歩き出し。外はすっかり明るい。気温はまだ適温というところだけれど、今日一日も猛暑日になる予感がヒシヒシ。入渓点までは長く平坦な林道歩き。林道は幅広くよく整備されているものの、ところどころ落石が転がっているので注意が必要。1時間半近く歩いてようやく渋沢林道との分岐を過ぎると、道が荒れている。しばらく歩くと赤谷川林道終点の標識。どうも足が痛いなぁ。。と見るとCW-Xと靴下の間に噛まれた跡が4箇所ほどあり、血がだらだらと流れている。ヒルだ。うわー、初めて。「ちょっとはダイエットになったかな」とおバカなことを言いながら、月見草オイル+ラベンダー精油の自作オイル(混ぜただけ)を塗りこんで気休めの消毒+皮膚補修。

DSCF3768.jpg入渓点でガチャを装備。と、せっかく用意した遡行図がない。どこで落としたのだろ。。。
ヒルにやられるし、遡行図は失くすしで、ちょいと落ち込む。
 







DSCF3773.jpg7時10分に遡行開始。鋭い夏の陽射しが強く谷間に差し込んでいて、水温はちょっぴり冷たいものの水が気持ち良い。
出だしの1m、3m、1mのナメ滝は釜が深く、ちょいととりつきにくそうなので右側を高巻く。


踏み後を辿って沢に下りると、広々とした明るい川原。巨石がゴロゴロ転がっている。丹沢と似た石英閃緑岩の地質と思しき深成岩が水で削られた渓谷。岩はほとんど苔むしておらず、フリクションが効いて歩きやすい。

小型トラック並みの巨石がゴロンとあちこちに転がっていて、ガリバーが巨人の国にいるときの気持ちってこんな感じかな。。。と思いながら歩く。
雪解け水の勢いが激しいためか、傾斜の緩く幅の広い川にも関わらず、小さな滝の下はいずれも釜が形成されている。「泳ぎたい~」とはしゃぐ気持ちを抑えて、先を急ぐ。
広いナメ滝5mや小滝の連続は快適な階段状で、釜をへつったり巨石を乗り越えたり、水に触れたり川岸を歩いたりと、愉快な川遊び。

見事な大釜が出現したので、ここで休憩。流れも緩くちょっとしたプール状態。荷物を降ろし、水中眼鏡を装着して釜の中に潜る。透明度がとても高く、とにかく楽しい。

DSCF3786.jpg1時間45分くらいで金山沢との分岐に到着。ここから先は登攀要素がぐっと増える。周囲は角ばった赤黒い岩だらけ。赤谷川という名称のゆえんかなと思う。(玄武岩かなと思ったけど、黒色頁岩らしいです)
遙か前方にクロガネ岩峰が聳えて見える。あのチムニーいいですね、登りたいですね、でもアプローチしんどそうですねと、はしゃぐ自分。「誰も登らないから岩が脆いよ」とH氏がバッサリ。あう。









DSCF3796.jpg10時半過ぎに2段30m滝下(写真 右)に到着。本日初めて大物の滝。全体的にしっかりした階段状の岩場なので、ロープを出さずに滝の右側をどんどん登る。途中に古い残置ハーケンがあったけれど、いずれも年季が入っている様子。ロープを出しても、この残置ハーケンでは気休め程度にしかならないと思われ。




DSCF3800.jpg






11時に15m滝下(写真 左)に到着。滝の右側に残置シュリンゲが見えたけれど、左側の方が簡単そう。ということで、滝の左手をノーザイルで登る。左側にも古い残置ハーケンあり。





DSCF3804.jpg続く10m滝(写真右)では、すでに2つの滝を越えてきて少し疲れもでているだろうから安全のために今度はザイルを出そうとH氏がリードで登る。わたしは2番手でフィックス状態のロープにプルージックをセットして登り、Y本さんがトップロープで続く。念のためロープを出したけれど、ノーザイルでもだいじょうぶかも。









DSCF3811.jpg11時40分に25m赤岩滝下に到着。ここで昼食。H氏がリードで登攀(毎度すいません。。)。途中に残置ハーケンが2箇所あり、滝上のナメを少し上がったところの潅木でビレイ。わたしは2番手で再度プルージックで登る。上部には見事なナメ滝が続いている。

ところで。H氏が滝上でロープをセットしている間、自分たちの後方で上の方から「ひゅひゅひゅひゅひゃ~」という甲高い奇妙な音が聞こえました。ふとY本さんと目が合うとY本さんから「聞こえた?」との問いかけ。勿論聞こえましたとも。鹿の鳴き声かな、風の音かな...と、ふたりで大事のない方向でオチをつけようと試みたけれど、わからずじまい。もっと金属的な、硬質な響きでした。ちなみに、すでに滝の上にいたH氏にはその奇妙な音は聞こえなかったそうな。



しばらくナメを歩くと突然ガレっぽくなり、水流が少し細くなる。もうこの先水遊びはできないのかな。。と不安になりながら右に左にと沢を歩くと、本日最大のビックイベントが。目前に30m滝と、その上に続く120mナメ滝が登場。まるで高層ビルのようにどこまでも水流が上へ上へと続いていて、圧巻。
水は下に落つるものなのに、まるで水が上に立ち昇っていくような、「昇竜」という言葉がぴったりの風景。水流の先を望むと、彼方にまあるくなだらかな平標山の山頂が覗いていました。
 
DSCF3829.jpgこの30m滝もH氏がリード(ありがとうございます)。滝の右側の岩場を登っていくと、途中で40mロープがいっぱいに。幸い足元に若干余裕のある場所まで到達していたけれど、どうやらビレーポイントが見当たらない様子。

ピーンと斜め左上に張られたロープを背後にまわしてプルージック。。。は、厭だなぁ。。。けれど2回トップロープを行うとなると、2番目の人は釜に泳いでロープをとりに行かなくちゃいけないし、ロープいっぱいでは取り付きもしんどそう。。。それにしても、上の様子はどうなっているんだろう。。。と、ぐるぐる考えながら周囲を見回すと、滝から沢まで斜めに傾斜地が続いているぞ、と。これなら高巻いてH氏のところまで行けるかも、せっかくの30m滝だから登りたいけど。。。と、再度ぐるぐる考えながらも、ロープワークで時間を無駄にするよりは、と独断で決行。
 


傾斜地の末端まで戻り、斜めに藪を漕いで行く。見た目よりも傾斜が急で、リーダーの判断を仰がずに勝手に高巻いてしまい良かったのだろうかと一瞬後悔したけれど、笹や潅木がしっかりと根付いていて、ところどころ岩が露出しているところを足がかりに藪を漕いでいく。うまい具合にH氏がハーケンを打ってビレイをとっているところに合流。自分はたまたまアクアステルスのラバーソールの沢靴だったので、藪でも滑ることなく歩けたけれど、これがフエルトソールだったら滑ってしまってトラバースできなかったかもしれないなと思う。
 
「大丈夫ですか?」とH氏に声をかけると、ロープなくなりそうだなと思ってちょうどリッジだったし、目の前にクラックがあるのでハーケンを打とうと思ったんだけど、ハーケンもハンマーもザックの中で、なんとかビレイをとって、荷物を出して。。。とのこと。ご苦労さまでした。
 
それにしても終了点ありませんね。。。この先はどうなっているんでしょ? ということで、Y本さんが登ってくる間、わたしは巻き道を偵察。
滝の脇を上にあがると、沢からかなり離れてしまい40mロープを折り返しての懸垂下降だとロープ長がギリギリになりそうな気がしたので、同じ藪道中ならこのままトラバースをしたほうが良さそうだと報告。
 
トラバースもこれまた傾斜の厳しい潅木の中。H氏がリードで道を探りに行く。なかなか到着した様子がない。滝がすぐそばなので、声も全然届かない。そんなに離れていないだろうと思ったのに、ロープがほぼいっぱいになったところで、手元に反応が。ほっ。
今度はY本さんがプルージックで続き、Y本さんの到着を待つ間、わたしは岩角にセルフビレーを取り直し、ハーケンを回収。陽射しが照りつけて暑い中、しばらく待つとロープを引く合図があったので、潅木が生い茂っている中をロープが絡まないように気を遣いながらトラバースし、直下のナメ滝に降りる。
 
この30m大滝で、実に2時間ばかりを費やしたことに。ネットで検索した他のパーティの遡行記録でも、この大滝では時間がかかった話が多かったので、自分たちだけではないと慰めつつ。
 
DSCF3849.jpgそんなわけで、ようやく笹穴沢のハイライトである120m大ナメ滝に到着。本の写真ではもっと傾斜の緩いナメだと勝手に思い込んでいたのに、思ったよりも高さがあって内心ビビル。
憧れの120m大滝とはいえ、そろそろ滝もナメもお腹いっぱいだなぁ。。。というところに、満漢全席フルコースが銅鑼と共に登場、という気分。

大滑滝ではロープの出しようもなく、とはいえ滑ったら一発人生アウトなので、滝の中央部ではなく、右側の草付きを登る。こちらは階段状で快適だし、少しは安心。
(←大滑滝を振り返る。まさに見事な滑り台。。)

DSCF3856.jpg

見事なS字カーブのところまで上がり、ようやく一息。
滑ったら危ないのは同じなのだけど。。

もうただただ自然の造詣のスケールの大きさに圧倒。







DSCF3860.jpg続く15m滝は水流の左手の草つきを高巻く。
 

行く手の両側に稜線が見えて来たけれど、なだらかに続く稜線の端はまだまだ遠い。手元の時計ではまだ標高1450m地点にいるらしい。山頂まであと約400mもの高度差。そろそろ日が傾くのを心配しはじめる。
 







トイ上のナメ5m滝を越えると、本日のラスボス登場。前方に直瀑6m滝が現れる。垂直に切り立つ滝は、ココロと時間に余裕があればぜひ挑戦してみたかったけれど、長い一日の最後に挑むには少々HPが不足気味。
 
それにここでロープを出しているとますます時間に余裕がなくなるのでは。。。と焦った自分がトラバース道を探りに高巻きに挑戦。笹藪だと後続のふたりのフエルトソールが滑ってしまうだろうとなるべく岩場をつたったところ、滝をはるかに高巻き過ぎてしまい、滝が眼下に。あぁ。。。大失敗。
最後尾のH氏に退却を要請。来た道から真横に笹薮の中をトラバースすると、なんとか滝の上部に到着。急がなくちゃと言っている自分がかえって大回りをさせてしまい、ほんとうに申し訳ありませんでした。。
 
DSCF3873.jpgこの6m滝を過ぎると、徐々に水流が細くなり、小ぶりな滝をいくつか乗り越える。両岸には緑の草原が広がり、空は茜色。この時点でも標高は1700mを過ぎたところ。うーむ、山頂は遠いなぁ。
 
最後の二俣を左に行くと、水が涸れて藪笹のトンネル。右俣を選ぶのは「奥利根・谷川連邦の沢」の遡行図どおりなのだけど、事前にネットからコピーした遡行図では左俣を推奨していたのをすっかり失念。それでもトンネルを抜けると藪笹は低くなり、前方に稜線と山頂を仰ぎ見ながら前進。
 


しばらく藪笹&草原を直登。陽がかなり傾き、平標の向こうの雲が紅い。草原の中で後続の2人を待っていると、さあっと冷たい風が吹き上げてくる。なぜか、あぁここは「嵐が丘」だと思った。
 
今来た道を見下ろして左手を見ると仙の倉方面にガスがかかっている。おそらくあれは雨雲ではないだろうし、雷が来る気配もない。それでも自分ひとりだけなんだか厭な空気を感じて、先を急ぎたい気持ちでいっぱいになる。いざというときにはビバークもありということで、装備はちゃんと用意してあるけれど、とにかく平標山の家まで行くぞ~と、ひとりで焦る。

自分には霊感はありませんが、ふとあそこはなにかが通る道だと感じ、早く立ち去りたい一心でした。ただ、もしかするとおすそ分け(後述)に預かれるチャーンスと鼻が効いたのかも。。。
お二方には、急かしてしまってすいませんでした。。。
 
しばらく直登すると、今は廃道になったトラバース道に合流。山頂に上るのを諦めて、そのままトラバース道を左に辿る。廃道の跡はほんのり残っていて迷うことはないけれど、木道が残っていたり突然段差があったりして歩きにくい。途中でヘッドランプを装着し、7時21分に平標山の登山道に出る。
しっかりと整備された木道を下り、8時ちょっと前に平標山の家に到着。
 
平標山の家にはふたつの建物があり、ひとつは山小屋でもうひとつは避難小屋(トイレはこっち)になっている。避難小屋の方には先客がいる様子だったので、山小屋の方を開けるとすでに登山客が就寝中。それではと避難小屋に入ると、楽しそうに宴会中。

「どっから来たの?」と問われ、「笹穴沢です」と答えると、「あ~、それならまぁ、早いほうか」とのこと。なんでも「昨日(笹穴沢を遡行した)の人は2日間沢でビバークして辿り着いた」そう。さらに「2日前には、100ミリの大雨が降って増水がすごかった」とのこと。無事でなによりです。

無事に小屋に辿り着いた安心感と、一日の長い行程の疲労から、のろのろとガチャを片付けて、ひとごこちをつける。
さて、ビバーク食として用意した蕎麦を準備しなくちゃと、それでものろのろと片づけをしているとY本さんがさっさとセッティングに取り掛かってくれる。ありがとうございます。

つと、「まーあれだね、若い女の子なら喜ぶでしょう」と宴会の人々の話が耳に入る。「男だからね」
それほど若くもないんだけどなーと思いながら、「なにがですか?」と問うと、「出るんだよ、ここに」との答え。「幽霊が」
窓からね、覗くんだ、お盆だからね帰って来るんだよ、とのこと。そうかー。お盆だものそれは当然だよなぁ。
 
「失礼ですが、地元の方でしょうか」とわたしが問いかけると、威厳のある男性が「小屋の主じゃ」との答え。
一同どっと笑いが湧く。「ししし、失礼いたしました」
 
お蕎麦を茹でている間、Y本さんが山葵をすりおろしてくれる。
「まぁ日本蕎麦とは珍しいね」と小屋の主一同から声がかかる。「蕎麦は水でしめなきゃ」ということで、小屋の脇の水場まで案内してくださる。ありがたし。あぁなのに、蕎麦湯で割るために焼酎を仕込んであったのに、うっかりして蕎麦湯をすべて流してしまった自分。。。

焼酎もいいのだけれど、ここはやっぱりビールで乾杯したいところ。というわけで、H氏が小屋の方に「ビールはありますか?」と尋ねると、「あるよ、もちろん」とのこと。うわーラッキーと3人で盛り上がる。

「30m大滝のところで時間がかかってしまって」とH氏が小屋の方に伝えると、「あんたらどっち行った?」との質問が飛んでくる。「右の岩場を登ったんですが、ロープが足りなくなって」と続けると、「あそこは左のガレ場から登るんだよ」とのこと。なるほど。左側はガレていて落石が多そうだったし、過去の遡行記録を見ると右の岩場から登ったパーティが多いのだけど、左もいけるのだなと心の中でメモる。
 
「笹穴沢は事故とか聞かないですよね」とH氏が続けて小屋の方に問いかけると、一瞬しんと座が静まって、「そんなことないよ」との答え。大滝(大ナメ滝)のところでの滑落事故が多いそうな。無事に小屋までたどり着けたことをしみじみ幸いだと思った。

「昔の人でさ、岩はもうやらないけどというような人だったら4、5時間もあれば(笹穴沢を)行けるんだけど、今の人はね(難しいね)」という話を伺い、うーん4、5時間であの沢を~と唸ってしまいました。
 
山の時間としては遅くにお邪魔してしまったのに、きゅうりのお漬物やマカロニサラダやスイカやカレーと色々とおすそ分けをいただき、ほんとうにありがとうございました。立て直したばかりということで建物はきれいで木の匂いがして、水洗トイレあり、水場の水量は豊富、避難小屋内に調理場所ありと、とても快適な小屋でした。ぜひまた遊びに行きたいと思います。
 
翌朝はのんびり7時にでも起きて、平標山の山頂をピストンして下山しようと話をしていたのだけど、5時過ぎにカーンと澄んだ鐘の音が響き、すっかり陽射しも眩しくてのっそり起き出す3人。疲労困憊でぐっすり眠ってしまい、幽霊さんが覗いていたとしても気付きませんでした。申し訳ない。

DSCF3906.jpg「今日は休みの人が多いから、出だしが早いね」と小屋の方が仰るように、すでに登山客がぼちぼちと小屋に到着。頭上には雲ひとつない青空の下、なだらかな緑の斜面を登り平標山の山頂に到着。富士山や八ヶ岳、北アルプス、八海山が霞の向こうに。
 眩しい陽射しの下、眼下には吸い込まれそうな緑のスロープが広がる。絶景かな、絶景かな。
 
小屋に戻って、遭難防止のためにと寄贈された鐘の下で、あれを登ってきたんだね~と沢(実は笹穴沢の支流)を眺めていると、小屋の方が「昔はあそこまで水を汲みに行ったんだよ、うっすらと跡が残っているだろう」とお話をしてくださいました。
 




DSCF3949.jpgそれほど標高が高くないのですでに蒸し暑い山の中を歩き、源太郎山を過ぎて黒金山に到着すると、目の前には昨日登った笹穴沢のハイライトシーンが。
遠くからでもはっきりとわかる威厳のある大滝。

あぁあそこを登ったんだね~と思うと、かなり感慨深い。
それにしても、山頂からあの大滝の地点の距離でコース全体の3分の1なのだから、夜行日帰りの沢とはいえ自分にとってはなかなかロングコース。もっと精進しないといけませんね。。
 
黒金山から先は幅の広い急な山道を降りて、渋沢林道に合流。すぐに赤谷川林道に合流し、2時前に川古温泉駐車場に到着。ふう。
下山だけでちょっとした日帰りハイク気分。
 
笹穴沢は明るく開けた沢で、きれいなナメと滝が多くて、ほんとうに楽しいところです。山小屋の方いわく「紅葉の時期が一番天候が安定していていいよ」とのことなので、今よりも日照時間の短い秋の日でも、十分余裕をもって小屋に辿りつけるように、いつかまた挑戦してみたいと思うのでした。

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Posted by norlys - 2007.08.09,Thu
8月6日(月)~8月8日(水)の三日間で北岳に行ってきました。
目標は、憧れのバットレス!! だったのですが、「ムーブを知らない初心者でも登れる」と言われる四尾根を無残にも敗退。。。
敗退の原因は自分にあるので、泣くに泣けませんが。。。クラックでの立ち上がりで膝を捻ってしまったので、下山することになりました(号泣
下山途中で痛む膝を反対に捻ったら、スコンと快復してしまったというウソのようなホントのお話。
最終日でもある翌日は、岩は諦めて八本歯→北岳山頂→草スベリのルートで山頂を踏んで下山→帰京。
今度こそは必ずバットレスを登ってやる~と思いながらの敗退記は以下。
/* 長い、長すぎるよママン。

8月6日(月) 晴
午前7時発の高速バスで新宿駅→甲府駅。甲府駅には予定どおりに9時到着。盆地だからか甲府駅前はむわっと蒸し暑~。
10時発の甲府駅→広川原行きのバスに乗車。平日とはいえ夏休みだからか、それなりに乗客は多く、特に普段よりも家族連れが多い印象。よ~しパパ、北岳登っちゃうぞ~という感じ。
12時10分に広川原到着。陽射しは強いものの下界よりは爽やか。広場の向こう側には、北沢峠行きのバスを待つ人たちがいっぱい。
とはいえ、クライマーらしき格好をした人は自分たちしかいません。縦走系の人ばかり。今の時期、アルパインクライマーはもっと北の方に遠征しているのでしょうか。

12時45分に広川原を出発。すぐに現れる分岐で白根御池方面に向かいます。樹林帯の中は涼しいのに、大荷物のせいか汗が止まらず。なにしろ2泊3日テント泊+クライミング道具一式。いやいや冬季バリエーションの荷物を思えば、なんのこれくらい~と自らを励ましつつ、ゆっくりと一歩一歩高度を稼いでいきます。この尾根道は今年の6月末の北岳登山で下山に使ったルート。アレ結構な急登だったよなぁ。。と思っていたのですが、ペースがちょうど良かったおかげでなんとかバテずに尾根道を登りきり、2300m地点に到着。あとは穏やかなトラバースルートを歩けば本日の幕営地である白根御池小屋は目前。途中にある大樺沢の支流の冷たい水に癒され、コースタイムぴったりの3時間後、15時45分に白根御池小屋に到着。
まだ陽の明るい静かな山間の山荘前には、多くの人がのんびりと荷を降ろして寛いでいました。中には生ビールを片手にテーブルで談笑している人たちも。おお、生ビール!! と、さっそくテント場の奥に場所を確保しテントを張って、いざやビールビール。
生ビール850円、缶ビール(500ml) 700円、缶ビール(350ml) 500円、というラインナップ。
ちょっとお高めですが(山だしね)、やっぱり生でしょう~、ということで、受付を済ませたらそそくさとジョッキで乾杯。
0bc7d54fjpeg白根御池小屋は2006年にリニューアルしたばかりで建物も真新しく、なんと水洗トイレ完備。水も豊富で実に快適。
外がまだ明るいので、テントの前につまみを並べてお酒を呑みつつ夕飯の準備。
翌日の行程を話しているうちに、ようよう空が暗くなってきました。気がつけば満点の星空。
夜の帳と一緒に、昼間の暑さがすうーっとひいて、ひんやりと寒気が降りてきました。あぁもう夏も終わりだな~と、秋の気配を感じさせる空気。
あれやこれやとヨモヤマ話をしてラジオで気象情報を聞き、21:00に就寝(8時にはシュラフに潜り込んだのですが、ヨモヤマ話が続いて、寝付いたのは9時になってしまいました)。



8月7日(火) 晴、一時雨のち晴
DSCF3566.JPG午前3時に起床。ヘッドランプもいらないほどに、すでに外は薄明かり。刷毛で掃いたような雲が少し空にかかっているけれど、行動時間中の天気は大丈夫だろうと支度を整えて、予定通り4時半にテン場を出発。ガチャと行動食を詰め込んだサブザックを担いで二俣へのトラバースルートを歩きます。

4時50分に広川原の二俣に到着。大樺沢沿いに八本歯方面を目指します。大樺沢の雪渓は、6月末に訪れたときよりもすっかりなくなっていて、沢沿いの夏道が出ていました。



バットレス沢、ヒドゥンガリー。。。と、バットレス方面から伸びる沢を通過してさらに上部に登っていきます。
あと少しで八本歯への分岐かなというところで、右にそれてガレたD沢に分け入り、草原の踏み後をたどっていくと目の前には。。。うわバットレス。
DSCF3607.JPG
Dガリーの下には雪渓が少し残っていましたが、幸いにも下部岩稜の端には雪はついておらず、岩場をつたって下部岩稜に取り付き。この時点でちょうど7時。
この日は先行パーティもいなければ、ほかのパーティが後から登った様子もなく、またしても貸切状態。このあたりは上部からの落石が多く過去に落石事故による死亡事故もあったということで、人の気配のなさにほっとひと安心。




装備を整えて7時半すこし前に登り出し。まず1ピッチ目はDガリー大滝からスタート。自分はフォローなので、安心して快適なクライミングを楽しむ。うわ~バットレスだわー、と。2ピッチ目はそのまま上部につなぎました。傾斜はほどほどに緩く、手がかり足がかりもたくさんありますが、リードで登る自信は。。。ほしい。本当にほしい。
2ピッチ目は長いルートで、45mロープがいっぱいになってしまいました。幸い、リードのH氏はテラス状のところに到着したので、そこでピッチを切っていました。
さて、そこからは本日の課題である下部フランケにつなげる予定でした。。。が、取り付きはどこ??
岩場の上方に残置のハーケンやロープは見えるものの、のっけからかぶったフェイスのルートで、見るからに。。。あう

しばらくルートを探してあちこち見回りますが、いまひとつ不安。なにしろ自分はバットレス初心者なので(言い訳不可。あう)、ルート図を眺めつ目前の岩場を眺めつしても、ちっとも役に立たず。
あとから判明したのですが、当初取り付こうとした岩場はピラミッドフェースだったのこと。
なにぶん今のわたしでは力量不足と思われ、む~ん。。。と唸っていたところ、H氏が奥に巻けば四尾根に出られるよ、とのこと。

というわけであっさりと下部フランケ・上部フランケのルートを断念し、正面に向かって右手の四尾根方面に。ピラミッドフェース下のトラバースは岩場がぐさぐさのもろもろで短いけれど。。怖。
巻き道を歩いて(一応ロープを出したけれど、帰りはロープなしで歩きました)、四尾根の下部に取り付き。この時点ですでに12時近く。短いクラックのルートを1ピッチ登りました。テラスからは富士山の頭がちょこっと見えて感動。

DSCF3635.JPGそこからまた右手に歩いて短くて乾いた苔のフェースを登ると、ちょうど緩傾斜帯というバンドに出ました。通常はbがリーやcガリー方面からこの緩傾斜帯を歩いて四尾根に取り付くのが早道なのだそう。さっきよりも富士山が大きく見えます。ぼちぼち1時過ぎで、今から仕切り直しだと山頂に出るのは。。。「早くて3時くらいかなぁ」とH氏。いくら陽の長い今の時期とはいえ、遅れたらまずい。。という焦りが内心にあったのかもしれません。快適そうなクラックに左足を入れて、左側の岩場に手をかけようと立ち上がろうとした瞬間、「痛!」。
無理な姿勢のせいで左膝裏の筋を痛めてしまいました。まるで生まれたての小鹿のように立ち上がれず。。。


悔しい、という気持ちと、せっかくの夏休みをバットレス行きにお付き合いくださったH氏に申し訳ない気持ちと、純粋に痛くて、涙がちょちょぎれました。
幸いにも自分フォローだし、リードのH氏はすでにビレーポイントを確保している、直近の支点は目の前、足場は最高ではないにしろそこそこ安定した場所、両手と右足は大丈夫、骨折のような響く痛みではなく、これは筋が痛んだもの。。。曲げていると痛くないけど左足をまっすぐに伸ばせない。。。ぐるぐると頭の中で考えながら、なんとか上に登ろうとその日初めてのA0をしましたが、やっぱり痛い。。

「すいません、無理です」と登攀を断念。H氏が最初に上から懸垂下降で降り、自分もすぐ真下の取り付きのテラスまで懸垂下降で降りる。このとき2時15分くらい。
岩にもたれて左足の筋をマッサージすると、少しずつ足の稼動範囲が広がって良くなっているような感じ。でもまだ左足では立てない。困った。
最悪ヘリコプター??? みんなに迷惑をかけるなぁ。。。なんとか下山したいなぁ。。。とぐるぐる。
「ツェルト持ってきているよね」「はい、あります」H氏は万一の場合はその場でビバークしようと考えていたとのこと。一方で、わたしは絶対に今日中に自力で下山することを念じていました。
3時まで様子をみようと言っていたけれど、なんとか力を入れなければ左足で立てるようになったので2時半に下山開始。

さっき登った苔付きのフェースを懸垂下降。ロープが振れて左足が岩に当たると、痛~(涙
辛いなぁ。。と思いながら、続けて懸垂下降をもう1ピッチ。岩にぶつかる~と衝動的に左足で岩をキック、その瞬間「ぱき」と左足から音が。地面に着地して「あれ?」左足が軽い、立てる、力を入れても平気。
おおおおおおー復活!!ぜんぜん痛くない~!!
く○~もっと早く復活していれば。。。。!!!!!! (断末魔) 
同行の山の師匠、H氏にはご迷惑をおかけしました。ほんとうにすいません。
これに懲りずによろしくお願いいたします。

と、突然雲行きが怪しくなり、ポツリポツリと雨が降り始めました。
bガリーから懸垂下降をしようということで、緩傾斜帯と思しき場所を横断してはうろうろと懸垂下降ポイントを探しますが、なかなか見つかりません。

ここはどこ。。。? と振り返ると、岩に赤いスプレーで「cガリー」とな。
さすればbガリーは岩場を背に左手奥だけどトラバースポイントが見当たらない。。。
ガレ場に転がる古びた片方のスニーカー。持ち主はいったい。。。どきどき。。

最初に登ったルートに懸垂下降の支点があったはず。。。ということで、再度来た道を戻りピラミッドフェースの下部に戻りました。そこから3回にピッチをきって懸垂下降。残置ハーケンやシュリンゲが若干年季が入っていて少々剣呑な雰囲気ですが、無事に一番最初の取り付き地点に到着。いつの間にか雨も上がり夕陽が差し込んできました。
ガチャを片付けて無念の敗退のままバットレスを後に。うううううううくやしーーーいーーー。

cガリー沢右岸の樹林帯を下ると、ところどころ木にテーピングが巻きつけてありました。クライマーならわかるよねOK?という感じ。OKビリー、おいらにはお見通しさ、と、さっきまでオロオロしていた自分はどこへというくらい呑気な帰り道。

陽は少し傾き始めたもののまだ明るさの残る大樺沢には、もはや誰もいません。人の気配のない北岳の大動脈をのそのそ下る影ふたつ。5時半に二俣に到着。無事に6時ちょっと過ぎには白根御池小屋に帰還。

無残にも敗退となってしまったけれど、生ビールで乾杯。つか、バットレスに完敗。
く~リベンジしたいー!!!

8月8日(水) 晴ときどき曇り
前日にバットレスからの帰り道に、翌日は北岳のサミットハントにしようということにしていました。
遅くとも夕方4時広川原発のバスに乗ろうとすると、おそらく日帰りでのバットレス登攀は厳しいかもということで、八本歯のコル経由で北岳山頂を踏んで草スベリ経由で白根御池に戻る、と。
4時に起床、5時45分にテン場を出発。H氏はいまいち体調が優れないようでしたが、昨日のバットレス敗退だけが記録に残るのはあまりにトホホなので、自分はかなりヤル気で引っ張り出してしまいました。すいません。
幸い左足はほとんど痛みもなく。なにしろ空身なのでうれしい。
「早いね~。今日の一番乗りだよ~」と、途中の八本歯で北岳山荘からの下山中の方に言われました。6時10分広川原着のバス客と思われたんでしょか。それなら確かに早いかも~ですが。

途中、バットレスがよく見える場所で足を止めました。ほんとうならアレを登って山頂に抜けていたはずの自分を想像すると悔しさ満点。アンド、救助要請とならずにほんとうに良かったとあらためて安堵。
8時45分に八本歯のコルに到着。目の前のボーコン沢の頭が相変わらず素敵です。
「アレ(ボーコン沢の頭)に登りませんか?」とH氏に問うと、アレに登るか北岳山頂に登るかどっちかという回答だったので、高いほうがいいなぁと一路北岳山頂へ。

DSCF3703.JPG9時ちょうどに山頂到着。何度来てもいいですね~。
彼方に富士山、南アルプス山系、此方に中央アルプス、北アルプス、そなたに鳳凰三山。ところどころ雲がかかっているものの、なかなかの絶景。

あれは塩見、前に登ったよ~、あっちは鋸岳、いつか登ってみたいんだよね~、あれは槍ヶ岳かな雲で見えないな~というH氏の講釈に地図を首っ引きで180度ぐるぐる見回す自分。
早いところ、山容と名前が一致するようになりたいものです。。


山頂でのんびりと休憩していると、ふわりと広川原方面からガスが立ち昇ってきました。みるみるうちに広川原側はガスの中。反対側は相変わらずスカーンと晴天。山の天気はほんとうにめまぐるしい。

9時45分に下山開始。前日膝を痛めた自分は恐るおそる付いていくも昨日の痛みはなんだったのかな。。と思うほどに復活。

10時ちょっと過ぎに肩の小屋に到着。広川原方面から吹き上る湿気をはらんだ風がぬるく、山頂とのお別れを実感。小太郎山との分岐を草スベリ方面に下り、上り坂でバテ気味の登山者とすれ違いながら下る下る。
11時ごろ眼下に白根御池が見えてきました。あれ、このペースならもしかして13時25分のバスに間に合う? ということで一段とスピードアップ。11時15分には白根御池小屋に到着。

テントを撤収し荷造りを終えたのは12時5分。うーむこれは微妙かな、でもまぁ16時のバスもあるしなぁ~と、広川原を目指して下山。なにしろ大荷物で梯子の多い急坂なので、着実に歩くことに専念。結局、広川原に到着したのは13時50分でした。
16時のバスを待つ間にアルペンプラザのトイレで着替えをし、のんびりとビールを二缶空け、酔っ払った勢いでバス停そばの岩でボルダリングもどきを楽しんだりしているとあっという間にバスの発車時刻に。

携帯電話も通じない、山で働く人や山を楽しむ人しかない山の奥でゆっくりを時間を過ごすのはいいものだなぁと思いながら、北岳にお別れ。
広川原→甲府駅、甲府駅→新宿駅とバスを乗り継いで帰りました。

後になって痛みが出てくるかな。。。と恐れていた左足も拍子抜けするくらいなんともなく、筋肉痛もほとんどなく(二日目が怖いw)、無事に家に帰ってこれて良かった~としみじみ実感中です。
でもこれに懲りずに真面目にジムに通って、またバットレスに挑戦したい気持ちでいっぱいでもあったり。
Posted by norlys - 2007.07.22,Sun

7月21日(土) 尾瀬
大清水→尾瀬沼→沼尻→燧岳→見晴→尾瀬ヶ原→山ノ鼻→鳩待峠

週末の天気予報がすぐれなかったので、北アルプスの槍ヶ岳をがっつり歩こう計画から、癒しの尾瀬散策に急遽予定を変更。
7月20日、金曜日の夜に都内を出発し、大清水の駐車場にてテント泊。

駐車場そばの片品川を流れる水の音とテントのフライを打つ雨音が入り交ざり、賑やかな水音の中で3時間半の就寝。
朝目を覚ますと、予想通りの雨模様。最近週末に太陽を見ていません。梅雨の季節だからしかたないのかな(涙)。気温は20度前後。幸い雨に濡れてもさほど寒くはなく。

今年のGWに鳩待峠から尾瀬に入り、至仏山をスキーで滑りました。尾瀬ヶ原を挟む二つの山、丸みを帯びた女性的な山容(でも登るとキツイ。。)の至仏山と、対照的に「聳え立つ」という形容が相応しい男性的な燧岳の姿が印象的でした。

今度は燧岳に登りたいなぁ。。。と、私がうっかり口を滑らしたため、尾瀬の湿原をのんびりお散歩~の計画に、なぜかがっつり登山の要素が加わり、平地歩きが多いからイケるだろう~と、コースタイムでオーバー10時間の道のりとなりました。
つい出来心でやった。今は深く反省している(苦笑)。

6時半ちょっと過ぎに大清水から歩き出し。しばらくは緩やかな傾斜の幅広い林道。40分ほどで一の瀬に到着。
1971年、長蔵小屋三代目の平野長靖氏が当時の環境庁長官だった大石武一氏に道路建設中止を直訴したのがまさにこの道だったのだと、家に帰ってから知りました。

一の瀬からは、木道のかかる緩やかな山道。雨のため木道が滑りやすくなっていて、周囲の風景を楽しむ余裕はあまりなく、ひたすら足元を見つめながら三平峠を越えて尾瀬沼山荘へ。

尾瀬沼の湖畔の道端に銀竜草(ぎんりょうそう)が咲いていました。葉緑素を持たない植物で、茎も花も透き通るような白さ。キノコではないのですが、別名で幽霊茸とも呼ぶそうです。
わたしはこの銀竜草を初めて見ましたが、群生している姿はまるでニョロニョロの集会のようです。

尾瀬沼の南岸コースをたどり、9時過ぎに沼尻休憩所に到着。
小屋の裏手には、渡し舟があった頃の桟橋の名残? が未だに残っていました。

アヤメやニッコウキスゲがちらほらと咲いて、湿原の緑にまさしく華を添えていました。
また、雨だというのに、沼尻休憩所も付近もあふれんばかりの人出で、色とりどりのレインウェアの行列が鮮やかでした。

休憩もほどほどに燧岳方面に出発。ナデッ窪に入ると、風景は一変して岩の急斜面に。
「『ナデッ窪』ってどういう意味だろう」という問いかけに、「なだからな窪、の訛りでは?」と勝手な推測を言ってしまいましたが、大嘘でした。ごめんなさい。
「ナデッ窪」とは「雪崩(の多い)窪(地)」のことだそうです。

ナデッ窪は、雪崩の多い窪地だけあって、水の通い路でもありました。最初は水溜りの多い道だな、という程度だったのに、途中からはすっかり沢登り状態。おろしたてのトレイルラン用のシューズをなるべく濡らさないように。。。と、最初は気をつけて足元を選んでいたものの、途中からは諦めて水の中をじゃぶじゃぶと歩きました。顕著な滝はないので、これなら1級マイナーかなぁ。。。と考えながら。

11時ごろにミノブチ岳に到着。晴れていれば見晴らしの良い場所だそうですが、残念ながらすべては霧の中。
左手のピークの陰にほんの少しだけ雪渓が残っていました。シャクナゲの花が咲き零れる道を、いざ俎嵓(マナイタグラ)へ。

俎嵓は岩の頂で、吹き抜ける風が肌寒かったです。昼食休みの後、次なるピークの柴安嵓へ。わずか10mの差ですが、柴安嵓には山頂を記す立派な石碑がありました。

ところで。ナデッ窪からミノブチ岳を登る間、時折、甘くどこかエキゾチックでかぐわしい香りが漂っていました。ジャコウとイランイランをブレンドしたような。。。
ロンドンの街角にある古い建物を改築した小さいながらも趣味の良い雑貨屋にいるようなイメージの匂いです(なんだそりゃ)。
「尾瀬」と「ジャコウ」で検索すると、「イブキジャコウソウ」という花がヒットしました。あぁこれか、これなのかな。

柴安嵓からは浮石の多い見晴新道の岩道を駆けるような速さで下りました。それでも休憩を含めるとほぼコースタイムどおりになってしまったので、世の中甘くないです。
とはいえ、尾瀬に来て風景を楽しまずにタイムを競うなんて、これほど勿体ない話はありませんが。

見晴に到着すると、そこは打って変わって観光地でした。「氷」とか「生ビール」などの看板を掲げたロッジが立ち並び、ラフな服装の観光客やら登山の団体様やらで賑わっていました。

燧ケ岳を登って降りてきた後だけあって、また空には雲が残っているものの湿原には雨は降っておらず木道も乾いていて、広々とした湿原の風景に心底癒されました。

ヒオウギアヤメにタムラソウ、ネジバナ、ハクサンチドリ、キンコウカ。。。(と、後から知ったのだけど)、ニッコウキスゲは4、5分咲きとのことですが、離れたところの群生が一面黄色に染まって見えるほどに咲き誇っていました。池塘にはヒツジクサの花が点在し、浮島も花盛り。

quarkXpress_6.0-demo.pngヒツジクサというと、イヤがオウにもQuark XPressを思い出すのはかつての職業病ですw

最新版のQuark EXpress 7では、別のテーマになってしまったみたいでちょっと残念です。



ところで。高山植物は過酷な環境条件下で生育するため、たいていは小ぶりで可憐な姿をしているものですが、ところによって巨大化したミズバショウの葉があり、たいそうぎょっとしました。
なんというか、巨大ミズバショウが夜中に訪問して来たら、恐ろしくて涙がでそうです。ホラーです。

尾瀬ヶ原をひた歩き、山ノ鼻の至仏山荘で花豆ジェラートを食べ(すでに売店は閉まっていたのですが、わざわざ販売してくれました。ありがとうございます)、再び降り出した雨の中を鳩ノ巣峠に到着したのは5時ちょっと前。最終バスはすでに出た後だったので、タクシーを呼んで大清水まで帰還。

望郷の湯に立ち寄りからだを温め、途中のとんかつ屋さんでがっつり食事をとり、一路帰宅。

尾瀬を歩こうガイドマップによれば、合計すると実に25Kmの道のり。うち半分は平坦な道のりだとしても、まぁ一日よく歩き回りました。

尾瀬という場所は、日本における自然保護の象徴といわれています。
自然保護第一の反対の声が上がらなければ、今頃はダムの底に沈んでいたかもしれない尾瀬の湿原。
今では木道が整備され、立ち入り禁止区域が指定され、一般車両の入山も制限され、宿泊施設も雑排水処理施設や電気が整備され(東京電力が尾瀬の大地主だからかもしれませんが)、利用者状況を把握するために赤外線センサーが設置され(by環境省)、植生の復元が試みられ、実に手厚く保護されています。
自然を護るために、ある意味不自然とも思えるほどに。

エコかエゴか。

つくづく、尾瀬という場所には、自然を護らなければならないと思わせる不思議な力が秘められているのだと思います。ほんとうに不思議な場所です。

Posted by norlys - 2007.07.11,Wed

北アルプスへお出かけの際には、山岳保険を忘れずに。

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保険料と救助手当、遭難者が全額負担 立山・剱岳対策協、件数増で決定
(2007/7/11 北國新聞)

 立山・剱岳方面遭難対策協議会(会長・伊東尚志上市町長)は十日開いた総会で、危険地域に出動する救助隊員(民間協力隊員)の傷害保険料と救助活動手当を、遭難者か遭難者家族の全額負担とすることを決めた。これまでは遭難者・家族に負担を求めてこなかったが、中高年の登山ブームに伴い遭難が増えたことから、長野、岐阜両県の遭対協と応益負担で足並みをそろえた形である。

(中略)(立山・剱岳遭対協の)活動費用はそれぞれの負担金や補助金、寄付金などでまかなわれている。山小屋のスタッフや山岳ガイドら五十人が救助隊員となり、二〇〇六年度は二十七件の遭難で二十七日間に延べ六十一人が出動した。

救助隊員に適用する傷害保険は保険期間が七日間、死亡・後遺障害、入院、通院を含めた保険料が一人当たり一万五千七百円、救助活動手当は一回の出動で同じく一万五千円となっている。遭難者・家族の全額負担は八月一日から実施し、遭難・要救助の事態が発生した段階で負担について事前に了解を得る方向である。
(以下略)
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よく「海難救助は無料だけど、山岳救助は莫大なおカネがかかる」と言われています。

正確には、海 or 山 という問題ではなく、公的機関による援助(海→海上保安庁) or 民間主導による援助(山→地元の遭難対策協会)、の差なのだそうですが。
なので、海難でも民間の協力を得ればお金がかかるし、山岳遭難でも警察や消防などの公的機関による救助に対しては税金が充当され個人には請求されないとか。

また、山に登る人の間では、「落ちるなら富山側へ」「ヘリを呼ぶなら岐阜県警」との豆知識がささやかれています。

「落ちるなら富山側へ」とは、富山県山岳警備隊の優秀さを讃えたコピーby東京新聞。長野県側に落ちるよりも生還率が高いとか。。。?
「ヘリを呼ぶなら岐阜県警」というのは、長野県の場合は警察/消防→民間ヘリに出動要請という手続きになっていたり、長野県が県警ヘリの有料化を検討中だったりする一方で、岐阜県警や富山県警の県警ヘリが出動すればタダなのだそうで。

「ピッケルやアイゼン、ザイル等の登山用具を使用する山岳登はん」は、通常は生命保険や旅行保険の補償外と規定されています。
そのため、わたしは山の会を通じて都岳連の山岳保険に加盟しています。

決して「保険に入っているから大丈夫~」などとは考えませんし、どんな山に入るときでも「事故を起こさず無事に家に帰る」ことを心に誓うわけですが、万が一の事態に備えることは重要だなぁとも思います。

なにしろ、東京都山岳連盟のWebサイトに掲載されている事故処理概略一覧を見ると、救助日数×50万、プラス民間ヘリ1回あたり約100万円と心積もりしておくべきかと。。。あわわ。。

それにしても。
山に行くと、ほんとうに中高年の方たちが多いです。というか、若い人いません><

登山者に若い人が少ないのは、山はやっぱり時間とお金がかかるからだろな、と思います。これだけ趣味が多様化して、お手軽で楽しいことはたくさんあるのに、首都圏に住みながら登山に全力を傾けるのは、率直なところかなりたいへんです(楽しいけど)。

長野県警がまとめている「山岳遭難週報」を見ると、確かに40代以上の遭難者が70%を占めています。

一方で興味深いことには、
昭和48年(1973年)の警察白書によれば、昭和47年度の山岳遭難者377人のうち、20代が251人(66.6%)と圧倒的に多いです。

「中高年の登山ブーム」というのは、よく各所で指摘されているように、昭和30~40年代の第2次登山ブーマーたちがそのまま歳をとったのだなぁと思います(もちろん、イザとばかりに新たに登山を始めた方もいらっしゃるかとは思いますが)。

わたしは第2次登山ブームの頃の様相を知りませんが、谷川岳の玄関口である土合駅の駅舎の立派な姿をを思い出すと、よほどの盛り上がりだったのだろうなと推測できます。
こんな風に。

「山にひかれて」(昭和34年)(00:02:36) (Yahoo!動画、昭和蔵出しニュース)

それにしても。
ここ10年くらいずーっと「中高年の登山ブームに伴い遭難が増えた」増えたと言われ続けているような。。
深田久弥氏の「百名山」がNHKで紹介された頃から、このブームは途切れることなく続いているような気がしますが。

イタ飯だって10年強を経た今になって、「イタ飯がブーム」と言う人なんていないのに、なのに、「中高年の登山ブーム」は10年以上を経ても未だに「ブーム」とかって煽られ続けているのはなぜないのでしょ。

本気で中高年の登山者に警鐘を鳴らしたいのであれば、「ブーム」という言葉を外した方が良いのになと個人的には思うのですが。じゃあほかにどういえばよいのかというと。。。うーむ。

Posted by norlys - 2007.07.09,Mon

昨日は会山行ということで、丹沢にある水無川源次郎沢に行ってきました。
参加者総数14名という大所帯で、源次郎沢(1級)と水無川本谷(2級)の2パーティに分かれて入渓。

当初は雨の予報だったけれど、幸い当日は曇り。山の麓では時折陽射しが差して、気温も湿度も高め。
水浴びにもってこいとまでは言えないし、山頂付近はガスで覆われているけれど、まぁ寒さに震える心配はなさそうでホっとひと安心。

さて、沢には遡行図と呼ばれる沢登り専用の地図があります。
具体的な距離や標高差は記されておらず、滝の位置やランドマーク的な地形が記されていて、なんだかちょっと「宝の地図」みたいです。
(源次郎沢の遡行図をWebで見つけました。こちらです。)

もちろん道迷いに備えて普通の地形図も持参しますが、沢を登る間はジップロックに封印した遡行図をたびたび取り出しては現在地を確認したり次のイベントに備えます。

林道を延々と10Kmくらい走り、ロデオマシーンとやらはこんな感じかと思いながら本谷山荘に到着。
みな三々五々に準備を始め、9時過ぎに入渓。

本谷山荘から少し登ったところで書策新道に合流。水無川本谷パーティと別れてわたしたちは源次郎沢方面に向かう。

堰堤を巻いて沢に入ると、いきなりF1(5m)が登場。
傾斜が緩いためか高度感はまったくなく、ホールドもふんだんにあるので、難なく越える。

丹沢の沢というと、先日の、崩壊により敗退した「滝郷沢左俣」の岩の脆さが忘れられません。いやはや、「掴む端から崩れる」のはホント恐かったです。。。
源次郎沢も石英閃緑岩の地層で明るい緑色。でも、岩はそれほど脆くないようでホっとひと安心。

しばらく行くと、今度は4段8mのF2が出現。 
全体で8mでも、4段に分かれているので、ほとんど階段状。ここもノーザイルで通過。

水流はほどほどで、滝つぼ?といってもせいぜいふくらはぎ程度の水深しかないので濡れることも少なく、沢の水がただただ気持ちいい。

「短い沢だし、上流に行けばあっという間に涸れてしまうから、水を求めて進むべし」という代表の言を受けて、ひたすら水流の中心を進む。

ほどなくしてF3(8m)のご登場。
それなりに高さのある滝なので、今回はロープの出番。トップで抜けたYさんに続き、皆が登るところをカメラに収めるため自分はセカンドで登る。
下部でロープを8の字にしていたら、どうやらフィックスロープの設定だということで、慌ててプルージックの用意。
て、ありゃりゃ。。。ロープ持ってこなかったよ自分。。。おまけに長いシュリンゲしか持ってないし。。とモタモタしていたら、代表がさっさとプルージックをセットしてくださいました。うう、反省。

滝の左側から取り付く。
途中に支点がとってあり、「うわ、プルージックし直し?」と内心困っていると、お助けヌンチャクが登場し、付け替えで通過。みんなも続々と登ってくる。

しばらくはゴーロの続く散策道。代表の言に忠実にひたすら水流の中心を歩く。
下流に比べて少しだけ空が開けているためか、岩も緑、周囲の木々も緑、と鮮やかな緑の景色に包まれて、ゴロゴロとゴーロの転がる水流を歩くのはほんとうに楽しい。

途中ですっかり白骨化した鹿の骨が沢に転がっているのを見ました。完全に白骨化しているのでキレイです。大腿骨と思われる骨や顎の骨が大きく立派だったので、オトナの鹿だったのではないかと思います。最期に水を一口。。。ということで沢に下りてきたのでしょうか。合掌。

さてついに。本日の大物その1、F4(10m)の滝が登場。
ここでもロープを出す。今度はフィックスではなくトップロープ。
わたしはセカンドで登る。もっともトップで突破しない限り、セカンドだろうが最後だろうが登る順番なんて関係ありませんけどね。はは。

下部はなんてことないけど、上部がちょっといやらしく、足のスタンスがないので手のホールドを信じてよじ登る。フィックスロープでプルージックを引き上げながら。。。だと、ちょっと厳しかったかも。

そこからしばらくは、またしてもゴーロの散策道。

迷いやすいといわれる二俣の分岐で遡行図に従って右俣を進むと本日の大物その2、F5(3段10m)の登場。
このF5でもロープを出しました(んで、わたしは相変わらずセカンド。ヘタレ。。)。
手のホールドがしっかりしているので、慎重に登れば問題ないかと思います。

初めての人やブランクがある人も、みなすいすい登っていましたが、最後の最後にある核心部分ではお助け紐が活躍しました。ロープで確保しているから大丈夫とはいえ、なかなか高度感があり、これで1級の沢というなら5級や6級ってどんなのよ。。と考えてしまいました。

しばらく歩くと、どんどんと水流が減り、ついには涸れてしまいました。
水の流れがないとこんなにも静かなのだとしみじみするほどに、沢は静まりかえっていました。
ちらほらと近くの尾根の稜線が見えて来て、見上げると木々の間の空が近くなったような印象。
ただ、どんよりとした雲に覆われていて、ちょっと残念。晴れていたら、さぞ気持ち良いことでしょうに。

F6、7、8はすっかり涸沢。大雨が降った直後にしか現れない幻の滝? 
短いチムニーの連続で、岩もすっかり乾いているしホールドには困らないのでさくっと通過。

F9はCS。「CS」と遡行図に注意書きがあって、「はて、なんじゃろ?」と思っていたのですが、到着したときにパーティの皆が口々に「チョックストーンだ」「あぁチョックストーンだ」と言うのをきき、あぁ「CS」って"Chock Stone"(クラックに挟まった大岩)のことなのね、と納得。

右側のルートに先行パーティが取り付いていたので、わたしたちは左側のルートを登りました。
ここでもまたザイルを準備。左側のルートには、これでもか! というくらい残置シュリンゲが垂れていたけれど、どれもこれもアンティーク過ぎて怖くて掴めませんw

下から見るととても楽そうなルートですが、実際に登ると常に左側の岩が邪魔でなかなかいやらしい感じ。それでも、シュリンゲに頼らずにどうにか抜けることができました。もしまた来る機会があったら、今度はぜひ右側のルートを登ってみたいです。

その後はガレガレ&ドロドロの道が続くので、さくっと沢を離れて源次郎尾根方面に向かって斜面を登りました。
ふと目の前の空間が開けて、フキと薮笹と白い花の咲き零れる木立の続く尾根筋は、爽やかな高原のようでまるで別世界。

花立の手前でガチャ類をはずして靴を履き替えました(わたしはラバーソールの沢靴なので、そのまま)。
遡行図の参考時間では3時間20分のルート*ですが、かれこれ入渓から4時間弱が経過。時すでに13時過ぎ。
(* 秦野市のWebサイトによるとコースタイムは2時間半だとか。。。)

7人もの大御所パーティだし、F9以外はすべて直登してロープを出した回数も多かったので、まぁ仕方ないかも。沢が初めての人もいるのに、みな怪我も泣く無事に登りきることができてなにより。

というわけで塔ノ岳の山頂は踏まずに、大倉尾根を経由し、花立山荘経由で下山。
本谷山荘前に到着すると、水無川本谷パーティはすでに下山していました。さすが。

帰り道に湯花楽という健康ランドで泥と疲れを落として、渋沢駅で解散。

日帰りということもあって、気楽で手軽でとても「楽しい」沢登りの一日でした。

[源次郎沢 感想のまとめ]
・登攀要素が多いので、登るのが好きな人にとってはとにかく楽しい(なかなかジムっぽい)。
・源次郎沢は初心者向けというけれど、その割に滝の最後に核心部が待ち構えているという印象。無理せずザイルを出すか、巻き道を行くほうが無難かも。
・道標がしっかりしているので安心(入渓者が多いこと、過去に事故があったことから、滝ごとに看板が立っています。経験者にとっては興醒めかもしれませんが、わたしのような初心者には安心。でも二俣のところに分岐の看板がないのは何故?)。

070708_194723.jpg
家に帰ると、夕飯が待ち受けていました。
←こんなの。

いったいどんな育ち盛りなのよ。。。と思いながらも、おいしくいただきました。

一日の最後にたっぷり高カロリー食をいただいて、沢道具を片付けるや即爆睡。。。いいのかな。。。いや、だめだろ(反語)。





Posted by norlys - 2007.07.02,Mon
「『キタダケソウ』を見たいので、北岳に行きませんか」というお誘いをイチもニもなく受けて、週末に北岳を登ってきました。
6月30日はちょうど林道南アルプス線の開通日。

林道南アルプス線は、白根三山と鳳凰三山の谷間を縫って山梨県南アルプス芦安と北沢峠を結ぶ総延長約34Kmにおよぶ林道。
1年のうち6月末から11月始めのわずか5ヶ月間だけ一般車両を除く市営バス・タクシー(と許可車両、緊急車両)のみが通行でき、それ以外の期間は冬季閉鎖となってしまう。以前は一般車両の通行も可能だったそうで、その幸せな時期を残念ながらわたしは知らない。
この林道の利用者のほとんどは登山客とおそらくは管理維持の業者のみ。維持するだけでも相当の費用になるだろうに、一方で受益者がとても限られていて、自然を護ったり自然に分け入ることはもはやすごい贅沢なのだと思う(登山客のためというより治水の重要性のためにこの道が存在するのだと信じることにします)。

この地域は地形が急峻で岩質が脆いため、通行期間中でもたびたび落石によってたちまち閉鎖されてしまうそうな。不幸なことに、開通初日の朝も落石により夜叉神峠のゲートでバスがストップ。不幸中の幸いは、当初復旧まで3時間と目されていた作業が短時間で終わり、1時間強のタイムロスで済んだこと。6時10分には終点の広川原に到着して早々に出発する予定だったけれど、なんだかんだで8時に歩き出し。

週の頭から週末の天気は優れないという予報がでていたけれど、岩じゃなくてごく普通の山歩きなのでよほどの暴風雨でなければ当然決行、という予定でした。出発直前になって晴れマークに変わり、夜叉神峠のあたりでは見事な快晴だったものの、近づいてみれば山頂付近はガスの中。

今回の山行の間、天気はずっとこの調子で、下界ではまずまずの天気の中、雲の中をうろうろしていた自分たちでした。

kitadake_sou.jpg二俣から右俣→肩の小屋→山頂→北岳山荘というルートは去年の夏の登りで歩いたので、今回は八本歯のコルから山頂をパスして北岳山荘を目指すことに。

先週半ばに、今年の富士山では5月に大雪が降った一方で6月の降雨量が少ないため、山頂付近にかなり雪が残っている、というニュースを目にしたので、北岳にも多少雪は残っているのだろうと、よくよく下調べもせずにそれでも一応、軽アイゼンとストックだけを持っていきました。

それも、同行のYさんが持ち物リストを挙げてくれなかったら軽アイゼンを入れ忘れていたほど、すっかり平地と山の気候の違いを失念していました。ダメ過ぎです、自分。



二俣の手前に着き、そこから山頂直前まで圧倒的な質量で大雪渓が続いているのを見て、これは軽アイゼンではなくて12本歯を持ってくるべきだったかもと思い。実際に、12本歯のアイゼンとピッケルを装備している人がたくさんいました。

今年の北岳例年よりも残雪が多いとのこと。GWに2000m級の春山を登ったときは、山頂直下以外はすっかり夏道でしたが、さすが3000m級。

さらに反省すべきことに今回は荷物が大きくなってしまい(山小屋泊まりなのに。。)、急斜面を登る体力が続かず。
浮石がゴロゴロ転がっている雪渓のど真ん中で、あの石を目安に休憩~とか、今更ですが危険すぎ。ほんとうに幸いなことに、左俣を登っている間に目撃した落石は、握りこぶし程度の小さな石が上の方で転がって自分たちのところまで届く前に止まった1回のみ。もうちょっと雪面がキレイだったらスキーで滑降したら気持ちいいだろうなぁ。。。とかボンヤリ考えている場合ではなかったのです。。

途中で、北岳バットレスの第4尾根ルートに入るD沢方面ってこの辺だろか~と朦朧とした頭で考えるも、偵察する気力が微塵も残っておらずスルー。残念。

へろへろになって八本歯のコルへの分岐に到着。ここからは梯子の連続だけど垂直に高度を稼ぐので、ぐんぐん山頂が近くなるのを実感でき、精神的にちょっとだけ楽に。
雲の下層部にたどり着いてしまったようで、ガスが濃くなったり薄くなったり、時折小雨が降ったりという天気。気温は高くもなく低くもなくそこそこ快適。湿度が高いこともあって水が全然減らないけれど、荷物を軽くしたい一心でむやみに給水。なにしろポカリの粉末を混ぜてあるので、むやみに捨てられず。。

仰ぎ見れば山頂は依然としてガスの中。それでもガスが流れて、ときどきほんの一瞬だけ風景がさあっと開けるときがあって、その一瞬を待って立ち止まることが今回の山行では多かったように思う。

去年の夏の終わりに北岳を登ったときは快晴に恵まれて、雄大な山頂や息を呑むほどの星空や朝焼けの雲海からのびる富士山のシルエットを見ることができました。雨でもいいやと嘯きながらも、どこかで一瞬の奇跡を願ってしまうものなんですね。。

どうにかこうにか八本歯のコルに到着。あぁようやくここまで来た~と思いながら、ボーコン沢の頭方面を眺める。北岳の冬季登山のメインルートとなる池山吊尾根ルートに続く道。いつかは歩いてみたいと思うのだけれど、閑散としたロングルートなのでなかなか機会がありません。いかんせんボーコンの語源は「亡魂」という説もあるそうで。。。うう、おそろしす。

八本歯のコルにやたらとザックがデポしてあるので、はてこの人たちは「どこから来て、どこに立ち寄って、どこに行くために」デポしているものだろうと話し合いながら、トラバースルートに分け入ると、そこかしこにキタダケソウが満開。

ミサイルでも発射できそうなレンズを装着した一眼レフのカメラを構えた人たちもそこかしこに。キタダケソウがどんなものかも知らずにノコノコやって来たくせに、おぉなんとこここそはキタダケソウの聖地ではないですかと、すっかり舞い上がる現金な自分。

キタダケソウは、南アルプス北岳山頂付近にのみに育成する希少な高山植物。キンポウゲ科で、学名はCallianthemum hondoense Nakai et Hara。開花時期は6月中旬から7月上旬。
環境省のレッドリストで絶滅危惧IB類に指定されているそうな。

キタダケソウは実に清楚で可憐な容姿。華美とか優艶という言葉には程遠く、宮崎アニメのヒロインみたいな印象(まさにクラリス。なんだそりゃ)。

3000m近い高山の片隅にひっそりと群生しているというだけでありがたさが当社比150%増しになるけれど、この花を愛でるために、しかも1年に1度のめぐり合いが保証されているわけでもなく、これだけたくさんの人が訪れるのかと思うと、なんかちょっとすごい。

また、キタダケソウを間近に眺めようと登山道を外れて立ち入る人に対して、注意を促す場面に何度か出会いました。いわく「キタダケソウを眺めるために他の植物を踏みにじってはいけない」と。なるほど。。。と感心すると同時に、世の中にこれほど花を愛でる男性が多くいるとは。。。と(妙なトコロで)感銘を受けたり。

植物の中でも特に花というのは、自分にとってはいささか利己的でエロティックな存在でしたが(なにしろ多くにおいて受動的で他の生物を誘惑しては繁殖するし、それだけでは飽き足らずにどんどん環境に応じて進化してさらに繁殖したりするくせに、自力では移動できないから人に「まもってあげたい」という気持ちにさせちゃったりするし)、キタダケソウはあまりにけなげで可憐でした。

そして、遥かかなた3000mの頂の直下にひっそりと咲いている花を偲ぶ気持ちそのものも純粋でキレイだなぁと思うのでした。
Posted by norlys - 2007.06.12,Tue
日曜日は山の会のイベントで大菩薩嶺を(なんちゃって)トレイルラン。
せいぜい山登りのくだり道を走ったことがある程度で、ひたすら山を走るのは初めてのこと。

湯ノ沢峠←→大菩薩嶺の往復で、コースタイムが11時間半とのことなので、7掛けで8時間ペースを目標にしていた。
天候は雨。テント担いでの縦走ではなく最小限の荷物だけの日帰り登山だし、むしろ水の消費量が減ってよいかも。。。とお気楽な考えでスタート。

コース一番の急登と聞いていた最初のチェックポイントになる黒岳まで34分。コースタイムでは1時間となっているけれど、駆け上ったわけではないので、たしかに運営の人が言っていたようにコースタイムが甘いルートなのかもしれない。

女性陣(といってもふたりだけだけど。。)は男性陣よりも30分早くスタートしているので、とりあえず先頭を「歩く」。長丁場だから最初から走っていたら最後まできっともたないよなぁと思い、ちょっと急ぎめでしのつく山の中を歩いた。独りで山道を歩くのは久しぶりなのと、周囲に他の登山客が見当たらないのをいいことに、歌を歌いながら気持ちよく歩く。

スタートから1時間後、2つ目のチェックポイントで男性陣2名に追い越される。歩き出しに30分の時間差があるので、実に自分の倍の速度で到達したことになる。ふたりとも猛烈な勢いで去っていき、残された自分は半ば呆然としながら、ひたひたと歩き始める。

むーん、これは困ったな。最後にはえらい差がついてしまって、みんなを待たせることになるのではと思い、下り道と平らな道をできるだけ走るようにする。

コースは全体的にアップダウンが多く、長い登りや長い下りは少なく、樹林帯あり気持ちの良い笹原ありちょっとした岩場ありと、飽きることのない展開。

笹原を歩いたときには靴の中に水がたっぷり入り込み、まるで沢靴を履いているような気持ち悪さになったけど。。

大菩薩峠を過ぎたところで、先頭の2名が折り返し地点の大菩薩嶺から戻ってくるのにすれ違う。
自分とは2時間弱の差。早すぎ。

折り返し地点となる大菩薩嶺に到着したのは、スタートから約3時間後の9時55分。
目標タイムは8時間以内だったので、これなら帰りに5時間かけてもだいじょうぶだなぁと一安心する。

5分ほど休憩をして、復路を走り始める。すぐに後続の人たちにすれ違う。みんな早いのでかなりビビる。
特に男性陣は30分遅れのスタートなので、ペースとしては自分の方が遅いことになる。日頃へタレなので抜かされるのは当然なのだけど、やっぱり後ろから人が追いかけてくる気配は怖い。すごくこわい。ので、よけいにビビる。

慌てて下り坂を駆け下りて、あぁ帰り道はやっぱり楽だな~と、事前にコース表をもらっていたのにもかかわらず、勝手に「帰りは楽」と思い込んで、ひた走る。
途中ですぐに後続のNさんに抜かれる。下りのところでNさんに追いつき道を譲ってくださるものの、自分はすぐ先の登り坂でうんともすんとも足が止まってしまった。あららーバテてるなーと思い小休止。その間にNさんの姿は見えなくなってしまった。

実は途中の石丸峠→小金沢のあたりは復路の方が若干登りの多い道だったりして、「帰り道なのにきつい。。」とヘタリながら、もうひたすら走る。

小金沢山のあたりを通過中に、雨がどんどんとひどくなり、遠くで雷の音が響くわ気温がぐんぐんと下がっていくわで、「早く戻って温泉に入りたい、そうだ温泉が待っている」と、ムダに自分を励ましながら先を急ぐ。

おそらく過呼吸とシャリばてと寒さのためか、すぐそこに終わりが見えているような登り坂でも途中で足がとまってしまうし、下り坂のぬかるみで転びまくりという始末。
それでもまぁ、なんとか12時40分に湯ノ沢峠に到着。コースタイムのほぼ半分にあたる5時間40分で全行程を走り(歩き)きったことに。

早い人は3時間半強とか4時間半強でゴールに到着していたそうで。いやはや、早い。。。

晴天ならば富士山の雄姿を拝めるという大菩薩峠も、幸いというか生憎の悪天候ですべては雲の中。
ひたすら走り、そして歩いた目の前の道の風景しか覚えていません。とほほ。
なにはともあれ、完走できたのでよしとしましょう。

さて。タイム的には往路とさほど変わらないのだけど、後半の復路のグダグダっぷりが気にかかる今日この頃。
指先がむくんだことから軽い低酸素症にかかったのかもと言っていた人がいて、言われてみれば自分も指がむくみ気味だったのでそうなのかなぁと思ったり。あれこれ調べてみて、どうやら呼吸性アルカローシスの症状が当てはまりそうなそうでないような。。もともと腎臓がそれほど強くないので代謝性アルカローシスかもしれないなぁとか(素人判断はキケンですが)。
むくみは温泉に入ったらすぐに回復したし、翌日も軽い筋肉痛以外に顕著な不調は見当たらないのでだいじょうぶかとは思うけど、行動食の選択ってやっぱり重要かもとか、人間の代謝って奥が深いなぁとつらつら調査中。


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Norlys(ノールリース)。極光、いわゆるオーロラ。雪の降る季節と雪の降る景色がすき。趣味は編み物。週末は山を散策。

色々と気になることをメモしたり、グダグダ書いてみたり。山の記録はなるべく参考になりそうなことを…と思いながらも思いついたままに垂れ流し。。
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