週末は白根御池ベースで北岳バットレス4尾根を登ってきました。
今年は例年よりも雪渓が多いらしく、下部岩壁からの取り付きが自分にとっては核心でした。
て、海の日の3連休に歩いた槍穂の最終日の記録を忘れてた。。
もう2週間前のことだなんて。夏という季節は短くて忙しい。。
--------------------------------
■DAY3(2010/07/19(月))
殺生ヒュッテ-飛騨乗越-白出沢出合-新穂高温泉
4:00 起床 - 5:16 殺生ヒュッテ 歩き出し - 6:00 槍ヶ岳山荘 着 - 6:20 飛騨乗越 - 7:06 千丈分岐 - 8:02 槍平小屋 着 - 8:15 槍平小屋 出発 - 8:43 藤木レリーフ - 8:46 滝谷避難小屋 - 9:35 白出沢出合 - 9:40 奥穂高登山口 - 10:10 穂高平小屋 - 11:00 新穂高ロープウェイ下 着
--------------------------------
3連休最後の日。前夜のうちに、双六や笠ヶ岳まで足を伸ばす予定を割愛し、飛騨乗越から新穂高まで下山することに決めたので、特に急ぐ理由はなく4時に起床。
気持ちのよい青空が広がる中、朝ごはんを終えて撤収開始。
すでに周囲は明るく、ちらほらと動き始める人たちで賑わい出す。
何度見てもカッコいい。
幡隆上人が憧れて止まず、3年越しで初登頂に挑んだ気持ちがなんとなく分かるような気がする。でも本当のところは分からないけど。
10人強のパーティを引率中のガイドさんが、「絶対に道を譲らないぞ」という気迫の籠もった足取りで突っ込んできたのが印象的だった。殺伐としているなぁ。
槍ヶ岳山荘の前には、名残惜しそうに風景を眺める人たちで溢れていました。
焼岳の手前に見えるのは…まさかの新穂高ロープウェイ乗り場…。随分遠くまで歩いてきたと思ったのだけど。。
槍ヶ岳山荘から飛騨乗越までのダラダラ坂の下りがキツイ。左の外側側副靭帯と思しき箇所が痛い。
どうも6月に会のイベントで箱根の山を走ったときから下り坂で膝が痛むようになってしまった。困ったなぁ。。
飛騨乗越から飛騨沢へ。ガレで埋め尽くされたなだらかなカール状の地形で、ここもまたスキーで滑降したらとても気持ちがよさそう(アプローチが問題だけど…)。右手に、西鎌尾根に続く楽しげな登山道を見上げながら、大きなすり鉢状の地形の底をめがけてただただひたすら下り。下りでもめげるけれど、この道を登るのはさらにめげそうな気がする。
千状出合から先は樹林帯の中の山道に変わる。もう稜線からの風景のような楽しみがないのでざくざくと先を急ぐ。
8時過ぎに槍平小屋に到着。ここで初めての休憩。しばしのんびり。
再び歩き出し、長い山道歩き。ふと気付くと、周囲は原生林の巨木と苔に覆われた明るい森で、急いで過ぎ去るのがもったいないような気もする。
遥か遠くに見えるのは北穂のドーム。「仰ぎ見る」という言葉がぴったりで威圧的。もしも「今ここからあそこを目指すぞ」と考えただけでキュッと胃の腑が重たくなる。
滝谷もそうだけど、ここもまた沢にゴーロが堆積していて、自然のダイナミズムに圧倒される。
それにしても、奥穂の稜線が遠い。
あの場所を昨日歩いたんだよなぁ~と思うと、ちょっと感慨深い。
穂高平避難小屋を過ぎ、小鍋谷付近の堰堤から南岳を望む。昨日は残念ながらガスの中だったけれど、今日はくっきり。
峻険な岩稜の多い穂槍の縦走路で、ある意味特異ななだらかな南岳の形状と、直下の切れ落ちた部分が印象的。
11時ちょうどに新穂高温泉に到着。山頂付近でも昨日は暖かかっただけに、さすがに麓は暑い。じりじりと夏の気配。
ロープウェイ乗り場の入り口にある売店で飛騨牛の串焼きを食べる。に、肉うま~。
一瞬で胃袋に消えました。はかない。
途中、飛岳の湯という日帰り温泉施設でさっぱり汗を流し(なぜかここの温泉は、うまい棒が食べ放題)、一路帰京。
あぁそれにしても、夏山の縦走はやっぱり楽しいな~、と。
なだらかで癒しの稜線もとてもすてきですが、どこまでも続く岩稜をひたすら登って降りてまた登って…というのも、とても楽しい道のりでした。ありがとうございます。
先週末は小川山でのんびりフリー。夏バテと寝不足と縦走の疲れがトリプルパンチでかなり不調。。
まぁ、それはそれとして、海の日の3連休の日記の続き。
--------------------------------
■DAY2(2010/07/18(日) )間天のコル~奥穂高岳~涸沢岳~北穂高岳~南岳~大喰岳~槍ヶ岳
2:00 起床 3時過ぎには準備が整うもののまだ外が暗いので待ち - 4:00 間天のコル 歩き出し - 4:20 天狗岳 山頂 - 4:53 天狗のコル - 5:40 コブ尾根の頭 - 6:13 ジャンダルム下 - 6:19 ジャンダルム上 着 - 7:10 馬の背 - 7:30 奥穂高岳山頂 着 山頂付近で休憩 - 8:33 穂高岳山荘 着 - 9:00 穂高岳山荘 歩き出し - 9:16 涸沢岳 - 10:04 最低コル - 11:00 北穂分岐 - 11:10 北穂高岳山頂 着 - 11:15 北穂高岳山荘 着 - 11:40 北穂高岳山荘 歩き出し - 12:10 長い鎖 先行P待ち - 12:20 飛騨泣き - 12:40 A沢のコル - 12:51 長谷川ピーク - 13:38 南岳直下 第1梯子 - 14:12 南岳山荘 着 休憩 - 14:30 南岳山荘 歩き出し - 14:43 南岳 山頂 - 15:17 2980mピーク - 15:33 水場 - 15:52 雷鳥に遭遇 - 16:00 中岳 山頂 - 16:36 大喰岳 山頂 - 17:08 槍ヶ岳山荘 着 テントサイトはすでに満員御礼 - 18:00 殺生ヒュッテ 着 - 20:00頃 就寝
--------------------------------
北アルプスは幕営指定地以外は原則キャンプ禁止ですが、降雨の中岩稜帯での行動を強行することを避け間天のコルで緊急ビバーク。
朝2時に起床。ご飯を食べて出発の準備を整える。まだ3時。外は暗く最後の星が瞬いている。もう少し周囲が明るくなってから行動しようということで4時まで待機。
4時前になると北穂の向こうに曙光の兆し。岩と空の境目が区別できるようになったので行動開始。岩はすでにしっかり乾いている。
まずは長い鎖場。越えるとすぐに天狗岳山頂。朝焼けの光の中に、特徴的なシルエットですぐにそれと分かる槍ヶ岳。まだ遠い。遠くに八ヶ岳や富士山の山並みが良く見える。
岳沢に続く天狗のコルへ降りる。落石で崩壊した避難小屋跡はまだ健在。上部に残る雪渓には岳沢まで降りるトレースは見当たらず。稜線を右に左にとペンキ印を追いかけながら進むと出ました、目の前にジャンダルム。てっぺんに人影はなし。
←西穂側から見たジャンダルム。
信州側への巻き道地点にザックをデポして飛騨側からよじ登る。特に難しいところはなく、あっという間にジャンダルムの上に到着。朝陽を受けて360度の展望。奥穂高岳山頂に人影がいくつか。予定した全ルートの踏破は難しくなってしまったけれど、ジャンダルム前後の「おいしい場所」はやっぱりコンディションの良いときに来て良かったなぁ~と思う。
←ジャンダルムの上から。左のとんがった峰が槍ヶ岳。
しばしジャンダルムからの眺めを満喫した後、ジャンダルムを信州側から巻いて先を急ぐ。奥穂方面から続々と人が降りてくる。鎖場や狭い岩稜は相互に譲り合いながら通過しなくてはならないので、もっと遅い時間に歩き出したら渋滞に難渋したかもしれない。
馬の背をよじ登り、そのまま奥穂高岳山頂に続く辺りは、この西穂-奥穂のフィナーレを飾るにふさわしく絵になるところ。振り返るとジャンダルム。やっぱりジャンダルムは奥穂から見る方が絵になります。
←奥穂側から見たジャンダルム。恐竜みたい。
奥穂山頂直下の登山道脇でしばし休憩。濡れたシュラフや銀マットを広げて干しながら風景を満喫。
結構歩いてきたような気がするのに、西穂高岳も新穂高ロープウェイ乗り場もすぐ間近に見える。むしろ、これから目指す槍の穂先の方がよほど遠い。うむう。
8時半過ぎに穂高山荘に到着。新宿駅のホームのように人でごった返している(ちょっと大げさ)。小屋の前には雪渓が残っていて照り返しが眩しい。水を補給して再び歩き出そうとしたところ、ちょうど荷揚げのヘリが到着したので5分ほど待ち。風の影響の少ない場所で退避していたにも関わらず、ものすごいダウンバースト。
気温が上がってきたこともあって涸沢岳への登り返しがキツイ。おまけに登りを歩いている途中でトイレに行きたくなってしまったけれど、この先どこにも隠れる場所がないので我慢。結局、北穂山荘まで我慢しました(汗)。
↑
涸沢岳山頂から。左が通って来た道。右がこれから進む道。どちらも岩岩岩岩岩岩岩岩。
地層は滝谷花崗閃緑岩だそうです(なので濡れるとちょっとイヤ)。途中の鞍部ではちょっと違う感じの岩になる(チャートとか流紋岩かな? 不明)。
涸沢岳の山頂からは鎖や梯子の急な下り。これまでもアップダウンの激しい道のりだったけれど、最低コルまで降りてまた登り返すのか~と思うと、ちょっとゲンナリ。同時に、岩場を歩くこと自体はとても楽しいので、いつまでも終わってほしくないような気もする。右手に涸沢カールが広がり、色とりどりのテントを見る。
←最低コルから。去年のGWは、北穂からえっちらおっちら下りてきて、ここから涸沢小屋までショートスキーで滑ったのでした。
涸沢小屋のテラスでビールを呑みながら、九州から来られたパーティの皆さんと楽しい時間を過ごしたことを思い出して大笑い。
最低コルから北穂へは主に滝谷方面を絡んで進む。途中で懸垂下降用と思しきペツルのハンガーボルトを見る。滝谷はかつてはクライマーで賑わったと聞く、自分にとっては一種の憧れの場所。耳を澄ましてみても、滝谷方面からはひっそりと静か。「鳥も通わぬ」どころか、最近は登攀に訪れる人も少ないのかな。どうなんだろう。
←北穂山頂から。ふむ~槍が近くなったような気は…とてもしない。。
11時過ぎに北穂山頂に到着。ちょっとしたテラスになっていて、10人くらいの登山者が思い思いに休憩中。槍ヶ岳が、さっきよりはわずかに近くになったような気がする。北穂小屋に降りて大休止。
まだ早い時間だけど生ビールを1杯買ってYさんと半分こ。すでに行動開始から7時間が経ち、カラカラの身体は一瞬でアルコールを吸収分解したのか、あまり呑んだ気がしない。けど、おいしかった。
ふと気付くと、ふわりと飛騨側からガスが上がってきて槍ヶ岳を隠し始める。夏山の展望は店じまいが早い。まだ先は長い。いざ大キレットへ。北穂から槍までの道は初めて歩くところ。楽しみ。
しばらくはざくざくと岩がちの斜面をジグザグに降りる。降りるということは、もれなく登り返すということ。今日の累積標高差はどのくらいなんだろう…と思う。狭いトラバースを過ぎて、長い鎖の上に出る。足場がガレガレで落石多発地点。お互いに譲り合い、しかも間隔を空けないと危ないので、プチ渋滞。
鎖場を過ぎると足場のついた狭い岩場。通過時はよく分からなかったけれど、長い鎖からこの岩場あたりが「飛騨泣き」という難所のひとつ、らしい。高度感はあるけれど、スタンスが大きいので怖さはない。ただ、逆ルートだと急な下りの最後に足場の悪い長い鎖となるので、より難しいような気がする。
A沢のコルに降り、長谷川ピークを過ぎる辺りは残念ながらガスが立ち込めていたので目の前の岩しか見えず。しばし岩のリッジを離れて長い下りになる。どこまで降りるんだろう…て、また登るんだよねぇ…と若干不安になる。視界は悪くないけれど遠望が効かない。
←と、写真を整理していたらA沢のコルに下りるずっと手前から長谷川ピークが見えていました。(長谷川ピークがどれだかわかっていなかった。。(汗))
次第に道が登り基調になり、梯子が現れる。「南岳直下に梯子が2箇所ってあったっけ」とYさん。なるほど。登山道は一番弱点を突いて整備されているけれど、周辺にはキレイなクラックがあちこちに走っていて岩も硬そう。あそこを登ったら楽しそうだよねぇ~、誰か登った人はいないのかな、でもアプローチが遠いよね~、などと話し合いながら歩く。
←南岳山頂直下にある獅子鼻岩はキレイなクラックがたくさん走っていて、登ったら面白そう。
14時10分過ぎに南岳山荘に到着。ここでまた大休止。反対側から来るパーティの通過待ちなどで休んだ以外は北穂からノンストップ。つ、疲れた。
テントサイトにはテントが10張弱ほど。以前、明け方の弓折岳から槍穂の稜線を眺めたときに、南岳の山小屋に朝一番の明かりが灯るのを見た。険しい稜線が続く断崖の上にぽつりと灯る明かりはとても印象的だった。ここが、そこかぁ。
小屋の方が表に出てきて、南岳方面を指差して言う。「あの人、今雷鳥を撮っていますね」と。「花の写真を撮るならば、姿勢が違いますから」言われてみれば、なるほど。雷鳥か~。今回は遭遇していないなぁ。
槍ヶ岳まではエアリアマップのコースタイムであと3時間。双六までは無理そうだけど、今日のうちに槍ヶ岳までは行きますか~と、再び歩き出し。
南岳まではなだらかな砂礫の道。ここで今回初めて、ずっと岩稜帯だったため出番のなかったストックを使用。軽いはずの荷物もさすがにずっしりと重さを感じるようになり、緩い下りになると左膝裏の筋が痛むのでうれしい。もっとも、2980mピークを過ぎたらまた岩場がちになり即座に折り畳まれる運命でした(哀)。
信州側は切れ切れに風景が覗くものの、稜線から飛騨側はガス。それでも時々前方に槍ヶ岳が見える。うう、まだ遠い~。。
右手に槍沢のカールと屏風岩を眺めながら、稜線をぽくぽく歩く。
南岳を過ぎてからかなり登山者の姿は減ったものの、それでも前後に時々人を見る。中岳直下の水場で水を飲む。生き返る。途中で第1次雷鳥遭遇。今回はこの1羽のみ。イワヒバリは何度も見た。どちらもかわいい。
←中岳と大喰岳の途中の稜線。歩けども歩けどもガレガレ岩岩で感覚が次第に麻痺してきた。
それにしても槍ヶ岳の存在感の激しさは異常。
中岳を過ぎ、砂礫の登山道を歩いて大喰岳へ。この辺り、エアリアマップでは「南岳->槍ヶ岳」のコースタイムをまとめてざっくり3時間と表記。それぞれ特徴的なピークなのにちょっとかわいそう(?)。南岳から先の道は砂礫が多くかなり荒涼とした印象。ハイマツなどの植物もあるのだけど、全体的にグレー。おまけに真正面に聳える槍ヶ岳といい、すべてが灰色の世界。かなりハードボイルド。
←槍沢のカール地形。規模が大きすぎてわらかなかったけど、なるほどカール。ハーフパイプみたい。
←飛騨乗越から槍ヶ岳。このドヤ顔っぷりがたまらない。
槍ヶ岳山荘のテン場に点在する色とりどりのテントを見上げながら最後の登り。辛いなぁ。。
槍ヶ岳山荘のテン場は、さすがにこの時間ではすでに満員御礼で、殺生ヒュッテに行きやがれと貼紙があるということで、殺生ヒュッテへ。もう歩かなくていいと思ったのになー。とほほ。しかも下り坂基調だと、左膝裏が痛くて涙が出そう。
と、かなりヘロヘロで殺生ヒュッテまで到着。500mlの缶ビールが売切れと聞いた瞬間、心が折れそうになった。あぁ、ここまで来たのに。仕方がないので350ml缶を2本購入(でも700mlもいらなかったなー)。
早速テントを設営し、夕ご飯。さすがにバテバテであんまり食べられず。風の影響も受けず、気温もほどほどで過ごしやすい。雨の中岩稜の隙間でひっそりとビバークした昨日の幕営地に比べると、人で賑わうテン場はなんとなく街中にいるような気分。
半分眠りに落ちながらビールを無理やり呑み終えて、就寝。
海の日の3連休は、新穂高温泉から西穂-奥穂-北穂-南岳-槍ヶ岳-槍平経由で新穂高温泉とぐるりと縦走。
当初の目的は「フォーカストビバークをしながら、行けるところまで行ってみよう」というもの。余裕があれば槍ヶ岳から先も双六、抜戸、笠ヶ岳まで足を伸ばす予定もあったけれど、1日目の午後早い時点で雨に降られたため稜線上にて早々とビバーク。
ビバークといってもゴアテントのお陰でとても快適だったうえに、停滞したことでジャンダルムや大キレットなどのいわゆるハイライトは乾いた岩を快適に楽しむことができ、結果オーライ。雄大で壮大な風景を楽しみながら、夏の北アルプスを満喫しました。
以下、記録。
--------------------------------
■DAY1(2010/07/17(土) )新穂高温泉~西穂独標~西穂高~間天のコル
6:10 新穂高温泉P 発 - 6:20 新穂高ロープウェイ乗り場 着 - 8:25 新穂高ロープウェイ第1 乗車 - 8:50 新穂高ロープウェイ西穂高口 発 - 9:38 西穂高山荘 着 - 9:50 西穂高山荘 発 - 10:03 丸山 - 10:41 西穂独標 - 11:06 ピラミッドピーク - 11:46 西穂高岳 山頂 着 休憩 - 12:00 西穂高岳 山頂 発 - 12:34 赤岩岳 - 13:11 間ノ岳 山頂 ときどき遠くに雷鳴を聞く - 13:32 間天のコル 降雨が激しさを増したためテントを張ってビバーク - 18:00頃 就寝
--------------------------------
金曜日の夜に都内を出発。夜1時過ぎに新穂高温泉の無料駐車場に到着。すでに半分くらいの入り。ロープウェイの始発は8時半だけど定員オーバーになると困るので、眠いけれど頑張って朝5時に起床。
ロープウェイ乗り場の建物前に荷物を並べ、朝食をとりつつ2時間ほど待ち。空はすっきり晴れている。それにしても眠い。ザックを背に少し仮眠。いつの間にかロープウェイを待つ人の列がどんどん伸びていた。
8時20分頃に建物の扉が開く。少しだけ始発の運行を繰り上げてくれたらしい。チケットを購入し、この日1番のロープウェイに乗り込む。40周年記念ということでエコバッグをもらう。
ロープウェイの乗客の9割方は登山客。さすがは夏の北アルプス。
焼岳、錫杖岳、笠ヶ岳、西穂…と、周囲の山並みを眺めているうちにぐんぐんと標高を稼ぐ。あぁ、なんて楽チン。素晴らしいぞ、ロープウェイ。
というわけで、8時40分過ぎには西穂高口に到着。わっと一気に人が散らばっていく。ここで急いでも先は長いので、トレイに寄り、記念写真を撮ったりしてと、割合のんびり出発。千石園地には水芭蕉が葉を広げ、キヌガサソウが花盛り。
ロープウェイを降りて外に出ると、稜線の肩に西穂高山荘が見える。あそこまで行けば、あとはめくるめく岩稜帯の始まり。
西穂高山荘まではコースタイムで約1時間。最初は緩いアップダウンの山道。後半はやや急登。寝不足がたたってか息が上がる。そういえばいきなり高度の高い場所に来ているんだっけ、とも思う。
今回は軽量化優先で34リットルのザック。約半分が食料。あとは夏シュラフ、レインウェア、防寒着と常備品。
手当たり次第に適当にあれこれ詰めてしまうフリークライミングのときや、ロープだのなんだのが詰まっているアルパインのときに比べると、はるかに軽い。
西穂高山荘前のテラスで小休止。下界からわずか1時間半ほどなのに、ここはすっかり山の世界。なんとなく不思議。
登ってきた道と反対側の眼下には上高地が見える。陽射しは強く、飛騨方面から湧いた雲が結構な速さで頭上を越えて流れて行く。
小屋前から、潅木を分ける気持ちのよい山道を歩く。ほどなく丸山山頂に到着。脈々と連なる稜線を覗く。ここから先は砂礫とガレの岩の道になる。白いペンキで岩に○とか×とか描かれている。○印を追いながら歩く。
10時41分に西穂独標に到着。いつの間にか周囲は雲の中。時折ガスが晴れると続く道はすぱんと切れ落ち、コルを挟んで岩の道。白い○と×が続いている。
前に一度この道を歩いたときはまだ夜明け前で暗く、ヘッドランプの灯りにぼうっと浮かび上がった白ペンキの印が足元より低い場所から頭上まで垂直に続いて印象的だった。
明るい日の下だと岩稜の様子がよく分かり、それはそれでまた印象的。今年の残雪期のものか、まだ新しいリングボルトが岩に残されているのをところどころで見た。
ピラミッドピークを過ぎ、11時46分に西穂高岳山頂に到着。ここでまた小休止。ガスが濃くなり、雨の気配が近付く。雨もいやだけど、雷が怖い。先を急ぐ。赤岩岳を過ぎたあたりからとうとう雨が降り出す。夏の、大粒の雨。濡れた鎖場の下降やトラバースが続く。いやだなぁ。。
間ノ岳直下でいよいよレインウェアを着る。雨はますます強くなる。遠くに雷鳴を聞く。幸い、そう近くではなさそうだけれど、どんと真横から響いてくる。怖。。
どこかいい場所があったら雨が止むまで退避しよう、とにかく稜線上の岩場は危険だし…と、同行のYさんと話しながら先を急ぐ。間ノ岳からガレた道を降り、間天のコルへ。
目の前には「逆層スラブに長い鎖」。
この先も鎖場が続いて楽しいところなのに、雨の中濡れた岩場を歩くのは勿体ないし、なによりも危ないし。。ということで、テントを設営し緊急ビバークをすることに決定。この時点で1時半。まだ早いのでもう少し先に進みたい気持ちもありつつ、明日の朝早く行動を開始すればいいか、と。
フォーカストビバークを前提として最初はツェルトのみの予定だったけれど、Yさんが1~2人用のゴアライトを持参してくださったので雨の中でも快適。ゴアテントってすごいな~。
雨は小康状態になったり再び降り出したりの繰り返し。雷鳴は聞こえない。飛騨側はガスで真っ白。上高地側は時々雲が切れて前穂北尾根の稜線が見える。あの5,6のコルから上がったんだねぇ~と話ながら雲が切れるのを待つ。
すぐ側に雪渓があるので水の心配はないかとも思いつつ、ちょうど岩棚から水が滴り落ちているので雨水を個人用コッヘルに集めておく。
テントの中で早い夕食。食事は銘々。基本的にアルファ米。北アルプスならいざとなれば小屋で温かい食事にありつけるし~と考えていたけれど、結局自分は手持ちの食料でも十分すぎた。
明日の朝は2時起きで歩き出そう~ということで、まだ外が明るい中18時頃就寝。
すぐに寒さで目を覚ます。雨に濡れた衣類が生乾きで、ありったけの防寒着を着こんでいるのにどうにも冷える。コッヘルに貯めておいた水を沸かしてペットボトル湯たんぽをつくる。ついでにツェルトを引っ張り出してシュラフの上から被る。これでなんとか凌ぐことができた。
えうそ、いやまさか…
スレに貼られたリンク先、BD社の2010年5月10日付プレスリリースを見て、うわわ本当なんだと改めてびっくり。。
------------------------------
Today, we have a new route and new summit to tackle. I am incredibly pleased to announce that Black Diamond is entering into a transaction with Clarus Corporation that will simultaneously make us a public company and merge the operations of Gregory Mountain Products with Black Diamond.
------------------------------
Clarus Corporationという投資会社がBD社を買収し、BD社とグレゴリー社を合併させる、ということのようです。もともとCC社の経営陣は2008年からグレゴリーの経営に参画していた模様(2004年から関係はあった模様)。
CC社はオペレーション部門を持たないので、BD社の製造ラインに今すぐ大きな変化が生じる可能性は低そうですが、ゆっくりとであれ確実に何かが変わっていくのかも。できることなら良き方向に…と願うけれど、どうなんだろう。。
エクストリームなクライミングやスキー関連のギアをメインとしてコアな層に訴求するBD社と、ザックが主体で一般購買層にも知名度の高いグレゴリー社ならば、なるほど製品面において補完し合える関係を築けそう。。?
だいたいCC社ってなんぞや? とサイトを見るとばーんとトップページに今回の買収のレポ。え、ほかにはなにも合併案件とかないの? ってくらいやっつけ仕事っぽ。それだけで何年も食べていけるほどバリューの高い合併話…??
もしも自分が有り余って仕方ないほどお金持ちだとしても、資産運用をメインに考えたら別の分野の企業に投資するような気がしますが。。そもそもお金に縁のない人間なので想像力の限界を超えるわー。。
たまに山とか岩とかにへばりついて日常から遠く離れたつもりになっても、高度消費社会の現実の枠組みから外れることは決してできなんですね。。て、今更。当たり前なんだけど。
海外のフォーラムでも今回の買収の件が話題になっていました。「BDまでもがアパレル屋になっちゃったらやだなー」「俺たちにはメトリウスがあるから大丈夫」とか、とか。主にキャメロットC4の心配ばかり(笑)。
そんなスレッドの中のコメントから抜粋。
"Remember, the people who do this sort of thing (mergers and acquisitions) do it with enormous ferocity and for their own benefit, not the public's. Buyer beware."
週末は土日で有笠山2days。
初めて有笠山を訪れたのは2009年6月27、28日。
2回目は2009年10月24、25日。3回目は11月15日。4回目は11月21、22、23日。
なので、今回は5回目、と。
クライマーの知り合いの多くはマメに登攀記録をログされていて、「11台通算何本」とか「このルートに通算何便」とか、そういう記録がスラスラっと出てくるのですごいな~と思う。
自分の場合はblogに呟きメモを垂れ流しているだけなので、後からレビューする際にちょっと面倒(上の一覧もちょっとがんばった^^;)。
以前は100岩に書き込みをしていたけれど、関東版と甲信越版が改訂されてからとんと放置。どうしたものかな。。
道中、「人生のスパイス」さんに立ち寄り、例によってあれこれ試飲させていただき、今年の新酒を購入。群馬泉 淡緑(うすみどり)。華やかでふくよかで奥行きがあってキレがよくて、冷でもよし温燗もよし、旨し(と語れるほど日本酒に詳しいわけではありませんが)。
初日は偏屈岩へ。今回の狙いはこのエリアにある11aのルート。
さやさやと新緑を揺らすそよ風が心地良し。岩も乾いていて、冷たくも熱くもなくコンディション良好。沢が近いこともあってか去年の6月は蚊に悩まされたエリアだけど、今回はまだ大丈夫でした。
自分たちを含めて少人数のパーティが3組。幸いなことに、狙っていたルートにヌンチャクがかかっていてお借りしました。ありがとうございます。
アップを2本。ガッチリ指先に食い込んで痛い有笠特有の岩質を思い出す。いざ「掟破り(5.11a)」へ。まずはYさんがさっくりオンサイト。
緊張と不安を抱えつつ、自分もトライ。先に登られたガイドのS氏(この日はプライベート)は核心箇所をやや右回り。Yさんはやや左回り。はて、自分はどうしたものかとルーファイが固まりきっていない。
いざ核心箇所に突入。もたもたしていると吸われてしまうので、現場処理で両者の使われたホールドをつないで中央突破。「もう一度この部分を登るのは嫌だ~」という気持ちでいっぱいいっぱい。中間部でしっかりじっくりレストし、上部のどっかぶりガバ地帯を抜けて終了点へ。おお。
Yさんは続けて「低姿勢(5.11b)」を一撃FL。このルートもとても面白そうだけど、11aですっかり腕が張ってしまった自分には核心箇所をこなせそうになかったので、後は10台のルートを3本登ってこの日は終了。
おいしい日本酒を買っておいてよかった~。
翌日、日曜日は東の石門エリアの駐車場へ。直後にKさんたちがご到着。なんという遭遇率の高さ。
南国エリアに荷物をデポし、先史人のエリアへ。
狙いは三ツ星ルートの「ドラムソング(5.10d/5.11a)」。
小ぶりな洞窟から始まるアルパインちっくなトラバースルート「もぐらたたき(5.7)」をYさんリードで登り、大洞窟南面にある取り付き地点へ。
以前もぐらたたきをリードしたときは「本当にここ?」という感じで手探り状態だったためかもっと長いルートだったような気がしていたけれど、改めて訪れたら記憶よりも遥かに短くてやや拍子抜け。
おまけに「ドラムソング」はもう少しスラビーなカチ系ルートだとばかり思っていたのに、再訪してまじまじと眺めたらどっかぶりガバルートでびっくり。Yさんも同じような(立ったスラブ系のルート)印象を持っていたとのこと。光の加減でそう見えた? ちょっと不思議。
最近登られた方がいるのか白いチョーク跡が鮮やか。なるほど核心はひときわ白いあそこかな、あそこまで行けば休める? その後は…と、下からあれこれ言いながらじっくりルーファイ。
で、見事にYさんがマスターで一撃。これはまたプレッシャーが…あああああ…と思いながら、自分もトライ。
フルパワーを振り絞って下部を抜け、昨日と同じく「もう一便出すのは嫌だ~」という気持ちでいっぱいいっぱいになりながらどうにか終了点へ。ほ。
「ドラムソング」は高度感いっぱいのテラスからキレイなどっかぶりの岩をぐいぐい登るので個人的に楽しいルート。アプローチを含めて5.10d/5.11aというグレーディングがなされたのだろうなと思うけれど、これまた絶妙でナイス。
昨年と同じ下降点にたどり着くと、去年懸垂で使用した松の木が倒れていました。今年のものと思われる捨て縄が奥の木から伸びていたので、同じ木に捨て縄を追加して10mほど懸垂。
南国エリアに戻り、しばらくのんびり休憩。
疑惑の11bといわれる「白と黒」を登り、アドベンチャーランドに移動してKさんたちを訪問。ちょうどKさんが狙っていたルートのRP便を出され、「いや~うれしい。カツ丼おごりますよ~」と仰られたので、帰路途中のSAまでご一緒。カツ丼おいしゅうございました。ありがとうございます。
有笠山は傾斜が強くガバホールドが豊富でムーブが豪快。パン2の奥壁やタワー壁のようにグイグイ登る系のルートが多いという印象。ただし、ガビガビのホールドが多くてバチ効きなのは安心だけど、とにかく指が痛い。
11台はお買い得が多いと言われる有笠山なので、11の入り口に立ったばかりの自分には宝の山のよう。もっと登れるようになりたいな~とも思いつつ。楽しかったです。ありがとうございます。
***今回登ったルート***
20100515
偏屈岩
/* アプローチが楽。虫多し。10台が多い。ただしここの10bはあまりお買い得ではないような。
・有笠登頂888(5.8) - 再登。アップで。特に特徴のないルートだけど、このルートのおかげで有笠山の標高を知りました(笑)。
・カプセルホテル(5.10c) - 再登。前回は核心箇所がバランシーだと思ったけれど、今回はすんなり。保持力が少しupしたせいかも。個人的には、同じエリアの10bよりもこっちのルートの方が面白いのでお勧め。
・掟破り(5.11a) - FL。ガバを掴んでグイグイ登る。楽しい。有笠山は星付きルートが多くて戸惑うけれど(笑)、これは本当に星付ルート。レストできなかったらもっと難しいだろうな。。それにしても、なんの「掟」を破ったのか謎のルート名。。
・大統領(5.10b) - RP4。間が空いたから精確な便数は不明。4便目くらい? 今回はマスターで一撃。核心箇所は力でねじ伏せた(笑)。10b、10cが限界という人にはちょっと厳しいような。。
・ハローミッチェル(5.01a) - 再登。ガバの連続。上部のトラバースはちょっと強引なルート設定という気も。。まぁそのまま直上だと5.9になるからトラバー有でいいのかな。。
20100516
先史人のエリア
/* アプローチ、下降点が核心? 前回は手付かずっぽかったけれど、今回再訪したら登っている人が多いようでちょっと驚きました。
・もぐらたたき(5.7) - 再登。洞窟から始まり高度感のあるトラバースをつなぐアルパインちっくなルート。個人的には好き。
・ドラムソング(5.10d/5.11a) - FL。アプローチ、ロケーション、ルート、すべてが相まって個人的に大好きなルートのひとつに。絶妙なグレードも、ルート名もいいです(ベタ誉め)。
南国エリア
/* この日は貸切。1本登っただけであとはのんびり。贅沢この上なし。
・黒と白(?) - トポによると11bだけど、体感では5.10c/d。ルート自体は長さもあって面白いのにグレードが「疑惑」呼ばわりされていて不遇なルート。
アドベンチャーランド
/*12、13台が多いので混みやすいエリアながら、この日はこちらも空いていたそう。お隣のいっぷくエリアは去年は誰も登っていなさそうだったのに今期はすでにチョークべったり。
・おいらの人生(5.10a) - 再登。クールダウンで。よれているので登り方が変になった。。
前回の第1期は長いようで短かく、身になることはたくさん教わりましたが、実にあっけなく終わってしまった感があったので、迷わず継続。
第1回目は「細かい/悪いスタンスに乗る」課題をボルダーで。
・今回のメニュー
(warming up) アップ。一番やさしいボルダー課題を5つ。
(main menu) 足ジブス&正対飛ばしムーブ系 即席課題 4種 × 4~5回、最後に落ちるまでぐるぐる継続 ×2
(cool down) 限界マイナス2グレードのルートをTR&足自由で 3本セット×2ルート(自分はかなりグレードを落としました)
overall: THE 筋トレ。なんだかんだと、みっちりしっかり出し切りました。。
memo: 「正対で遠い手を飛ばす」という動きが苦手。何度かトライするうちにようやく光が見えてきたような。。
次の手が遠いと反射的にムーブで解決しようとするけれど、正対でもあんなに伸びるものなんだなぁ。。
でもやっぱりこういう系統の動きはリーチとパワーがある方が圧倒的に有利で、リーチもパワーもないからこそ修行が必要ということか。。
実質11回目、最終日でした。
自分は1回スキップして10回目で、1回振り替えが残っていますが。
1月中旬からスタートしてもう終わりかぁ。早いなー、ううむ。あっという間だなー(呆然)。
課題ルートは依然として未完了。ぶっちゃけ登れていません。
まだしばらくはモラトリアムがありますが。。はて。。
・今回のメニュー
(warming up) ごくごく軽いルートをアップで2つ。
(main menu) 目標ルートにトライ。
(intensified training) ボルダー課題を5つほど。目標ルート的な課題と、カチの中長モノ。みっちり。
overall: だめだった~。。。とほほ。前回よりも到達高度がぽっちり上がったのでよしとするか。。
memo: く~。。
まだまだ課題の11aが落とせません。それでもクライミングを始めたばかりの頃から比べたら格段の進歩ですが。。
最高グレード自体はあまり変化しないとはいえ、ぼちぼち10台ノーマルの成功率が安定してきたかなぁと思うので。当面は5.10cあたりを登りこむ必要がありそう。あとは体重を。。←これが一番の核心(汗
しかしまぁ、クライミングに取り組んで間もないうちにぐいぐいとグレードが上がっていく人が多い中、他人と比べても仕方ないこととはいえ、自分の亀の歩み具合に涙。。
右手を大きく飛ばすムーブのボルダー課題を与えられ、これは右肩によくないなぁと思いながらも打ち込んだら、いつもは翌日にひどく肩が痛むのに、今日は平気。むしろ調子いいくらい。なんでだろう。。
ぽつりぽつりとペースを落としつつ、編み物もやっているんだけどな。。
色々と気になることをメモしたり、グダグダ書いてみたり。山の記録はなるべく参考になりそうなことを…と思いながらも思いついたままに垂れ流し。。
Powered by "Samurai Factory"