海の日の3連休は、新穂高温泉から西穂-奥穂-北穂-南岳-槍ヶ岳-槍平経由で新穂高温泉とぐるりと縦走。
当初の目的は「フォーカストビバークをしながら、行けるところまで行ってみよう」というもの。余裕があれば槍ヶ岳から先も双六、抜戸、笠ヶ岳まで足を伸ばす予定もあったけれど、1日目の午後早い時点で雨に降られたため稜線上にて早々とビバーク。
ビバークといってもゴアテントのお陰でとても快適だったうえに、停滞したことでジャンダルムや大キレットなどのいわゆるハイライトは乾いた岩を快適に楽しむことができ、結果オーライ。雄大で壮大な風景を楽しみながら、夏の北アルプスを満喫しました。
以下、記録。
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■DAY1(2010/07/17(土) )新穂高温泉~西穂独標~西穂高~間天のコル
6:10 新穂高温泉P 発 - 6:20 新穂高ロープウェイ乗り場 着 - 8:25 新穂高ロープウェイ第1 乗車 - 8:50 新穂高ロープウェイ西穂高口 発 - 9:38 西穂高山荘 着 - 9:50 西穂高山荘 発 - 10:03 丸山 - 10:41 西穂独標 - 11:06 ピラミッドピーク - 11:46 西穂高岳 山頂 着 休憩 - 12:00 西穂高岳 山頂 発 - 12:34 赤岩岳 - 13:11 間ノ岳 山頂 ときどき遠くに雷鳴を聞く - 13:32 間天のコル 降雨が激しさを増したためテントを張ってビバーク - 18:00頃 就寝
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金曜日の夜に都内を出発。夜1時過ぎに新穂高温泉の無料駐車場に到着。すでに半分くらいの入り。ロープウェイの始発は8時半だけど定員オーバーになると困るので、眠いけれど頑張って朝5時に起床。
ロープウェイ乗り場の建物前に荷物を並べ、朝食をとりつつ2時間ほど待ち。空はすっきり晴れている。それにしても眠い。ザックを背に少し仮眠。いつの間にかロープウェイを待つ人の列がどんどん伸びていた。
8時20分頃に建物の扉が開く。少しだけ始発の運行を繰り上げてくれたらしい。チケットを購入し、この日1番のロープウェイに乗り込む。40周年記念ということでエコバッグをもらう。
ロープウェイの乗客の9割方は登山客。さすがは夏の北アルプス。
焼岳、錫杖岳、笠ヶ岳、西穂…と、周囲の山並みを眺めているうちにぐんぐんと標高を稼ぐ。あぁ、なんて楽チン。素晴らしいぞ、ロープウェイ。
というわけで、8時40分過ぎには西穂高口に到着。わっと一気に人が散らばっていく。ここで急いでも先は長いので、トレイに寄り、記念写真を撮ったりしてと、割合のんびり出発。千石園地には水芭蕉が葉を広げ、キヌガサソウが花盛り。
ロープウェイを降りて外に出ると、稜線の肩に西穂高山荘が見える。あそこまで行けば、あとはめくるめく岩稜帯の始まり。
西穂高山荘まではコースタイムで約1時間。最初は緩いアップダウンの山道。後半はやや急登。寝不足がたたってか息が上がる。そういえばいきなり高度の高い場所に来ているんだっけ、とも思う。
今回は軽量化優先で34リットルのザック。約半分が食料。あとは夏シュラフ、レインウェア、防寒着と常備品。
手当たり次第に適当にあれこれ詰めてしまうフリークライミングのときや、ロープだのなんだのが詰まっているアルパインのときに比べると、はるかに軽い。
西穂高山荘前のテラスで小休止。下界からわずか1時間半ほどなのに、ここはすっかり山の世界。なんとなく不思議。
登ってきた道と反対側の眼下には上高地が見える。陽射しは強く、飛騨方面から湧いた雲が結構な速さで頭上を越えて流れて行く。
小屋前から、潅木を分ける気持ちのよい山道を歩く。ほどなく丸山山頂に到着。脈々と連なる稜線を覗く。ここから先は砂礫とガレの岩の道になる。白いペンキで岩に○とか×とか描かれている。○印を追いながら歩く。
10時41分に西穂独標に到着。いつの間にか周囲は雲の中。時折ガスが晴れると続く道はすぱんと切れ落ち、コルを挟んで岩の道。白い○と×が続いている。
前に一度この道を歩いたときはまだ夜明け前で暗く、ヘッドランプの灯りにぼうっと浮かび上がった白ペンキの印が足元より低い場所から頭上まで垂直に続いて印象的だった。
明るい日の下だと岩稜の様子がよく分かり、それはそれでまた印象的。今年の残雪期のものか、まだ新しいリングボルトが岩に残されているのをところどころで見た。
ピラミッドピークを過ぎ、11時46分に西穂高岳山頂に到着。ここでまた小休止。ガスが濃くなり、雨の気配が近付く。雨もいやだけど、雷が怖い。先を急ぐ。赤岩岳を過ぎたあたりからとうとう雨が降り出す。夏の、大粒の雨。濡れた鎖場の下降やトラバースが続く。いやだなぁ。。
間ノ岳直下でいよいよレインウェアを着る。雨はますます強くなる。遠くに雷鳴を聞く。幸い、そう近くではなさそうだけれど、どんと真横から響いてくる。怖。。
どこかいい場所があったら雨が止むまで退避しよう、とにかく稜線上の岩場は危険だし…と、同行のYさんと話しながら先を急ぐ。間ノ岳からガレた道を降り、間天のコルへ。
目の前には「逆層スラブに長い鎖」。
この先も鎖場が続いて楽しいところなのに、雨の中濡れた岩場を歩くのは勿体ないし、なによりも危ないし。。ということで、テントを設営し緊急ビバークをすることに決定。この時点で1時半。まだ早いのでもう少し先に進みたい気持ちもありつつ、明日の朝早く行動を開始すればいいか、と。
フォーカストビバークを前提として最初はツェルトのみの予定だったけれど、Yさんが1~2人用のゴアライトを持参してくださったので雨の中でも快適。ゴアテントってすごいな~。
雨は小康状態になったり再び降り出したりの繰り返し。雷鳴は聞こえない。飛騨側はガスで真っ白。上高地側は時々雲が切れて前穂北尾根の稜線が見える。あの5,6のコルから上がったんだねぇ~と話ながら雲が切れるのを待つ。
すぐ側に雪渓があるので水の心配はないかとも思いつつ、ちょうど岩棚から水が滴り落ちているので雨水を個人用コッヘルに集めておく。
テントの中で早い夕食。食事は銘々。基本的にアルファ米。北アルプスならいざとなれば小屋で温かい食事にありつけるし~と考えていたけれど、結局自分は手持ちの食料でも十分すぎた。
明日の朝は2時起きで歩き出そう~ということで、まだ外が明るい中18時頃就寝。
すぐに寒さで目を覚ます。雨に濡れた衣類が生乾きで、ありったけの防寒着を着こんでいるのにどうにも冷える。コッヘルに貯めておいた水を沸かしてペットボトル湯たんぽをつくる。ついでにツェルトを引っ張り出してシュラフの上から被る。これでなんとか凌ぐことができた。
色々と気になることをメモしたり、グダグダ書いてみたり。山の記録はなるべく参考になりそうなことを…と思いながらも思いついたままに垂れ流し。。
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