メンバーはYリーダーとKさん、初アルプスのUさんと自分の4名。
栂池から白馬、不帰のキレットを越えて唐松、五竜へと歩く予定でした。が、悪天候により白馬にて停滞し、お隣の杓子岳をピストンして大雪渓から下山となりました。
天気が悪いことは重々承知の上での出発だったので、皆無事に下山できただけでもなにより。高山植物もたくさん見れたし。
17日の夜、新宿駅から白馬行きのムーンライト信州91号に乗車。使用車両は特急あずさ。大糸線はホームが短い駅があるので3号車が一番先頭で1、2号車が欠番。なんで後ろじゃなくて前を端折るのかは謎。
登山客が9割、帰省か仕事絡みと思しき人が1割程度。都区内を走行中はほぼ満席だったのですが、夜半に見回したら8割程度になっていました。
大町の辺りでは曇りがちで雨は一時的に止んでいるようでしたが、北上するにつれ車窓の外の雨脚がどんどん強くなる様子。。携帯で天気図をチェックすると、どうにもこうにも好転しなさそうな感じ。まぁ今日の行程には危険な場所はないし、無理せず行きましょうや、ということに。
18日の朝5時39分に白馬駅に定刻どおりに到着。白馬駅前は大粒の雨。
タクシーに乗ってゴンドラリフトの乗車口、栂池高原駅へ。ゴンドラリフトが動くまで、朝ごはんを食べたり雨具を着たりと準備。
午前6時半過ぎにゴンドラリフト「イブ」に乗車。ゴンドラの中は登山客の人でいっぱい。ゴンドラ内のアナウンスによると、今年はオオシラビソの実生が10年に1度と言われるほどたくさんついているとのこと。木の上にわさわさと紫色の松ぼっくりが見えました。オオシラビソの実がたくさん付く年は災害が多いらしいのですが、くわばらくわばら…。
ゴンドラを降りて身支度の最終チェック。いざロープウェイ乗り場へ。眼下に見える沢筋はちょっとした濁流。ロープウェイを降りると一挙に標高1829m地点。文明の利器に感謝。
登山道はところどころ水が流れ出していて、少し沢登り的なところもあり。8時25分に小さな雪渓の手前で小休止。10分ほど休んで再び歩き出すとほどなく木道が現れ8時35分に天狗平に到着。目の前に樹林帯とその上に雪田があり、カラフルな雨具の列が見えました。
←晴れているとより一層すばらしい風景なのだろうなぁ。。
高層湿原を愛でる間もなく樹林帯に突入。岩がちな道を歩くと雪田が登場。大人数のツアーパーティのお陰で大渋滞。どうやら例のツアー会社の模様。軽アイゼンを装着するために渋滞を引き起こしている様子。
高低差10m程度だし傾斜も緩いのでキックステップで行列とは関係ない場所を登る。岩道を進んで次の雪田を越えると、9時半に乗鞍岳に到着。なだらかな登山道を歩いていくと眼下に白馬大池と大池山荘が見えました。
晴れていたらきっと気持ちの良い道なんだろうな~と思いながら、10時に大池山荘に到着。小屋の中はすでに登山客でいっぱい。こんな天気の日によくもまぁ…。もっとも自分たちも人のことは言えないけど。。
暖かい小屋の中でがっつり休憩。自分はすでに靴の中までぐしょ濡れで沢靴状態。K女史が夜食のお礼ということで、ホットレモネードを振舞ってくれました。ありがとう~。
「これから稜線に出るし、標高も上がるからフリースを着込んだ方がいいね。風が強くなってきたから手袋も」ということで、各自防寒用具を装着。
小屋前から伸びる雷鳥坂を登る途中で雷鳥に遭遇。人の姿を見ても逃げ出す気配なし。雨の日は雷鳥の天下なのかも。
←第1次雷鳥との遭遇in雷鳥坂。この後も何度か見かけました。
標高2600m辺りになると富山側から吹き付ける風が強くなりました。北西の風なので冷たく、真横から吹きあげるので飛ばされないように注意しつつ。
←コマクサともしばしば遭遇。「他の植物が繁殖できない厳しい環境である高山帯の砂礫地に育成する」とのことですが、他の植物とほどほどに共存してました。
いくつかのアップダウンを越えて、12時10分に小蓮華山山頂を通過。山頂の標識には「三国境まで1.75Km、60分」とあり、この先も稜線伝いでロクに休憩できそうな場所はないものの、ますます高度は上がるし当面雨が止むとも思えないので、どこか適地があったら休みましょうとYリーダーと相談。
自分もまた全身ずぶ濡れで寒くてたまらず、ポケットに飴とおせんべいを仕込んであるものの口にする元気がなくなってきた感じがしてちょっとやばい。それにUさんがちょっと寒そうで、このままだとペースが落ちてきそうな気配。様子を見ておかないとな~と思い、自分は最後尾に移動。
2719m地点を少し下ったところで、突然Yリーダーが登山道脇にジャンプ。潅木がなく砂地の窪地になっていて、どうやらビバークサイト。Yさんいわく「なんだか良さそうな場所があったから」とのこと。すばらしい。
ここでテントのフライシートを広げて全員中に。温かいものを飲もうよとストーブに火を点けたら、一瞬にして「うぉ、あったか~い」と生き返りました。
K女史が提供してくれたココアをみんなで回し飲みしながら、行動食を食べてしばらく休憩。Uさんの顔色も大分良くなってきました。「やっぱりツェルトは必需品だよね。今回はフライシートだけど」とみんなで見解一致。「図らずしもビバーク訓練になったね」とか「実地で体験すると実感するね…」と、口々に感想がついて出る。
白馬山頂を過ぎれば小屋まではすぐだから、もう一息がんばりましょう~、といざフライシートの外に出たものの、風はいよいよ強くなり寒い。それでも充分温まった効果は抜群。
休憩場所から10分ほどして三国境に到着。この時点で13時15分。進路がいよいよ北寄りになるので冷たいながらも追い風に。ときおり雨の中に霰が混じり、顔に当たると痛い。。
左は断崖、右はお花畑…といってもガスガスでよく見えない登山道を、晴れていたならば最高の景色なんだろうなぁ…と脳内で想像しながら歩き、14時に白馬岳山頂に到着。
山頂でささっと写真撮影をして、下り坂をぐんぐん下る。
白馬山荘を過ぎて、14時半に村営の白馬頂上宿舎に到着。
ストーブの効いた小屋の中はうれしいほどに暖かく、快適。小屋の軽食を食べたり、行動食を食べつつのんびり。
もう今日は歩かなくていいから、がっつりあったまろう、としばらくストーブの前で乾燥タイム。
こんな天候でも出発する人あり、後から到着する人あり。いやほんと、自分たちのことを棚にあげるわけにはいきませんが、みんなすごいな。。なんというか。。
小屋の方に明日の天気予報について尋ねると「今日と同じかもっと荒れるらしい」とのこと。また、大雨のために沢の出水が激しく大雪渓経由の登山道は午前9時半頃に早々に閉鎖されてしまったとこのと。さらに、白馬鑓方面の登山道も閉鎖されたとのこと。ううむ。。
もし天候が多少でも回復するならば、いっそ白馬鑓から温泉でも入って下山しようか~と考えたものの、稜線上の登山道の危険性だけではなく下山路が閉鎖という可能性もあるのか…としばし再考。
いずれにしても、明日の天気次第だから明日また考えよう~、と。
しばらく温まった後にテントサイトの受付。「場所によっては水没していますよ」と予め注意を受ける。
いざテントを張りにサイトに移動すると、すでにテントが2張りほどありました。また、自分たちの後から1パーティ到着した模様。
風に飛ばされないように周囲を石でブロックしたものの、ぐわんぐわんと風に叩かれ続け、突風と同時に空気圧で内部に水滴が飛び散る始末。
まぁそれでもテントに篭ってしまえば人心地つくもので、夕飯を食べてぼちぼち就寝。小屋で衣類を乾かしたもののまだ完全ではなく、突風と同時に寒気が吹き込むため、なんとなく底冷えがして自分はほぼきっかり1時間ごとに目を覚ましつつ夜を明かしました。
北海道の大雪山系で大量遭難。。
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大雪山系の遭難3件…死者は10人に
救助された遭難者(北海道新得町で)=伊藤紘二撮影 北海道・大雪山系トムラウシ山(2141メートル)で16日、悪天候のため18人が下山できなくなった遭難事故で、道警は17日未明から救助活動を開始した。
同日午前11時現在、10人が自力で下山したり、自衛隊などのヘリコプターで救出されたりするなど無事が確認されたが、8人が死亡した。また、1人で入山していた別の男性登山客が、山頂付近で死亡しているのが見つかった。
また、同山の南西約15キロの美瑛(びえい)岳(2052メートル)に登山し、救助要請していた別の6人のパーティーは、道警の救助隊が17日未明、現場に到着したが、兵庫県姫路市、尾上敦子さん(64)が死亡、残る5人は無事が確認された。
大雪山系での死者は10人になった。
トムラウシ山の18人のパーティーは、東京都内の旅行会社のツアー。愛知、広島、静岡、宮城などの50~60歳代の男女15人が今月13~17日の日程で山系を縦走する計画で、ガイド3人が同行。美瑛岳のツアーは茨城県つくば市の旅行会社が企画し、兵庫、埼玉の女性3人にガイド3人が同行していた。
トムラウシ山の新得町側ふもとにある国民宿舎「東大雪荘」によると、16日は標高1500メートル付近で風雨が非常に強く、登頂を断念して引き返す登山客もいたという。帯広測候所の観測では、山系周辺は当時、推定で風速20メートル以上の西風が吹いていた。気温は10度前後まで冷え込んでいたため、道警は、登山客の死因は、いずれも低体温症とみられるとしている。
大雪山系は中高年に人気の縦走コース。トムラウシ山は「日本百名山」の一つで、特に人気が高い。標高は2000メートル級だが、気候の変化が激しく、夏でも初冬並みの気候になることもあり、軽装備で入山して遭難するケースもある。同山では2002年7月にも、風雨に見舞われたパーティーが遭難し、50歳代の女性2人が低体温症などで死亡している。
(2009年7月17日12時05分 読売新聞)
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なによりも、亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げます。
天候が悪かった、ガイドの判断に誤りがあった、装備が不十分だった(トムラウシ山のパーティは、テント装備などを別行動のガイドさんが歩荷との話)、予備日のない長い行程、個人の体力の差、高齢者の多いパーティ、パーティがばらばらになってしまった、夏山とはいえ北海道の山岳地域に対する認識が甘かったのでは、地元のガイドが少なく(またはゼロ)で現地を知っている者がいなかったのでは…などなど、報道記事ではすでに様々な分析や指摘がなされています。
多角的な観点から遭難の原因を考えるということは、同じような悲劇を繰り返さないためにも重要なことだと思います。。当事者の方々にとっては辛く厳しいことだとも思いますが。。
山岳遭難における抜本的な対策はもはや「入山禁止」という極論しかないということになってしまったら…身勝手ながら、それは。。ちと困る。。
外野にいる自分があれこれ多くを語るのはやめておきます。
楽しむための山登りで、もうあまり悲しい事故が起きませんように。。
といいながら。。
トラウムシのパーティについては、山岳遭難記事に詳しい豊後ピートさんのブログを拝読し、う~むう~むう~む。。
・大雪山系で25人が悪天候により動けず (2009/07/17)
・あぶないツアー会社はやめておけ (2008/08/31)
美瑛のパーティの主催会社の代表も、トラウムシのツアー企画会社の出身だそうで。。う~む、う~む、う~む。。
「沢初心者にも楽しい水と戯れる沢」とのこと。今まで機会がなく、自分は初めての遡行。
さすがに人気の沢だけあり、朝9時頃に下の駐車場には沢装備を身に付けたパーティがちらほら。
今回は会のイベントなので、総勢9人と大御所。曇り気味だけど、湿度が高く寒くも暑くもない。
「まぁ、のんびり行きましょう~」ということで、水根キャンプ場の先から入渓。
この辺り、正直がっかりするほど汚く、水の流れの端にごみが散乱している。水もかなり濁っている。
特段のイベントのない淡々とした川歩き。まぁ今年初めての沢だから、これくらいの方がかえって安心。
かつて(2002年頃まで?)の水根沢は、水量が豊富で深いゴルジュと釜が多い魅力的な沢だったらしい。上流から流れてくる土砂が釜を埋めてしまい、以前を知る人にとってはだいぶ渓相が異なるようだ。
砂に埋まり平坦になった釜の先に、ちょろりと濁り水の流れる小滝を乗りあがる。遡行図には「直登かへつり」または巻いても良いとある。左の壁に年季の入ったスリングがいくつかぶら下がっている。振り子状態でへつるらしいが、釜の中でも充分足が着くのでへつらずさっさと歩く。
こんな風に、視線の高い位置に古いピトンとスリングが垂れている箇所がいくつかあり、おそらく以前はここまで水があったのだろうなと思いながらぽくぽく水通しを選んで歩く。ラッシュガードを着ているので、濡れてもそれほど寒くない。
しばらくすると3m2条の滝。相変わらず水は濁っている。
間もなくゴルジュ帯に至る。といっても水嵩はそれほど多くない。ここは「『右、左、左』だよね」とリーダーのSTさんと確認。でもそんなにシビアではないので、みんな適当に良さそうなラインを登る。
「好きなところを歩いていいのが沢登りの面白さなんだよね」とSさんがお試しの方に説明している。お試しさんも楽しそうでなにより。
雲が晴れてきたのか、次第に木漏れ日が射し始め、明るい沢になる。
4mナメ滝はさほど深くない釜を渡って右壁を登り、ウォータースライダーを楽しむ。
沢登りだと、大の大人が競って童心に返ってしまう。
途中で後続パーティに先に進んでもらったりしながら、ぽくぽく小滝を越えていくと、大き目の釜が登場。右岸を小さくトラバースして越える。「あれ、今のが2段12m大滝?」と、越えてから気づく。
小さい川原をぽくぽく歩いていくと、右岸から水が合わさる。
流れが右に大きく曲がる手前、割合立派な作業小屋が見える。脇に石積みのワサビ田がある。現役だろうか。
先行パーティが登るのをしばし待ち。ぎりぎり足の着く広い釜を泳いで取り付き、突っ張りで登る。んだけど、下部で痛恨のスリップ。恥ずかしい…。仕切り直しで再度トライ。今度はちゃんと抜けました。
上にはすでに遡行を終えた人たちが大勢休憩中。あぁ、釜があったら入りたい。。
ほとんどの先行パーティはここで遡行を終えるらしく、すでに林道に向かって斜面を上がり始めていたり、お昼ごはんの準備をして寛いでいたり。
この時点でまだ11時過ぎなので、もう少し先まで行きましょう~と、みんなでさらにその先を歩く。
標高780mくらいの地点で緩やかになるみたいなので、その辺りまで行きましょうか、と。
トポの遡行終了点からすぐ先に小さな滝があり、手がかりがやや乏しいけれど面白い。
その先は川原になり、ガレっぽくなったりと、しばらくは平凡な印象。
ただ、遡行者が減ったたためか、今までと同じ沢とは思えないほど水が澄んでいる。きれい。
沢相はそれまでと同じ感じ。特に困難なところはなく楽しい。
さっきよりも水が澄んできれいなので、それだけで気分が盛り上がる。やっぱり沢はキレイなほうがいいな。
やや大きめの釜が現れ、2mほどの小さな滝が登場。左側に細かいホールドがあり乗り込んで越える。
ボルダーっぽい。へつって越える人あり、中央突破する人あり。
この先、ゴーロがあるものの流れが穏やかになる。左岸の木に赤テープやビニールテープが見える。ここから林道に上がれるだろうと判断し、ここで本日1回目にして最後の大休止。宇宙食みたいな温かいソーメン(苦笑)を食べる。
作業道と思しき、植林の中のよく踏まれた道を登っていくと、すぐに水根沢沿いの林道に合流。
眼下の木の葉の隙間にときどき滝場を覗き見ながら、林道をぽくぽくと下る。30分強で水根の駐車場に戻る。
アプローチも下山も短く、お手軽で楽しい沢でした。
水がもっと豊富だったら、さぞもっと楽しかっただろうなぁ、とは思いますが。
例年は日中に11~12時間のコースタイムのルートをそれぞれ単独で歩く(走る)ことになっているけれど、今回は少人数のパーティに分けてのカモシカ山行というスタイルで計画。
夜中12時に暗闇の中を、みんなでヘッデンを点して三富の集落から歩き出し。いきなり分岐点で道を間違える。道満尾根に上がらなくてはならないところを、地図にない仕事道に進んでしまった。
仕事道を5分ほど歩いて分岐地点まで引き返し、道満尾根に取り付く。ぽくぽくと樹林帯の中の尾根を登る。むしっとしていてじっとり暑い。
自分はスイーパーなので最後尾。振り返ると、木々の間に集落のまばらな街灯が星のように光っているのが見える。中島みゆきの「地上の星」のメロディーが脳裏によぎる(笑)。
扇平に向かう途中で、先行しているはずのパーティから無線で「道を間違えた」との連絡が入る。どうやら大平高原から伸びる廃道になった林道に合流し、また登山道が右の斜面に上がるところを見逃してしまったらしい。
雲の切れ間から時折月が顔を出すけれどそんなに明るくない。前方の乾徳山は霧に覆われているようでぼんやり。
扇平からはいよいよ乾徳の岩場。それほどシビアなところはないし、困難な箇所にはしっかりとした鎖があるので暗くても安心。次々に現れる岩場が楽しい。
3時半過ぎに乾徳山山頂に到着。まだ薄暗いのと、後続パーティを待つためしばし休憩。それにしても眠い。それにじっとしていると肌寒い。4時頃、後続パーティが到着。次第に空が白み始め、周囲が明るくなってくる。残念ながらガスガスで展望はない。やがてポツポツと雨が降りかかり、さてどうしたものかと一同迷う。結局多数決で当初の予定どおり黒金山をピストンすることに決定。
黒金山への道は初めて。迷いやすい道かと思っていたけれど、案外しっかりと踏まれている。奥秩父らしい原生林に覆われた緩やかな稜線伝いの道で、とても気持ちよかった。途中で眠気と疲労がピークに達し、見かねて少し休みましょうということでザックを敷いて寝る。原生林の中で死屍累々と横たわる人たちの写真は、後から見るとなんだか前衛的な風景(笑)。
来た道を戻り、今一度乾徳山へ。曇り空ながらも陽射しが明るい。乾徳山山頂に到着するも相変わらずガスに包まれている。あとは一路下山し、三富の集落の駐車場に10時過ぎに到着。
夜や夜明けの薄明の中で歩くことは楽しくて、陽が高くなると周囲の風景がなんとなく陳腐に見えてくるから不思議。
それにしても、歩いた疲れよりも、完徹による眠気が強烈で頭痛がひどかった。楽しかったけど。。
Fさん、Nさん、Uさん、とうとうマイスキーを揃えてしまったYさんと自分の5人。
今年は山スキー派が一気に増員。来年は遠征してツアーが組めそうな。
土曜日の朝、FさんとYさんと自分の3人はまずは甲府幕岩でクライミング。
風邪が抜け切らず体調がイマイチなせいか(言い訳)、単に進歩がないだけか(正解)、甲府幕岩では特にこれといった成果なし。朝イチでバルタン(5.9)を登ったことくらい。
自分には限界グレードのクラックルート。ほとんどフェイス登りだったけど。面白かった。でもお腹いっぱい。
思いっきり日の当たるルートで粘っていたら暑くてたまらない。地域によっては30度を越える真夏日だったそうな。
夕方早い時間に増富温泉でひとっ風呂浴びて、一路乗鞍高原へ。
松本ICで中央道を下りて下道をひたひた走る。そういえば、この辺はついこの間来たばかり。
午後8時半過ぎに三本滝レストハウス前の駐車場でNさんたちと合流。満月の夜で、雪の残る山容が白く浮かび上がっていて幻想的。
駐車場は片隅に腐れ雪がちんまり残っている程度。3割強程度の埋まり具合。まだ空きがあってよかった。その後もポツポツと車が到着する。どちらかというと関西方面のナンバーが多い。
駐車場脇でテントを張って宴会の後、就寝。
朝4時半にトイレに行こうとテントの外に出ると、すでに出発の準備をしているスキーヤーさんたちの姿がちらほら。朝8時過ぎのバスを待たずに、早々と三本滝から歩き出すらしい。
朝6時に起床。三々五々朝ごはんを食べながら装備の準備。山頂直下がアイスバーンになっている状況に備えて軽アイゼンとバイルを持参したけれど今日もまた青空の広がる良い天気だし急激な天候の変化は予想されないので、ゴーグルともどもデポすることにする。
か、かわいい。おっとりととてもおとなしいけど人懐っこくて、しばし一緒に遊んでもらいました。
さくらちゃんというお名前で、お父さんではありませんでした(苦笑)。
7時半頃からバス停に陣取って順番待ち。今日はお客さんが多いだろうと見込んでか、8時少し過ぎに空のバスが到着。順番に乗車してしばらく出発待ち。
5台のバスから吐き出されたお客さんが続々と歩き出す様子にしばし勢いをのまれ、ぼやぼやっと準備をしたりして出発したのは9時40分過ぎ。
雪はたっぷり、しっとり重め。先週半ばにそこそこ新雪が積もったお陰か雪はまだきれい。
太陽の陽射しがギラギラと照り返し、標高2000m付近にもかかわらず暑いのなんの。てか暑い。
NさんとYさんがいい調子でどんどんペースを上げて歩いていくのに付いて行くことに必死。それにしても暑い。
それから、とにかく人、人、人。山スキーの人、テレマーカー、スノーシューでハイクアップするボーダー、ゲレンデスキーを担いでつぼ足で登る人々。真っ白い広大な雪の斜面は、まるでスキー場のよう。
途中、冷たい風がぶわっと吹き抜ける場所があり、この日のような暑いときには清涼感たっぷりでありがたかったけれど、真冬とか悪天候だとけっこう辛いかも。
シールが効かなくなるところはジグザグの傾斜を変えてえっちらおっちら。ふと背後を見たら、割と急斜面でびっくり。11時20分に山頂直下の小ピーク、蚕玉岳(こだまだけ)に到着。ここでのんびりお昼ご飯。
さ、さくらちゃん。。。えええ。mjd???
「あ、さくらちゃんだ!」 と、ここでもばったり遭遇。一足先に車道を歩き出していらっしゃり、自分たちが乗るバスで途中追い抜いたのに、なんという健脚。。
登山犬さくらちゃんは標高3000mの雪山でも元気。マイペースでとことこ斜面を下り、周囲のみんなに大歓迎を受けていました。癒される~。
焼山を手前に穂高連峰がくっきり。壮観。
今でこそ車道が整備されていてアプローチは楽々だけど、そういうものがなかった時代はどういう風にこの峰々を越えたんだろ。。
そういえば。松本ICから上高地や乗鞍へ向かう途中に、海がないのに「島々」とか「新島々」という地名があって、「なんで『島』というんだろうね~。山しかないのに」という話をしたら、「平家の落人が故郷を偲んで山々を瀬戸内の島に見立てたんじゃないの?」とYさん。へーなるほど~。と、どうやら咄嗟の思いつきらしい。なんだ。一瞬うっかり信じてしまいそうになった。
「安曇野」の安曇(阿曇)はアマツミ(海人津見)、ワタツミ(綿津見)の転嫁であるということも初めて知りました。いや聞いたことがあるような気がするけど、あんまり深く考えたことはなかったな。
「あずみ」というのは、津軽や北海道の「あずましい(吾妻しい、気持ちが良い)」と似たような語源かと勝手に思い込んでいましたよ。そういえば、安曇野は「あずみの」じゃなくて「あづみの」が正解でした。とほほ。
ひとしきり記念撮影をした後、いよいよ滑降開始。斜面を一気に滑り降りる。う~もったいない。でも爽快。
途中で、ビンディングをきちんと止めていないことに気付いてはめ直し。ビンディングを開放していても案外普通に滑れるんだなぁ。コケたらまずいけど。。
ということで北に向かって進路変更。すると位ヶ原山荘が眼下に見えて、あれれ。もっと南にいるのだと思ったら現在地は予定よりずっと北だったらしい。。滑り出すときにちゃんと方角を確認しておけばよかった。。
元のルートに戻るために斜面を登り返し(すみません)、平坦地を南に向かって漕ぐと、トレースがびっちり。まるでスキー場の林間コース。天然のコブがあったりして楽しい。でも山スキーというよりゲレンデ。
さくらちゃんとさくらパパさんはとっくに車に戻っていました。3000m級の雪山を往復してきたというのにさくらちゃんは至って元気。えらいなぁ。
うちで昔飼っていたわんこはお散歩の途中で「もう動けません! 抱っこしろ!」とフリーズばっかりしていたけど。。
装備を片付けて温泉に立ち寄り、ご飯を食べて(どの料理もすごいてんこ盛り)、一路帰京。
都内に戻り、重たい荷物を抱えて移動していたら、あまりの暑さと湿度の高さにめまいくらくら。
山の上と麓のこの温度差には体がついていかない。。
お碗状の氷河圏谷、涸沢カール。
3000m級の山々に囲まれた巨大なすり鉢の底。
合言葉は「涸沢カールで会いましょう」。て、有名なコピーですが、いったいいつ生まれたのでしょう。
左手に前穂北尾根、正面は前穂と奥穂を結ぶ吊尾根。
奥穂の右に涸沢岳、その先に北穂。
北穂山頂からは吊尾根~奥穂を経由し、奥穂高山荘の建つ白出のコルから涸沢ベースに帰還。
4日目の朝、名残を惜しみつつ涸沢を離れて上高地へ下山。
詳細はまた今度。
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■山域: 越後三山 巻機山 井戸尾根 滑降
■日程: 2009年4月12日(日)
■メンバー: F、Y、O、S
■天気: 曇りのち晴
□コースタイム:
6:30 清水集落 歩き出し - 8:05 井戸の壁 下部末端 - 9:15 井戸の壁 上部 - 10:20 1400m地点 疎林帯 - 12:00 ニセ巻機(9合目) - 13:00 巻機山山頂 - 13:45 滑降開始 - 14:10 ニセ巻機 - 14:40 井戸の壁 - 15:30 清水集落
朝4時半に起床。コンビニに寄って朝ごはんを食べ、清水集落に向かう。すでに道路の脇には車が10台弱ほど停車中。山スキーの人もいるし、スノーシューをザックに括りつけた登山者の団体さんもいる。みんな朝早いなぁ。
多少雲がかかっているものの、概ね良い天気。気温もかなり高いようで、じっとしていてもちっとも寒くない。むしろ快適。ザックに必要な装備をしまい、買ったばかりのスキーにシールを貼って、6時半に歩き出し。
集落の奥まで舗装道路を歩く。集落の最後の家を過ぎると、林道には小枝の積もる汚い雪が残っている。ここでスキーを履いてペタペタ歩く。
ところどころ、ほんの少しだけ雪が切れているところがあるけれど、どうにか繋いでいける。二子沢にかかる橋を渡る。どうどうと雪解け水が猛烈な勢いで流れていく。
道端に山小屋が点在する林道を辿っていくと、のっぺりとした広い台地が広がる。目前に井戸尾根末端。左から回り込むような形でトレースが続いている。トレースを追って、尾根の左側から取り付く。
これが「井戸の壁」かぁ…と思いながら、えっちらおっちら登る。傾斜はますます厳しくなる。少し傾斜の緩んだところでいったん休憩。後から来たパーティの人たちが猛烈な勢いで直登していく。すごい。
←この写真だとそうでもなさそうですが、結構急な登りです。
休憩後、再び登りだすも徐々にシールの効きが悪くなり、立ち木も混んできてますます難儀する。
ここまできたら最後まで! と、頑張ってみるものの、傾斜の厳しさについにギブアップしてスキーを外す。前後して登っているパーティの方々はさっさとツボ足で登り始め、「ここまで頑張ったんだから、最後までがんばりなよ」と声をかけてくださるものの、無理。。
登れば登るほどますます急登になる。ツボツボと歩いて井戸の壁の上部で再び休憩。はーしんど。
この時点で9時15分。地図上の水平距離だとまだ全工程の4分の1にも満たないような。。大丈夫なんだろか。それにしても、下を見ると結構な傾斜。木もうるさくて、これは帰りはスキーを脱いでツボ足だなぁ。。と思う。
1350m地点を越えると、視界がぐんと開け、左手に割引沢や天狗岩、前方にニセ巻機、右手に米子沢が見渡せる。天狗岩は、まさに岩の頂点に天狗が舞い降りてきそうなたたずまいでかっこいい。徐々に雲が切れ、青空が広がっている。
1400m地点で休憩していると、突然がうんごうんと雷鳴みたいな音が轟く。割引沢の左岸1200m地点あたりからルンゼに詰まった雪がブロック雪崩を起こしていた。
遮るものがなくなり、陽射しがいっそう眩しい。なにより雪面からの照り返しがきつい。サングラスをしていることを忘れるほどに視界が明るい。
ニセ巻機につながるルンゼの草付き地帯に張りついていた雪の塊が、ずるりと全層滑り落ちる。春山はなんだか生き物みたい。
1750m地点あたりから、夏道の状態が悪くなっているので右に大きく迂回する。夏道の方が近いのだけど、ところどころ笹が顔を出して腐った雪がのかっているだけになっていてちょっとどうしようもない。トラバースを終えてえっちらおっちらニセ巻機の肩を登る。あちこちに雪まくりが転がっている。
←わかってる。わかっているけど、それでもどうしても「『ニセ』巻機山」の表記には心底ガッカリする。なんというか、「ニセ」って文字が。。
それにしても暑い。持ってきた水は1.7リットルくらい。この時点で1リットル以上呑み干してしまった。
←といっても、山頂ってどこ?? ピークってどれ?? ってくらいなだらか。
巻機山の山頂付近にたくさんの人影が見える。思ったより遠いのか、人の姿がゴマ粒のように小さい。
「結構早い時間に出発したかな~と思ったけど、びりっけつになっちゃったね。ははは」とFさん。確かに、自分たちよりも後から登って来る人はもういなさそう。
ニセ巻機山から巻機山へはいったんコルを滑って登り返し。コルにあるはずの避難小屋は雪の下に埋まっているらしい。
この日は午後から曇りの予報だったけれど、予報に反してどんどん青空が広がっていく。ありがたい。
平ヶ岳、奥利根湖、谷川連峰の山々が見える。雪の上なのに初夏の陽気のような陽射しで、なんだか不思議。山頂でゆっくりのんびりと休憩した後、13時45分に下山開始。スキーでの下りは早いもので、先頭をゆくFさんは気付くとはるか下で動画撮影の準備中。
ぺったりと重い雪で、コントロールを間違えるとブレーキがかかってつんのめりそうになる。休むことなく止まることなくどんどん滑り降りていくので、腿がパンプする。
←巻機山山頂からコルまでのバーン。天然のスキー場。広くて快適。
IYH!!! と、気付くと喚いている自分がいる不思議。
←ニセ巻機から南面の肩へのスロープ。ところどころシュルンドが開いていました。
自分が滑った後からごろんごろんと雪の塊が追いかけてきたりして、なるほどだからこの辺は雪まくりが多いのだと納得。
あっという間に疎林帯に到着。ここもまた快適。そしてあっという間に井戸の壁の上部。煩い潅木の間をFさんはジャンプターンを決めながらぽんぽん降りていく。自分はそんな技術は持ち合わせていないので、板をずらして少しずつ高度を下げていく。何度か転びながら、どうにかこうにか井戸尾根末端まで降り、今朝歩いた林道を歩いて清水集落に戻る。
くたくたに疲れたけれど楽しかったです。お疲れさまでした。
色々と気になることをメモしたり、グダグダ書いてみたり。山の記録はなるべく参考になりそうなことを…と思いながらも思いついたままに垂れ流し。。
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