剱岳・源次郎尾根の記録の続きの続き。
DAY3といいながら、まだ2日目。
源次郎尾根を登り、全身ずぶ濡れになって(雪がベチャベチャ+戻りの途中で雨が降り始めた)テントにたどり着いた前後から天候は悪化の一途。
テントの周囲には、Y君がこれでもかとスノーブロックを積み上げておいてくれたので、吹き飛ばされる心配はなさそうだけど、猛烈な風とテントを叩く雨粒の音が騒がしい。
寒風吹き荒ぶ中、テントの中が気温もぐんぐん下がってくる。さぶ~。
昨日はちょっとテント村だった剱沢キャンプ場も、自分たちを含めてテント4張程度。
みんなもう引き上げたのかな、それとも、小屋に避難した人もいるかもしれないね、とY君と話し合う。
行動中はあまり補給をとらずにいたのと、テントに戻った気安さからか、お腹が空いてひもじい。
なので、まだ早い時間だけどさっさと夕食開始。ビールで乾杯。
ご飯を食べてビールを飲みながら、地図とトポをしげしげと眺めつつ本日のレビュー。
ふと源次郎尾根を登っている途中、源次郎谷にテントが一張あったのを思い出す。あぁこれだ、「熊ノ岩」という場所。テントからは、源次郎尾根II峰と八ツ峰V峰に向かう足跡が続いていたっけ。
この吹雪の中、あのテントの人はだいじょうぶなんだろか。いざとなれば目の前に山小屋がある自分たちと違って、いったいどれだけの荷物を担ぎ上げたんだろか。。すごいよなぁ。。( ̄ー ̄;)
お腹もいっぱいになったところでトイレに行きたいなぁと思いつつ、雨の中を歩くのはいやなので我慢してシュラフにくるまってうたた寝。(自分としては)重荷を担いで歩いたり、初めてのルートを登った緊張感やらで、とにかく疲れた~。
でも、寝る前にはトイレに行っておこう。。と、意を決してずぶ濡れの靴を履く。(涙目
テントの入口を開けると、雨ではなくてアラレ。ありゃ。どうりで冷えこむはずで。
テン場から小屋の外トイレまでは多少距離があるので、地吹雪の中でトレースを見失わないようにヘッデンで次の旗を確認しながら進み、無事にテントに帰還。トイレに行って遭難-て、冗談でもなく起こりえることなので。
明日は晴れるはずだけど、だいじょうぶなのかな~。このまま吹雪が続いたら停滞かな~と、幾ばくかの不安を感じながら就寝。この晩もテントマットの空気漏れのおかげで熟睡できず、ほぼ1時間置きに目を覚ましてはマットに空気を入れてました。(涙目
翌朝3日目、最終日。ついでにGWも最終日。
午前5時に起床。時折風の吹く音は聞こえるものの、どうやら雨雪は止んだ様子。周囲もすっかり明るいみたいだし。
えいっとテントの入口を開けると、剱岳が朝陽を浴びて実に荘厳なたたずまい。空には一片の雲もなし。
おお~ッ♪
テント内部に吊るしておいた靴下が冷凍サンマみたいに、そのままの形で凍り付いていました ( ̄ー ̄;)
手袋も靴もカチカチ。プラティパスの中にも薄氷。テント内部の結露もパリパリと氷ついていたし。
いやぁ昨晩はかなり冷え込んだんだなぁ。。としみじみ。
それでも今日は快晴。すばらしい。天気が良ければ勢いテンションも上がるもので、朝ごはんを食べていそいそと撤収開始。
テントを片付けているときに、ちょうど強風が吹きつけてテントポールが破損。orz (スミマセン
雪面は、ウィンドブラストによるガチガチのバーンに新雪(アラレ)が乗っかり、ところどころはパフパフの吹き溜まり。さらに本日はお日柄もよろしくて早々とベシャ雪になる気配、という厄介なコンディション。
これはアイゼン必須だね。。ということで、アイゼンを取り出して装着し、テン場を出発したのは7時半ちょっと前。
昨日はアタック用の荷物だけだったのでまだ楽だったけど、今日はまた荷物が重い。。(-_-)
まぁ室堂に着けばこちらのターン。。。!(ほんとか?) と気力を振り絞って、えっちらおっちら。
アイスバーンにアイゼンの爪がさくさく刺さって楽しいな。安心だし。
早々と、朝イチで剱沢方面に滑ってくるスキーヤーさんたちがちらほら。まだらにカリッカリのバーンなので、エッジが立たずにちょっと大変そう。でも気持ち良いだろなー。
別山乗越の少し手前で来た道を振り返り、これで剱岳を見納め。
剱御前小舎からは室堂方面の展望が開けて、それはそれで良い眺め。
往きに急登で苦しんだ雷鳥坂も、帰りはシリセードで一息に下って、あっという間に雷鳥沢手前の分岐へ。
それにしても、昨日の晩の嵐が嘘みたいに、陽射しが暑い~。
ここでしばし休憩。アイゼンとヤッケとザックにしまい、室堂で行楽客の波に呑まれる前に山の気分を満喫。
さて。。。ということで、最後の登りをえっちらおっちら。傾斜は緩いけどしんどいな~。
往きとは逆にミクリガ池を周り、室堂に到着したのは10時40分。
あぁ暑い~。文明に感謝しつつ、ターミナルの自販機でコーラを購入。普段はコーラなんて(失礼)飲まないんですけどね。炭酸ウマー(´∀`)
11時15分発のトロリーバスに乗車。黒部アルペンラインを乗り継いで山の麓に近づくほどに、雪の世界を離れて新緑の季節の土と緑の匂いに包まれるのを実感。あ~もう雪の季節も終わりなんだな。。
13時過ぎに扇沢に到着。まるで初夏のように緑が鮮やかで、陽射しが眩しく空気も爽やか。
う~む。半日前は吹雪の中にいたのに。。。
冬から一気に夏ですか、そうですか。
浦島太郎気分というか、なんというか。。なんだか不思議だな。
温泉に立ち寄り、山菜の天ぷらとお蕎麦を食べて、一路帰京。
高速道路はたいした渋滞もなく流れていて、さくっと帰宅。
春から冬、冬から春、そして夏へ~と、季節を一気に駆け抜けるような不思議な山旅でした。( ´ー`)フゥー...
思えば人が快適に過ごせる環境とやらは、ものすごく微妙なバランスの上に成り立っているんだなぁ、なんて真面目なことを考えてみたり。
色々と気になることをメモしたり、グダグダ書いてみたり。山の記録はなるべく参考になりそうなことを…と思いながらも思いついたままに垂れ流し。。
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