連休後半の3日間は、源次郎尾根から剱岳へのバリエーションルートへ。
冬山装備一式に加えて、II峰の懸垂下降用に50mロープを持参。
自分の荷物だけでもおそらく総重量20Kg以上。自分としては今までで一番の大荷物。重かった~。。
それでも、テント装備や大コッヘルを担ぎ上げてくれた同行のY君の荷物は25Kgとのこと。うへぇ。敵いません。
3日間の天候は快晴-曇りのち雨(夜は吹雪)-快晴。源次郎尾根を登る日は、折り悪く快晴の谷間。それでも午前中いっぱいは安定した曇り空で、下山後してテン場に戻る途中から雨が降りだしたので、まぁまずまず。無事でなによりでした。
結論からいうと、尾根への取り付き箇所が最大の核心でした。いったん尾根にとりついたら、トレースがしっかりついていたので、ぐずぐずの雪に注意しながらの雪稜歩き。1日出発をずらしたおかげか前後にパーティがなく、自分たちのペースでのんびりと登れました。
取り付き箇所が怖かっただけに、本来最大の見せ場であるII峰からの懸垂下降は拍子抜けなくらい呆気なく終了。
歩いている途中で、都合3回雷鳥に遭遇。白い冬毛の雷鳥は、神様の使者のようになんだか神々しかったです。
コースタイム
(1日目) 扇沢駐車場 車中泊 3:45 起床 - 6:30 トロリーバス始発 乗車 -8:00 室堂 到着 -8:40 室堂から歩き出し 雷鳥荘経由 -9:20 雷鳥沢 -11:40 剱御前小舎 休憩 (-12:30 第1次雷鳥遭遇) -12:40 剱沢キャンプ場 テント設営
14:50 剱沢を下って源次郎尾根取り付きを偵察に出発(-15:10 第2次雷鳥遭遇) - 15:30 東尾根下部のあたりでテン場に戻ることに -16:30 剱沢キャンプ場、夕食ののち 20:00 就寝
(2日目) 3:30 起床 - 4:30 剱沢キャンプ場 出発 -5:05 源次郎尾根下 アイゼンを装着し、右のルンゼルートへ -6:10 源次郎尾根取り付き 行き詰まりながらもハイマツ帯を強行突破 -7:45 源次郎尾根に合流 -8:40(訂正) 9:05 I峰上 - (10:00 II峰手前 第3次雷鳥遭遇) - 10:05 II峰上 -10:40 懸垂下降終了点 - 11:35 剱岳山頂 -12:00 下山開始 -12:20 平蔵谷にドロップイン - 12:35 トラバースルート -12:50 平蔵谷下 -14:30 剱沢キャンプ場、夕食ののち20:00頃就寝
(3日目) 5:00 起床 -7:25 剱沢キャンプ場出発 - 8:35 剱御前小舎 -9:10 雷鳥沢下 アイゼンをしまう -9:40 雷鳥沢- 10:40 室堂 - 11:15 室堂発トロリーバス -13:10 扇沢
5月3日の土曜日、お昼過ぎに都内から車で扇沢を目指して出発。GW後半の日中なので車の数は多いものの、高速道路は順調に流れて7時過ぎに扇沢駐車場に到着。日帰り観光客の皆さんが帰宅した後のためか、無料駐車場も半分くらい埋まっている程度。明日の装備を確認して、この日は車中泊。空には満点の星。
夜中の間、次々と車が到着する気配。朝1番のトロリーバスに乗らなくては! と気合が勝ちすぎて、なんだかよく眠れない。行列とか順番待ちとか人混みとかが大の苦手なので、こういうのはどうも精神衛生上あまりよくない。
朝3時45分に目を覚まし、4時半前にザックを担いで早々とチケット売り場へ。周囲をブラついている人はいるものの、チケット売り場にはまだ人がいない。ラッキー。
チケット販売開始は5時50分からとあるのでまだまだ先は長いけれど、とにかく並んでおけばひと安心。
ちらほらとチケット売り場に人が集まり始め、5時過ぎにはすでに行列が。
混雑するときは臨時便が出るはず~という声が列の後ろのほうで聞こえてくる。結局、臨時便は出ずに、6時半の扇町始発のトロリーバスに乗車。室堂までは長い道のりなので、とにかく先を急ぐ。
関電トロリーバス、黒部ケーブルカー、立山ロープウェイ、立山トンネルトロリーバスと乗り継いで、室堂に到着したのは8時。室堂周辺は観光客がひしめいていて、さすがGW。
なんだかすでに一仕事終えたような気分だけど、実際にはここから始まり。空は雲ひとつない快晴。雪の照り返しが眩しい。ここは携帯電話の通じる最後の場所。天気をチェックすると、翌日5日は曇り後雨の予報。うげげ、昨日の予報よりも悪くなってる。。
まぁ、今日一日は晴天だし、6日も天気が良さそうなので行くだけ行きましょうと、装備の準備を進めて8時半過ぎに室堂を出発。
ミクリガ池の左側を経由して雷鳥荘に到着すると、眼下の雷鳥沢に色とりどりのテントが密集。まるでテントの展示会場みたい。地獄谷方面から硫黄の匂いが漂ってくる。「ねぇ今オナラした?」と同行のY君と確認しあう。
雷鳥沢キャンプ場周辺は聞きしに勝るスキーヤー・ボーダー天国。天然のゲレンデにコブ斜ができていて、楽しそう~。
雷鳥坂の下から見上げる別山乗越は遥か遠くて、上の方を歩く人々がゴマ粒みたい。長い急登に背中の荷物がずっしりで、ちっとも足が捗らない。自分よりも重いザックを担いでいるY君はサクサクと先を行く。早い~。
歳の差かな。だろな。あぁ自分が情けない。切ない。。
どうにか剱御前小舎に到着したのは11時40分。振り返れば、すでに室堂は遥か遠く。
雪の大谷ウォークのバス通りがうねうねと延びているのが見える。雷鳥沢キャンプ場のテント群はドット画のアイコンみたい。ちっさ~。なるほど、歩き続けてきただけのことはありますなと、ようやく実感。
さてここからは下り坂~ということで、ツボツボと雪道を下りました。あぁ楽ちん。
周囲を見渡すと、ここもまたスキーヤー天国。四方八方にスキーヤーさんたちが頂目指して歩いている姿や、シュプールを描いて降りてくる様子が見えます。いいな~、楽しそう~。
別山乗越を下り始めるとすぐに峻険な剱岳がご登場。うぉ、かっこいい。
視線を落とすと、剱沢小屋の手前にテント村。まるで雪面に落としたマーブルチョコレート(極小)みたい。
それにしても、さっきからどうにも風景のスケールが大きくて、距離感がつかめない。はたして遠いのかな、近いのかな。。
「あ、雷鳥」というY君の声に左前方を見ると、雪の上にちょこんとオスの雷鳥が一羽。か、かわいい。
自分たちの進路の先にいらっしゃるので、驚かさないように用心しつつ雷鳥の脇を通りかかるも、一向に逃げる気配はなく、まるで人間なんか眼中にないご様子。
(雷鳥は絶滅危惧種なので、野生生物保護の観点から生息地を明記しないことが好ましいそうです。ある程度は範囲を特定できてしまいそうですが。。特定しないでやってくださいm(_"_)m)
雷鳥に癒されて、さぁあとひと頑張り~とぐんぐんと下り、12時半過ぎに剱沢キャンプ場に到着。テン場には、今日到着したグループだけではなくどうも昨日から滞在していると思われるテントを含めてすでに10張以上。ぽつぽつとスペースが開いているので、良さそうな場所を物色。
ふと見ると、剱沢小屋の窓が開いていて、どうやら営業中。
2年前に源次郎尾根をアタックした同じ山岳会の方の記録によると、その年は剱沢小屋が雪崩の影響を受けて閉鎖していたとのことでしたが、今年は小屋も外トイレも使用可能(宿泊は要予約。GW期間中のみ?不明)。
Y君がテント場を均している間、自分はいそいそと小屋にビールを買いにお出かけ。以前Y君が剱沢にテント泊をしたときには強風を受けてテントが潰されそうになったということで、Y君はいつも以上に入念な雪壁作りに専心。周囲のテントもイヌイットの居住地か遺跡かといわんばかりにスノーブロックを積み上げているので、よほど風の名所なんだな、と。
テントを設営し荷物をテントに突っ込んだ後、ピッケルを片手に源次郎尾根の下見に出発。
剱沢を降りてすぐのところで、ちょうど登ってくるお二人のパーティにすれ違う。今日はどちらを登られたのですか? と声をかけると、源次郎尾根を登り平蔵谷から降りてきたとのこと。
おお、まさに自分たちが予定しているルート。
この分ならきっとトレースが明瞭なはず~ありがたや~と、期待を胸に沢を下り続けることしばし。
踏み跡を辿って剱沢を下っていると、またしても雷鳥が。しかも今度は番。メスの雷鳥がひょこひょこと先導する後ろを、オスの雷鳥がのたーりのたーりとついて行くのが微笑ましい。
←雷鳥、かわいいよ、雷鳥。
さて、剱沢を下ったその先に源次郎尾根とその向こうの八ツ峰が見えているものの、取り付き地点はまだまだ遠し。一歩一歩進めばいつかはたどり着くのだとしても、自然の雄大さに乾杯ならぬ完敗気分。
源次郎尾根のすぐ脇から剱沢方面に向けて歩いてくるパーティが見えたので、きっとあの人たちも源次郎尾根を登ったんだろうね、ということは平蔵谷を下った地点があそこなんだろね。。と確認し合い、これ以上下ったらテン場に戻るのが5時過ぎになるよ~ということで、本日は偵察終了。
振り返ると雄大な剱沢のカールが延々と続いていて、ふぅぅ。。。思えば遠くに来たもんだ。。
つか、遠いっす。。。いやほんと。
右手に剱岳を眺めながら粛々と歩いて剱沢キャンプ場に戻り、早速ビールで乾杯。
この日の食担はY君。ポテトサラダに親子丼、わかめスープというボリュームたっぷりなメニュー。
おいしゅうございました。
テント装備以外に牛乳とか卵とか担いでくるなんて。。凄すぎるですよ。。
夕方から次第に、空に薄く雲がかかり始めました。
さて明日はどうしましょう、朝の空の様子を見て考えましょう、ということで午後8時に就寝。
そんなわけで、続きはまた今度。
色々と気になることをメモしたり、グダグダ書いてみたり。山の記録はなるべく参考になりそうなことを…と思いながらも思いついたままに垂れ流し。。
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