Norlys(ノールリース)-日々のあれこれ
Posted by norlys - 2007.05.11,Fri
5月10日の夜7時から、 渋谷のモンベルでプロクライマーのStefan Glowacz (シュテファン・グロヴァッツ)氏のスライドショーが行われたので、行ってみた。
今週はかなりのんびりペースなので、当日に思い立って行ってみようかと思いつくも、予約制ということであわてる。ダメもとで電話で問い合わせたら、あっさりOKだったので、ほ。
せっかく少し早めにお店に到着したので、ガスやシャツやらをあれこれ物色していたら7時ちょっと前とぎりぎりの時間に。
慌てて会計を終えていざ5Fのイベントホールに向かわねばとエレベータを待っていると、ちょうど山の会のNさんと合流。今回のイベントはNさんに教えてもらったもの(感謝)。山の会からは、そのほかにも2名、計4名が参加。
実は。。。畏れ多いことに、わたしはこのイベントに臨んでもなお、シュテファン・グロヴァッツ氏のことをほとんど知らなかった。
いつだかのRock&Snowで紹介されていたような気もするけど、違うかもしれない。なにしろカタカナの長い名前を覚えるのは苦手でして。。
以下、モンベルのサイトからグロヴァッツ氏のプロフィールを転載↓(モンベルさん、ごめんなさい。見逃してやってください)
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●シュテファン・グロヴァッツ氏プロフィール
20歳の時にプロクライマーとして活躍し始める。当時、クライミングコンペの頂点の大会「Arco Rock Master」で3度の優勝を飾る。1987年、写真家Uli Wiesmeierと世界中を旅しながらクライミングを紹介した「Rocks around the world」の製作の為に来日する。
近年は辺境の地でのビッグウォールクライミングに注目しており、南極、バフィン島、グリーンランド、パタゴニアに足跡を残している。
1987年に来日した際に長野県小川山に初登された「Ninja」は20年後の今でもまだ3登しかされていない。当時から彼の天才的なクライミングは世界中から注目されていた。
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モンベル渋谷店の5Fにつくと、割合こじんまりとしたスペースに椅子が並んでいて、半数以上が埋まっていた。シュテファン・グロヴァッツのスポンサーであるRed Bullのドリンクを頂戴し、空いている席に座る。
(最終的には用意された椅子がほぼ埋め尽くされた。当日予約でも入れてよかった。。)
シュテファン・グロヴァッツ氏が会場に登場。
さすがプロクライマー。日に焼けて、強靭でしなやかそうで一切の無駄のないボディ。
1965年5月22日生まれだそうなので、まもなく43歳になるグロヴァッツ氏だけど、はしばみいろの巻き毛とアイスブルーの瞳のせいか、まるで少年のようなシャイな笑顔。
シュテファン・グロヴァッツ氏は、若干南ドイツの方言が混じった柔らかい英語で、スライドを紹介する。
スライドショーは3部構成だった。
1) グロヴァッツ氏のプロモーション用 ショートフィルム ("The Race" 、グロヴァッツ氏のサイトでも公開されていました)
2) グロヴァッツ氏の経歴、スイスアルプスの岩峰 „Letzte Ausfahrt Titlis“ルート開拓のフィルム
3) バフィン島(カナダ北部の北西地方)にあるMt. Harrison Smithへのエクスペディション、パタゴニアで3年をかけてRobert Jasper氏と共に開拓した "Vom Winde verweht" ("Gone with the Wind") ルートの様子
冒頭のショートフィルムでは、一切の確保もなく、フリーソロで垂壁を登っていく。えええー、まじですか?とあせったが、後ほどこのフィルムはフィクションで、確保あり&フリーで登った様子を編集したものと聞き安堵した。
圧巻だったのは、第3部のエクスペディションのフィルム群。
極地にあるクライミングエリアに到達するために、できるだけ人力で(カヌー、スキー、徒歩)現地に赴くという彼なりの哲学に基づいた冒険のドキュメンタリー。
カヌーで移動しながら3回にわけて100km先の岩場を目指すとか、これまた100km先のパタゴニアの最果ての岩場を嵐による停滞をよぎなくされつつも3回往復しながら目指す、とか。
いずれも物資の移送だけで2週間半を費やしたそうな。
物資を運び終えたら、今度は寝る間を惜しんでのクライミング。まだ誰も登ったことのない幻の岩峰を、クライムアップしながらルートを探しながら、登る。
100kmの道のりを3往復とか、26ピッチのマルチピッチルートとか、山頂から9時間かけて嵐の中をクライムダウンとか。。。もう尋常じゃない。刺すか刺されるかなんて、吉野家コピペですらまだまだ比じゃない。
平凡な岩登りビギナーであるわたしにとっては、その場所にたどりつくことですら大冒険なのに。
なのに、「2週間半後にベストコンディションであるように、モチベーションを維持し、入念に計画を立てマネジメントを行うことが大切なんだ」とグロヴァッツ氏は言う。
会場にいる誰もが、自然と背筋をのばして、目の前の映像に吸い込まれていくようだった。そして、わたしもそのひとりだった。極地でのクライミングの映像はとても美しくて、あまりに過酷で、目が離せなかった。
映像では、当時の気温や状況、現場にいる人たちの疲労感や焦燥感、クライミング時の高度感を完全に再現することはできないけれど、再現できたとしてもわたしのような凡人には極限過ぎる体験で直視するには辛かろう。
果たして、グロヴァッツ氏の精神力の強さはいったい、このクライミングへの情熱はいったい、どこから湧き上がってくるのだろう。。
スライドショーの最後に、小川山のNinjaを登った第3番目(20年間にたった三人って)の方がご挨拶。
去年の秋のRock&SnowでNinjaをRPするまでの記録を読んだ覚えがある。あぁ、そうか、あのルートを拓いたのがグロヴァッツ氏なんだ。。
最後に質問コーナーが設けられ、オーディエンス側からさまざまな質問が飛んだ。
「クライミングが上達するコツを教えてください」という山の会のOさんの問いに、グロヴァッツ氏は「あぁ」と実に爽やかな笑顔で「それは簡単だよ」と答えた。"Climb as much as possible, with passion." (できるだけ多く登ること。情熱をもって。)
仕事を辞めて。。。とまでは言わないけどね、と冗談を交えて答えるグロヴァッツ氏には、みじんもゆらぐことのないすがすがしいまでのクライミングへの情熱がある。
氏にとって、登ることとは人生そのものなんだ、と思う。
「登ることは呼吸すること、心臓を動かすことと同じ」というロクライマー山野井泰史氏の言葉が頭をよぎる。
はー。すごいな。。。
氏の映像を見ることで、なんだろう、自分の中のなにかが浄化されたような気がするのは、気のせいなんだろか。。
最後にミーハー丸出しで、サインを頂戴した。
これを宝物?に、わたしはわたしでできることをぼちぼち頑張ろうと思う。
Stefan Glowacz 氏のサイト(いまのところ独語のみらしい):http://www.glowacz.de/
6月6日発売予定のRock&Snowにインタビューが掲載される予定とか。
今週はかなりのんびりペースなので、当日に思い立って行ってみようかと思いつくも、予約制ということであわてる。ダメもとで電話で問い合わせたら、あっさりOKだったので、ほ。
せっかく少し早めにお店に到着したので、ガスやシャツやらをあれこれ物色していたら7時ちょっと前とぎりぎりの時間に。
慌てて会計を終えていざ5Fのイベントホールに向かわねばとエレベータを待っていると、ちょうど山の会のNさんと合流。今回のイベントはNさんに教えてもらったもの(感謝)。山の会からは、そのほかにも2名、計4名が参加。
実は。。。畏れ多いことに、わたしはこのイベントに臨んでもなお、シュテファン・グロヴァッツ氏のことをほとんど知らなかった。
いつだかのRock&Snowで紹介されていたような気もするけど、違うかもしれない。なにしろカタカナの長い名前を覚えるのは苦手でして。。
以下、モンベルのサイトからグロヴァッツ氏のプロフィールを転載↓(モンベルさん、ごめんなさい。見逃してやってください)
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●シュテファン・グロヴァッツ氏プロフィール
20歳の時にプロクライマーとして活躍し始める。当時、クライミングコンペの頂点の大会「Arco Rock Master」で3度の優勝を飾る。1987年、写真家Uli Wiesmeierと世界中を旅しながらクライミングを紹介した「Rocks around the world」の製作の為に来日する。
近年は辺境の地でのビッグウォールクライミングに注目しており、南極、バフィン島、グリーンランド、パタゴニアに足跡を残している。
1987年に来日した際に長野県小川山に初登された「Ninja」は20年後の今でもまだ3登しかされていない。当時から彼の天才的なクライミングは世界中から注目されていた。
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モンベル渋谷店の5Fにつくと、割合こじんまりとしたスペースに椅子が並んでいて、半数以上が埋まっていた。シュテファン・グロヴァッツのスポンサーであるRed Bullのドリンクを頂戴し、空いている席に座る。
(最終的には用意された椅子がほぼ埋め尽くされた。当日予約でも入れてよかった。。)
シュテファン・グロヴァッツ氏が会場に登場。
さすがプロクライマー。日に焼けて、強靭でしなやかそうで一切の無駄のないボディ。
1965年5月22日生まれだそうなので、まもなく43歳になるグロヴァッツ氏だけど、はしばみいろの巻き毛とアイスブルーの瞳のせいか、まるで少年のようなシャイな笑顔。
シュテファン・グロヴァッツ氏は、若干南ドイツの方言が混じった柔らかい英語で、スライドを紹介する。
スライドショーは3部構成だった。
1) グロヴァッツ氏のプロモーション用 ショートフィルム ("The Race" 、グロヴァッツ氏のサイトでも公開されていました)
2) グロヴァッツ氏の経歴、スイスアルプスの岩峰 „Letzte Ausfahrt Titlis“ルート開拓のフィルム
3) バフィン島(カナダ北部の北西地方)にあるMt. Harrison Smithへのエクスペディション、パタゴニアで3年をかけてRobert Jasper氏と共に開拓した "Vom Winde verweht" ("Gone with the Wind") ルートの様子
冒頭のショートフィルムでは、一切の確保もなく、フリーソロで垂壁を登っていく。えええー、まじですか?とあせったが、後ほどこのフィルムはフィクションで、確保あり&フリーで登った様子を編集したものと聞き安堵した。
圧巻だったのは、第3部のエクスペディションのフィルム群。
極地にあるクライミングエリアに到達するために、できるだけ人力で(カヌー、スキー、徒歩)現地に赴くという彼なりの哲学に基づいた冒険のドキュメンタリー。
カヌーで移動しながら3回にわけて100km先の岩場を目指すとか、これまた100km先のパタゴニアの最果ての岩場を嵐による停滞をよぎなくされつつも3回往復しながら目指す、とか。
いずれも物資の移送だけで2週間半を費やしたそうな。
物資を運び終えたら、今度は寝る間を惜しんでのクライミング。まだ誰も登ったことのない幻の岩峰を、クライムアップしながらルートを探しながら、登る。
100kmの道のりを3往復とか、26ピッチのマルチピッチルートとか、山頂から9時間かけて嵐の中をクライムダウンとか。。。もう尋常じゃない。刺すか刺されるかなんて、吉野家コピペですらまだまだ比じゃない。
平凡な岩登りビギナーであるわたしにとっては、その場所にたどりつくことですら大冒険なのに。
なのに、「2週間半後にベストコンディションであるように、モチベーションを維持し、入念に計画を立てマネジメントを行うことが大切なんだ」とグロヴァッツ氏は言う。
会場にいる誰もが、自然と背筋をのばして、目の前の映像に吸い込まれていくようだった。そして、わたしもそのひとりだった。極地でのクライミングの映像はとても美しくて、あまりに過酷で、目が離せなかった。
映像では、当時の気温や状況、現場にいる人たちの疲労感や焦燥感、クライミング時の高度感を完全に再現することはできないけれど、再現できたとしてもわたしのような凡人には極限過ぎる体験で直視するには辛かろう。
果たして、グロヴァッツ氏の精神力の強さはいったい、このクライミングへの情熱はいったい、どこから湧き上がってくるのだろう。。
スライドショーの最後に、小川山のNinjaを登った第3番目(20年間にたった三人って)の方がご挨拶。
去年の秋のRock&SnowでNinjaをRPするまでの記録を読んだ覚えがある。あぁ、そうか、あのルートを拓いたのがグロヴァッツ氏なんだ。。
最後に質問コーナーが設けられ、オーディエンス側からさまざまな質問が飛んだ。
「クライミングが上達するコツを教えてください」という山の会のOさんの問いに、グロヴァッツ氏は「あぁ」と実に爽やかな笑顔で「それは簡単だよ」と答えた。"Climb as much as possible, with passion." (できるだけ多く登ること。情熱をもって。)
仕事を辞めて。。。とまでは言わないけどね、と冗談を交えて答えるグロヴァッツ氏には、みじんもゆらぐことのないすがすがしいまでのクライミングへの情熱がある。
氏にとって、登ることとは人生そのものなんだ、と思う。
「登ることは呼吸すること、心臓を動かすことと同じ」というロクライマー山野井泰史氏の言葉が頭をよぎる。
はー。すごいな。。。
氏の映像を見ることで、なんだろう、自分の中のなにかが浄化されたような気がするのは、気のせいなんだろか。。
最後にミーハー丸出しで、サインを頂戴した。
これを宝物?に、わたしはわたしでできることをぼちぼち頑張ろうと思う。
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Norlys(ノールリース)。極光、いわゆるオーロラ。雪の降る季節と雪の降る景色がすき。趣味は編み物。週末は山を散策。
色々と気になることをメモしたり、グダグダ書いてみたり。山の記録はなるべく参考になりそうなことを…と思いながらも思いついたままに垂れ流し。。
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