Norlys(ノールリース)-日々のあれこれ
Posted by norlys - 2014.12.16,Tue
週末の土日は足尾へ。
当初の予定は八ヶ岳の東面でアイスクライミング…でしたが、寒波襲来にてラッセル祭りに終始しそうだったので変更。伊豆でフリークライミングというのも考えたけれど、どのみち寒そうだよね、ということで。
足尾は「足尾讃歌」の記録を拝見した時からずうっと長いこと訪れたいと思っていた場所。けれどもなかなか機会に恵まれず徒に年月だけが過ぎました。行きたいところ登りたい場所はたくさんあるし、なにより「ボロい」という評判に二の足を踏んでしまったり。
そんな足尾に去年ようやくアイスクライミングをしに訪れることができ、けれども目的は氷だったので岩場は横目に眺め通り過ぎただけ。あれがジャンダルムか、これが滑り台か、そしてこれが中央岩壁か…と。
金曜夜発で都内を出発。土曜日は黒沢の先の堰堤の手前の平地にテントを設営。雪は欠片もなく、強い冬型の気圧配置だと松木渓谷の奥は冬景色になるだろうと予測していたものの午前中は青空が広がるのどかさ。寒暖の差によるものか、時折自然落石の音が響く。
装備を整え、ウメコバ沢へ。
F1、F2はベルグラが貼っていたのでフィックスロープに簡易アッセンダーを噛ませて越える。
2本ずつフィックスロープが設置されていたけれど、使えるのはどちらも寒色系の1本のみ(ロシアンルーレット状態のロープは撤去すればよかったと後の祭り)。
F2から上は水流脇の踏み跡を辿って中央岩壁の前へ。お目当ての「チコちゃんルート」を同定し、登攀準備。
この時点では壁は完全にドライ。気温もそれほど低くはないので、これならフラットソールを持参すれば良かった~と思うことしきり。
1P目はスラフェイス。ホールドもクラックも豊富で楽しそうだったのでリードさせてもらう。最近登られたのか、アイゼンで削られた跡が満載。カムもバチ効きだし、見た目通り傾斜も緩くホールドも満載で楽しい。ロープが屈曲すると流れが悪そうなので、クラック沿いから少し右上したテラスにてピッチを切る。
登り始めた頃に北風が強まり雪が降り始め、ビレイをしている間に黒かった壁が見る見るうちに雪化粧の様相に。
2P目はまに氏。ガレ場歩きから垂壁を4mほど登り小テラスまで。手袋ハンドジャムとアイゼンフットジャムが決まって楽しい。
3P目はLさんリード。弱点を突きルンゼの右壁から小テラスまで。大きな浮石まみれだけど氷化してパックされているので取りあえず大丈夫。でも夏はガレガレなんだろうなぁ…。
4P目は自分がリード。一段登ったところですっきりとした凹角が目に入り、しばらく奮闘してみたもののプロテクションが乏しく思い切れず。「悪いと思ったら違うから~」という声に押されてあっさりカンテラインに変更。弱いです。すみません。
雪の積もったカンテはホールドの判断が難しく、手袋もスリッピーな感じで一手一歩に慎重になりもっさり時間をかけてしまいました。本当にすみません。カンテをそのまま登ろうとしたところで左手に立派なビレイステーションが目に入ったのでトラバース。
で。これはもう登ったらシビレそう…なダブルクラックのフェイスが目の前に立ちはだかったのですが、この時点で3時を過ぎていたので、日の短い今の時期では時間切れということで登攀終了。残念だけど、これは夏の宿題ということで。
岩の黒さと空と雪の白さだけのモノクロームの世界。吹き付ける北風は冷たく、テン場の温かさを思い浮かべながら、あぁ早く温まりたいなぁ…と。
ハーケン3枚が打たれたラペルステーションから2.5ピッチの懸垂で取付きに帰還。
荷物を片付ける頃にはすっかり周囲が暗くなってきたので、早々と撤退を決めて正解でした。
テントに戻り夕飯。到着時には枯草の平地だったテン場もうっすらながら雪に覆われこの天候では焚火はできそうもないので断念。
翌日はウメコバ沢末端尾根へ。昨日それなりに満足したので、そのまま撤収という案もでたけれど、軽く1、2ピッチだけ登りましょう、ということで。
1P目はLさんリード。ワンポイントの乗り越しからガレたルンゼを詰めたところでビレイ。
2P目はまに氏リード。同じくワンポイントの乗り越しから少し歩いてベルグラの張った涸れ沢の右壁を5mほど登りガレ沢を歩いて灌木まで。
夏だったらとても登攀の対象にはなりそうもないガレガレのルンゼだけれど、冬場ならではの弱点という感じで楽しかったです。その先のスラビーなヘッドウォールがなかなか魅力的だったのですが、この日は軽くゆるく~の予定だったので継続はせず。
さっくりテン場に戻り撤収。温泉に入って温まり、いつしかこの山行の最大の目的と化したレモン牛乳を無事にゲットし帰京。あー楽しかった。
時期が少し早かったのか、それとも忘れられた岩場だからなのか、他に誰も人の姿を見ることはなく岩場は静かで貸切でした。
残置はほとんどなくラインもビレイ点もラペル支点もナチュラルプロテクションで作成せねばならず、どこでも登れそうでいて浮石多数だったり自らの登攀力の不足のため決してどこでも登れる訳ではなく(あの凹角ルートを鮮やかに登り切りたかったのにできなかったことが悔やまれます)、登る前から皆で「あのラインでこう行ってあの辺りから戻ってこれるはず」と話し合い、そして登りながらも色々と考えさせられ、自分としては充実した時間を過ごすことができました。
残置を追いかけるのではなく、登ったところでもしも行き詰ったら果たして戻れるのかな…と思いながら目を凝らして自らラインを繋いでいくことも、フラットソールで素手だったらきっともっとずっと快適なのになーと思いながら雪を払ってホールドを探してバイルやアイゼンの先をカリリと噛ませてじりじりと登る不自由さも。楽しい。
多分、この場所で展開されるクライミングはまったく流行のスタイルではないし、これからも流行らないだろうなぁ…と思います(流行らないでほしい…という幾許かの期待を込めて)。もう少し岩が硬ければ違うのかもしれませんが、いかんせん少しばかり(というか、かなりw)岩がルースなので。そして万が一にも流行れば流行ったで事故が多発してしまい立ち入り禁止の憂き目にあうのかもなぁ…とも。実際、貸切だったお陰で気兼ねなくぽんぽんと浮石を投げ落とすことができましたが、後続パーティがいたらそんなことは無理だし。
所詮、自分が行っているクライミングは趣味の範疇に過ぎません。それでも「このカンテから右上してバンドからあのクラックに繋げてあの木でビレイできるんじゃない? 」とか、そういう風にラインを見出したり、仲間と話し合ったりすることが、自分は大好きで、そういう時間を共有できることがこれほど貴重で楽しいのだと改めて気づかされました。本当にありがとうございました。
当初の予定は八ヶ岳の東面でアイスクライミング…でしたが、寒波襲来にてラッセル祭りに終始しそうだったので変更。伊豆でフリークライミングというのも考えたけれど、どのみち寒そうだよね、ということで。
足尾は「足尾讃歌」の記録を拝見した時からずうっと長いこと訪れたいと思っていた場所。けれどもなかなか機会に恵まれず徒に年月だけが過ぎました。行きたいところ登りたい場所はたくさんあるし、なにより「ボロい」という評判に二の足を踏んでしまったり。
そんな足尾に去年ようやくアイスクライミングをしに訪れることができ、けれども目的は氷だったので岩場は横目に眺め通り過ぎただけ。あれがジャンダルムか、これが滑り台か、そしてこれが中央岩壁か…と。
金曜夜発で都内を出発。土曜日は黒沢の先の堰堤の手前の平地にテントを設営。雪は欠片もなく、強い冬型の気圧配置だと松木渓谷の奥は冬景色になるだろうと予測していたものの午前中は青空が広がるのどかさ。寒暖の差によるものか、時折自然落石の音が響く。
装備を整え、ウメコバ沢へ。
F1、F2はベルグラが貼っていたのでフィックスロープに簡易アッセンダーを噛ませて越える。
2本ずつフィックスロープが設置されていたけれど、使えるのはどちらも寒色系の1本のみ(ロシアンルーレット状態のロープは撤去すればよかったと後の祭り)。
F2から上は水流脇の踏み跡を辿って中央岩壁の前へ。お目当ての「チコちゃんルート」を同定し、登攀準備。
この時点では壁は完全にドライ。気温もそれほど低くはないので、これならフラットソールを持参すれば良かった~と思うことしきり。
1P目はスラフェイス。ホールドもクラックも豊富で楽しそうだったのでリードさせてもらう。最近登られたのか、アイゼンで削られた跡が満載。カムもバチ効きだし、見た目通り傾斜も緩くホールドも満載で楽しい。ロープが屈曲すると流れが悪そうなので、クラック沿いから少し右上したテラスにてピッチを切る。
登り始めた頃に北風が強まり雪が降り始め、ビレイをしている間に黒かった壁が見る見るうちに雪化粧の様相に。
2P目はまに氏。ガレ場歩きから垂壁を4mほど登り小テラスまで。手袋ハンドジャムとアイゼンフットジャムが決まって楽しい。
3P目はLさんリード。弱点を突きルンゼの右壁から小テラスまで。大きな浮石まみれだけど氷化してパックされているので取りあえず大丈夫。でも夏はガレガレなんだろうなぁ…。
4P目は自分がリード。一段登ったところですっきりとした凹角が目に入り、しばらく奮闘してみたもののプロテクションが乏しく思い切れず。「悪いと思ったら違うから~」という声に押されてあっさりカンテラインに変更。弱いです。すみません。
雪の積もったカンテはホールドの判断が難しく、手袋もスリッピーな感じで一手一歩に慎重になりもっさり時間をかけてしまいました。本当にすみません。カンテをそのまま登ろうとしたところで左手に立派なビレイステーションが目に入ったのでトラバース。
で。これはもう登ったらシビレそう…なダブルクラックのフェイスが目の前に立ちはだかったのですが、この時点で3時を過ぎていたので、日の短い今の時期では時間切れということで登攀終了。残念だけど、これは夏の宿題ということで。
岩の黒さと空と雪の白さだけのモノクロームの世界。吹き付ける北風は冷たく、テン場の温かさを思い浮かべながら、あぁ早く温まりたいなぁ…と。
ハーケン3枚が打たれたラペルステーションから2.5ピッチの懸垂で取付きに帰還。
荷物を片付ける頃にはすっかり周囲が暗くなってきたので、早々と撤退を決めて正解でした。
テントに戻り夕飯。到着時には枯草の平地だったテン場もうっすらながら雪に覆われこの天候では焚火はできそうもないので断念。
翌日はウメコバ沢末端尾根へ。昨日それなりに満足したので、そのまま撤収という案もでたけれど、軽く1、2ピッチだけ登りましょう、ということで。
1P目はLさんリード。ワンポイントの乗り越しからガレたルンゼを詰めたところでビレイ。
2P目はまに氏リード。同じくワンポイントの乗り越しから少し歩いてベルグラの張った涸れ沢の右壁を5mほど登りガレ沢を歩いて灌木まで。
夏だったらとても登攀の対象にはなりそうもないガレガレのルンゼだけれど、冬場ならではの弱点という感じで楽しかったです。その先のスラビーなヘッドウォールがなかなか魅力的だったのですが、この日は軽くゆるく~の予定だったので継続はせず。
さっくりテン場に戻り撤収。温泉に入って温まり、いつしかこの山行の最大の目的と化したレモン牛乳を無事にゲットし帰京。あー楽しかった。
時期が少し早かったのか、それとも忘れられた岩場だからなのか、他に誰も人の姿を見ることはなく岩場は静かで貸切でした。
残置はほとんどなくラインもビレイ点もラペル支点もナチュラルプロテクションで作成せねばならず、どこでも登れそうでいて浮石多数だったり自らの登攀力の不足のため決してどこでも登れる訳ではなく(あの凹角ルートを鮮やかに登り切りたかったのにできなかったことが悔やまれます)、登る前から皆で「あのラインでこう行ってあの辺りから戻ってこれるはず」と話し合い、そして登りながらも色々と考えさせられ、自分としては充実した時間を過ごすことができました。
残置を追いかけるのではなく、登ったところでもしも行き詰ったら果たして戻れるのかな…と思いながら目を凝らして自らラインを繋いでいくことも、フラットソールで素手だったらきっともっとずっと快適なのになーと思いながら雪を払ってホールドを探してバイルやアイゼンの先をカリリと噛ませてじりじりと登る不自由さも。楽しい。
多分、この場所で展開されるクライミングはまったく流行のスタイルではないし、これからも流行らないだろうなぁ…と思います(流行らないでほしい…という幾許かの期待を込めて)。もう少し岩が硬ければ違うのかもしれませんが、いかんせん少しばかり(というか、かなりw)岩がルースなので。そして万が一にも流行れば流行ったで事故が多発してしまい立ち入り禁止の憂き目にあうのかもなぁ…とも。実際、貸切だったお陰で気兼ねなくぽんぽんと浮石を投げ落とすことができましたが、後続パーティがいたらそんなことは無理だし。
所詮、自分が行っているクライミングは趣味の範疇に過ぎません。それでも「このカンテから右上してバンドからあのクラックに繋げてあの木でビレイできるんじゃない? 」とか、そういう風にラインを見出したり、仲間と話し合ったりすることが、自分は大好きで、そういう時間を共有できることがこれほど貴重で楽しいのだと改めて気づかされました。本当にありがとうございました。
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Norlys(ノールリース)。極光、いわゆるオーロラ。雪の降る季節と雪の降る景色がすき。趣味は編み物。週末は山を散策。
色々と気になることをメモしたり、グダグダ書いてみたり。山の記録はなるべく参考になりそうなことを…と思いながらも思いついたままに垂れ流し。。
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