おやおや。。。と思いながら天気予報をチェックすると夜半から雨の予報に。
ありゃ、やっぱりヤラレタか。。とため息。
山登りなら雨でもなんとかなるけれど、岩場で雨に降られたらNGなので困る。
最近週末の天気予報は直前になって猫の目のように変わる。まぁ朝から雨じゃないだけマシかと思いながら奥多摩に向かう。
本日の目的地は越沢バットレス。鳩ノ巣駅から南に伸びる山道を30分ほど歩き、越沢にかかる木橋を3回渡ると、高低差80mのチャートの岩場にたどり着く。
ここは私有地なのだけど、地主の方のご好意でクライマーのために開放してくださっている。整備費用等のための利用料は200円。
本チャンの練習として古くから首都圏のクライマーが通っているそうで、わたしが越沢に来るのは今年の4月以来2度目。
気温はそれほど高くないのだけど、なにしろ湿度が高くてムっとしている。
ただでさえ滑りやすいチャートの岩場は、湿気を含んで全体的にぬるり感が120%増し。なんだか厭な感じ。
チャートとは、堆積岩の一種で主成分は二酸化珪素(SiO2)。この成分を持つ放散虫・海綿などの動物の殻や骨片(微化石)が海底に堆積してできた岩石(別起源のものがあるという説もある)。非常に硬い岩石で、層状をなすことが多い。
(Wikipediaから、チャートについての記事)
だそうな。
遠い昔には奥多摩も海の底にあって、無数の微細なプランクトンの生きた証がそのまま墓標になったのだと思うと、80mもの高さの一枚岩の存在がなんか途方もないもののように思える。
そもそも、被殻を成すために珪酸を取り込むという生物そのものも興味深い。
現在の地球の生命体の多くは炭素生物だけれど、炭素と同等に多量に地球上に存在する珪素を主体にした生物が存在したら。。。という仮定を元に描かれたSF物語が古くからあるそうな。
珪酸生物とはちょっと違うけれど、J.G.バラードの代表作といわれるSF作品に「結晶世界」という本があって、その作品の世界では、人間や動物、植物が次々に水晶化してしまうという謎の伝染病が発生する。ありとあらゆる有機物が、透明な水晶という無機物に変化してしまう世界の描写は、恐ろしいけれどとても美しいものだった。
実際のチャートは水晶のように透明ではなくで、名古屋名物のういろうのような半透明感。岩角が鋭いので過去にロープ切断事故が起きたそう。また、岩質が硬いわりにごそっと塊で剥がれ落ちるので気が抜けない。
わたしたちが到着した時点で、先に1パーティが一般ルートの3ピッチ目に取り付いていた。
その日の2番手で一般ルート右を登る。外岩は約1年ぶりというHさんがリード。
Hさんは「リハビリ~」といいながら、ブランクを感じさせることなくするすると登っていく。
岩場における注意事項を色々と教わりながら、わたしはフォローで登る。すでに登ったことのあるルートだし、さらにフォローワーということで、精神的にはとても楽で、無事に3ピッチともノーテンで抜ける。
2回に分けて懸垂下降で降りて、下の東屋にに戻り、しばし休憩。
いつの間にか続々とパーティが到着したようで、東屋は荷物でいっぱい。
次は第2スラブに登ろうか。。。と見上げるも、渋滞している模様。
空模様も芳しくないので、待っているよりは空いているところにということと、今度は自分がリードで登りたいと主張したので、一般ルートの天狗の肩に出るIV級のルートを登ることに。
登り始めた時点で雨がポツポツと本降りになってきて、厭だなぁと思いながらもだらだらと長くて緩い斜面を登る。途中の木にシュリンゲを巻いてクリップしたものの、あと1箇所途中にあるハーケンを見落としてしまい、そのまま天狗の肩に到着。
IV級ならさすがに落ちないでしょと自分に言い聞かせながら、なにせ雨で足元がどんどん悪くなっていくし、クリップは1箇所だけだし。。。というわけで、いやはや、落ちなくてよかった。。。
なんとかリードの手順は間違えずにできたけれど(と思うけど)、ロープの引き上げが遅いので、これはまだまだ練習が必要だなと反省。
天狗の肩から一般ルートを再登予定も、雨がひどくなる一方なのでそのまま懸垂下降で降りて店じまい。残念。まぁ登った本数は少ないけれど、やっぱりマルチピッチは総合力が試されるので面白いですね。
鳩ノ巣駅前の温泉に入り、お蕎麦を食べてお酒を呑んで。。。としているうちに夕方になり、拝島でさらにもう一杯~と焼き鳥屋で呑みの続き。登っている時間よりも呑んでいる時間の方がすっかり長い一日でしたw
色々と気になることをメモしたり、グダグダ書いてみたり。山の記録はなるべく参考になりそうなことを…と思いながらも思いついたままに垂れ流し。。
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