Hydrogenveiは、hydrogen(ヒィードロゲン、水素)とvei(ヴァイ、道)を組み合わせた言葉。
直訳すると「水素道路」。水素自動車用のスタンドを整備した(高速)道路のことだそうで。
なんでもこのHydrogenveiプロジェクトが、ノルウェーで本格始動だそうです。
---------------------------------------------------
(11/07)マツダ、来夏から水素ロータリーエンジン車をノルウェーに30台順次納入
マツダ、ノルウェー国家プロジェクトHyNor(ハイノール)に参画し、
2008年夏から水素ロータリーエンジン車をノルウェーに納入
(おもいっきし省略)
HyNorとは、スタバンゲル市~オスロ市間を結ぶハイウエーの各拠点に水素ステーションを設置し、全長580kmを水素自動車で走行可能にすることを目指したノルウェーの国家プロジェクトである。このプロジェクトは、各地の状況に適合しながら水素社会の開発に必要なあらゆる取り組みを行っている。バス、タクシー、乗用車など交通手段と都市、都市間、地方、長距離国内交通など交通システムの変革を予定している。マツダは2006年8月にHyNorプロジェクトの一環として造られたノルウェー初の水素ステーションの開所式に参加し、「RX-8ハイドロジェンRE」初の海外デモ走行を行っている。
(NIKKEI NET 2007/11/07)
---------------------------------------------------
Stavanger(スタヴァンゲル)はノルウェーの南にある4番目に大きい都市で、北海油田の石油プラットフォームの前線基地として有名なトコロ。StaganverとOsloを結ぶ高速道路(E18-E39)は、ノルの基幹道路のひとつ。
日本にたとえると東京-大阪を結ぶ東名・名神高速みたいな感じでしょか(違うかな。。)。
そのStavangerに水素自動車用のスタンドができるというのは、なんだかちょっと面白い話。
外貨獲得用に石油をせっせと掘削して、国内電力はほぼすべて水力発電で賄いながら、輸送は水素自動車とは。(石油は海底パイプラインで運んでいたと思いますが)
ノルウェーは世界で3番目にランクインする産油国ですが、いつかは訪れるとされる石油エネルギー枯渇問題への対策?
それとも朝晩の渋滞がひどいオスロ周辺や、産業地域が密集(というほどではない。なにしろ人口470万人の国だw)するオスロ-ドランメン-スタヴァンゲル路線の環境対策?
と。
『国土交通省「環境と交通シンポジウム」、室蘭、2007年2月21日、HyNor – ノルウェーの水素道路プロジェクト』の資料がありました。
CO2削減を目指して~ということなので、環境問題対策として&次世代自動車エネルギーでいち早くデファクトスタンダードを打ち立てようという目論見みたいですね。
HynorのWebサイトに、今年の8月23日にStavengerで一番最初の水素スタンドがオープンしたよ、という記事がありました。
マツダの水素自動車を採用したよ、という記事はこちら。
水素自動車の開発では、マツダとBMWの2社が世界をリードしているそうですが、やはり日本人としてはマツダの車が採用されたというのは、ちょっぴりうれしい(ま、実態はフォードの傘下にあるわけですが)。
マツダのお膝元である広島市でも、水素自動車が採用されているそうです。個人的にはもっと日本全国に普及してほしいです。てか、ここで日本が世界をリードしたっていいじゃないかと思うんですが。え、原油を買わないとアメリカ様が怒る? てえぇぇい。京都プロトコル批准の地としての矜持を持ちましょうよ。
ま、T○Y○TA(隠してないしw)とかほかの自動車メーカーの手前もあって難しいのかもしれないけど。。
(でもTOYOTAも水素自動車の開発していますよね。あれれ。。やっぱり宗主国様の思惑? それとも石油関連企業へのご遠慮?)
ところで。
上記のシンポジウムの資料にも記述がありますが、HyNorのサイトにも、ノルウェーだけではなく、デンマークとスウェーデンとも手を組んでスカンディナヴィアの3カ国共同プロジェクトとして、今後、水素自動車事業を普及させていく予定であると示されています。
(「スカンディナヴィア」はデンマーク、スウェーデン、ノルウェーの3国を指し、フィンランドは含まれません。よく間違えられるけど。フィンランドとアイスランドを加えた5カ国の場合は、「ノルデン」(ザ・北国)と呼称します。)
やはりスカンディナビア3国内は相互の通行量が多いですからね。
ノルウェー一国だけが張り切って水素自動車を導入しても、他の国が追随してくれなかったらプロジェクトも行き詰まるでしょうし。
「CO2排出量削減につながるよ! 地球にやさしいよ!」という大義名分があれば、ノルウェー同様に自然大好きっコのスウェーデンとデンマークもホイホイついてくること請け合いでございましょう。
なんというか。
ほんと、悪目立ちしない立ち回り方がうまいよなぁ。。。と思います。
いや、いい意味で。
自分にとってノルウェーという国は、自分たちのことを理解してもらえるヒトにしか伝えず、目立ちそうになると、さっさと表舞台からひっこんで、裏でこっそりと続けてはひっそりと発表する国、という印象があります。
小さい国には小さい国なりの苦労があるかとは思いますが、日本みたいに経済規模が大きいともうなにかにつけて悪目立ちしちゃうのでたいへんですよね。。小さいと小回りが利いていいよなぁ。。
そういえば。ふっと、最近目にしたノルウェー最大のエネルギー/化学金属関連企業であるHydro社のプレスリリースを思い出しました。
そうそう、これこれ↓
「Hydro to terminate New York Stock Exchange listing(2007-10-23)」
NY株式市場での上場を廃止しました、という記事。米国でのシェアは15%を占めるけれど動きがそれほど大きくないので、事務手続きの簡素化を主目的として今後はノルウェーと欧州のマーケットに絞る、と。
英語が苦手なので間違っているかも。。。なんですが。
プレスリリースに書かれていることはキレイごとで、なんかもうアメリカは煩いからあまり相手にしたくないのそっと手を引くわさようなら。。。という印象を受けました。
エネルギー関係はノルウェーにとってまさに国家の生命線なので、アメリカに握られたくないという気持ちがあるのではないかと邪推しています(ホントのところはどうなんでしょう)。
なにしろHydro社は、一応民間企業の看板を掲げてはいますが、ぶっちゃけノルウェーのエネルギーと化学・金属分野を一手に握る国営企業みたいな存在。この分野においては、ノルウェーという国そのものだと考えてもあながち間違いではないかも。
当然ながら、今回のHydrogenveiのプロジェクトにも噛みまくっています。
アイスランドにおける水素自動車の公共機関への導入プロジェクトも、Hydro社がけしかけたものだったはず。
小さなお友達(アイスランド)の軒先を借りて、着々と準備を進めてきたというわけです。
この先も、もうちょっと大きなお友達(デンマークとスウェーデン)を巻き込んで進めていくつもりみたいです。
いやはや。
ほんと、立ち回りがうまいよなぁ。。。
でもこのプロジェクトが軌道に乗れば、エネルギーと自動車と輸送という現代産業の主要な3つの分野におけるパラダイム・シフトになるかもしれませんね。ちょっとワクワクしてきました。
化石燃料の時代が終了して、これからは水資源万歳です~なんてことになったら、砂漠の国は、石油王さまたちはどうなさるのかしら。うふふ。
今ノルウェーが目指している方向が正しいのか、そしてまんまと成功するのかは、わたしにはわかりません。
それでも、数年先の未来を見据えて、目指す方向性を持ち、少なくとも世界の潮流においては正しく(なんたってエコですのよ奥様)、それを着実に積み上げていく姿勢が、日本ももう少しあれば。。。と願わずにいられません。(わたしには見えないだけで、実はちゃんとあるのかな)
まぁ、投機筋が一気に原油価格を引き下げたら、エネルギー効率の面から「やっぱり車はガソリンでいいよ」なんてことになる恐れもなきにしもあらず。。。なんですが。
あぁ、10年後を映す水晶玉とかがあったら、ちょびっと覗いてみたい。
色々と気になることをメモしたり、グダグダ書いてみたり。山の記録はなるべく参考になりそうなことを…と思いながらも思いついたままに垂れ流し。。
Powered by "Samurai Factory"