Norlys(ノールリース)-日々のあれこれ
Posted by norlys - 2008.10.30,Thu
ただいま読みかけ→「コーカサス国際関係の十字路」(廣瀬 陽子 著)。
面倒なのでAmazonの紹介文をコピペ(をいをい)。
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日本人がいちばん知らない地域で、今なにが起きているのか? コーカサスは、ヨーロッパとアジアの分岐点であり、古代から宗教や文明の十字路に位置し、地政学的な位置や、カスピ海の石油、天然ガスなどの天然資源の存在により、利権やパイプライン建設などをめぐって大国の侵略にさらされてきた。またソ連解体や、9.11という出来事により、この地域の重要性はますます高まりつつある。だが、日本では、チェチェン紛争などを除いて認知度が低いのが現実である。本書では、今注目を集めるこの地域を、主に国際問題に注目しつつ概観する。
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初版は今年の7月で、国際情勢的にとてもタイミングよく発刊された新書。
カフカス地域の、実に複雑な民族、宗教、歴史(特に紛争の)を理解するための入門書という位置づけ。
まだ半分しか読んでいないけど、とても面白い。
内容もさることながら、構成と文章が抜群にうまい。卒なく無駄なくコンパクトに要点を抑え、図表を活用し、極力主観を排して複雑なカフカスの諸地域や周辺諸国の情勢や関係を解きほぐしてくれるので、ものすごくわかりやすい。
「主観を排し」てはいても、まったく主観が含まれないというわけではなく、著者の主観や推測等(著者以外を含む)は主に括弧書きで記されていて、事象と考察がキッチリと分離されているので、「誰がなにについてそう考えるのか」という点がとても明確。
考察に偏れば新書サイズには到底収まりきらないだろうし、あまりにレポートライクだと新書としての魅力(一般読者の興味を牽引する力)に欠けてしまうし、どこか1点に焦点を当て過ぎると全体像がかえってぼやけてしまうところをキュッと引き締める、全体的なバランス感覚のよさが際立っています。
あぁ、この著者の方はものすごく頭の良い人なんだろうなぁと、ただただ感心しきり。
まるで、おいしいミネストローネみたいな本です。
その昔、国際関係学関連の新書はこういう構成のものが多かったように記憶していますが(というほど多くの本を読んだことがあるわけではない)、一時期の新書ブーム?以降、「ワンテーマに思い入れどっぷりで薄い内容」な本が多くなってしまったように思います。
(たとえば、記述が過剰に散文学的だったりドキュメンタリータッチだったり、またはタイトル以上の内容がないとか。)
そんな、豊富な資料と冷静沈着な分析に基づいてカフカス情勢の説明が続く中、
アゼルバイジャンの地下に埋蔵された石油・天然ガス資源の利権を巡り、該当地域や周辺諸国であるロシア、トルコ、イラン、供給先となるEU諸国などが熾烈な駆け引きを展開する中、アメリカの思惑という政治的な力学によりBTCパイプライン建設の計画が進行する-というテクストに、
「地域住民にしてみれば、放牧などの仕事をしながら巡回の仕事の報酬も得られて一挙両得といえよう。」(P.120)
という一文があり、ここ、個人的に大層ツボりました。
「放牧」と「地下にパイプラインが敷設された区域へのテロ警戒警備」って、ギャップがもんのすごいんですけど。。(^□^;)
草原、羊、放牧の民・・・石油パイプライン、テロリスト・・・民族・宗教の対立、繰り返される憎悪と虐殺の悲劇、国家間のパワーゲーム。。。
あぁでも、むしろ、これが現実なんですね。
まだ読み終えていませんが、この本を読み進めながら何度も何度も考えずにはいられないこと。
・民族とはなにか(言葉や概念ではなくて)
・「民族自決」と「領土保全」という自家中毒のような矛盾について
おそらく地球外生物からの攻撃でも受けない限り、この疑問が解消される日は来ないような気がするな。。
そういえば。
チェチェン紛争に絡みプーチン批判を繰り返したことで暗殺されたと言われているロシアのジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤさんの命日(10月7日)に行われた追悼集会についての記事があったのは、産経と日経の2紙のみだったことを思い出しました。
Googleのニュース検索で検索しただけなので、自分が見逃しているだけかもしれませんが。
・ポリトコフスカヤさん暗殺から2年 「真実を知りたい」と姉が訴え(MSN産経 2008.10.9 09:25)
・【外信コラム】赤の広場で 繰り返される悲劇 (MSN産経 2008.10.10 03:42)
・ロシア女性記者の追悼集会 2年前、自宅で殺害 (日経ネット 2008.10.7 22:52)
巨大で強大な国家権力を社会的に監視する立場であるとして日頃「言論の自由」と声高に叫ぶ日本のマスコミさんたちなのにねぃ。。
(産経と日経は親米だからこの件を取り上げたのかもしれませんが、毎日、朝日、読売あたりは親露だからではなく、単に関心がないのだろうな。。と思う。)
ロシア人であるポリトコフスカヤさんがあまりにチェチェン民族に同情しプーチン政権に批判的過ぎたのか、それとも彼女が命がけで告発した(しようとした)ことは紛れもなく真実だったのか、それから彼女が国際社会に訴えかけた正義や人権の問題について、きちんと検証することなく過去に封印しようとするジャーナリズムなんざ、自分で自分の首を絞めているような気がするんだけどなー。
もしも時代を巻き戻せるとしたら、「テロとの戦い」というプロパガンダが世界に溢れる前に戻ってほしい。。
どうか、世界に平和を。
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日本人がいちばん知らない地域で、今なにが起きているのか? コーカサスは、ヨーロッパとアジアの分岐点であり、古代から宗教や文明の十字路に位置し、地政学的な位置や、カスピ海の石油、天然ガスなどの天然資源の存在により、利権やパイプライン建設などをめぐって大国の侵略にさらされてきた。またソ連解体や、9.11という出来事により、この地域の重要性はますます高まりつつある。だが、日本では、チェチェン紛争などを除いて認知度が低いのが現実である。本書では、今注目を集めるこの地域を、主に国際問題に注目しつつ概観する。
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初版は今年の7月で、国際情勢的にとてもタイミングよく発刊された新書。
カフカス地域の、実に複雑な民族、宗教、歴史(特に紛争の)を理解するための入門書という位置づけ。
まだ半分しか読んでいないけど、とても面白い。
内容もさることながら、構成と文章が抜群にうまい。卒なく無駄なくコンパクトに要点を抑え、図表を活用し、極力主観を排して複雑なカフカスの諸地域や周辺諸国の情勢や関係を解きほぐしてくれるので、ものすごくわかりやすい。
「主観を排し」てはいても、まったく主観が含まれないというわけではなく、著者の主観や推測等(著者以外を含む)は主に括弧書きで記されていて、事象と考察がキッチリと分離されているので、「誰がなにについてそう考えるのか」という点がとても明確。
考察に偏れば新書サイズには到底収まりきらないだろうし、あまりにレポートライクだと新書としての魅力(一般読者の興味を牽引する力)に欠けてしまうし、どこか1点に焦点を当て過ぎると全体像がかえってぼやけてしまうところをキュッと引き締める、全体的なバランス感覚のよさが際立っています。
あぁ、この著者の方はものすごく頭の良い人なんだろうなぁと、ただただ感心しきり。
まるで、おいしいミネストローネみたいな本です。
その昔、国際関係学関連の新書はこういう構成のものが多かったように記憶していますが(というほど多くの本を読んだことがあるわけではない)、一時期の新書ブーム?以降、「ワンテーマに思い入れどっぷりで薄い内容」な本が多くなってしまったように思います。
(たとえば、記述が過剰に散文学的だったりドキュメンタリータッチだったり、またはタイトル以上の内容がないとか。)
そんな、豊富な資料と冷静沈着な分析に基づいてカフカス情勢の説明が続く中、
アゼルバイジャンの地下に埋蔵された石油・天然ガス資源の利権を巡り、該当地域や周辺諸国であるロシア、トルコ、イラン、供給先となるEU諸国などが熾烈な駆け引きを展開する中、アメリカの思惑という政治的な力学によりBTCパイプライン建設の計画が進行する-というテクストに、
「地域住民にしてみれば、放牧などの仕事をしながら巡回の仕事の報酬も得られて一挙両得といえよう。」(P.120)
という一文があり、ここ、個人的に大層ツボりました。
「放牧」と「地下にパイプラインが敷設された区域へのテロ警戒警備」って、ギャップがもんのすごいんですけど。。(^□^;)
草原、羊、放牧の民・・・石油パイプライン、テロリスト・・・民族・宗教の対立、繰り返される憎悪と虐殺の悲劇、国家間のパワーゲーム。。。
あぁでも、むしろ、これが現実なんですね。
まだ読み終えていませんが、この本を読み進めながら何度も何度も考えずにはいられないこと。
・民族とはなにか(言葉や概念ではなくて)
・「民族自決」と「領土保全」という自家中毒のような矛盾について
おそらく地球外生物からの攻撃でも受けない限り、この疑問が解消される日は来ないような気がするな。。
そういえば。
チェチェン紛争に絡みプーチン批判を繰り返したことで暗殺されたと言われているロシアのジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤさんの命日(10月7日)に行われた追悼集会についての記事があったのは、産経と日経の2紙のみだったことを思い出しました。
Googleのニュース検索で検索しただけなので、自分が見逃しているだけかもしれませんが。
・ポリトコフスカヤさん暗殺から2年 「真実を知りたい」と姉が訴え(MSN産経 2008.10.9 09:25)
・【外信コラム】赤の広場で 繰り返される悲劇 (MSN産経 2008.10.10 03:42)
・ロシア女性記者の追悼集会 2年前、自宅で殺害 (日経ネット 2008.10.7 22:52)
巨大で強大な国家権力を社会的に監視する立場であるとして日頃「言論の自由」と声高に叫ぶ日本のマスコミさんたちなのにねぃ。。
(産経と日経は親米だからこの件を取り上げたのかもしれませんが、毎日、朝日、読売あたりは親露だからではなく、単に関心がないのだろうな。。と思う。)
ロシア人であるポリトコフスカヤさんがあまりにチェチェン民族に同情しプーチン政権に批判的過ぎたのか、それとも彼女が命がけで告発した(しようとした)ことは紛れもなく真実だったのか、それから彼女が国際社会に訴えかけた正義や人権の問題について、きちんと検証することなく過去に封印しようとするジャーナリズムなんざ、自分で自分の首を絞めているような気がするんだけどなー。
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どうか、世界に平和を。
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Norlys(ノールリース)。極光、いわゆるオーロラ。雪の降る季節と雪の降る景色がすき。趣味は編み物。週末は山を散策。
色々と気になることをメモしたり、グダグダ書いてみたり。山の記録はなるべく参考になりそうなことを…と思いながらも思いついたままに垂れ流し。。
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