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Norlys(ノールリース)-日々のあれこれ
Posted by - 2025.03.14,Fri
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Posted by norlys - 2013.09.02,Mon
週末は瑞牆であぶみトレ第2弾。

台風15号が日本列島を通過するとのことで台風と秋雨前線による荒れ模様の予報だったけれど、土曜日ならば台風の影響も少ないのではないかと楽観的な予測のもとギリギリまで予報と睨めっこ。

土曜日の朝、都内を出発し、瑞牆山荘の駐車場に到着すると、すでに駐車場はほぼ満車状態。
たしかに金曜日の時点で土曜日は雨マークが消えていたけれど、さすがに100名山だけあってか人気なのだなぁ…と。

目指す大ヤスリ岩は瑞牆山の山頂直下にあるらしい。
いざエアリアを広げると、山頂までのコースタイムは2時間50分。往復だけでも結構時間がかかることに気付く(遅…)。

上空は青空。時折雲がすごい速さで流れていく。登りだしの斜面は風の影響を受けず無風。暑い。
しっかりと整備された登山道をえっちらおっちら歩く。暑い。

富士見平小屋から先はトラバース道が続く。遠くに瑞牆本峰方面がちらりと見えるけれど、まだまだ遠い。

沢筋を横断し、しっかりとした梯子を登り、岩がちな道をえっちらおっちらと登っていくと、左手に顕著な岩峰が見えた。「あれが大ヤスリじゃないかな」と初めて見る岩峰の姿に半信半疑ながらも、さらに登山道を登ると、岩峰の基部に続く踏み跡を遮るようにトラロープが張ってあった。

荷物を置いてトラロープを跨ぎ5mほど踏み跡を辿ると、どんと岩が真正面に聳え立つ。見ればすぐに分かるだろうと話していたハイピークルートの取付きがそこにあった。ビンゴ。

荷物を取りに戻り、早速登攀準備。
いかんせんアプローチとデプローチが多少長いので、急がなくては…。

・1P目、リード
事前に見た記録では「顕著な凹角をハンドクラックで」とあったけれど、全然ハンドサイズではなくて焦る。広い。カムでランニングを取りながら4mほど登り凹各左の岩の上へ。右のチムニーにトラバースするところは、なるほどホールドが細かく自分には無理なのでフリーは当初から諦めリングボルト4つをA0で。

バックアンドフットでチムニーの外に近い部分を登る。チムニーは外側にホールドが豊富で登りやすい。このサイズに合うカムを持ち合わせてないのでべたべたと打たれたリングボルトにクリップ。チムニー奥に入り込めばデカキャメが効くかもしれないけれど、ガチンコワイドで難しくなりそう。。
古い終了点は足場が今一つなのでそのままロープを伸ばすことにし、目の前に続くハーケン連打をA0で登り(当初フリーでトライしたら手が細かくて自分には無理でした…ヘタレ(凹))再び右のチムニー内に移り、チムニー内部の階段を少し上がってペツルのハンガーボルト2つでビレイ。

・2P目、フォロー
続く階段を少し登って「ビルの中庭みたいな」大テラスまで。途中灌木にロープがかかってしまうので、すぐ目の前の岩壁直下でピッチを切る。
なるほど、ビルの中庭みたいな、四方を乾いた大きな花崗岩に囲まれた広い空間で、ちょっと異次元な感じ。

・3P目、リード
10mほどの岩壁にクラックが数本走っており、左、中央、右と3本くらいルート取りができるとのこと。中央ルートが面白そうだったけれど土が詰まっている箇所を見て萎えてしまい、左上するランぺから左のクラックを上がるルートを選択。快適。上は再び1P目と同じようにただし1P目よりは広い岩に挟まれた階段状の空間。どんつきに古い支点があったものの、右の垂壁にリングボルトが3つ続いていたので、あぶみを取り出して人工で垂壁を登り、右上の広いテラスへ。

登ってきた左手の目の前に、永遠の長さのようにボルトラダーが続いているのを確認。
そしてすぐ鼻の先にある岩峰の先に人がたくさんいる様子からして、あれが瑞牆山山頂なのだと知る。

・4P目、フォロー
ハイピークルートのハイライト、40mのボルトラダー。
見るからにボルト感覚がちょっと遠い。まに氏がするりするりと順調にロープを伸ばし、やがて姿が見えなくなった頃、山頂にいる登山者のみなさんが一斉に拍手をする音が聞こえ、あぁ到着したのだなとわかる。

登っていいよーとのコールを受け、登攀(あぶみだけど)開始。しょっぱなから遠い。先日の中央洞窟ルートよりも俄然遠い。スリングで伸ばしてあっても2段目まで立ちこまないと届かない箇所がいくつかあった。
ボルトが欠落した場所はなかったので、背の高い人がボルトを打ったのかな…と思う。どうなんだろう。
リングが破断した箇所は2ヶ所(1箇所は今年の7月に破断したそう)。ボルトの頭にリベットハンガーを設置。リベットハンガーを使う場面などないかも…と思いながらも昔カモシカのセールで購入したものが日の目を見た。

岩峰の頂点が近づく頃にはすっかり傾斜が落ち、短いスラブを登って終了点へ。
それまで青空が広がっていたのに、残念ながら自分が登る間に雲が湧いてきて山頂方向以外の景観は望めず。。
台風の影響で風が強かったらあぶみが流されて登りにくいかも…と懸念していたけれど、それほど影響を受けずに済んだだけでもよかったのかもしれない。

だだっ広く長い垂壁をじっくりとあぶみで登ることは一種独特な感じで、自分が知っているフリークライミングとはまったく別物だと感じた。すごく楽しかったけれど、正直これはちょっと違うかなぁ…と、もやもやとした違和感が残った。
「登山道みたいなものだよ」と言われ、あぁそうか、と思った。北アルプスの稜線の梯子や鎖場のような、難易度ではなくとにかく頂点に至るための道筋なのだと思えば、なるほど納得。

3P目の終了点のテラスから山頂方向の登山道に向い1Pの懸垂。そこから先は歩いて登山道へ合流。荷物を片付けて、大ヤスリのルートをしばし見学。

大ヤスリ岩の基部には「景観を乱すボルト打ちを禁ずる」と書かれた古い看板(ご丁寧にリングボルトが添えられていた)があり、それはまぁそうだよね…と思う。

リングボルトやハーケンなどの残置が豊富だからこそ、ハイピークルートは自分のようなヘタレも楽しく登れる初心者ルートなのであって、残置が一切なかったら限られたハイレベルのクライマーだけが取付けるルートに一変してしまうだろう。
たとえば、大ヤスリ岩の頂点に立つフリーのルートならば中嶋兄弟が開拓したユグドラシルがあるけれど、1P目は12-、2P目は12+。今の自分には程遠いレベル。それでも頑張って頑張り続けてトライできるまで自分を高めることができらたらば、それはもうものすごくステキなことだと思う。思う、けれど…。

その昔の一時期、ディレティッシマという人工登攀を交えてとにかく直上する方法が流行ったらしい、ということは登攀史を紐解いて知識として知っているものの、自分はその時代を知らない。どんな形であれとにかく岩峰の頂点に立ちたいと願った人の気持ちは分かるし、それは決して今現在メインストリームをなすクライミングのスタイルではないということも分かる。

なにがいいかなにが悪いかということを考えても仕方ないし、いずれ自然の風化によって、リングボルトのリングも、もしかしたらボルト自体も破断してしまう日が来るだろうから、今こうしてハイピークルートを楽しく登ることができてよかったね…そういうことだよね…と話し合いながら、すっかり人気の少なくなった登山道をぽくぽくと下山。

結局雨に降られることもなく、ヘッデンを点けるまでもないうちに駐車場に帰還できよかったよかった。
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自己紹介:
Norlys(ノールリース)。極光、いわゆるオーロラ。雪の降る季節と雪の降る景色がすき。趣味は編み物。週末は山を散策。

色々と気になることをメモしたり、グダグダ書いてみたり。山の記録はなるべく参考になりそうなことを…と思いながらも思いついたままに垂れ流し。。
つぶやき。
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