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前原誠司の「直球勝負」(70)~高坂正堯が描いた「海洋国家日本の構想」~ (2009年4月14日付)
私が「海洋」という言葉を始めて意識したのは、大学時代だ。司馬遼太郎さんの「竜馬がゆく」にも感銘を受けたが、何と言っても高坂正堯先生の影響が大きい。浪人時代に読んだ先生の「国際政治」という新書本で、私はすっかり高坂正堯という国際政治学者が好きになり、京都大学法学部に進学後、当然のように先生の国際政治学を受講し、ゼミも高坂ゼミに所属した。
国際政治学の講義後、何度か授業内容の説明を求めて先生の下を訪れたが、ある時、自著である「『海洋国家日本の構想』を読んでみろ」とのアドバイスを受けた。何軒かの本屋を廻ってみたが、ない。その旨を先生に伝えたところ、先生は本棚から一冊を取り出し、私に下さった。それが今でも私が大切にしている、昭和49年に第4版で出版された「海洋国家日本の構想」である。ちなみに、この本の初版は昭和44年だ。
(中略)
この著書には、珠玉のメッセージが幾つもちりばめられている。この本は国連海洋法条約が批准される、はるか前に書かれているが、高坂先生は海が持つ意味の変容を的確に予言されている。つまり、海の持つ資源性に注目が集まり、「自由な公道」ではなくなる、と。著書には「海は残された最大のフロンティア」と述べられ、漁業資源や海の鉱物資源のみならず、自国の防衛にも資すると指摘してされている。自らの周辺の環境を知ることは防衛の要諦である、と。
(中略)
同時に、世界第6位の海洋国家として、領土・領空・排他的経済水域・大陸棚といった日本の主権を、しっかりと守り抜く国家としての意志も確固として持ち続けなければならない。特に沖ノ鳥島、尖閣諸島など、日本の主権を守る上で離島の保護・管理は、最重要の課題の一つだ。
(中略)
40年遅れではあり、財政的にも厳しい現況ではあるが、日本の未来を切り開いていくために、政治家である限り「広大なフロンティア」開拓の努力を続けていきたい。
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ふむ。
ふむむ。。
某巨大掲示板の山板を徘徊中に遭遇した新聞記事。(それにしてもクライミング関連スレのキティっぷりは異常。。)
山梨市西部にある大石神社内のボルダリングが問題視され、JFAと地元クライマーが地域の方々との交渉を試みるものの理解得られず登攀禁止に。このことを発端として、最近のクライミングブーム(ですよね?)に伴うアクセス問題等の説明。
3月28日から31日の4日間にわたり全4回、毎日新聞山梨地方版に掲載された記事、だそうです。
記者の方ご自身もまたクライミングをされているのか(というか、絶対やってる)、クライマー側にかなり好意的な内容。
新聞社のサイトは公開期間が短いので、全文はまるっとRead moreに(すみません)。
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(1)クライミング人気から見えるもの:/1 アクセス問題
◇神体の岩、人気スポットに 地元住民との摩擦で自粛
-しかし、近くの農家の男性(80)は「県外ナンバーの車が何台も来た。みんなで守ってきたご神体に、由来を知らない人が登ったりコケをはがしたりするのは許せない」と話す。
- しかし一方で、かつてアクセス問題が起きながら、急激な競技人口増加をチャンスとして、クライミングを地域振興につなげようとする取り組みも県外では始まっている。県境に近い東京都奥多摩町の岩場だ。
(2)クライミング人気から見えるもの:/2 地域振興へ新エリア
◇御前岩立ち入り禁止解けず 地元に配慮、理解得られたが
- 「冬の収入減をカバーでき、利益も出ている。天然の岩が観光資源になるという新しいモデルです」と(TOKYOトラウトカントリーの)堀江さんは言う。近くに住む男性(77)も「今となってはクライマーへの反発はないよ。若い人が来てにぎやかだね」と話す。
- ただ、御前岩の立ち入り禁止が解ける見通しは立っていない。22年前の記憶は住民の一部に根強く残っている。「一度失った信頼を回復するのはいかに困難かを思い知らされました」とJFAの室井さんは話す。
(3)クライミング人気から見えるもの:/3 冒険心少ない国民性
◇無意味に見えても一生懸命 「危険なスポーツ」理解不十分
- 山野井さんは「アクセス問題」(クライマーと地元住民の摩擦)の原因の大部分は、急激なクライマー増加とクライマー側のマナーにあると指摘する。ただ、「危険なスポーツ」に対する理解が不十分なことも背景にあると考えている。「楽しくてクライミングをやっているという事は分かってほしいですね」
- そして、こう続ける。「少しは迷惑をかけるかもしれないが、人はお互い迷惑をかけながら、かかわり合っている存在。そのかかわりをただマイナスととらえないでほしい」
- 妙子さんはこう言って笑った。「無意味に見えることでも一生懸命やっている。それを理解してもらいたいけれど、本当に難しい。母でさえ分かってくれなくて、いまだに『ちゃんと就職しなさい』と言われます」
(4)クライミング人気から見えるもの:/4止 遭難事故
◇過失に厳しい日本社会 「権利」理解してもらう必要
- ただ、法律の世界にも「日本社会の価値観」は反映されていると溝手さん(広島在住の弁護士。自身もクライマー)は言う。「世界の中でも日本は過失に厳しい国ですね。例えば米国には過失犯を処罰する法律のない州もある。しかし、日本では事故が起きると追及の矛先が当事者に集中する。寛容さが少ないとも言えます」
- 一方、クライマーと地元住民の摩擦である「アクセス問題」については、別の観点も考えられるという。
米国には、自然を国民共通の財産とする「公共信託」という考え方がある。北欧や英国では、国民が自然を利用する権利(万民利用権)が認められ、私有地でも所有者は一定の制限を受ける。
- 同協会理事の室井登喜男さん(36)=韮崎市=は「『危険なことはしない』のではなく、自身の選択のリスクを認識して取り組み、その結果は受け入れるという原則は、社会人なら誰もが持っていなくてはならないと思います」と話す。
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この特集記事、自分にとっては身近な内容ですが、クライミングにまったく興味のない人にとってどう映るのか、その点がちょっと気になります。
「ふーん、でっていう」と華麗にスルー? かもしれませんねぃ。。良くも悪くも。
それにしても。第3回目の山野井夫妻へのインタビューの中で、妙子さんのコメントがめっちゃツボ。
「無意味に見えることでも一生懸命やっている。それを理解してもらいたいけれど、本当に難しい。母でさえ分かってくれなくて、いまだに『ちゃんと就職しなさい』と言われます」
いまだにかよ! と苦笑すると同時に、古き良き日本のお母さん的な発想にじんわりと温かいものを感じました。
そういう世代ごとの共通意識や各個人のメンタリティは性急には変えようがないので、ゆっくりと少しずつ歩み寄れればいいなぁ、と。難しいけど。
また、日本の場合は、里が山に近いこともあってか巨岩が御神体であるケースがとても多いけど、そういう歴史の積み重ねを無碍にすることなく、お互いに歩み寄れればいいかなぁ。。と。難しいけど。
そういえば、アメリカのCave Rockも先住民族の聖地を汚したという理由で現在は登攀禁止でしたっけ。Dan Osmanの開拓した歴史的なルートがあるところ。
アミニズムではなく一神教系で、山は悪魔の住む恐ろしいところじゃあ~というメンタリティのお国とか、そもそも水も植物もなくて人が住めない過酷な環境に岩山があるのだったら話は早そうですけどね。。アプローチが大変そうだけども。。
昨日ジムに行ったら、ひとつの壁を近々ルート替えするとの告知。
話は聞いていたけれど、お気に入りでまだ落としていない課題がいくつかある壁だったのでとても残念。
春なのに♪ (以下略
ルートがなくなる前にこれだけは…! というモチの高い本気トライで臨む方も多く、良いものを見せていただきました。自分も頑張ってみたけど、結果は。。。(惜
一緒に登っていた方に、「池袋キンカ堂みたいに、課題のスタートホールド脇に『ありがとう』って紙に書いて貼ろうかな~」と冗談めかして言ったものの、かなり本気でやらかしそうな気持ちでいっぱいでした。
キンカ堂倒産・閉店のお知らせ、閉じたシャッターに貼られたメッセージの件は編み物系ブログ等を通じて知りましたが、この件はなんど見聞きしてもぐっとこみ上げるものが。。
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「ありがとうキンカ堂」閉店惜しむメッセージ200枚
東京地裁から2月22日、破産手続きの開始決定を受けた手芸用品店「キンカ堂」。1951年に創業した地、池袋店(豊島区)のシャッターを、閉店を惜しむ客のメッセージが埋めている。「ものを大切にする喜びを教えてくれた」「手芸を愛する人のため、帰ってきてほしい」。店の前に誰かが置いたペンと紙で、きょうも新しい張り紙が張られている。
(以下略)
(2010年3月19日 読売新聞)
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下手の横好きもいいところだし飽きっぽいのですぐに途中で投げ出しては、しばらくたってまた思いついたかのようにチョロチョロと手を出す…という形でしかないものの、自分が編み物とか縫い物とかが好きな原点は、洋裁好きな母親の影響が大。母と一緒にパターンブックを眺めてパターンを選んだり、手芸店に行って布地やボタンを選んで服や布かばんとかを作ってもらいました。キンカ堂もよく行ったなぁ。。
懐かしい。。
ネット通販の方が安かったりそもそも店舗に足を運ぶ時間がなかったりするし、というか既製品の方が安くて手っ取り早かったりするわけなんですけども。というか、自分が最近キンカ堂に足を運んだこともないわけなんですけども、どもどもども。。
時代の趨勢とまとめてしまうには、なんというか、残念です。
雑誌社の担当さんがお手ずから作成してくださった記事が仕上がったそうなので早速拝見。
「CO2を削減し、環境保護に貢献」というメッセージ。シーオーツー、シーオーツーの連呼。
。。。。。。。。。。う~む。。。
ちょっと待てよ。この製品はCO2削減が主眼ではないので異なるアプローチからの環境保護ならわかるけど、えっと一体、CO2がなにか関係ありましたっけ…?
それに、まるでこの世の諸悪の根源みたいに槍玉に挙げられているCO2の立場を思うと、ほんのり胸が痛むなぁ。。
と、おもむろに赤ペンを取り上げて校正に取り掛かろうとしたけれど、「その方が役所受けがいいので」という添え書きを見て、振りかざした赤ペンをそっと机に戻しました。
なるほど、なるほど。なんでも日本は2020年までにはCO2など温室効果ガスを(1990年比)25%削減する目標を打ち立てるとか新しい総理大臣が国連演説で表明していましたっけ。
だからこそ「CO2削減」なのか、だからこそ「役所受けがいい」方がいいのか、なるほどなぁ。機を見るに敏。さすがです。
それとは別に新製品のカタログを作成中で、締切がないのを良いことにたらたらと遅々として進みませんが、毎度のようにすぐに煮詰まり、日経ビジネスオンラインの「毎日が日直。「働く大人」の文学ガイド」の過去記事をまとめ読み。6月後半以来なので、ずいぶんと未読の記事が溜まっていたな、と。
泣ける
あるある
わかる
という、いわゆる世にウケる大衆文学のツボをぶすっと突き刺す内容でした。多分(自信はない)。
綴られた物語を読んで、泣ける、共感する、分かることで、読み手の多くは癒されたりすっきりする。逆に、癒されたりすっきりしたい読者が多いので、こういう読み物は特に現代の日本においては商業的にウケる。
実際にはさほど因果関係のない事象を連ねた文の羅列にも、人はストーリーやメッセージを探してしまう。
人間の脳はどうやら、視覚や伝聞によって獲得した情報をスキーマ(schema)に嵌め込みたがる傾向がある。いわゆる「腑に落ち」たがる。
なればこそ、最初からパッケージに耳障りが良く簡潔なコピーのラベルが貼付されていれば話は早いし、好まれる。
(でも世の中には正解なんかないし不条理なことだらけだしで、そういう不条理などろどろじわっと滲み出るような形容し難い「アレ」を文学が文字として炙り出してみせちゃうのってすごい面白いよね~、と、本コラム担当の千野帽子氏は言いたいのかなぁと個人的に受け止めていますが、自分にはどうもよくわかっていない気もします。。)
なるほどなぁ。うんうん、わかるわかる(笑)。
で、「CO2削減し、環境保護に貢献」ですよ。
うむ、すばらしい。今まさに時代の趨勢に乗るって感じ。不景気だからこそ、こうドライブ感に溢れて華のある攻めの姿勢は魅力的に映るかも。なによりお役所にもウケがいい。すばらしい。
と、外部から見たパッケージの印象を押し頂いて、あらためて客観的に眺めると同時に、もやもやとブンガク的ななにかが若干胸の内に居残るような気もします。かといって今更赤ペンを振り回す気力はありません。
共感-認知-物語。
なるほど、世の中はやっぱり不条理なんだと思います。
オチはありません。
A couple of news clips.
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カーディル主席「暴動関与せず」 「中国の民族政策は失敗」
世界の亡命ウイグル人組織を束ねる「世界ウイグル会議」のラビア・カーディル主席は29日、東京都内で記者会見し、5日の中国新疆ウイグル自治区での大規模暴動について「わたしは一切関与していない」と重ねて強調した上で「中国政府の民族政策は失敗している」と厳しく批判した。
カーディル氏は、世界ウイグル会議が求めているのは、新疆ウイグル自治区の中国からの独立ではなく「民族の自決権」だと強調、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世が要求している「高度の自治」については、自分たちは追求しないとの立場を表明した。「ダライ(・ラマ)は(中国に)だまされ続けている」とも述べた。
さらに、中国当局に対し世界ウイグル会議との「対話を求める」と述べ、話し合いによって現状の打開を図ることに意欲を示した。
(共同通信 2009/07/29 16:37)
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調査団派遣求める=在外ウイグル人指導者
在外ウイグル人組織「世界ウイグル会議」のラビア・カーディル議長は29日午前、自民党本部で衛藤晟一同党参院議員らと会い、中国新疆ウイグル自治区での5日の暴動について「デモを暴動に発展させたのは中国政府だ。わたしたちは死傷者のほとんどが漢族という発表を信用しない」と強調、調査団を現地に派遣するよう要請した。衛藤氏は「われわれも考えなければいけない」と応じた。
(時事通信 2009/07/29 12:45)
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中国が東トルキスタンことウイグル自治区で核実験を行った過去がある以上、自分はウイグル問題においては反中。
(ま、核実験の回数ではダントツにアメリカが多い(1992年までに1032回)し、ロシアもひどいもんだ(1949年までに715回)。フランスも1960年までに210回。中国は1964年までに45回で回数ではイギリスとイーブン)
そういえば、少数民族に対する弾圧や難民問題に取り組み欧米やロシアなどの大国を批判しながらも(日本の沖縄やアイヌの問題なども)、中国や北朝鮮の国内問題に対してはミリとも触れない慈善団体がしばしば見受けられるけど、こういう偏向した姿勢の団体さんは信じられん。
まぁ見分けやすいのでいいんだけどね。
東トルキスタンこと中国新疆ウイグル自治区での「騒乱」に関連し、日経BPオンラインで、2007年に行われた中国各地の国境の経済情勢の取材記事が一挙再掲されていました。
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旧ソ連オイルマネー、シルクロードを潤す~新彊ウイグル自治区ウルムチ(カザフスタン国境)
“裏玄関”から見た膨張経済【5】
(NB Online 2009/07/06、2007年9月3日の記事の再掲)
全6編。東西南北実に幅広く、あぁ大陸はでっかいなぁ。
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“裏玄関”から見た膨張経済
【1】隣の「軍事政権」支える深い意味~雲南省瑞麗(ミャンマー国境)
【2】インドシナ南下政策、起点は「パステルの街」~雲南省磨カン(ラオス国境)
【3】「南」の成功体験、「北」に移植狙う~黒竜江省黒河(ロシア国境)
【4】「侵略の戦車道」を電子部品が走る~広西チワン自治区(ベトナム国境)
【5】旧ソ連オイルマネー、シルクロードを潤す~新彊ウイグル自治区ウルムチ(カザフスタン国境)
【6】6カ国協議に翻弄される街~遼寧省丹東(北朝鮮国境)
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SAPIOでもクーリエ・ジャポンでもなくて、日経ビジネスでこんな特集が組まれていたとは。ちょっとびっくり。
どこの国境でも、賑やかに人と物資が行来し、写真を見るだけその喧騒が伝わってくるかのよう。
かつての紛争地帯だったり、今でも政治的に微妙な均衡の上に成り立つ一時的な平和の中にあったり、現在の繁栄の裏に潜む過去や現在の影についても述べられています。
ベトナムに、ラオスに、ミャンマーに…東南アジアの各国において中共が裏で政治的に軍事的に糸を引いている(いた)かということにさりげなく触れている点は、ポイント高いかと。
だいたいどこの紛争地帯でも用いられる武器って中国製ばかりだそうで。アフリカとかね。腐ってる。
このたびの世界的な金融不安の震源地はアメリカですが、中国経済の膨張も一役買っている…どころか、中国経済の成長というベースがなければ、世界的なバブルは起きなかったのではないか。。と思うのでした。
まぁ、金融サービスの膨張には日本の低金利政策も一枚噛んでいないわけじゃないし、工場進出だの技術供与だのとせっせと歯車を回した感もあるけど(お茶を濁した感じで)。
世界の製造工場である中国が安価な品物を大量生産するので、いわゆる先進国では価格競争力のない地場の製造業が悲鳴を上げてバタバタ倒れ、労働市場がより利潤の高い金融・不動産サービスにシフトしたら、最初はよかったんだけど、最後にはやっぱり皆コケた。
そらそうだ。
眠らせておけばよかったのに。。
色々と気になることをメモしたり、グダグダ書いてみたり。山の記録はなるべく参考になりそうなことを…と思いながらも思いついたままに垂れ流し。。
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